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オー!ファーザー

観に行くハリウッド映画を選ぶ基準は単純で、全米でヒットしたか否かです。
全米ベスト3なら必ず観るし、ベスト10内でも観る価値はあると思います。
一方、日本映画を選ぶのはなかなか難しいです。
ハリウッド映画に比べ、駄作率は倍以上なので、慎重に選びたいところ。
好きな監督やキャストで選ぶこともあるけど、やはり内容第一で、
内容を見極めるのに重視するのは、やはり予告編かな。
でも予告編だけが面白い日本映画も多々あるので過信はできませんが。

最近も予告編が面白い日本映画を見つけました。
予告編を観るまでは、一切観たいとも思っていなかった作品です。
それは『薔薇色のブー子』と『女子ーズ』で、どちらもコメディですが、
予告編だけでも思わず笑っちゃいそうになるため、
面白いコメディ映画なのではないかと気になってしまいます。
ただ、両作品の福田雄一監督は当たりハズレが激しいので、
2本とも当たりというのはまず考えられません。
(そもそもなぜ2週連続で監督作を公開するのか…。)
だから先に公開される『薔薇色のブー子』はとりあえずスルーして、
その評判が悪ければ『女子ーズ』を観に行こうかなと思っています。
福田監督に限って、どちらも当たりということはあり得ないが、
どちらもハズレの可能性はあるので、それも過信はできませんけどね。

ということで、今日は予告編に惹かれたコメディ映画の感想です。

オー!ファーザー
オー!ファーザー

2014年5月23日公開。
伊坂幸太郎の同名小説を映画化。

大学教師の悟(佐野史郎)、ギャンブラーの鷹(河原雅彦)、体育教師である勲(宮川大輔)、元ホストの葵(村上淳)と父親を自称する男4人と同居する高校生の由紀夫(岡田将生)。何かと干渉してくる父親たちをわずらわしいと感じてしまう中、彼は何者かに監禁されてしまう。悟、鷹、勲、葵は、一致団結して由紀夫を救出しようとするが……。(シネマトゥデイより)



ボクは本作の存在をつい最近まで全く認知しておらず、
当然観に行くつもりもなかったのですが、2週間ほど前に、
劇場で予告編を観て、なんだか面白そうな映画だなと思いました。
その予告編で、「原作・伊坂幸太郎」と出たため、
これは絶対に観に行くべきだと思い、公開日に早速観に行きました。
ボクは小説は全く読まないので、伊坂幸太郎の作品も全て未読ですが、
彼はきっと才能のある作家なのだろうと思い込んでいます。
それはボクが中村義洋監督の大ファンなのですが、
中村監督が伊坂作品を過去4回も映画化しており、どれも面白かったので、
原作者として伊坂幸太郎には絶大な信頼してるんですよね。
もっとも本作でメガホンを取ったのは中村監督ではありません。
藤井道人という監督ですが、全く知らない人だったし、
駄作率が高い吉本興業製作というのもあり、懸念もありましたが、
伊坂幸太郎の原作は、その程度のことでは動じないだろうと信じて…。
ところが、いざ本作を観て、中村監督の偉大さを再確認させられました。
つまり、いくら伊坂幸太郎原作でも、中村監督補正がかかってない本作は、
ちょっと微妙な出来だったかもしれません。
まぁ他の吉本映画に比べたら、かなりマシな部類ではありますが…。

本作の予告編を観た時に、内容的に特に興味を惹かれたのが、
主人公の高校生・由紀夫には、大学教授の悟、博打打ちの鷹、
体育教師の勲、元ホストの葵と、なぜか父親が4人もおり、
みんなで仲良く同居しているという奇抜な設定です。
「それってどんな状況だよ」と関心が湧き、
それを確認するためにも本作を観てみたくなりました。
しかしボクにとっての最大の関心事であるその謎は、
冒頭で軽く説明されてしまったため、あとは消化試合みたいなものです。
しかもその謎の答えは、あまりにも単純なもので、
もっと複雑な事情を予想していたボクは拍子抜けしました。
簡単に言えば、母親が由紀夫を妊娠した時に4股を掛けていて、
4人とも彼女と別れたくないから一緒に由紀夫を育てることにしたそうです。
劇中では終ぞその姿を見ることは出来ませんでしたが、
由紀夫の母親はよほど魅力的な女性だったのでしょうね。

でも父親たちはそれでいいとして、母親は4股掛けていたといっても、
全員が本命なんてはずはなく、二番手~四番手とも同居することに、
何の抵抗もなかったのか不思議ですよね。
しかも男4人のタイプはバラバラで、守備範囲が広すぎます。
夫にするなら仕事で選ぶなら大学教授の悟が一番安定してるし、
ルックスで選べば元ホストの葵が一番ですが、
ルックスも微妙で無職(博打打ち)の鷹なんて、夫としては最悪で、
彼を可愛い息子の父親にしたいなんて思うものかな?
そういう意味では、逆に母親は鷹が本当の父親だと思ってたが、
彼が父親だと息子が可哀想なので3人足して有耶無耶にしたのかもね。
本作では誰が由紀夫の実父かなんて野暮な真相は明かされませんが、
いろいろ鑑みて、ボクはやはり鷹が実父だと感じました。

付き合う相手としてはタイプはバラバラな4人の父親ですが、
よくよく考えると、あまりバラエティに富んでいるわけでもありません。
博打打の鷹と元ホストの葵はカタギではなく現在無職、
大学教授の悟と体育教師の勲は教職者で、無職と教職者の2パターンだけ。
どうせなら、もっと職業に幅を持たせてもよかった気がします。
属性としても、大学教授の悟は頭脳要員、体育教師の勲は戦闘要員ですが、
博打打の鷹と元ホストの葵は情報収集要員で、
それぞれ別ルートのコネクションを活かして活躍するのですが、
情報収集要員キャラはひとりでもよかったような気がします。
ぶっちゃけ、博打打の鷹の裏社会にコネクションを持っているという設定は、
元ホストの葵に乗せても全く問題がなかったように思うんですよね。
せっかく4人なのに、そこでキャラ被りが起きるのは勿体ないです。

父親4人の経緯や設定も不満ですが、由紀夫にも不満があります。
いい加減、岡田将生に高校生役は無理があるでしょ。
彼は5年前にも伊坂原作映画で主演してますが、その時も高校生です。
劇中でもある人物から「おまえ本当に高校生か?」と問われますが、
よくぞ言ってくれたって感じですよ。
あと、自称彼女の女友達・多恵子に対して冷たいのも気になります。
とてもいい子なのに、なんであんな態度を取るのかな?
由紀夫が多恵子のことを本当はどう思っているのかが掴めず、
この2人の関係性がイマイチわからないのも困りました。
多恵子を演じる忽那汐里は、まだ高校生役もいけそうですね。
以下、ネタバレ注意です。

街では現職の白石候補と赤羽候補による市長選挙も迫るある日、
由紀夫は父親のひとり博打打の鷹に連れられて、
裏社会の大物・富田林が仕切るゲーセン(賭場)に遊びに行きますが、
そこで男女2人組が赤羽陣営の弁護士の鞄を盗む所を目撃します。
気になった由紀夫は犯人を尾けるが、途中で友達の鱒二に出会い、失敗。
4人の父親に相談し、彼らは好奇心から彼女について調べ始めます。
するとほどなくして、犯人2人の心中死体が発見され…。
そんな折、友達の鱒二が運び屋のバイトをすっぽかして、
そのバイトの元締めである富田林から粛清されそうになります。
息子の友達の一大事に立ち上がった4人の父親は、
富田林が振り込め詐欺に遭ったと知り、その犯人を捕まえる代わりに、
鱒二を見逃してやってほしいと交渉し、富田林も了承します。
由紀夫は半月前から欠席している同級生・小宮山が、
振り込め詐欺に関わっていると考え、小宮山宅を訪れますが、
そこで武装した3人の男女に拉致されてしまい…。
息子の異変に気付いた父親4人は、息子救出のためにある作戦を立てる。
…というような話です。

賭場での盗難事件と発見された犯人の心中死体の謎、
富田林の振り込め詐欺の謎、鱒二のすっぽかした運び屋の荷物の謎、
小宮山欠席の謎と、いろんな謎が重なり、さらにそこに市長選挙も絡み、
物語は複雑な様相を呈していますが、実際に物語が動き出すのは、
由紀夫が小宮山宅で何者かに拉致されてからです。
しかしその展開までがかなり長く、それまで物語の方向性が掴めず、
正直だれてくるというか、退屈さすら感じました。
全ての謎がラストで収束して、痛快な幕引きになるかと期待しましたが、
それほど上手く収束されなかったのも残念だし、
由紀夫たちが全ての謎を解き明かすわけでもなく、
後日談的に真相が語られる展開もイマイチだと思いました。

おおまかに真相を説明すると、小宮山宅で由紀夫を拉致したのは、
現職候補の白石に私怨を持つ夫婦と彼らに雇われた狙撃手の3人で、
夫婦は白石を小宮山宅の窓から狙撃するつもりでしたが、
その犯行を赤羽陣営の仕業に見せかけるため、
赤羽の弁護士から赤羽の鞄を盗むように男女2人に依頼し、
その報復として盗んだ男女が赤羽陣営から殺されたように見せかけた、
というような感じの真相です。
つまりこの件とは、富田林の振り込め詐欺事件は何の関係もなく、
ただ由紀夫をミスリードさせ、小宮山宅に行かせるための手段でしかなく、
結局振り込め詐欺犯は捕まりますが、それが誰なのかも描かれません。
なので全ての謎が一つの真相に収束しているわけではなく、
収束によるカタルシスがあまり得られませんでした。

由紀夫が拉致監禁されたのは、夫婦が彼が何か知っていると思ったからで、
それは由紀夫が以前、欠席する小宮山を心配して訪れた時に、
小宮山を煽るために適当に「全部知っているぞ」と言ったのを、
夫婦が聞いていたからですが、なぜかそれ以前にも、
夫婦は由紀夫の家に偵察に来ていたんですよね…。
由紀夫が理由を聞くと「何か知っていると思ったから」と答えますが、
なぜそんな以前からそう思ったのか、説明されなかったように思います。

鱒二が運ぶ予定だった荷物は、狙撃手の持つ拳銃の銃弾だったようで、
彼がそれを運ばなかったことで、由紀夫は撃たれずに済みますが、
つまり運び屋の元締めの富田林が夫婦に加担していたことになると思うけど、
富田林と拉致犯の関係性も説明されず、むしろ荷物を届けなかったことで、
面倒なことにならなかったと鱒二は富田林から許されるのです。
こんな経緯がラストで後日談的に台詞で説明されるのですが、
何か重要な部分が端折られているような、中途半端さを感じます。

父親4人の由紀夫救出作戦も無茶苦茶で、
由紀夫からの不自然な電話で異変を察知したのは納得ですが、
その後の作戦がご都合主義すぎると思います。
まず由紀夫が監禁されているであろう小宮山宅を偵察するのに、
小宮山宅のお隣さんの女性に頼むのですが、
その女性と父親たちが知り合えたのは完全に偶然です。
偵察により小宮山宅に由紀夫が監禁されていると確信しますが、
部屋に敵が何人がいて、どれだけ武器があるかわからないため、
知識豊富な大学教授の悟が生放送のクイズ番組に出演し、
由紀夫に電話でそれとなく敵と武器の数を報告するように
体育教師の勲が教えた手旗信号でメッセージを送るのです。

手旗信号が出来るチャンスは最終問題まで行った時だけですが、
いくら悟が物知りでも、そこまで行けるかなんてかなりの賭けです。
なにしろその番組は『クイズ$ミリオネア』がモデルになっており、
全問正解すると1000万円の賞金がもらえるクイズ番組なので、
そんなに簡単に最終問題まで行けるはずないですからね。
悟はさも当然のように最終問題まで行きましたが、
そんな不確実なことを計画に組み込むなんて、いくらなんでも無謀です。
そもそも犯人が由紀夫にクイズ番組なんてみせてくれる保証はないし、
普通の犯人なら絶対にそんなことはしないと思います。
犯人の夫婦は目的の関係でニュース番組は欠かさず見てたようなのに、
ニュース番組を諦めてまで、なぜ由紀夫にチャンネル権を譲るのか。

それにせっかく敵の数や武器の数を把握したのに、
あんな風に玄関から突撃して救出したのでは、
下手すれば撃ち殺されていてもおかしくないです。
たまたま鱒二が犯人に荷物を届けなかったから、
狙撃手の拳銃は空砲で助かりましたが、
鱒二の荷物が銃弾だったなんて話は父親たちは知らないはず。
無事に救出成功したのは上手い計画ではなく偶然の連続のお陰で、
あまりにもご都合主義すぎると思いました。

もっと言えば、父親4人がそれぞれの特技を活かして、
由紀夫を救出するのが面白いのに、他人の力を借りちゃ台無しです。
お隣の女性の協力は元ホストの葵が取り付けたものなので、
それは父親の特技を活かしたものですが、
計画の根幹となる連絡役を務めた多恵子の協力は、
由紀夫を好きな彼女が自主的にやったことで、父親の力ではありません。
なので父親たちだけでは結局由紀夫を救えなかったことになり、
4人の父親が息子を救うという本作の趣旨とは違う気がします。
4人で一緒にテレビ出演なんてしないで、
そのうちの1人が多恵子の代わりに由紀夫の友達のふりをして、
連絡役をすればよかっただけじゃないかと思うんですけどね。

ここまでご都合主義で筋が通らないのは、いくらなんでも不可解なので、
たぶん原作の時点ではもう少し筋が通るように書かれている気がします。
それを映像化に際して、重要なところを端折ったり、
下手な脚色をしてしまったのではないかと思うんですよね。
きっと中村義洋監督なら、同じ原作を映画化したとしても、
もっとちゃんと納得できるような脚本にしてくれたはずです。
これなら変にサスペンスにしないで、父親4人の奇妙な家族の日常を描いた
コメディ映画にしてしまった方がよかったと思います。
その場合は息子じゃなくて娘の方が面白そうですね。

コメント

母親って一体・・・

母親が酷いですね。

母親の責任感云々については
http://blrpn.blog.fc2.com/blog-entry-371.html#comment172のコメントでも言いました。
(あの映画での母親についても非常に気になったので)

  • 2014/05/25(日) 05:11:44 |
  • URL |
  • レゴン #Nwu9xzi.
  • [ 編集 ]

Re: 母親って一体・・・

え、酷い母親ですか?
たしかに自分の母親や妻が彼女のようだったら嫌だけど、
彼女の息子や旦那4人は別に嫌じゃないみたいだし、
それなら問題ないんじゃないかと思いますよ。

…なんてマジレスしてみましたが、
誘導のために、無理してコメントしてくれなくても大丈夫です。
古い記事でもコメントが更新されたらちゃんとわかるので。

  • 2014/05/25(日) 18:51:43 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

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