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アデル、ブルーは熱い色

今月19日公開の日本映画『そこのみにて光輝く』ですが、
なんでも第38回モントリオール世界映画祭のコンペ部門の出品が決まったそうで。
予告編は観たことあるけど、なんだか暗くてジメジメした印象だったので、
これは観ないな、と思ってたんですが、映画ファンの日本人としては、
そんな大きな映画祭に出品する作品となれば、観なきゃいけないような気が…。
でも、原作者が自殺した小説家って話だし、鬱映画臭が半端ないんですよね。
それを観た途端に五月病になりそうだから、やっぱり観るのはよそうかな。
モントリオールでもし何か賞でも獲ったら、DVDで観ることにしようかな。

ということで、今日は大きな映画祭で賞を獲った映画の感想です。
カンヌは来月開催ですが、たしか17日ごろコンペ部門の発表ですよね。
どんな映画がラインナップされているのか楽しみです。

アデル、ブルーは熱い色
Blue Is the Warmest Colour

2014年4月7日日本公開。
第66回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞したフランス映画。

教師を夢見る高校生アデル(アデル・エグザルコプロス)は、運命的に出会った青い髪の画家エマ(レア・セドゥ)の知性や独特の雰囲気に魅了され、二人は情熱的に愛し合うようになる。数年後、念願の教師になったアデルは自らをモデルに絵を描くエマと一緒に住み、幸せに満ちあふれた毎日を過ごしていた。しかしエマの作品披露パーティーをきっかけに、二人の気持ちは徐々に擦れ違っていき……。(シネマトゥデイより)



本作は第66回カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを受賞した作品です。
『そして父になる』が審査員賞を受賞した時のライバルですね。
世界三大映画祭の最高賞なので、ボクも映画ファンの端くれとして、
2009年以降、パルムドール作品は欠かさず観るようにしているのですが、
どうも相性が悪く、面白いと思ったことは一度もないんですよね。
残念ながら今回のパルムドールもそうでした。

本作はパルムドール受賞作ですが、史上初めて、
監督以外に2人の主演女優もパルムドールを受賞しています。
これが何を意味するかといえば、本作がパルムドール受賞に至ったのは、
監督の力ではなく、その2人の主演女優のお陰ということでしょう。
本来監督が受け取る賞なので、一応監督にも渡したけど、
スピルバーグら審査員が本当に渡したかったのは主演女優だったということです。
つまりそれは、監督の腕が評価されているわけではないため、
作品の内容自体は取るに足らないものだということを示していると考えられます。
実際、本作の編集は非常に雑で、お世辞にも腕がいいとは言えません。
上映時間が3時間もなりますが、要らないシーンや、ダラダラした長回しが多く、
中弛みが激しすぎて、ボクも上映中、2度も腕時計を確認しちゃいましたよ。
原題が『La Vie d'Adèle – Chapitres 1 & 2』というそうで、
おそらく2本分の作品を1本にまとめたものだろうと推測されますが、
まとめるにあたって、全くハサミを入れなかったのではないかと思われます。
腕のいい監督なら、この内容なら編集で2時間に収められるはずなので、
いかに監督の腕がないか、監督のパルムドールがお情けであるかが窺えます。

パルムドールを受賞した主演女優の2人、
アデル・エグザルコプロスとレア・セドゥが
本作のパルムドール受賞の立役者なのは間違いないですが、
パルムドールは演技賞ではないため、普通は俳優には贈られません。
カンヌ映画祭にもちゃんと演技賞はあり、もちろん女優賞もあるので、
本来ならば彼女たちにはそちらを受賞させるべきです。
或いは女優賞も受賞した上で、更に特別にパルムドールが贈られるというのなら
まだわからないこともないが、女優賞は別の映画の主演女優に贈られています。
これが何を意味するかといえば、
彼女たちは演技で評価されたわけではない、ということでしょうね。
では彼女たちの何がパルムドールに相応しいと考えられたのかといえば、
体を張った、激しい濡れ場に他ないでしょう。
とにかく本作の濡れ場は凄まじいです。
彼女たちはレズビアンのカップルを演じているのですが、
その2人のセックスシーンが超リアルなんですよね。

いや、ボクも女性同士のセックスシーンなんてちゃんと見たことがないので、
リアルかどうかなんて本当はわからないですが、これを見ると、
女性同士のセックスってこうやってやるのか、と思わされるくらいで、
オーラルセックスからフィンガリングから噂に聞く貝合わせまで披露し、
演技とは思えないほどの本気を感じました。
大事な部分には薄いボカシがかけられていますが、もちろん全裸です。
ボクの後ろの席だったオッサンなんて、もう興奮しすぎで、
ボクの座席を蹴りまくってましたからね。
睨みつけても濡れ場のたびに蹴ってくるので、諦めてボクが席を移動しました。
そしてまた、そのセックスシーンが長尺なんですよね。
物語が中弛みしてくるとやたら長くて刺激的な濡れ場を挿入する構成なので、
客から飽きられないように工夫しているのかもしれませんが、
逆に濡れ場が長すぎて、その刺激に飽きてくるくらいです。

主演女優の2人が、どんな性的趣向なのか知る由もありませんが、
もし完全なストレートなら、このレズのセックスシーンは、
かなり過酷だったと想像できるし、そこを評価したい気持ちもわかるが、
濡れ場が刺激的でパルムドールが取れるなら、AVでもパルムドールが取れますよ。
まぁAVとは違って、本作の濡れ場はガチに見えるけどガチではなく、
そのシーンでは作り物の精器が使われたらしいので、あくまで演技ですが…。
(それもボカシで本当かどうかわからないけど。)
彼女たちが女優賞ではなくパルムドールを受賞していることからも、
その過激すぎる濡れ場の演技だけが評価された作品なのは間違いないが、
仮にも映画界最高権威の映画賞のひとつが、そんな下世話な判断基準で、
作品を評価するべきではないと思います。
もっと作品のテーマ性やドラマ性を鑑みて、
映画として本当に素晴らしいものを選ぶべきです。
濃厚な濡れ場があればパルムドールが受賞できる、なんて誤解されたら、
そのうちカンヌのコンペ部門はポルノまがいの作品で埋め尽くされますよ。

大きなお世話かもしれませんが、主演女優2人からしたら、
予期せぬパルムドール受賞は嬉しかったかもしれませんが、
きっとアデル・エグザルコプロスの方は、ちょっと不満もあると思います。
レア・セドゥと比べても、明らかに彼女の方が体を張ってますからね。
私はオナニーや男とのセックスシーンもあったのに、なぜレアと同等の評価なの?
って思っているに違いないです。
監督に至っては本来自分だけが受け取る賞だったのに、
主演女優2人にまで受賞されちゃって、立つ瀬がないでしょう。
今回の審査委員長であるスピルバーグが、自分の権威を過信し、
何をしても許されると思っているのかもしれませんが、
こんなばら撒きとも思える同時受賞なんて前例を作ってしまうと、
賞自体の価値も下がってしまうため、あまり例外は作るべきではないです。

結局、評価されたのは濡れ場オンリーで、
作品の内容や役者の通常の演技は、取り立てて評価すべきところがない本作。
物語もヒロインのアデルがレズビアンに目覚めて、
レズの女性エマと交際し、そして破局するというだけの話で、
レズカップルという特異性はあるけど普通のロマンス映画です。
特にドラマ性もなければ、テーマ性もありません。
まぁ所謂ゲイ映画というだけでも、ある程度社会的に意味があるかもしれないが、
本作は特にそんな同性愛の問題を描いた作品でもありません。
アデルは女友達から冗談でキスされたことを真に受け、関係を迫りますが、
女友達から「そんなつもりじゃなかったんだけど」と拒否され落ち込みます。
そんな彼女をゲイの男友達がゲイバー(というかはってん場)に誘い、
そこでレズの女性エマと知り合い、後に交際がスタートするのですが、
ゲイバーに行ったことが同級生たちにバレてしまい、
レズ疑惑を掛けられてからかわれるのですが、
アデルは「私をレズ扱いするな」と激怒するのです。
この展開は、マイノリティである同性愛の苦しさや辛さを描いていますが、
そんな展開があったのは、序盤のこのシーンだけです。
この後、彼女が同性愛差別される展開は一切なく、
いつの間にか卒業するので、同級生たちも一切出てこなくなります。
わけがわからないのは、同性愛だと疑われることを毛嫌いしていたアデルが、
普通にゲイ・パレードなんかに参加していることです。
普通にエマともイチャイチャするし、隠すつもりはないようなので、
じゃあなんであの時だけ、あんなに激怒したのかわかりませんね。

ただでさえ無駄に長い本作ですが、更に退屈さを煽るのが、登場人物たちの会話。
どうもインテリキャラが多いみたいで、会話がやたら哲学的で、
サルトルの実存主義がどーたらこーたらとか、全く意味不明です。
それが本筋のテーマと何か関係があるならいいのですが、
おそらく全く関係ないと思われ、ただ小難しいだけの無価値な会話です。
こんなところもインテリ気取りのカンヌでは受けたのかもしれませんが、
そんな無為な会話は全部カットして、少しでも上映時間短縮しろと思います。

結局、やたらと濃厚な濡れ場しか見所がない本作ですが、
その部分にしたって、主演女優の2人が好みじゃないのでイマイチでした。
たしかにアンダーヘアも剃毛しており、プロポーションも抜群で、
体は芸術的だと思えるほど綺麗なのですが、顔が…。
エマは青い髪の短髪で、眉毛もほとんどなく、ボーイッシュというか、
ほとんど男みたいな顔なので、全く魅力を感じません。
トレードマークの青い髪も、途中で普通の金髪になるんですよね。
邦題に「ブルーは熱い色」なんて書いてあるから、
ブルーじゃなくなるのはどうなの?って感じだったけど、
どうやら邦題は単に英題を直訳しただけだったみたいです。
アデルは可愛いという設定だけど、まぁ普通の女の子です。
でも普段の演技時は顔にほとんど感情を出さず、
何を考えているのか読めないため、感情移入がしにくいです。
いつも口半開きでボーとした表情を浮かべており、
あまり魅力的な女の子とは言いがたいと思いました。
正直これでは女優賞を獲れなくて当然です。

パルムドール受賞作なので、映画ファンとしての使命感から観ただけですが、
予想通りというか、やっぱり残念な作品でした。
審査員賞の『そして父になる』の方が映画としては断然面白いし、
審査員グランプリを受賞したコーエン兄弟の
『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』や、
『別離』の監督が撮った女優賞受賞作『ある過去の行方』の方が
本作よりきっと面白いのではないかと思います。
どちらも近日公開なので、本作と観比べてみましょう。

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