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ノア 約束の舟

ついにFIFAワールドカップ、ブラジル大会が始まりましたね。
日本の初戦であるコートジボワール戦は、明後日の朝10時かららしいですが、
日曜日なので世間的には絶好の試合時間と言えそうですが、
ボクはその時間仕事しているので、観れそうにもありません。
そのせいか、あまり盛り上がりも感じません。
むしろ試合の結果よりも、暴動など治安が悪いブラジルで、
大会中に何か大変なことが起きないかと期待…、
…じゃなくて懸念していて、そのことの方が気になります。

ということで、今日はブラジルで単発映画史上最高の興収だった映画の感想です。

ノア 約束の舟
Noah.jpg

2014年6月13日日本公開。
ラッセル・クロウを主演の叙事詩的映画。

夢の中で世界滅亡を意味するかのような光景を目にしたノア(ラッセル・クロウ)。それが神からのお告げであり、全世界を飲み込むほどの大洪水がやって来ると悟った彼は、その日から家族と共に一心不乱になって巨大な箱舟を造る。さらに、生命を絶やさぬようにと、この世の全ての種類の動物を次々と箱舟に乗せていく。だが、ノア一家の前に不安に駆られて箱舟を奪おうとする者たちが立ちはだかる。(シネマトゥデイより)



旧約聖書の創世記に記された「ノアの箱舟」の物語を実写化した本作。
宗教的な題材の映画はなかなか作りにくいように思いますが、
本作は全米初登場一位の大ヒットとなり、その初週末興行成績は、
大御所ダーレン・アロノフスキー監督にとって史上最高のスタートだったとか。
意外(?)にもキリスト教徒やユダヤ教徒は本作に好意的だったみたいで、
ロシア、ブラジル、韓国などキリスト教国でも記録的大ヒットになったそうです。
逆にイスラム教国では軒並み公開が中止されたそうですが、内容的な問題ではなく、
イスラム教では預言者を描くことが禁止されているからのようです。
なぜか中国本土でも宗教的な内容が懸念され公開禁止になったみたいです。
やはり宗教絡みの映画の海外展開は難しいですね。

宗教に寛容な我が日本では、全く問題なく公開されました。
しかし本作を観る日本人に知っておいてほしいのは、アロノフスキー監督は、
東日本大震災での津波による原発事故の放射能を恐れて、
日本ロケをしたくないため、メガホンを取るはずだった
『ウルヴァリン:SAMURAI』を降板した人物だということです。
そんな彼が大洪水を描くディザスター映画を撮る権利があるでしょうか。
津波に襲われた日本も、天罰が下ったくらいに思ってるんじゃないかな。
ちなみに『ウルヴァリン:SAMURAI』の初週末の興行成績は本作を軽く超えてます。
もし監督していれば、本作が自身最高成績ではなかったでしょうね。

そんなわけで、ボクはアノロフスキー監督に対して不信感があるのですが、
全米1位の作品を見逃すわけにはいかず、とりあえず観てきました。
なるべく監督に対する気持ちは棚上げして観たつもりですが、
それでもあまり面白かったとは言い難いかな。
それはやはり本作が旧約聖書を題材にした宗教的な映画だからで、
宗教に関心がない(というか、宗教全般嫌いな)ボクにとっては、
内容があまり納得できるものではなかったからです。
宗教を意識せずに観ると、本作はファンタジー風味のディザスター映画ですが、
同じ古代を描いたディザスター映画なら、まだ『ポンペイ』の方が面白いかも。
とにかく本作は内容が荒唐無稽でメチャクチャすぎで、これを納得できるのは、
旧約聖書通りでこういうものだと思えるキリスト教徒やユダヤ教徒だけです。
普通にディザスター映画やファンタジー映画として観たら、失笑ものの展開の連続です。
以下、ネタバレ注意です。

アダムとイヴの三男セトの末裔レメクは、幼い息子ノアと2人でいるところを、
アダムとイヴの長男カインの末裔で人間の王であるトバルカインに殺されるが、
なんとかノアは逃げ、難を逃れます。
時は経ち、ノアは妻ナームとの間に長男セム、次男ハム、三男ヤフェトを儲け、
他人と関わらないようにひっそりと生活しています。
ある日、無から花が咲くところを見たノアは、その夜、
悔い改めない人間を滅ぼすための大洪水が近々起きる夢を見ます。
それが神の啓示だと思った彼は祖父メトシェラに相談しようと、
家族と共に祖父を捜す旅に出るのです。
ノアがもう初老のオッサンなのに、その祖父なんて生きてるのかよと思いましたが、
そんなことを思ってしまうのもボクが宗教に関心がないからで、
聖書によれば彼らは普通に何百年も生きるらしいですね。

その旅の途中、腹部に刺し傷のある女の子イラを発見に連れて行くことに。
その直後、ウォッチャーと呼ばれる堕天使と遭遇し、捕まって大穴に閉じ込められます。
堕天使のモデルは聖書のネフィリムだと思われますが、エデンの園の番人の彼らは、
もともと光の天使でしたが、エデンを追放された人間を助けたことで、
堕天して岩のゴーレムのような姿になってしまったそうです。
なんだか『ロード・オブ・ザ・リング』に登場するクリーチャーのような外見で、
なかなかよかったですが、もう少しリアルな話になると予想していたので、
こんなクリーチャーが登場してファンタジー映画丸出しになったのは意外でした。
大穴に閉じ込められた一家ですが、ノアがメトシェラの孫だと知った
ウォッチャーのひとりオーグによって助けられ、メトシェラの所に案内されます。
どうやらウォッチャーはトバルカインの率いる人間たちに迫害されているようで、
唯一ウォッチャーに味方してくれた人間がメトシェラらしいです。
ウォッチャーが助けたエデンから追放された者の子孫がトバルカインら人間なのに、
なぜ恩のあるはずの人間から迫害を受けているのかよくわかりませんが…。
それにオーグ以外のウォッチャーが、ノアがメトシェラの子孫と知った時に、
助けるどころか「すぐに殺すべきだった」と言うのも、よく理解できません。
旧約聖書に詳しい人なら理解できるんでしょうか?

祖父メトシェラに相談したノアは、大洪水の前に箱舟を建造しようと思いつきます。
そこに汚れない動物たちを乗せて、大洪水を乗り切り、
汚れた人間のいない新しい世界を作るのが自分の使命だと考えるのです。
ノアはメトシェラにもらったエデンの園の種を植え、巨大な森ができ、
そこの木を切り出して箱舟の建造を始めるのです。
それが神の意思だと考えたウォッチャーたちも箱舟建造に協力します。
普通は「ノアの方舟」なのに、なぜ字幕で「箱舟」と表記するのかと思ったら、
本当に直方体の箱みたいな舟なんですね。
もはや舟というか木箱ですが、造船知識がないノアが作る舟だからこんなものか。
でも動物をできるだけ沢山乗せるので、かなり巨大で、一朝一夕には出来ず、
それから10年ほど時が経過します。

10年も経てば息子たちもお年頃になり、長男セムはイラと交際しますが、
次男ハムにはお相手がおらず、イチャつく兄を見て悶々とします。
一家は他人と関わらないので、出会いがないのは仕方ないですが、
ハムが可哀想で、セムとイラももう少し気を遣えよと思いますね。
でもイラは幼い時に受けた腹部の刺し傷のせいで、
子供が産めない体になったことを気に病んでいます。
ちなみに三男ヤフェトはまだ10歳くらいで、恋愛はまだ早いようです。
完成間近の箱舟に、まず鳥たちが集まってきて、早々と乗り込みます。
一種類につき、一組のつがいだけ乗り込めるのですが、
つがいなら繁殖できるからなのはわかるけど、他を見殺しなんて酷いよね。
汚れた人間を滅ぼすための大洪水なのに、汚れない動物も殺しすぎでしょ。
その後、爬虫類や哺乳類も乗り込みますが、やはり一種類一組だけ。
原作通りですが、こんな不条理を納得できるのは、旧約聖書の信者だけです。
一方、自分はまだつがいになれてない次男ハムは焦り、
繁殖能力のないイラも、長男セムの相手は自分でいいのか悩みます。

そんな折、トバルカインが大勢の人間を引き連れて箱舟を訪れますが、
ノアは彼らの乗船を拒否するのです。
ここも大いに疑問で、他の動物たちは乗せるのに、
動物たちと同じようにやってきた人間を拒否するのか…。
それはノア自身が乗せるものを選別していることになり、
彼が使命だと考える神の意思に反するのではないかとも思うんですよね。
トバルカインはノアの父を殺した張本人なので、私怨で乗せないならわかるが、
人間の中には女子供など、普通の民衆もいっぱいいます。
彼ら人間のどこが汚れているのか本作では描かれていないので、
そもそも神が人間を滅ぼすほどの理由がよくわかりません。
強いて言えば、人間が狩りで他の動物を捕食しているのが罪のように描かれますが、
食べるために殺しているのであり、別に無暗に殺しているわけではないし、
それならば肉食動物は全て汚れていることになるのに…。
むしろ序盤で狩りをしていた人間を無暗に殺したノアの方が罪深いが、
セトの子孫ってだけで神から依怙贔屓されている印象で感じ悪いです。

乗船を拒まれたトバルカインは、箱舟の近くに野営し、
鍛冶で武器を作り、箱舟を乗っ取るための軍隊を組織するのです。
トバルカインは「鍛冶の祖」らしいのでその設定を活かしたのでしょうが、
普通に考えたら、彼らが作るべきは舟ですよね。
自分が生き残ればいいので、ノアのように大きな舟は必要ないんだし、
人間が誰ひとり舟を作らなかったのはおかしいと思います。
原作ではたしか人間はノアの大洪水の話を信じなかったはずなので、
それならば舟を作らない理由もわかるのですが…。
それになぜかトバルカインの軍勢は、大洪水の前兆の雨が降り始める
ギリギリの時まで箱舟には攻め込まないのです。
雨が降れば有利に戦えるわけでもないのに不思議ですが、
なぜかノアも雨が降るまで攻め込まれないと確信しているみたいで…。

箱舟が完成しても相手が見つからないことを焦った次男ハムは、
出会いを求めてトバルカインの野営地に忍び込み、
死体置き場で孤児の女の子ナエルと出会い、仲良くなります。
そんな折、雨が降り出したため、ノアは出航の準備をはじめ、
長男セムに、ハムを呼んでくるように言います。
その頃、セムの嫁イラは、森でノアの祖父メトシェラと出会います。
メトシェラがイラの腹部の傷をなでると、なぜか彼女は妊娠できるようになるのです。
うーん、メトシェラって本当に人間なんですかね?
長生きしすぎなのもそうですが、人間に襲われるウォッチャーを助けた時も
ファイヤーウェーブ的な魔法奥義を使ってたし、なぜそんな能力が
子や孫のノアには全く遺伝していないのか不思議ですね。
メトシェラがイラを魔法で治したのはノアの妻ナームに頼まれたからですが、
なんだかこの展開だと、子供を産めない女性は価値がないような印象を受けます。
キリスト教的な考え方だとは思いますが、時代錯誤です。

妊娠できるようになり盛りのついたイラは、ハムを捜していたセムを見つけるや、
セックスしはじめるのですが、そのせいでハムのことは放置され…。
セムがハムを呼んでこないので、仕方なく自分で捜しに出たイラですが、
ハムは恋人ナエルを連れて箱舟に向かっている最中に、彼女がトラバサミにかかり、
そこを発見したノアは、ナエルを放置し、ハムだけ箱舟に連れて帰るのです。
ナエルは箱舟に詰め寄せるトバルカインの軍勢に踏み潰されて死に、
せっかく見つけた恋人を見殺しにされたハムは、父ノアを恨むように…。
でもこの恨みは筋違いで、恨むならカニバサミを仕掛けたトバルカイン軍ですよね。
というか、ここにカニバサミを仕掛ける意味がわからないです。

箱舟に押し寄せるトバルカイン軍にウォッチャーたちが応戦します。
岩で覆われたゴーレムなので強いですが、多勢に無勢で徐々に押され、
人間に倒されると自爆して昇天してしまうみたいだけど、
昇天すると光の天使に戻って、神の元に召されるんですよね。
堕天して岩のゴーレムになってしまったウォッチャーとしては、
人間に倒されて昇天する方が本望なんじゃないかって気が…。
しかもオーグは自殺して昇天しますが、自力でも光の天使に戻れたのかと…。

ウォッチャーが全滅して、軍勢が一気に箱舟に迫りますが、
その時ついに大洪水が発生して、軍勢を洗い流します。
ノア一家は箱舟に入り、大洪水から逃れますが、
箱舟の外壁にはトバルカインが貼り付いていて、
なんと次男ハムは、彼をこっそり乗船させ、匿うのです。
うーん、どうせ匿うなら洪水で溺れそうな女の子でも助けて匿えばいいのに、
こんなオッサンを匿っても、性欲は満たされないだろうに…。
一方、イラは妊娠が発覚しますが、あの時のセックスで出来た子だろうけど、
ちょっと妊娠の兆候が見えるのが早すぎませんか?
そのまま臨月まで箱舟での生活になるのですが、
そう考えるとトバルカインも10か月ちかくもハムに匿われてたってこと?
さすがに家族にバレないのは無理があると思うけど…。

長男の嫁イラの妊娠を知り、ノアは孫ができると喜ぶどころかブチ切れします。
彼は洪水後の新しい世界には自分の子孫も含めて人間は一切いらないと考えており、
一家最年少の三男ヤフェトを最後に、人間はひとりも残らない予定でした。
彼にとって生殖能力のないイラが長男の嫁なのは好都合だったのです。
次男ハムの恋人ナエルを見殺しにしたのも、その意図があってのことなんですね。
ノアは男の子が生まれた場合は、その子が最後の人間になるだけなので問題ないが、
更に子を生むかもしれない女の子の場合は、生まれた途端に殺すと宣言します。
うーん、別にイラの子が更に子を生まなくても、イラだってまだまだ出産できるから、
自分の目標を成就させるなら、イラも殺すべきだと思うけど…。

結局、イラは双子を出産しますが、女の子の双子だったので、
娘たちを父ノアに殺されると考えた長男セムは、阻止しようと父に襲い掛かります。
ちょうどその時、トバルカインも次男ハムの協力を得てノアを襲撃し、
せっかくセムがノアと戦ってるのに、なぜかトバルカインはセムをブッ飛ばし、
結果的にノアを助けることになりました。
その後、トバルカインは裏切ったハムにより刺殺され、ノアは窮地を脱し、
生まれたばかりの双子の孫娘をぶっ殺しにイラの元に急ぎます。
ところが孫の顔を見たノアは、やはり情が湧き、彼女たちを殺すことができず…。
神の使命を果たせなかった彼は嘆きますが、イラはそんな彼に、
「これは神があなたに与えた選択で、慈悲を選んだあなたは正しい」と言うのです。
ノアもそれに納得し、新しい世界で(去ったハム以外の)家族7人で幸せに暮らします。

この選択でノアが双子を殺さないという慈悲を選んだため、
人間は新しい世界での生存を許されたということでしょう。
神がエデンの園でイヴに蛇を使わせたのも、彼女に選択を迫るためですが、
それと似たようなことをノアにもしたということになるのだけど、
そもそも神がなぜそんな意地悪な選択を迫る必要があるのか疑問です。
イヴが選択を間違えた結果、人間が汚れて、大洪水で全滅させたわけですが、
そもそもの原因は神が意地悪な選択をイヴに迫ったことですよね。
まぁ本作に関して言えば、神はノアに直接何かを指示したわけでもないので、
神が新しい世界を望んでるとか、箱舟を作るのが使命だとかは、
夢から連想したノアの勝手な妄想とも言えるかもしれません。
ウォッチャーのような超常的な存在さえ登場しなければ、
ただの思い込みの激しい狂信的なオッサンの物語です。

神は全て正しいと思わないと納得できない物語なので、
そういう価値観を持ってない人には楽しみにくい作品かもしれません。
ウォッチャーなんて絵的には面白いけど、あまりに現実離れした存在だし、
実写映画化するのであれば、もう少し現実味のある内容に脚色をしてもいいのに。
でも聖書を脚色なんかしたら、信者から「とんでもない」と怒られるのかな?
映像やキャストはすごくいいだけに勿体ないです。

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