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超高速!参勤交代

ブラジルW杯、日本はコロンビアに敗れ、1次リーグ敗退が決まりました。
裏でギリシャがコートジボワールに1点差で勝っていたので、
日本もコロンビアに勝てば決勝トーナメント進出できる状況でしたが、
やはりコロンビアは格が違いましたね。
いつも早朝出勤のボクも、5時キックオフの今回は少しだけ観戦できましたが、
前半17分にPKで先制された時点で諦めが付き、テレビを消して出社しました。
終わってみれば1-4の大敗で、今回のW杯自体も2敗1分けの完敗。
内容も悪く、「お疲れ様でした」とも言い難い散々な結果だったと思います。
W杯前はマスコミに踊らされて、決勝トーナメント進出もあり得ると思っちゃいましたが、
終わってみれば絶対不可能だったとわかる結果で、日本サッカーの現実を見ました。
特にザッケローニ監督の采配が批判されていますが、今の日本の現状では、
決勝トーナメント進出なんて、誰が監督だろうとインポッシブルなミッションでした。

ということで、今日はインポッシブルなミッションを成功させた映画の感想です。
とはいえ、今となっては日本がコロンビアに勝つことに比べたら、
本作のミッションなんて容易いものだったような気すらします…。

超高速!参勤交代
参勤交代

2014年6月21日日本公開。
佐々木蔵之介主演の時代劇コメディ。

8代将軍・徳川吉宗の治世下、東北の小藩・湯長谷藩は幕府から突然、通常でも8日かかり、さらに莫大(ばくだい)な費用を要する参勤交代をわずか5日で行うよう命じられる。それは藩にある金山を狙う老中・松平信祝(陣内孝則)の謀略で、弱小貧乏藩には無茶苦茶な話だった。藩主・内藤政醇(佐々木蔵之介)は困惑しつつも、知恵を絞って参勤交代を完遂させようと作戦を練る。(シネマトゥデイより)



先週末の日曜日(公開日翌日)に本作を観ようと思っていたのですが、
当日満席になってしまったので、他の映画を観ることにして後日観ました。
いやはや、まさかこんなに人気がある作品だったとは予想しておらず、
前日予約を怠ってしまったのが失敗でした。
この様子だと本作が今年ナンバー1の松竹映画になるんじゃないかな?
(それでも公開15週目の『アナと雪の女王』に負け、初登場2位でしたが…。)

来週以降どうなるかはわかりませんが、初週末これほど大盛況だったのは、
題材がとてもキャッチーだったからでしょうね。
本作は「参勤交代」が題材ですが、これは小学校で習う誰でも知っているもので、
江戸時代を代表する、他に類を見ない一風変わった制度ですよね。
時代劇映画なんて客はほとんどジジババしかいないものですが、
本作は若者から、それこそ小学生まで見に来ていました。
こんな美味しいネタが映画になるのは必然のはずですが、
これまでに参勤交代を題材にした時代劇なんて観たことありません。
(大名行列の再現に金がかかりすぎるのかな?)
本作はとてもいいところに目を付けたと思われます。

それに「超高速!参勤交代」というタイトルも素晴らしいですね。
ゆっくり進むイメージのある参勤交代が超高速で進む話だなんて
興味を惹かれずにはいられません。
『柘榴坂の仇討』とかお堅い印象のタイトルの時代劇が多い中、
このB級間丸出しの、ちょっとふざけた遊び心を感じるタイトルで、
とても奇想天外で面白そうな喜劇だと思わされます。
でもいざ観てみると、意外にも真面目に作られた松竹らしい真っ当な時代劇で、
勧善懲悪でチャンバラまである王道の時代劇だったと思います。
もっとケラケラ笑えるコメディを期待していたボクとしては、
ちょっと物足りなさも感じましたが、この真面目さには好感も持てます。
中途半端にチョケる『清須会議』なんかよりも、よほど面白かったです。
以下、ネタバレ注意です。

享保20年。わずか1万5000石の弱小藩である磐城国湯長谷藩。
幕府の老中・松平信祝は、湯長谷藩の金山を奪うために藩を取り潰そうと、
通常なら8日間を要するところを、わずか4日間で参勤交代するようにと、
藩主・内藤政醇に無理難題を命じます。
金も時間もない中、内藤政醇は家老・相馬兼嗣の知恵を借り、
4日間での参勤交代を可能にする奇想天外な作戦を実行しますが、
老中もその作戦を阻止しようと刺客を放ってきて…、という物語です。
磐城国ということは現在の福島県ですが、関西人のボクからすると、
福島県なんてほぼ北関東だし、江戸のすぐ近くなイメージですが、
参勤交代で通常8日もかかる道のりになるんですね。
家老が60里(240km)だと言ってたけど、4日もあれば1日15里(60km)なので、
意外となんとかなりそうな気がしてしまいます。
どうせなら薩摩藩とは言わないまでも、もっと江戸から遠い藩の方が、
理不尽さや困難さが増して題材がより活きる気がするのですが、
やはり今のご時世、福島を舞台にすることに意図があるのかな。

距離的にはそれほど困難そうでもないものの、
湯長谷藩は弱小藩だし、しかも参勤交代から帰ったばかりとあって、
もう一度参勤交代ができるだけの蓄えはない状態で、金銭的困難さがあります。
先達ての参勤交代では382両かかったそうで、それがどれほどの価値かわからないけど、
幕府が藩の財力を削ぐための制度なので、かなり巨額なのでしょうね。
地方にわざと無駄使いさせるなんて、今となっては考えられない制度ですが、
そんな制度が何百年も続いていたなんて、改めて奇妙な状況だと思います。
でもたしかこの時代の将軍吉宗は倹約家で、諸藩にも倹約を命じていた気がするけど、
その時代でも参勤交代は続いていたというのも不思議な話です。

参勤交代の大名行列が通る街道にはいくつも宿場町がありますが、
役人が大名行列の通過を確認している宿場町があり、
湯長谷藩の通る行程には高萩宿と取手宿がチェックポイントなので、
そこだけを大名行列で通過すればいいので、少人数(8人)で出発して、
役人のいる宿場町だけ中間(人足)を雇って大名行列を作って通過し、
他の宿場町は無視して街道をショートカットするのが湯長谷藩の作戦です。
ショートカットには山中の道なき道を通るため、
山に詳しい葉隠れ流の抜け忍を雇うのですが、その雇い賃が10両…。
家老は計140両の経費を算出していたけど、抜け忍の雇い賃払いすぎでしょ。
金がないというわりにはまだ意外と余裕があるのかも?

命令の書状が届いた日の翌日に走って出発し、
二日目に高萩宿の手前まで到着した湯長谷藩一行ですが、
50人必要な中間が25人しか集まらず、このままでは大名行列が組めません。
そこで家老は一計を案じ、宿場役人の前を通過した者が、
再び列の最後尾に並ぶことで50人以上の大名行列に見せかけます。
なかなか面白いアイディアですが、たかだか30数人の行列では、
もとが短すぎて役人を誤魔化せる気がしませんが…。
それに高萩宿を出たところで、八幡帰りの水戸藩の大名行列と遭遇しますが、
水戸藩主もその短い湯長谷藩の行列を見たら不審に思うはずだけど…。
ただこの水戸藩主は相当アンポンタンなので気付かないのも無理ないかも。
なにしろ湯長谷藩の大名籠にサルが乗っていることにも気付かないくらいなので…。
なんでも湯長谷藩主・内藤政醇は閉所恐怖症なので、籠に乗れないんですよね。
それを誤魔化すために「やまびこの術」(腹話術)を使うのですが、
別に籠に乗ってないからと言って、水戸藩主からお咎めがあるとは思えないけど…。
そもそも政醇の代わりに籠にサルを入れておく必要があるのか…。

その後、大名行列を解散させ、抜け忍の案内で山をショートカットすることに。
なぜか籠のサルも連れて行くのですが、邪魔なだけのような…。
その一行を老中の刺客である伊賀の忍が尾行するのですが、
抜け忍がそれに気付き、「牛久宿までは手を出すな」と警告します。
抜け忍は牛久宿まで一行を案内して10両を受け取れば満足なので、
一行を始末するのはその後にしてほしいというので、伊賀の忍はそれを了承します。
その後、足を痛めた政醇だけ馬で一足先に牛久宿まで行くことになります。
残された藩士たちは先に10両を払ってしまい、抜け忍がトンズラしたため、
彼らは牛久宿に着く前に伊賀の忍の夜討ちに遭うのです。
しかし湯長谷藩は武芸百般の雄藩らしく、藩士たちはなかなか強いですが、
軽装にするために竹光を帯刀していたので、逃げるのがやっとでした。
逃げる途中で川に落ちて流され、政醇と落ち合うはずの牛久宿を通り越し、
先に第二チェックポイントの取手宿の手前まで来てしまいます。

一足先に牛久宿に到着し、旅籠に泊まった政醇はある女郎と知り合いになります。
本作では政醇とその女郎とのロマンスも描かれるのですが、
この展開は必要があったのかちょっと疑問かも…。
牛久宿にいる時は老中の息のかかった役人から彼女が政醇を助けてくれたので、
それなりに意味があったと思うけど、そのまま江戸まで同行させる必要はない気が…。
その後は足手まといにはなっても、何かの役に立ったわけでもないので。
結局政醇が彼女を好きだったからですが、それならなぜ抱かなかったのかと思うし、
大名と女郎のロマンスなんてちょっと現実味がなさすぎます。
最後には女郎を側室にするのですが、所詮は側室ですし…。
それに当時の女郎は誰も似たようなものでしょうが、
親に売られて幼くして手籠めにされる彼女の生い立ちが可哀想すぎて、
楽しいコメディとしては如何なものかと思いました。

女郎と共に牛久宿を発ち、藩士らと合流するため取手宿を目指す政醇ですが、
途中で伊賀の忍の襲撃を受けます。
驚いたことに政醇までも武芸百般を極め、かなり強いです。
しかも彼だけは普通の日本刀を帯刀していたので、
得意の抜刀術で伊賀の忍を次々と斬り倒します。
でも彼が日本刀を持っているなら、他の藩士も竹光の必要なかったのでは?
山中で馬を調達した時に、もう走る必要ないから日本刀も調達しただけかな?
刺客を次々と斬り殺すも、やはり足手まといな女郎が忍の統領の人質になってしまい、
彼女を助けるために政醇は観念します。
そんな彼らを救ったのが、なんとトンズラした葉隠れの抜け忍で、
抜け忍は心づけにと家宝をくれた政醇に情が湧き、戻ってきたのでした。
抜け忍は騙し討ちみたいな感じで、刺客を屠りますが、
なんとなく政醇の方が抜け忍より強い気がしました。

先に取手宿に着いた藩士たちですが、集めた中間たちに足元を見られ、
高い雇い賃を要求されますが、払うことができず、中間たちは帰ってしまいます。
そのため大名行列が作れず、家老が切腹を覚悟したところに、
内藤家の本家である磐城平藩の大名行列が通りかかります。
飢饉の折に湯長谷藩に助けられたことがある磐城平藩の藩主は、
大名行列が作れず困っている彼らに自分の大名行列を貸してあげるのです。
それにより、取手宿の役人のチェックも無事通過することができました。
情けは人の為ならずですね。
ただ、そんな簡単に他藩の大名行列を偽装できるものか疑問で、
籠などの家紋を変えて偽装するのですが、その費用も相当なものでは?
自分たちが用意した装束や籠は、中間が持って帰っちゃてたしね。

取手宿を通過し、磐城平藩とも別れますが、今度は前から仙台藩の大名行列が…。
大名行列は横切ってはいけないらしく、このままでは進めないと、藩士たちは悩みます。
うーん、これは何故なのか意味がわかりませんでした。
前を歩く大名行列を抜かしてはいけないというのはどこかで聞いたことがあるけど、
すれ違うことも出来ないなんて聞いたことがないし、不可能だと思います。
高萩宿の前では、普通に水戸藩の行列とすれ違ってたように思うのですが…。
そもそも湯長谷藩はたったの6人なので行列ではないし、
普通に脇によけて仙台藩の行列をやり過ごせばいいだけでは?
まぁ期限が迫っているため、やり過ごす暇もなかったということでしょうか。
家老は一計を案じ、藩士たちは飛脚になりすまして通過します。
飛脚と産婆は大名行列を横切ってもいいそうです。

藩士たちは江戸屋敷に到着しますが、まだ政醇は到着しておらず、
とりあえず江戸屋敷の藩士を動員して大名行列を作り、江戸城に向かいます。
間もなく政醇が女郎と抜け忍を連れて江戸に到着しますが、
老中の刺客である甲賀の忍の軍勢が彼らに襲い掛かります。
江戸の町中を舞台に、忍と藩士たちの斬り合いが始まりますが、
暗殺とは呼べないド派手な戦いで、たまたま大風が吹いていて
町人たちが出歩いてないからよかったものの、
下手すれば老中の謀略がバレバレになっちゃうところですよね。
さすがは武芸百般を極めた湯長谷藩、藩士がひとり斬られるも、
忍の軍勢を突破し、時間ギリギリに江戸城に到着します。
斬られた藩士は2~3太刀浴びていたので確実に死んだと思いましたが、
結局生きていたみたいで、さすがにそれはないだろうと思っちゃいました。

江戸城に着いた政醇は、老中の陰謀を暴き立て、失脚させます。
実は老中の陰謀には将軍・吉宗も気付いていましたが、あえて泳がせていたようです。
でも気骨のある湯長谷藩だから老中の陰謀に屈しなかったものの、
普通はこんな無茶な参勤交代は不可能だし、吉宗が老中を泳がせたことで、
下手をすれば藩をひとつ潰してしまうところでしたよね。
見事老中の陰謀を破り、一行は帰国のため江戸を発つのですが、
家老は片道分の費用しか考えてなかったようで、
また皆で走って帰ることになるというオチで、めでたしめでたしです。
でも帰りは別に大名行列で帰る必要もないし、期限も決まってないので、
ゆっくり普通に帰ればいいだけの気がします。
それなのに、なぜか帰りのシーンも大名行列で帰ってるんですよね。
たぶん江戸屋敷の藩士たちを動員して大名行列を作ったのでしょうが、
湯長谷藩から来た5人(斬られた藩士除く)で普通に帰ればいいだけじゃないかと…。

なかなか面白い作品でしたが、ちょっとツッコミどころが多すぎるかな。
まぁお気楽なコメディなので、あまりツッコミすぎるのも無粋かもしれません。

コメント

いつも読み応えのある記事を書いていらっしゃるので、更新を楽しみにしています。これまでは読むだけでしたが、初めてコメントさせていただきます。

240kmを4日なんてとても無理だと思っていましたが、調べてみると、多くの大名が経費節減のために、宿場町などを通過する時以外は相当な速度で移動したらしいですね。一般の旅人が移動するよりもトータルでは早かったようです。記録では前田藩が480kmを7日で移動したこともあるそうで、それからすると、妨害さえなければ4日で240kmはそれほど無理ではないことになりますね。

お咲を江戸まで連れて行ったのは、あのまま宿に残していくと彼女が厳しい咎を受け、下手したら命がないかも知れないと思ったからではないでしょうか。自分を救ってくれたお咲に対する政醇流の思いやりで、彼女を好きになったというのは表向きの理由だと思います。

大名行列とのすれちがいについては、ご指摘の通り、かなり変ですね。産婆と早飛脚はお咎めなし、というのは列を横切る話で、行列が行き過ぎるまで道の向こう側に行かれないと困るからそういうルールにしていたわけです。すれ違うなら列をよけて道端をすれ違えば問題なかったはずです。天下の仙台藩に失礼がないよう、気を遣いながらゆっくりすれ違っていると時間がないから……と解釈すればいいでしょうか……

内藤政樹が行列を貸してくれたのは感動するシーンですが、偽装のための道具も中間に取られてしまった今、紋付の布を簡単に用意できるわけもなく、結局無理だったように思います。なにかの理由で湯長谷藩の紋付の布を大量に持っていたとかの理由づけがほしかったところですね。

まあ、でも面白かったことには間違いないですが。

Re: CHARADEさん

コメントありがとうございます。

7日間で480kmですか。
本作のように少人数ではなく大名行列で成し遂げたのならスゴイです。
まさに超高速ですが、街道を疾走する大名行列なんて見ものでしょうね。
よほど藩の財政が厳しかったんだろうなぁ。

女郎の件ですが、言われてみて納得しました。
政醇は別に彼女を愛していたわけではなく、
水商売から抜けさせるために側室にしたわけですね。
あと、後から気付いたのですが、政醇は彼女といる時は閉所恐怖症が治るので、
ゴールした時に籠から現れるためには彼女を同伴する必要があったのかも。

大名行列とすれ違えない件と磐城平藩から大名行列を借りた件は、
やはり無理があると思った人も多かったのかな。
かなり好意的に解釈すれば、湯長谷藩は磐城平藩の支藩で親戚だから、
たまたま磐城平藩が湯長谷藩の紋付の布を持っていたとか…。
…いや、やっぱりそれも無理がありますね。
すれ違いの方は全く好意的な解釈も思いつきませんが、
むしろ後を追ってきた政醇たちが仙台藩の行列をどう避けたのか気になります。
まさか女連れで飛脚に化けるわけにはいきませんしね。

ただ本作に関してはツッコミどころが多すぎて、
その程度の矛盾は些末なものだと思えます。
そう思わせるのも含めて、出来のいい作品だったのかもしれません。

  • 2014/07/02(水) 18:32:45 |
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題名超高速! 参勤交代 原作土橋章宏 監督本木克英 出演■湯長谷(ゆながや)藩/佐々木蔵之介(内藤政醇、藩主)、西村雅彦(相馬兼嗣、家老)、寺脇康文(荒木源八郎、腕利き)、上地雄輔(秋山平吾、冷静沈着)、柄本時生(増田弘忠、二刀流)、六角精児(今村清右衛門

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