ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

プリズナーズ

ゴールデンウィークも後半に突入しましたね。
カレンダー通りの勤務だと、今日が初日だって人も多いと思います。
4月中旬からGWにかけて封切られる、いわゆるGW映画ですが、
今年は12本ほど観ることができました。
昨年よりも少な目ですが、目ぼしいものはほぼ観たつもりです。
そこで、GW後半に是非観てほしいオススメ映画ベスト5の発表です。
…と思ったけど、4つしか選べなかったので、ベスト4にします。
あと『アナと雪の女王』は絶対観るべきですが、春休み映画なので除外です。

-2014年オススメGW映画ベスト4-
1位『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』
2位『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』
3位『プリズナーズ』
4位『アメイジング・スパイダーマン2』

ということで、今日はオススメGW映画第3位の作品の感想です。

プリズナーズ
Prisoners.jpg

2014年5月3日日本公開。
ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール共演のスリラー。

家族と過ごす感謝祭の日、平穏な田舎町で幼い少女が失踪(しっそう)する。手掛かりは微々たるもので、警察(ジェイク・ギレンホール)らの捜査は難航。父親(ヒュー・ジャックマン)は、証拠不十分で釈放された容疑者(ポール・ダノ)の証言に犯人であると確信し、自らがわが子を救出するためにある策を考えつくが……。(シネマトゥデイより)



本作は第38回トロント国際映画祭で、観客賞3位に輝いた作品です。
ハリウッド映画の出品が多いトロント映画祭は、
アカデミー賞の前哨戦と言われていますが、
その年の観客賞1位はオスカー作品賞受賞作『それでも夜は明ける』で、
2位はオスカー作品賞ノミネートの『あなたを抱きしめる日まで』でした。
本作はそれに次ぐ3位ですが、本作もとても面白い作品なので、
オスカーにノミネートされてもおかしくない佳作だと思います。
あ、一応されてますね。撮影賞という技術部門ですけど…。
技術的なことはよくわからないけど、たしかに引き込まれる映像だったので、
その印象には撮影の技巧による貢献も大きいのかもしれません。

行方不明の娘を取り戻すため法をも犯す父親の姿を描いたスリラーで、
観客の倫理観を揺さぶる、なかなかハードな内容です。
それもあって、本作は全米公開にあたり、成人映画指定される見込みでしたが、
編集で拷問などの表現を緩和し、R指定で公開されたそうです。
ボクとしては編集前のものが観たかったですが、
エロは全くないのに、成人映画指定されかけたというだけでも、
本作がどれだけ際どい内容かが伺えると思います。
しかし日本ではなぜか全年齢対象同然のPG12指定で、
『クローズEXPLODE』と同様の緩いレイティングで公開されています。
日本の映倫はエロにはうるさいけど、倫理や暴力には寛容ですが、
この内容でPG12指定は、さすがに甘すぎる気がします。
まぁどうせ子どもは観ない作品だと思いますけど。

状況がコロコロ変わり、全く先が読めないスリラーなのも素晴らしいです。
以下、ネタバレ注意ですが、読んだら先が読めてしまうので、
これから観る予定の人は絶対に読まない方がいいです。

感謝祭の日、友人宅に招かれたドーヴァー一家ですが、
6歳の娘アナが、友人の7歳の娘ジョイと一緒に、
「家にホイッスルを取りに行く」と出て行ったきり、
暗くなって、雷雨になっても一向に帰って来ません。
娘たちは行方不明になる前近所に停めてあったRV車に興味を惹かれていたので、
アナの父ケラーは、そのRV車の持ち主が誘拐したのではと考え、警察に通報。
その夜、ロキ刑事は雑木林沿いの道路に停めてあるRV車を発見し、近寄ると、
車はまるで逃げるように急発車して、雑木林に突っ込み故障。
彼は運転していた男アレックスを拘束します。
見るからにペドフィリア臭い不審な男で、あまりに変質者らしすぎて、
逆に誘拐犯じゃないんじゃないかと思ってしまうほど不審です。
それもそのはず、検査の結果、彼はIQが10歳並の知的障害者だったのです。
彼は誘拐を否認しますが、彼の車にも物的証拠は残っておらず、
ロキ刑事はIQ10歳並の彼に誘拐は無理だろうと考えます。
でも父ケラーは、IQ10歳並の男がRV車を運転できるはずはないし、
雑木林で逃げたのも怪しいと、アレックスが誘拐犯だと疑うのです。
この時点では、ボクもロキ刑事の意見に全面的に賛同しました。
アレックスが見るからにペド臭くて、逆に怪しくないのもそうだけど、
知的障害者の小児性犯罪を描くなんて、さすがに際どすぎますからね。
小児性犯罪者に知的障害者が多いのは、紛うことなき事実ですが、
それをドラマや映画にするのはタブー視されていますからね。

しかしある出来事により、ケラーの勘は強ち間違いじゃないとも思うように…。
警察は証拠が全くないため告発できず、48時間しか拘束できないため、
失踪から3日後、警察はアレックスを釈放します。
地元マスコミが殺到する中、警察署から出て来たアレックスに、
ケラーが掴みかかるのですが、その時アレックスがボソッと、
「僕がいる間、泣かなかった」と意味深な発言をします。
その小さな声はケラーにしか聴こえませんでしたが、
彼はそれにより疑いが確信に変わります。
更にその後、ケラーが犬の散歩中のアレックスを尾行すると、
娘たちが歌っていた替え歌を、彼が口遊んでいたのです。
それもケラーしか聴いてないので、証拠としての価値はありませんが、
もうアレックスの犯行を疑う余地のない決定的な事実ですよね。
警察署前での発言は意味深すぎて解釈の余地がありすぎますが、
替え歌がたまたま被るなんてことは考えられないです。
ただボクの知らないだけで、有名な替え歌かもしれないとも思いました。
「Jingle bells, Batman smells, Robin laid an egg...」
という歌詞で、バットマンを揶揄する「ジングルベル」替え歌ですが、
後で調べてみたら、本当に有名な替え歌だったみたいです。
まぁ有名だったとしても、感謝祭直後にあえてこれを口遊んでいるのは、
やはり不自然だし、アレックスが全く関与してないとは考えにくいです。

ところがボクはアレックス犯人説を確信するまでには至りません。
というのも、ロキ刑事の捜査で、容疑者が増えるからです。
ロキ刑事は半径10マイル内に住む性犯罪歴のある9人を戸別訪問します。
その中に神父がいたのですが、聖職者が性犯罪者ってだけでも驚きだけど、
なんと彼の家の隠し地下室から、男の死体が出てきたのです。
ミイラ化していたので、今回の誘拐とは直接関係なさそうですが、
なんでも16人もの子どもを誘拐し、殺した男だったそうで、
この地区には昔から誘拐事件が頻発していたのではないかと考えられ、
何か組織的な犯罪の匂いもしてきました。

アレックスを疑うケラーは、警察に愛想を尽かし、自ら行動を起こします。
犬の散歩中のアレックスを拉致、今は廃屋の自分の実家に監禁、拷問します。
「娘はどこだ!」と詰問しながら、顔面をボッコボコに殴りますが、
それにより血まみれで異常に腫れ上がった彼の顔面は、かなり衝撃的です。
その後、狭い暗室に閉じ込め、冷水や熱湯を浴びせるという、
北朝鮮の収容所かと思うほど非人道的な拷問も行います。
知的障害者に対し、こんな強烈な仕打ちを描いた映画というのは、
ボクの知る限りでは初めてで、倫理的にかなり攻めた内容です。
こんな強烈な拷問でも、何も話さないところを見ると、
本当に何も知らないのではないかとも思えてきますし、
展開的にケラーの誤認だった場合の方が、物語としても面白いので、
やっぱりアレックスはシロかもしれないと思わされました。
ただ彼は「ボクはアレックスじゃない」と意味深な発言をしており…。
興味深いのは、刑務所前の「僕がいる間、泣かなかった」という発言が、
ケラーの脳内では「僕が去って、泣いた」にすり替わっていることです。
その方が娘が酷い境遇に聞こえるので、娘を心配するあまり、
ケラーの記憶が悲惨な方へ歪曲されたのでしょうね。
ただちょっと不思議なのは、アレックスを何日も監禁するけど、
もし彼が犯人だったなら、その間娘は放置されることになるので、
ケラーは彼を監禁したら、娘が餓死するとは思わなかったのでしょうか。
まぁ結果的に監禁が長引いただけで、脅せば簡単に吐くと思ったのかもね。

アレックスも失踪したら、普通はもっと騒ぎになりそうなものですが、
何故か警察も、そして彼の面倒を見ている伯母も静観しています。
警察は容疑者だから逃亡したと思っているような感じですが、
それなら彼が無実だと思っていないことになり、ちょっと不思議です。
アレックスの失踪を疑問に思っているのはロキ刑事だけですが、
彼は捜査過程で、昔この辺りであったバリー少年の失踪事件が気になります。
バリーの母を訪ねると、彼女は「同一犯ではないか」と言うのです。
まぁバリーの誘拐はミイラ男が犯人だと推量できるので、
同一犯ではない気がしますが、ミイラ男ではない可能性も捨てきれません。
そんな折、ロキ刑事はキャンドルビジル中に不審なフードの男を発見します。
彼と目が合ったフード男は逃げ出したので、これはかなり怪しいです。
その時は逃げられてしまいますが、彼の似顔絵を見た服屋の店員が、
「この男は毎週子供服を買いに来る」と証言します。
妻帯者には見えないので、メチャメチャ怪しいですが、
決定的だったのは、フード男がなぜかケラーの家に不法侵入したことです。
その時は目的がわからず、不気味でしたが、もう真犯人は彼で決まりでしょう。

フード男が家に侵入したことに気付いた妻は、警察に通報し、
ロキ刑事が実況見分に来ますが、娘が失踪したことで精神耗弱状態の妻の話を、
彼は妄言だと思い込み、全く相手にしませんでした。
この時、ちゃんと対応していれば、もっと早く事件は解決したのに、
凄腕だと思っていたロキ刑事に、ちょっと不信感が湧きましたね。
ロキ刑事はフード男の侵入よりも、地下室にあったアルカリ剤が気になります。
アルカリ剤は死体を溶かすのにも使われる薬剤で、
なぜそんなものをケラーが持っているのか不審に思い、
翌日ケラーを尾行しますが、彼に気付かれて失敗します。
でも、ロキ刑事はケラーの犯行の可能性も疑うことになったでしょうね。
ボクたち観客にしてみれば、その可能性はゼロだと思うし、
ロキ刑事は全く的外れな気がして、実は無能なんじゃないかと思いはじめました。

そんな折、ロキ刑事の無能さを象徴する出来事が起きます。
フード男の自宅を突き止めた彼は、すぐさま押し掛け、男を拘束し家探しします。
台所のシンクには豚の頭が転がっており、明らかに普通じゃないです。
ある部屋に、鍵付きのボックスを複数発見し、それをこじ開けると、
中から血まみれの大量の子供服と、何匹もの生きたヘビが出てきます。
更に「迷路を解いたら帰っていい」と書かれた手製の迷路ブックも出てきます。
もちろんそれらを押収して、フード男を拘束し、警察で尋問しますが、
この男も障害者なのか、取調室でただひたすら迷路を描き続けるだけで、
何も聞き出すことができず、痺れを切らしたロキ刑事が彼に掴みかかると、
拳銃を掏られ、次の瞬間、拳銃自殺されてしまうのです。
容疑者に取調室で自分の拳銃で自殺されるなんて、洒落にならない大失態です。

しかしフード男は捕まった直後に、女の子を殺したと供述しており、
彼が犯人なのは間違いなさそうだと思いました。
押収した子供服の中にも、ケラーの娘の靴下が確認され、これは決定的です。
いやー、まさか娘が死んでいたなんてバッドエンドになるとは、
全く予想外だったので衝撃的でした…。
…と思ったら、なにやら妙な展開になります。
娘の死を示す証拠に落ち込んだケラーは、監禁中のアレックスに弱音を吐きます。
するとアレックスは「二人は迷路にいるよ」とまたしても意味深な発言。
それを聞いたケラーは、彼の伯母なら何かわかるかもしれないと、
彼女を訪ねますが、特に何の情報も得られず…。
その頃警察がフード男の家の庭を掘り返すと、二体の子供のマネキンが発見され、
どうやら彼は何かの小説を真似て、犯人になりきっていたようなのです。
娘の靴下は家に侵入した時に盗み出したものだったのです。
つまり娘の安否はまだわからないということになります。
誘拐事件の物語で、被害者の子供が殺されるなんて展開は珍しいので、
いつもならその供述は嘘だとすぐに気が付きそうなものですが、
本作であっさり信じてしまったのは、普通の映画だとそろそろクライマックスで、
これ以上展開が変わることはないと思ってしまったからです。
ところが本作は(意識してなかったけど)150分以上ある長尺映画だったので、
まだまだ展開が覆るのに十分な時間が残されていたようです。
覆るどころか、ここから更に展開が二転三転します。

暫くすると、娘と一緒に誘拐された知人の娘ジョイが保護されるのです。
どうやら誘拐犯のところから逃げてきたみたいなのですが、
ジョイは娘はどうしたのか尋ねるケラーに対し、
「(監禁現場に)あなたもいた」と顔を引きつらせるのです。
まさかケラー自身が犯人というサイコスリラーだったのかと愕然としました。
ここまで引っ張って自分オチなんて最悪ですからね。
その直後、ジョイの病室を飛び出すケラーを、ロキ刑事が追います。
彼は途中で見失ってしまうのですが、きっと実家に行ったのだと考え、
ケラーの実家に侵入し、アレックスを発見、救出するのです。
でもそこにはケラーの姿はなく…。

そのころケラーは、アレックスの伯母の家を訪ねていました。
前回訪ねた時のことを、ジョイは言っているのだと考え、
伯母の家が監禁場所だと確信したからです。
つまりケラーの自分オチではなかったということで、安心しました。
でもここが監禁場所だと、やっぱりアレックスが犯人なのか…、
…と思ったら、なんと伯母の単独犯だったようなのです。
まぁアレックスは二人が伯母の家にいるのを知っていたので、
これまでの意味深な発言も納得できましたが、
拷問されても居場所を吐かなかったのは、ちょっと不思議かな。
彼は警察でも嘘発見器にかけられたはずなんですが、
「二人のことは知らない」という嘘も見抜かれなかったなんて、
やはり不可解ですが、知的障害者に嘘発見器は通用しないのかな?

アレックスの伯母は、その昔幼い息子を事故で亡くしており、
旦那と一緒に他人の子供を誘拐していたみたいなのです。
その旦那こそ、例のミイラ男だったみたいで、
アレックスも本当の甥ではなく、最初に誘拐した子供で、本名をバリーといい、
ロキ刑事が気になった昔この辺りで失踪した少年がアレックスだったのです。
いやー、バラバラだったピースがどんどん繋がることに感心しました。
ただフード男との関係は、いまいち掴みにくかったかも…。
あと、子供たちを誘拐する動機が「神に戦いを挑む」というのも、
いまいちピンと来ませんでしたが…。

伯母は、再び訪れたケラーに拳銃を突き付け、抵抗できなくなる薬を飲ませ、
彼を庭の竪穴の中に落として、出口を車で塞ぎ、閉じ込めます。
その後、アレックスを救出したロキ刑事が、その報告に伯母を訪ねますが、
その時、彼女がケラーの娘に何か薬物を注射しているところを目撃し、
撃ち合いとなって、被弾しながらも彼女を銃殺し、娘を救出します。
ダメな奴だと思っていたロキ刑事ですが、自分も大怪我しながらも、
必死で昏睡状態の娘を病院に運ぶ姿は格好よかったです。
でも覆面パトカーで運んだけど、途中で何度も交通事故を起こしかけてましたが、
パトランプだけじゃなく、サイレンも鳴らせば、事故の危険性は減るのにね。
アレックスことバリーは十何年かぶりに、本当の家族のもとに帰りましたが、
正直、長い誘拐生活で精神が退行してしまった息子に帰って来られても、
家族はちょっと困ったでしょうね。
それにアレックスがバリーなことは伯母とケラーしか知らないはずなのに、
伯母が銃殺され、ケラーが行方不明なのに、なぜ本当の家族の元に帰れたのか…。
まぁ伯母を調査して、余罪も全て明らかになったっということかな。

誘拐された娘が無事に帰って来たのはよかったけど、
娘のために必死で頑張っていた父ケラーが逆に失踪状態で、
まだ再会もしていないので、ハッピーエンドな気がしません。
彼を生き埋めにした伯母が死んだので、彼が発見される見込みは低いけど、
事件の事後処理で伯母の家を訪れていたロキ刑事が、
庭の地中から、俄かにホイッスルの音がするのに気が付き、
そこで本作は終了するのですが、おそらくこの後ケラーは救出されるのでしょう。
その場所に娘が閉じ込められた時、彼女がホイッスルを落としていたため、
運よくケラーはそれを使って発見してもらえたわけです。
娘を助けるつもりが、逆に娘に助けられたようなものですね。
まぁロキ刑事に救出されても、知的障害者を誘拐犯と誤認し、
拉致監禁暴行した罪はかなり重いので、投獄は免れないでしょうけどね。

本作は、娘を想うあまり勘違いでとんでもないことを仕出かす、
父ケラーの暴走っぷりが最大の見所で、彼の不法行為は許されるものではないが、
暴走するのも仕方がないと思える状況で、そこに倫理観が揺さぶられます。
さらにケラーの被害者になるのが知的障害者という際どい設定で、
本作自体の倫理観の是非も興味深いところです。
しかしそんな倫理観の揺さぶりだけに終始せずに、
誘拐事件の真相を追うミステリーとしても、
とても面白い展開に仕上がっているのが素晴らしいです。
キャスティングも絶妙で、とても見応えのある作品でした。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1282-5127d39f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad