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戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版

ボクは小学生の頃、本当に怖がりで、
テレビで『ザ・フライ』を見ただけで夜眠れなくなるほどでしたが、
中学生の時のある恐怖体験をキッカケに怖さのリミッターが外れ、
それ以来、どんなホラーもあまり怖くなくなってしまいました。
今でも怖がりたいという欲求は強くて、よくホラーを見ますが、
なかなかその欲求を満たしてくれる作品には出会えません。
(怖くなくてもドラマとして面白い作品は沢山あるので楽しめますが。)
でも極稀に、こんなボクでもゾクッと出来るシーンがある作品があります。

最近見た中で怖かったのはテレビアニメ『闇芝居』。
昨年テレビ東京で深夜に放送されていた5分アニメで、
地元の系列局では放送されなかったため見れませんでしたが、
先月だったか、ビデオリリースされたので見ることができました。
オムニバスの短編ホラーで、ほとんどのエピソードは微妙だったけど、
最終話「疼憑き」、そのラストシーンに戦慄しちゃいました。
物語は都市伝説「くねくね」のパクリで、お馴染みの内容でしたが、
ラストシーンの映像がとてもよく出来ていて、思わずゾクッとしました。
こんな感覚が、たまに味わえるから、ホラーはやめられません。
紙芝居風の短編アニメで、おそらく低予算の作品だと思いますが、
ホラーは低予算でもアイディア次第でいいものが作れるのが魅力ですね。

ということで、今日は超低予算ホラー映画の感想です。

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版
戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版

2014年5月3日公開。
白石晃士監督が手がけたビデオシリーズ『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』の劇場版。

ディレクター工藤の元に届いた投稿者からの映像。 そこに映っていたのは、ネット界隈で話題騒然の“タタリ村”。足を踏み入れた者は全員発狂し、その姿を消してしまうという。取材班は、その真相を確かめるべく調査に向かうが…。 果たして、山奥の廃村に隠された恐るべき真実とは?! (公式サイトより)



全国各地の心霊・怪奇現象を取材・調査する
ドキュメンタリーシリーズ『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』。
過去5作はオリジナルビデオでのリリースでしたが、
その衝撃の内容に大反響を受け、本作は初の劇場版となりました。
口裂け女、震える幽霊、人喰い河童、トイレの花子さんを調査し、
驚くべき真相を世間に公表してきた本シリーズが、
前回調査したのは四谷怪談のお岩さんの呪いで、
なぜ創作された人物であるお岩さんが人を呪えるのかを調べた結果、
なんと四谷怪談の作者である鶴屋南北が、呪術集団の村の出身で、
その呪術を作品に込めたという真実が明らかになります。
そしてその続編となる本作では、その呪術集団の村を調査することになります。

ディレクターの工藤仁と女性アシスタントの市川実穂、カメラマン田代正嗣は、
お岩さんの件で協力してもらった浄霊師の宇龍院道玄にも同行してもらい、
今は廃村になっている呪術集団の村、通称「タタリ村」こと然野村を訪れます。
ついでに科学的見地から意見をもらうために物理学者の斎藤雅彦と、
劇場版なのでゲストとして(崖っぷち)アイドルの小明も連れて行きます。
工藤Dは目的ためなら手段を択ばない破天荒な人で魅力的ですが、
ボクは何気にAD市川が好きで、カメラマンの田代も含めて、
いつもの3人での突撃取材が好きだったので、他に3人も同行させるのは、
ちょっと人数が多すぎて、いつも通り工藤Dら3人だけの方がいいと思いました。
「河童」の時も工藤Dが序盤病欠だったこともあり、少し物足りなさを感じたけど、
この工藤、市川、田代の3人は欠けても増えてもバランスが崩れる、
絶妙なトリオだと思うんですよね。
なので正直、アイドルとか物理学者とか邪魔だなと思ったけど、
そんなことを思ってしまって申し訳ないと思う事態になります。

このドキュメンタリーシリーズは視聴者から投稿された怪奇映像を受け、
取材を開始するのですが、本作でも投稿映像が届きます。
「足を踏み入れた者は、全員発狂し行方不明になる」とネットで話題のタタリ村に、
本シリーズのファンである兼子勝が知人女性のナナと一緒に行った時の映像で、
その中には村で何かを見たナナが発狂し、橋から身を投げ忽然と消えるところと、
山際から現れる謎の発行体が鮮明に映し出されていました。
いつもながらに俄かには信じられない映像でしたね。
しかし更に驚かされたのはその後で、工藤Dらが投稿者の兼子宅を訪れた時、
彼も発狂し、自らの首に包丁を刺して自殺を図るという衝撃の出来事が…。
工藤Dがギリギリ取り押さえ、大事には至らず精神疾患で入院しましたが、
それも束の間、兼子は病院を抜け出し、今でも行方不明のようです。
「全員発狂し行方不明になる」というのはどうやら本当のようですね。
そんなところに取材に行こうなんて、いつもながらに肝が据わっています。

タタリ村までの道には呪術らしきものの痕跡が至る所にあり、
何かに殺されたであろう動物の死骸も沢山転がっています。
工藤Dらが訪れた時なんて、動物の生首の串刺しがありましたが、
普通の人はその尋常ではない光景に、村に入る前に引き返すようです。
本作ではモザイク処理がされていましたが、現物はエグいでしょうね…。
そんな光景にアイドル小明はビビリまくりますが、物理学者の斎藤は動じません。
彼は大槻教授よろしく超常現象を全く信じていないのです。
もう前回までに幽霊どころか、異世界の撮影にまで成功したシリーズなので、
やっぱり今更超常現象否定派なんて連れて来ても邪魔なだけだろと思いました。
しかし彼の持参した電磁波測定器は高い反応を示しており、
特に反応が強い場所には、真新しい動物の死骸を使った呪術の後がありました。
そこで祈祷を行う浄霊師の道玄が、そこに何か集まって来ているのを感じると、
斎藤の機材も、国の基準の30倍もの放射線量を検出します。
科学的にもこの場所が異常なことは疑う余地がないのに、頭の固い物理学者は、
「電力会社の土地だから想定内」みたいな反応で…。
もしかしたらこの場所って、明確には示されてませんが、例の原発の近くかな?
ピー音で場所が特定できる発言が消されているのも風評被害を懸念したのかも?

そんな折、唸り声のような音が聞こえ、小明に群がるように白い手が現れます。
すると彼女は「鬼、生まれたー」などと意味のわからない絶叫をはじめ、
彼女が何かに憑りつかれたと思った工藤Dは、呪いの飾りで彼女を殴ります。
この呪いの飾りは「口裂け女」が呪術で使っていた物を勝手に持ち出したのですが、
持つ者を死に至らしめることもある恐ろしいアイテムだけど、
工藤Dは過去に何度もそれを使って、憑りつかれた人間を正気に戻しています。
今回も殴られた小明は、落ち着きを取り戻しました。
ところがその直後、呪いの飾りが工藤Dの掌に吸い込まれるんですよね。
でも工藤Dには特段変化はなく、むしろおかしくなったのは道玄で、
「俺の中に入ってきた。やはり神は化物だ。」と意味不明な声をあげ逃げ出します。
小明に憑いたものが呪いの飾りの力で追い出され、道玄に乗り移ったのかな?

逃げる道玄を工藤Dと斎藤が追いかけます。
姿は見失いますが、道玄のものと思われる血痕が点々と残されており、
それを辿っていくと、そこには血まみれの道玄の姿が…。
すると彼の首が胴体から浮き上がり、生首が2人に襲い掛かるのです。
ついに1人目の犠牲者が出てしまいましたね。
人が死んでるのによく公開に踏み切れたものですが、
「トイレの花子さん」や「お岩さん」の時にも犠牲者はいたけどリリースされたし、
本シリーズはその程度でお蔵入りになるような軟な自主規制はしません。
工藤Dは「日本でダメでも海外で売れればいい」と思ってるみたいだし。
道玄の生首から逃げる工藤Dと斎藤ですが、その途中で、
ドォォォン、ドォォォンと大きな音が響き、山陰に巨人の姿を見ます。
あの姿は妖怪ダイダラボッチを彷彿とさせます。

一方、AD市川は気分が悪くなった小明を介抱しますが、
徐々に小明の顔が不気味に歪み、口から白い腕を吐き出すのです。
この時の小明の顔は本作で最大の衝撃映像だと思いました。
それにしても彼女はまだ何かに憑かれているようなので、
今回ばかりは呪いの飾りの除霊効果も十分ではなかったのかな?
彼女らは村を離れて、そこで工藤Dらと合流するのですが、
その直後、斎藤と小明は忽然と姿を消してしまうのです。
工藤Dらは無事に東京に戻り、警察に通報したようですが、
全く相手にされず、同行した3人は行方不明として処理されたそうです。
なぜ明確な証拠である取材映像を警察に見せなかったのか…、
とも思いましたが、工藤Dにしてみれば折角の衝撃映像を、
警察に提出したら公開できなくなっちゃいますもんね。
もう映画にするには十分な衝撃映像を撮ってますが、まだ調査を続行します。
下手すれば自分が行方不明になるかもしれないほど危険な目に遭ったのに、
なぜ彼がそこまで調査に拘るかですが、もちろん儲けるのも重要ですが、
彼には真相を究明する使命感のようなものがあるみたいです。
この時は彼もまだ気付いていませんが、このタタリ村の真相には、
彼の過去が大きく関係しているので、何か因縁を感じたのかもしれません。

すぐにタタリ村に戻って調査を再開すると思いきや、
なんと工藤Dは、元防衛省幹部の男を拉致するのです。
怪談師の吉田の話では、戦中、タタリ村は軍部の秘密兵器工場だったそうで、
それが今回の怪奇現象と関係しているのではないかと工藤Dは考え、
それに詳しいと思われる元防衛省幹部を拉致し、話を聞こうって寸法です。
拉致して脅すなんて完全に犯罪行為で、工藤Dが逮捕されないか心配ですが、
人が3人も死んで(失踪して)るのだから、手段は選んでられませんね。
その結果、タタリ村の地下で科学と呪術を融合した兵器の開発が進められ、
その兵器は人の魂を食らう「鬼神兵」と呼ばれるものだったそうです。
その開発計画は途中で頓挫しましたが、もし完成して実戦投入されていたら、
戦争の結果も違ったものになったかもしれません。
斎藤の電磁波や放射線量の計器の異常も、電力会社のせいではなく、
この地下兵器工場が何か影響していたのでしょう。
あのダイダラボッチのような巨人が鬼神兵だったのか…。

その元防衛省幹部から実際に鬼神兵製造に関わった人物を聞き出し、
工藤Dたちは彼の家に突撃取材を試みます。
もし取材に応じなければ、暴力に訴えるつもりでしたが、
その人物は驚くほど協力的で、当時の資料フィルムを見せてくれます。
そこには巨大な人間が映っており、それが鬼神兵なのですが、
驚いたことにその姿は、「震える幽霊」の時の投稿者で、
後に失踪した真野夕子にそっくりじゃないですか。
なんでも当時、鬼神兵の細胞の一部を持ち出した科学者がいて、
その息子が細胞を培養して作ったのが夕子なのだそうで、
その息子というのも「震える幽霊」の時に調査対象に浮上し、
後に彼らの目の前でアブダクションされた"先生"と呼ばれる人物です。
夕子や先生は普通ではないと思ってはいましたが、
まさかここに繋がるとは驚愕の真実ですね。

しかしこの鬼神兵製造関係者の老人の話には更に驚愕の真実が…。
彼も細胞を持ち出しており、鬼神兵の復活を目指して研究してましたが、
協力者の科学者夫婦が通り魔に殺さため、研究は頓挫したとか。
なんとその科学者夫婦は、工藤Dの両親だったというのです。
「口裂け女」の時から、彼の両親が殺されたことは言及されていましたが、
まさかその両親が鬼神兵の関係者だったとは衝撃です。
でもそんな科学者夫婦から、工藤Dのような息子が生まれるとはね。
外見の似てなさもさることながら、工藤Dに科学者らしさが微塵もないです。
でもオカルトに傾倒するところだけは遺伝したのかな?
その関係者の老人は工藤Dが両親の意思を引き継ぎ、
鬼神兵を復活させる運命だと思っていたため、協力的でしたが、
工藤Dは頭の中で聴こえる「運命に逆らえ」という言葉を信じて反発。
老人をぶん殴るのですが、呪いの飾りを吸収した影響なのか、
身体能力がパワーアップしているみたいで…。
しかしそれは呪いに蝕まれているということでもあり、
もう一刻の猶予もなく、とにかく再びタタリ村に行ってみることに。

タタリ村で彼らを待っていたのは、なんと先生でした。
「鬼が来る」と呟く先生を、工藤Dは「もう人間じゃない」とバットで撲殺。
頭部がグチャクチャになり倒れた先生の首を、AD市川がナイフで切り裂きます。
するとそこから異世界が発生し、彼らはまたしても異世界を彷徨うことに…。
その空間でなんとAD市川が先生に首をもがれてしまうのです。
ついに彼女まで犠牲になったかとショックを受けました。
普段は彼女を扱き使っていた工藤Dも、これにはさすがにショックを受け、
「全部戻してくれー!」と絶叫しますが、その想いが届いたのか、
彼は過去にタイムスリップすることになります。

異世界を通れば過去に行けることは「トイレの花子さん」の時にも実証済みです。
ただその時は1日程度しか戻りませんでしたが、今回はかなり戻り、
工藤Dが着いた先にいたのは、なんと彼の両親と幼い頃の自分で…。
どうやら30年ちかく時間が戻ってしまったようですね。
これはまさかと嫌な予感がしましたが、案の定、工藤Dは両親を刺殺します。
「おかしな研究をやめてくれ」と懇願したのに拒否されたため、
実力行使で鬼神兵製造を阻止しようとしたためですが、
両親を殺した通り魔が、実は自分だったという衝撃のタイムパラドックスです。
その直後、またワームホールが開き、工藤Dらは現代に戻りますが、
そこで鬼神兵と思われる巨人と遭遇します。
呪いでパワーアップした工藤Dは巨大化して巨人と戦い、
巨人もろとも忽然と消えてしまうのです。

工藤Dが消えて以来、新宿上空に不可解な物体が現れますが、
特にそれ以外に何が起きるでもなく、人々は普通に生活します。
新宿にあんなものが浮かんでいるなんて、関西在住のボクは知りませんでしたが、
さほどニュースにもなってないところを見ると、本当に誰も気にしてないんですね。
工藤DもAD市川も失踪してしまい、ひとりになったカメラマン田代ですが、
彼の面前に再びワームホールが開き、その奥に失踪した2人の姿が見えます。
工藤Dは「助けてくれー」と叫んでいますが、そこで本作は終了します。
彼らの安否は続報を待ちたいと思います。
というか、彼らの安否どころか、世界の安否が気掛かりですよね…。
こんな衝撃的な事実を収めた映像を、3か所のミニシアターだけで上映なんて、
もっと大々的に公開しないと大変なことになりますよ。



…なんて、あえて内容を真に受けて感想を書いてみましたが、
本作はドキュメンタリーではなく、もちろんフェイクドキュメンタリーです。
こんなトンデモ展開では、ドキュメンタリーだと真に受ける人なんていませんが、
日本のフェイクドキュメンタリーの第一人者である白石晃士監督は、
普通のフェイクドキュメンタリーでは飽き足らず、表現の飛躍を追及し、
あえてこんなエンタメ重視のトンデモな内容に仕上げたそうです。
ボクはフェイクドキュメンタリーはドキュメンタリーの体裁は守るべきだと思うので、
内容は突飛でも構わないけど、フェイクであると公言するのは御法度だと思います。
それをしてしまうことで、一部の視聴者に誤ったメッセージを与えてしまうからです。

白石監督が、本シリーズをフェイクだと公言した意図はわかります。
自分がどんな斬新なことに挑戦したのかを、視聴者にわかってもらうためです。
フェイクドキュメンタリーに理解がない人だと、ちゃんと説明しないと、
異世界のチープな描写や、あり得ない展開を批判されたりするかもしれず、
その予防線という意味もあるかもしれません。
ただそんなフェイクドキュメンタリーに理解がない連中というのは、
そもそもフェイクドキュメンタリーの楽しみ方を知らないため理解がないのであり、
そんな連中に本シリーズのフェイクドキュメンタリーとしての立場を伝えたところで、
その意図が誤って伝わるに決まっています。

なぜフェイクドキュメンタリーがフェイクであると公言してはいけないのかですが、
それは製作サイドと視聴者の暗黙の了解を破ってしまうからです。
その暗黙の了解とは、たとえフェイクドキュメンタリーとわかっていても、
鑑賞中はドキュメンタリーとして見る、ということです。
理解のある人は、フェイクと公言されてもその暗黙の了解は守りますが、
理解のない人は、フェイクと公言されたら、フェイクとして見ていいと思い込みます。
そんな連中が何を仕出かすかといえば、上映中に笑うんですよね。
チープなVFXやあり得ない展開を、笑い所だと勘違いし、大爆笑します。
しかしちゃんと暗黙の了解を守りドキュメンタリーとして本作を観た場合、
あり得ない展開に驚愕はしても、笑ったりするはずはありません。
チープなVFXに関しては、たしかにあまりにチープすぎて笑いたくもなるけど、
これは製作サイドも好きで客を笑わそうとしているのではなく、
超低予算であるフェイクドキュメンタリーの宿命で、チープになるだけです。

別に笑うのは勝手だと思われるかもしれませんが、
本作はコメディではなく仮にもホラー映画であり、
ホラー映画として本作を観ている他の観客の迷惑になります。
別に自宅でビデオを見ながら笑う分には勝手にすればいいけど、
劇場でまで自宅のノリで見に来られるのはマナー違反です。
そんな連中は他の客も自分同様にフェイクとして楽しんでいると思ってるだろうが、
それはとんだ勘違いで、フェイクドキュメンタリーに理解がある観客は、
本作をドキュメンタリーとして楽しんでいます。
それ以前に、過去のシリーズを見ずに本作を観に来た人もいるでしょう。
本作のポスターやチラシを見ても、どこにもフェイクだなんて書いてないし、
上のポスター画像を見て、笑える映画だなんて思いますか?
ホラーとして本作を楽しもうとしているお客さんもいるのに、
「自分は監督の意図を理解している」と勘違いし、これ見よがしに笑う行為が、
どれほど迷惑か、ちょっと考えればわかりそうなものですが…。

白石監督も言ってましたよね、決しておふざけで撮ったわけではない、と。
つまり真剣にフェイクドキュメンタリー・ホラーとして取り組んだ作品で、
それをおふざけでも見たかのように笑うのは、監督の意図を理解してない証拠。
たしかに工藤Dなんて、常人では考えられない無茶苦茶な行動をするし、
それを演技でやっていると思えば、滑稽にも思えますが、
あくまでフェイクドキュメンタリーはドキュメンタリーの体裁を取るもので、
それを演技として捉えることは暗黙の了解に違反します。
劇中で「バラエティ的なノリで仕事を受けた」と言った小明に対し、
工藤Dが「それは勘違い、真剣にやってるのに心外だ」と言いますが、
それこそが本作のスタンスであり、無茶苦茶に見える工藤Dの行動も、
真剣すぎるが故の目的のためには手段を選ばないことによるもので、
なにも笑えるようなものではありません。
もし普通のフィクションのホラー映画で、主人公が工藤Dのような行動をしても、
お客さんは誰一人笑ったりはしないと思います。

本作で笑う連中は、工藤Dを面白キャラだと思い込んでいるため、
彼の特に何でもない言動でも爆笑するんですよね。
工藤Dが鬼神兵製造関係者の家の玄関を開けて、
「あ、開いた」というだけで笑うんだから、もう意味不明ですが、
これは本当に面白いから笑っているのではなく、
笑うことで周りに自分が本作の面白さを理解しているとアピールしているだけ。
実際には理解してないから笑っているので、恥ずべき行為なのにね。
そういう連中は絶対に数人で観に来ています。
ひとりで観に来たお客さんは、まず笑ったりしません。
なぜなら連れもいないので、笑って周りにアピールする必要がないからです。

本作はそんなフェイクドキュメンタリーも理解してないマナー知らずの客が、
ひとりやふたりではなく、全体の3割ちかく湧いています。
これはもう「あのね商法」の弊害としか言いようがありません。
結局、映画館にもロクに来たことがないくせに、自宅でビデオでシリーズを見て、
自宅のノリで映画館に来てしまった世間知らずなのでしょう。
いや、ビデオではなく、ニコニコ動画でシリーズを見た俄かファンかも。
ニコ動の茶化したコメントを見ながらシリーズを見てしまったため、
みんな面白がって見る作品だと勘違いしたのかもしれません。

フェイクドキュメンタリーが他のホラーよりも優れているところは、
何も予算が掛からないという製作上の利点だけではありません。
ドキュメンタリーとして見ることで得られる没入感は、
他の普通のフィクションのホラー映画では得難いものです。
しかしそんな没入感も、他の観客の笑い声で否応なく阻害されます。
理解あるフェイクドキュメンタリーファンには迷惑な話ですが、
そんな理解のない客が多いので、劇場で観ても楽しめないかもしれません。
ビデオリリースを待って、いつも通り自宅で見た方がいいかもしれません。
本来なら理解のない連中にビデオリリースを待ってほしいところですけど…。
今後もこのシリーズはビデオに戻ってリリースを続けるそうで、
それは末永く続いてほしいですが、こんなことになるのなら、
もう二度と「あのね商法」には手を出さないでほしいです。
白石監督の次回作『ある優しき殺人者の記録』はモンド映画みたいです。
単発なので大丈夫でしょうが、変な客が湧かないことを祈ります。

-関連作の感想-
オカルト
シロメ

コメント

感想乙です。マジで次回作やってほしいですね。
この映画を見てすでに気づいた人もいるでしょうが、
明らかに特撮をパクってるところありますね。そこがまたいいんですが。
巨大化した触手工藤はウルトラマン。こちらは巨人が怪獣ポジなので
工藤がウルトラマンポジにして正義?(というより仮面ライダー龍騎でいう己の欲のために戦う事に近い)の怪獣ですね。

対戦相手の科学・呪術融合のオカルト生物兵器・鬼神兵は完全にウルトラマンと怪獣ですね。しかも名前はナウシカの巨神兵の発音と似て文字が一文字違い。
その他は巨人繋がりで進撃の巨人(こちらもウルトラマンの影響を受け、アニメでは龍騎の脚本家も参加しています)、足音はゴジラ(第1作目)、細胞を持ち出し復活するために研究、「神になる」というのもどこかで聞いた事があります。
夕子はもしかしたら名前はウルトラマンAの夕子、細胞から生まれた設定はサンダ対ガイラのガイラからきているのかもしれませんね。

  • 2014/08/16(土) 23:17:38 |
  • URL |
  • 無記名 #zHTyKSPE
  • [ 編集 ]

Re: タイトルなし

ボクは『ゴジラ』シリーズ以外の特撮モノにはてんで疎いので、
そんなコアな話はあまりわかりません。
白石監督は、短編映画『巨神兵東京にあらわる』への反発心から
クライマックス以降の展開が生まれた、と公言しています。
夕子のモデルが巨神兵であるのは間違いないみたいです。
ボクもラストで漫画版『風の谷のナウシカ』の巨神兵を思い出しました。
あと、『もののけ姫』のデイダラボッチの影響も受けているのだそうで、
特撮モノの他にも、宮崎アニメの元ネタが多いかもしれません。

続編も作る意向はあるみたいで、それももちろん楽しみですが、
白石監督の次回作『ある優しき殺人者の記録』の予告編に
異世界の触手のようなものが映っているシーンがあったので、
『ある優しき殺人者の記録』は『コワすぎ!』シリーズの
シェアード・ワールドではないかと期待しています。

  • 2014/08/17(日) 19:18:39 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

低能な奴らとは違って俺はモキュメンタリーの見方を分かっている!
監督の意図も信念も分かっている!

どんぐりの背比べ

  • 2014/08/24(日) 09:34:31 |
  • URL |
  • 無記名 #-
  • [ 編集 ]

Re: タイトルなし

フェイクドキュメンタリーの暗黙の了解を知らないのは問題ではない。
問題は周りに迷惑を掛けないという至極単純なこと。

  • 2014/08/24(日) 11:40:09 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

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