ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

MAMA

ボクは阪神間に住む兵庫県民ですが、とにかく映画館にだけは恵まれていて、
自宅から電車で30分程度、片道400円未満で行けるシネコンが10件以上あります。
東宝系4件(梅田、なんば、伊丹、西宮OS)、松竹系2件(あまがさき、神戸国際松竹)、
東映系(梅田ブルク7)、東急系(HAT神戸)、オーエス系(ミント神戸)が各1件、
あと松竹ら共同の大阪ステーションシティシネマズやなんばパークスシネマなどなど。
さらに少し足を延ばせばイオン系2件(茨木、大日)にも行けますし、
テアトル系3件やシネマートなどミニシアターもけっこうあり、
この環境で映画ファンにならないのはおかしいと思うほど恵まれています。

でも、これだけ各系列の映画館があるのに、ユナイテッド・シネマがないのが残念。
近年ユナイテッド・シネマは『ガラスの仮面ですが』や『ファイティング・タイガー』など、
独占上映をはじめているようですが、観に行くことができないのが悲しいです。
いや、関西にもあるにはあるのですが、場所が岸和田なんですよね…。
岸和田なんて兵庫県民にしてみたら、ほぼ和歌山みたいなものです。
電車で1時間以上、片道1000円程度かかるので、もう小旅行ですよ。
系列問わず、どこのシネコンでも同じ作品ばかり上映する中で、
独占上映で個性を出すことはいいことだと思いますが、
やはり観に行けないのは辛いので、ぜひ阪神間にも出店してほしいです。

ということで、今日はユナイテッド・シネマで上映された映画の感想です。
ボクは観に行けなかったので、DVDのリリースを待つことになりました。

MAMA
Mama.jpg

2014年5月17日日本公開。
ギレルモ・デル・トロ監督の製作総指揮のホラー。

投資仲介会社を営むジェフリー(ニコライ・コスター=ワルドー)は精神的な病が原因で、共同経営者と妻を殺してしまう。その後幼い娘たちを連れて逃走し、森をさまよう中見つけた小屋で娘たちを手に掛けようとするが、えたいの知れない何者かによって彼自身が殺されてしまう。それから5年後、奇跡的に生きながらえた姉妹はジェフリーの弟ルーカス(ニコライ・コスター=ワルドー)に発見され、彼と恋人アナベル(ジェシカ・チャステイン)のもとへ引き取られるが……。(シネマトゥデイより)



本作はアルゼンチンの同名短編映画を、
ギレルモ・デル・トロの製作総指揮で長編化した西加合作映画で、
昨年全米で公開され初登場1位を奪取した大ヒットホラー映画です。
前述のように、日本ではユナイテッド・シネマ岸和田ほか、
全国のユナイテッド・シネマ5館での限定的な上映となりましたが、
ユナイテッド・シネマが上映権を独占したわけではなく、
先にビデオリリースが決まり、ビデオも完成したので、
そのお披露目の場としてユナイテッド・シネマでビデオ上映されたのでしょう。
先月17日公開ですが、それから3週間弱でビデオリリースされてますから。
しかしこんな大ヒットホラーなら、もっとすんなり劇場公開されて然るべきです。
全米ではユニバーサル配給だったので、本来なら東宝東和あたりが、
全国のTOHOシネマズで公開するべきだったと思います。
大ヒットしただけではなく、かなりの傑作ホラーだったのに勿体ないです。

なにが傑作かって、本作はホラー映画なのに、意外と泣けるんですよね。
デル・トロが関わっているだけあってホラーとしてもとても雰囲気があり、
恐怖演出もとても面白いホラー映画ですが、ドラマが素晴らしいです。
切ない物語で、不覚にも感動して泣いてしまいましたが、
こんな泣けるホラー映画に出会えることはホントに稀です。
以下、ネタバレ注意です。

持ち株会社の経営者ジェフリーは、世界金融危機で混乱し、
共同経営者とアナリストを撃ち、妻も手にかけてしまい、
3歳と1歳の幼い娘を車に乗せて、行く宛もなく逃走します。
しかし雪道で車がスリップして、崖から落下してしまいますが、
幸いにも無事だった3人は、雪の中を歩き続け、山小屋を発見します。
その山小屋の中で、父ジェフリーは無理心中を謀り、
上の娘ヴィクトリアに拳銃を突きつけ、撃ち殺そうとした瞬間、
超常的な何者かに襲われ、彼は闇の中に姿を消してしまいます。
何が起こったのか理解できないヴィクトリアは、
1歳の妹リリーと一緒に、その山小屋に取り残されてしまうのです。
真っ暗な部屋の中、暖炉の前で身を寄せ合う幼い姉妹の姿だけで、
2人の不憫な状況やこれからのことを思うと泣きそうになりますが、
更にタイトルバックで流されるヴィクトリアの落書きに追い打ちをかけられ、
涙がこらえきれなくなりました。
とても拙い絵で、幼い姉妹のその後の様子が描かれていましたが、
想像を絶する悲惨さで、特にネズミ(?)を食べるリリーを見て、
涙を流すヴィクトリアの絵なんて、泣かずにはいられません。
主食はサクランボだったみたいですけどね。

それから5年の歳月が経ちます。
ジェフリーの双子の弟ルーカスは、兄と幼い姪2人の捜索を続けています。
彼に雇われた捜索隊は、山小屋を発見し、ついに姉妹を見つけるのです。
精神科医師ドレイファス博士に保護された姉妹ですが、
幼くして5年間も放置されたため、社会性が未発達で、オオカミ少女状態です。
当初3歳だった姉ヴィクトリアは、言葉も話せて徐々に社会性を取り戻しますが、
当初1歳だった妹リリーは、靴も履けずいつまでも四足歩行で走り回り、
姉以外の人間に触れられるのも極度に拒絶します。
連絡を受けて施設に駆け付けたルーカスを見たヴィクトリアは、
彼を父親だと思って心を許しますが、リリーの警戒心は解けません。
ヴィクトリアがルーカスに抱き付いたシーンを見た時も、
やっと姉妹が悲惨な境遇から抜け出せたと思えて、感動してしまいました。

ルーカスは姪姉妹を引き取るつもりですが、
兄嫁の叔母(姉妹の母方の曽叔母)ジーンと親権争いに…。
5年間、私財を投じて姉妹(と兄)を探し続けたのはルーカスなのに、
横から出しゃばるなと思いましたが、ルーカスは私財投じすぎて無一文だし、
収入も少ないみたいなので、ジーンと暮らした方が姉妹のためかもとも…。
こんな経済状態では家裁もジーンに親権を渡しそうなところですが、
ドレイファス博士の協力で、姉妹はルーカスと暮らすことになります。
博士から症例研究用の家も提供してもらって、問題なく暮らせそうですが、
博士は研究対象として姉妹を手放したくなかったというのが本音なので、
別に姉妹のためではなく、動機としてはちょっと如何なものかと思いました。
まぁ5年間も社会と接することなく生きていたオオカミ少女なんて、
もっと大きな研究機関がほしがりそうなほどの貴重な存在ですけどね。

ただ、姉妹がジーンと暮らした方がいいと思った最大の理由は、
ルーカスが恋人アナベルと同棲しているからです。
アナベルはロッカーで、格好もパンクだし、子育てなんて出来るようには見えず、
こんな女に姉妹を世話させても大丈夫なのかと思ったからです。
初対面の時もヴィクトリアの陰に隠れて怯えるリリーが「ママ…」と言ったら、
アナベルは「ママなんてやめてちょうだい、名前で呼んで」みたいなこと言うし…。
彼女はルーカスのことは好きだけど、姉妹は「私とは関係ない」と思っているようで…。

ただ、リリーは別にアナベルのことを「ママ」と呼んだのではありません。
姉妹には「ママ」と呼ばれる人物が見えているのです。
ドレイファス博士曰く、ママは姉妹が孤独さから生み出した空想上の人物ですが、
ママは姉妹にサクランボを与えたり、危険から守ったり、歌を教えたり、
手作り人形をくれたりしていたらしいのですが、博士も俄かには信じられず、
ヴィクトリアの解離性同一性障害による別人格ではないかと考えます。
ボクら視聴者は、無理心中を謀ったジェフリーを襲った何者かがママだとわかるし、
見えないお友達的な超常的な何かが姉妹に憑いて来ているのはわかります。
でもなかなかその姿をはっきり捉えることができないんですよね。
ヴィクトリアの主観映像でママを見るシーンがあるのですが、
彼女は近眼なので眼鏡をかけないとボヤケてはっきり見えないし、
そんなママの姿を捉えさせない演出が、なかなか巧妙でよかったです。
リリーがママと毛布の引っ張り合いで遊ぶシーンも、とても面白い演出でした。

でも別にママは姉妹にしか見えないわけではないようで、
ある日アナベルも廊下でチラッとママの影を見てしまい「誰かいる!?」と大騒ぎ。
仕方なく確認に行ったルーカスでしたが、ママに階段から突き落とされ、
彼は昏睡状態になって入院してしまうのです。
それから已む無くアナベルと姉妹の3人暮らしになるのですが、
ルーカスが主人公だと思っていたので、こんな早い退場は予想外で、
まさか本当の主役がアナベルの方だったなんて意外すぎる展開でした。
まぁルーカスも完全に退場したわけではなく、後に意識が回復します。
その時に兄が夢枕に現れて、「娘たちを救ってくれ、山小屋へ行け」と告げますが、
彼はなかなか行動には出ず、そのまま暫く入院を続けます。
普通なら気になって病院を抜け出してでも山小屋に向かいそうなものですが…。
そうこうするうちに、彼より先に山小屋に向かったのはドレイファス博士でした。

ドレイファス博士がヴィクトリアを催眠療法した際に、彼女はママから
「心の病気の人が赤ちゃんと逃げ出して水に飛び込んだ」という話を聞いたと言い、
気になった博士はそんな記録がないか公文書館に調べに行きます。
そこで1878年にイーディスという女性の事件を発見するのです。
イーディスは精神科病院(教会)の患者でしたが、修道女を殺害し、
自分の赤ちゃんを奪って逃走するも、追手から追い詰められて崖から海に心中。
ところが崖の途中の木の枝に赤ちゃんが引っ掛かり、自分だけ海に落ちます。
(とはいえ赤ちゃんも死んでしまいましたが…。)
それ以来、彼女の幽霊が赤ちゃんを探して山を彷徨っており、
100年以上経って山小屋で姉妹を発見し、育てることにしたのでしょう。
つまりママとはイーディスの幽霊だったわけですが、
海外ホラー映画でありがちな悪魔ではなく幽霊だったことで、
宗教観的に悪魔に馴染みのない我々日本人でも楽しめるホラーになってます。
悪魔とはその名の通り悪の存在ですが、幽霊は必ずしもそうではありませんが、
本作の幽霊ママもそうで、たしかに行動は悪魔同然で恐ろしい存在ですが、
彼女の子供を想う気持ちは理解できますよね。
それに姉妹を無理心中から救ったのも彼女だし、5年間育てたのも彼女で、
姉妹が生き残れたのは彼女のお陰だし、意外と優しい幽霊で憎めません。
とはいえ、姉妹に関わる者を排除するために殺そうとする怨霊でもあり、
その背反する共感と恐怖の間に深みを感じて、感動に繋がります。
ちなみに山小屋に着いた博士はママに瞬殺されます。

ルーカスが入院し、赤の他人の姉妹と3人暮らしになったアナベルですが、
その後も家で女の子守唄を聞いたり、クローゼットで変なものを見たりと、
恐怖体験の連続で、普通なら他人の子なんて放って逃げ出しそうなものですが、
アナベルも姉妹に情が移りはじめてたんでしょうね。
DVを疑い「姉妹を預かりたい」と訪ねてきたジーンを追い返すほどです。
そんなアナベルに、ヴィクトリアも心を許しはじめますが、
ヤキモチを焼いたママがアナベルに怪我をさせるのではないかと心配し、
ヴィクトリアはママを避けるようになりはじめるのです。
妹リリーはまだママにベッタリですが、ある夜、ママを追って外に出て、
野外で寝てしまい、凍えているところをアナベルに発見されます。
アナベルから温かい介抱を受けたリリーも、少し彼女に懐くようになります。
あの警戒心の塊だったリリーがアナベルの優しさで態度を軟化させるシーンも、
感動的でちょっと泣けました。

姉妹がアナベルに懐くのが面白くないママは激怒し、
ある日、アナベルに襲い掛かり、彼女を気絶させ姉妹を連れ去ります。
意識を取り戻したアナベルは、ルーカスと合流し山小屋へ。
山小屋の近くの崖(イーディスの自殺した場所)の上に姉妹を発見し、
急いで助けに行きますが、ママが現れて、姉妹を崖の方に手招きします。
アナベルは保管事務所にあったイーディスの赤ちゃんの遺体を彼女に渡します。
これでママは姉妹が自分の子ではないと理解し、成仏するかと思いましたが、
自分の赤ちゃんの白骨遺体を見たママは嘆き、やはり姉妹を浚うことに。
ママはルーカスを気絶させ、アナベルも眠らせようとします。
(なぜ博士やジーンのように殺さないのかは不明。)
姉妹の手を引き、崖の方に歩いていくママですが、
アナベルは眠気に必死に耐え、ヴィクトリアをしっかり掴みます。
ヴィクトリアも「私は残る」と宣言し、ヴィクトリアを諦めたママは、
リリーだけ連れて崖から落下するのです。

当然、姉妹ふたりとも助かると思っていたので、
ヴィクトリアだけ助かる切ない展開は予想外でした。
ハリウッドのホラー映画なら絶対子供は助かるものですが、
本作は先が見えないスペインのホラー映画ですからね。
切ない展開ではあるものの、そこまで悲しい印象を受けないのは、
リリーは誰よりもママに懐いていたし、社会性が発達しない彼女にとっては、
ママと一緒にいるのが最も幸せなことだと思えたからかも。
怨霊然とした不気味な姿のママですが、崖から飛び降りた時は、
生前の優しそうなイーディスの姿に戻っていたし…。

それになにより、無理やりでも連れて行けたはずの、
ヴィクトリアだけでも助けてくれたのがよかったです。
ヴィクトリアはたぶん本当の母親のことも少し覚えているので、
ママにはリリーほど懐いてなかったかもしれませんが、
それでも5年間自分たちを守ってくれたママのことは好きで、
最後も「バイバイ、ママ、大好きだよ」と言います。
ママもそんなヴィクトリアの気持ちを汲んでくれたのだろうと思い、
やはりママはそんなに悪い怨霊ではなく、
子供想いの優しい母親の幽霊なのだろうと感動しました。
うーん、でもやっぱり幼い姉妹が離ればなれになるのは寂しいかな…。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1304-deb2170e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad