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ポンペイ

今週末は観たい映画が多すぎて困ります。
昨日の『グランド・ブダペスト・ホテル』も含めて、7本程度あるけど、
時間的な問題で観に行けるのはせいぜい5本です。
困るのは7本とも期待値に大差がないため、取捨選択が難しいです。
とりあえず『女子ーズ』は未知数すぎるので諦めようと決めましたが、
やはり悩むと安定感のあるハリウッド映画を選んじゃいますね。

ということで、今日はハリウッド大作の感想です。
ハリウッド大作は予算も高いので、邦画よりもお得感もあります。

ポンペイ
Pompeii.jpg

2014年6月7日日本公開。
ポール・W・S・アンダーソン監督による歴史アクション大作。

西暦79年の古代都市ポンペイ。奴隷戦士マイロ(キット・ハリントン)は、富裕層の商人の令嬢カッシア(エミリー・ブラウニング)と恋仲になるが、彼女にはすでに婚約者がいた。身分違いの恋に悩んだ彼は、自由を得るために街を去ろうとする。ちょうどその時ベズビオ火山が噴火を始め、マイロは愛する女性を救うために街に舞い戻る。(シネマトゥデイより)



昨日はウェス・アンダーソン監督の『グランド・ブダペスト・ホテル』を観ましたが、
批評家の評価はメチャメチャ高いのに全く面白くない退屈な映画で参りました。
そして今日もアンダーソン監督の映画を観に行きました。
といっても、今回はポール・W・S・アンダーソン監督です。
こちらは批評家の評価はかなり低い作品で、
某批評サイトでは『グランド・ブダペスト・ホテル』の1/3程度の支持率ですが、
断然こちらの作品の方が面白いと思いました。
ホントに批評家の評価って浮世離れしてて何の参考にもなりません。
そんな役立たずな評価しかできないなら批評家やめちまえって感じです。

その低すぎる評価が影響したのかどうかはわかりませんが、
本作は全米初登場3位と、超大作のわりには低調な成績に終わり、
1億ドルの製作費に対して全米の最終興収は2300万ドル程度に留まり…。
なんとか世界興収で製作費は回収できそうですが、
お世辞にも成功した作品だとは言えません。
今日が日本公開初日でしたが、客入りもイマイチに思えたので、
日本でのヒットも難しいかもしれませんね。
監督は日本で大人気の『バイオ・ハザード』シリーズの監督だし、
『テルマエ・ロマエII』が大ヒットしたばかりなので、
本作の舞台である古代ローマにも関心が高まってるかと思ったのですが、
やはりキャストが弱いのが集客できない原因かもしれません。
主演俳優なんて初めて観た気がする若手俳優だし、
ヒロインも同様に全く知らない女優(しかもあまり美人でもない)で、
日本でも有名な出演者といえば『24』のキーファー・サザーランドくらいです。
これではキャスト重視の日本でヒットするのは難しいですが、
内容としては火山大国である日本向きのディザスター映画だと思います。
逆に災害に身近すぎて、本作の災害描写に違和感を覚えるかもしれないけど…。

かくいうボクも、本作にはあまり期待していませんでした。
アンダーソン監督の作品なので、とりあえず観てみようとは思ってましたが、
たぶん面白くないのではないかと…。
それは本作が歴史上の事実を元にしたディザスター映画だからです。
簡単に言えば、本作の結末はすでに歴史に語られてしまっているのです。
本作は西暦79年のベスビオ火山噴火が題材になっていますが、
それにより当時の都市ポンペイが全滅したのは誰でも知ってる事実です。
現在を舞台にしたディザスター映画なら、災害を切り抜けられるかもと思えるが、
本作の場合は、ポンペイが全滅するのは初めからわかり切っているので、
いまいち展開に関心が湧きにくいんですよね。
この感じは『タイタニック』を観ていた時に近いかもしれません。
「どうせ最後は沈没するんだから、主人公の恋愛なんてどうでもいい」みたいな…。
本作も中盤超えたあたりでベスビオ火山が噴火するまでは、
主人公の恋愛や友情、復讐などが描かれるのですが、
そんなものベスビオ火山噴火に比べたら大事の前の小事で、
「どうせ最後は敵味方全て死んじゃうんでしょ」と思えてしまうので、
いまいち気持ちが乗らないんですよね。
(本作の恋愛も『タイタニック』同様、身分差恋愛ですね。)

でも鑑賞するうちに、そこは少しずつ割り切れるようになりました。
序盤は本当に気持ちが乗らず、「早く噴火しねぇかな?」と退屈でしたが、
脚本の盛り上げ方が上手いのか、徐々に物語に引き込まれます。
噴火目前の中盤当たりでは、噴火のことはひとまず忘れて、
剣闘士である主人公マイロの大活躍にワクワクしました。
むしろ噴火が始まって否応なく話の流れが変わって、
マイロの剣闘士としての活躍を描いたヒロイックアクションから、
単なるディザスター映画になってしまったのが残念に思えたくらいです。
以下、ネタバレ注意です。

西暦62年、北ブリタニア、ケルト騎馬民族が反乱を起こしますが、
残酷な男コルヴス率いるローマ人たちによって鎮圧され、ケルト人は皆殺しに。
しかしケルト人の少年マイロだけは、死んだふりをして生き残りますが、
その後、奴隷商人に捕まり、奴隷になってしまいます。
17年後、ブリタニア州都で、剣闘士として見世物の殺し合いを強いられるマイロ。
そんな彼の強さが評判となり、こんな片田舎で剣闘士をさせるのは勿体ないと、
ポンペイの闘技場に連れて行かれ、そこで試合をすることになります。
初戦の相手は黒人王者アティカスに決まります。
剣闘士たちは闘技場の地下で奴隷として寝食を共にしていますが、
よくそんな相手と殺し合いなんて出来るものだと思いますが、
何戦か勝利して生き残れば、ローマ法によって奴隷から解放されるみたいで、
そのためなら本気で殺し合いもできるかな。

興味深かったのは、剣闘士は闘技場で戦うだけじゃなくて、
夜は盛り場に連れて行かれ、御婦人相手に売春もさせられていることです。
せっかくの鍛え抜かれた肉体を、戦いだけに使うのは勿体ないですもんね。
でももし夜の指名ナンバーワンの剣闘士が闘技会で死んじゃったりしたら、
それこそ勿体ないですよね。
そこでマイロは、ポンペイ領主の娘カッシアに指名されます。
ただ彼女は夜の相手が目的ではなく、荒れる馬を彼に宥めてほしいのです。
馬は動物の勘でベスビオ火山の噴火の兆候に気付き、暴れています。
騎馬民族出身のマイロは、難なく馬を宥めるのですが、
そんな彼をカッシアは自由にしてあげたいと考え、二人で馬に跨り逃亡。
しかしカッシアが咎められると心配したマイロは、すぐに投降します。

マイロはローマから来た元老院議員から首を撥ねられかけますが、
カッシアの懇願により、減刑され鞭打ちの刑に処されます。
この元老院議員こそが、17年前ケルト騎馬民族を皆殺しにしたコルヴスで、
鞭打ちに減刑したものの、本当は殺す気満々で、
明日の闘技会でマイロを殺せと剣闘士の所有者である興行主に命令します。
その命令で対戦予定が変更され、マイロは王者アティカスと戦わないことに。
アティカスとはローマ人に家族を殺された者同士、友情が芽生えていたので、
マイロにとってもラッキーな変更だったかもしれませんが、
その代わりに組まれた対戦が、非常に過酷なもので…。

コルヴスを称えるための演目として、17年前のケルト騎馬民族討伐を模した、
マイロ、アティカスを含む剣闘士6人をその他大勢の剣闘士と戦わせる、
6対多の虐殺のような殺し合いに出場させられるのです。
これは絶体絶命ですが、マイロとアティカスが組んだらマジで最強で、
迫りくる大勢の剣闘士をバッサバッサと斬り殺します。
騎馬民族らしいマイロの馬を使った作戦なんて、かなり面白くて、
この闘技会のシーンはめちゃめちゃ盛り上がりました。
17年前とは逆に、仮想反乱軍の大勝利で終わり、痛快でした。
それを観戦していたコルヴスもすごく悔しそうでいい気味ですが、
これなら対戦予定を変更せずにマイロとアティカスを戦わせた方が、
マイロを殺せる確率は断然高かったような気がしました。
ボクの見立てではアティカスの方が少し実力上位な気がしたので。

そんな試合結果にコルヴスが黙って引き下がるはずもなく、
「ポンペイ王者とローマ王者の試合をしよう」と提案し、
ローマ王者マーカスとマイロに一騎打ちをさせるのです。
それならポンペイ代表はマイロじゃなくてアティカスだと思うんだけど…。
マーカスは奴隷ではなく、コルヴスの腹心の騎士ですが、めちゃめちゃ強いです。
あっという間にマイロの剣と盾を斬り折ってしまうほどです。
剣が折れたマイロに、マーカスは「まともな剣をやれ」と部下に命じますが、
強いだけじゃなくて騎士道精神も持った男だと感心したのですが、
渡された剣はナマクラで、やはり正々堂々と戦う気はないのですね。
でも丸腰よりはマシだし、マーカスも盾を捨ててくれたので、いい勝負になり、
また盛り上がってきます、…が、ここでついにベスビオ火山が噴火し、
闘技場も試合どころではないカオスな状況になってしまいます。

ここからは一気にディザスター映画に変わってしまいます。
港から船で脱出しようと逃げ惑うポンペイ市民を、
噴火による地震や降り注ぐ火山岩が容赦なく襲います。
ポンペイの街並みもボロボロに破壊されてしまいます。
特に予想外だったのは、津波にまで襲われたことです。
火山活動が原因で津波が起きるなんて知りませんでしたが、
ベスビオ火山の噴火から逃げて港に向かえば、港からは津波が押し寄せるという、
ポンペイ市民にしてみれば前門の虎後門の狼状態で絶体絶命です。

…でも、実際のベスビオ火山の噴火はこんなものではなかったはず。
なにしろ火砕サージに飲み込まれて、都市全体が生き埋めとなり、
後に発掘された時に街がとても綺麗な状態で残っていたそうなので、
本来は市民が逃げ惑う暇もなく、ほんの一瞬で生き埋めになったはずです。
たぶん津波もなかったんじゃないかな?
なんでも監督は、このベスビオ火山の噴火の描写のために、
日本の火山やエトナ火山をモデルにしているらしいので、
単に噴火の描写というだけならリアルなのかもしれませんが、
79年のベスビオ火山の噴火を再現したものとは言い難いかな。
津波にしても、エトナ火山噴火が原因とされるノアの洪水からイメージしたのでしょう。

そんなカオスな状況の中から、マイロはカッシアを救出し、
2人で逃げますが、馬を取りに寄った闘技場で、コルヴスと遭遇します。
コルヴスはカッシアを浚い、戦車(チャリオット)で逃走し、マイロが馬で追いかけます。
火山岩が降り注ぐ中でのチェイスは迫力がありますが、
こんな荒れた街中で幅のある戦車が走れるのはちょっとおかしいですよね。
普通なら火山岩や瓦礫が邪魔したり、道の破損でまともに通れないはずです。
…と思っていたら、やっぱり戦車は瓦礫に車輪を取られて横転します。
そこに追いついたマイロとコルヴスの一騎打ちがはじまるのですが、
正直こんな状況下で、戦ってる場合じゃないだろと思ってしまいました。
しかもマイロは凄腕剣闘士のくせに、政治家のコルヴスといい勝負で…。
結局カッシアの手まで借りて、コルヴスをその辺の瓦礫に手錠で縛り付け、
そのまま放置して2人で馬で逃げるのです。
その直後、コルヴスは火砕サージに飲み込まれて死にますが、
17年来の復讐にしては、ちょっと物足りない結末だったかもね。
火砕サージで死ぬなら、マイロも同様だし、もっと悪役らしい死に方じゃないとね。

…そうです、やはり主人公マイロも死ぬのです。
馬に二人乗りして、迫りくる火砕サージから必死に逃げるマイロとカッシアですが、
降ってくる火山岩を避けて落馬してしまいます。
マイロは「二人乗りだと遅い」とカッシアだけ馬で逃げるように提案するのです。
『タイタニック』と共通点が多い作品だっただけに、主人公が身を犠牲にして、
ヒロインだけが生き残るような展開になるのかなと思いきや、
カッシアはマイロと運命を共にすることを決め、馬だけを逃がします。
そして最初で最後のキスをしながら、2人は火砕サージに飲み込まれるのです。

つまり主人公もヒロインも死んじゃうという結末でしたが、
こんな結末のディザスター映画はなかなか珍しいと思います。
とはいえ、ベスビオ火山の噴火が題材ならば、史実通り全滅するのは当然の結果で、
珍しい展開なのに予想通りという、なんだか変な感じの結末ですね。
史実通りと言っても、そんな厳密な記録が残っているわけでもないので、
生き残りがいたというハッピーエンドな結末でも構わないとも思えますが、
火砕サージを馬ごときで振り切れるはずありませんからね。
なんでも監督は会社の要望で2パターンの結末を撮っていたようで、
別パターンの方は2人が助かるハッピーエンドだったのだろうと思われますが、
結局、監督の意向通りの本作のパターンを採用したみたいです。

主人公もヒロインも死んじゃうなんて、普通ならバッドエンドですが、
それほど後味の悪い印象を受けなかったのは、
キスする2人の姿が、永久に残ることになったからでしょう。
ポンペイでは人々が一瞬で生き埋めになったために、
火山灰の中で死体だけが腐食して空洞となり、千何百年も後に考古学者が
その空洞部分に石膏を流し込み、死んだときの状況のままの死体を
石膏で復元するということが行われたのは有名な話ですよね。
マイロとカッシアもキスした状態のまま火山灰に埋もれてしまったので、
そのままの形で石膏で復元され、その石膏像がラストシーンになっています。
つまり2人は死んだものの、その愛の形は永久に残っているという印象で、
なんだかちょっと感動的ないい話になっています。
とはいえ、他の原型を留める死体は全て倒れている状態なので、
直立した状態でキスしている姿がそのまま残るはずはなく、
その無茶苦茶なオチには、感動よりも滑稽さを感じて笑っちゃいました。
重なり合うように倒れている2人くらいにしておくべきでしたね。

でも全体的には期待以上の出来だったので満足です。

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