ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

ドン・ジョン

今日も映画の感想です。

ドン・ジョン
Don Jon

2014年3月15日日本公開。
俳優ジョセフ・ゴードン=レビットが初監督したロマンティックコメディドラマ。

家族関係は良く教会通いも欠かさないジョン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、ナンパにかけては無敵で周囲からは伝説のプレーボーイ、ドン・ファンにちなみドン・ジョンと呼ばれていた。誰もがうらやむモテ男なのだが満たされない彼は、さらなる快楽を求め日々ポルノ鑑賞に熱中。そんなある日、正反対のタイプの女性2人と出会った彼は、接していくうちに自身の人生を見つめ直していく。(シネマトゥデイより)



ベルリン映画祭やサンダンス映画祭でも称賛された本作は、
俳優ジョセフ・ゴードン=レヴィットの初監督作品ですが、
処女作からこれほどの作品を撮れるなんて、素晴らしい才能ですね。
俳優業では、演技派の若手という定評はあったものの、
あまり主演作にも恵まれないし、キャリアも道半ばな感じだったので、
俳優業より監督業の方が向いてるのかもしれません。
もちろん本作でも自ら主演をしていて、彼自身の演技もあって、
本作が面白い作品になっているのは間違いないので、
俳優としても相当な才能の持ち主だとは思いますけど。
俳優として主演作に恵まれないから、自分で撮ることにしたのかな?
彼の俳優としてのキャリアを見る限りでは、
本作のようなロマコメへの出演経験は少ないのに、
こんな面白くて笑えるロマコメを撮れるなんて不思議です。
コメディとしての構成がよく出来ていて、非常にテンポがよく、
全く飽きることなく最後まで楽しめるんですよね。
教会での告解シーンを随所に入れる演出なんて特に秀逸で、
天丼ネタ的な感じでボディーブローのようにジワジワ効いてきて、
終盤には神父がお決まりの台詞を言うだけで劇場に笑いが起きるほどです。

脚本も彼が手掛けているのですが、題材が面白いですよね。
ポルノ中毒の男が主人公のロマコメなんて、とても斬新だと思います。
ボクは自分でも心配になほど性欲が薄いので、ポルノもあまり好きじゃないけど、
なぜか本作の主人公ジョンには妙な共感を覚えてしまいます。
それはジョンがセックスよりポルノが好きな変人なのですが、
セックスが嫌いじゃないけどそこれほど好きでもないというところが、
草食系なボクの心に響くのかもしれません。
まぁボクは自発的に見たいとは思わないほどポルノに興味がないので、
ジョンのようにセックスよりポルノがいいとは思ったことがなかったけど、
本作を観て、ジョンのポルノが如何に素晴らしいかという講釈を聞いたら、
本当にセックスよりポルノの方がいいような気になってしまいました。
いやー、世の中には面白い考え方をする人がいるものです。
さすがは「ポルノの首領(ドン)」の異名を取る"ドン・ジョン"です。
でも、その異名は仲間内(主に親友2人)だけで通じるもののようですね。
てっきり「ネット上では超有名なポルノオタク」みたいな人物かと思ってたけど、
ほとんど自称みたいなものでした。

そんなジョンですが、引き籠ってポルノで自慰に明け暮れてるわけではなく、
毎日のように親友2人とクラブに繰り出し、上玉の女の子をナンパしては、
お持ち帰りしている超プレイボーイです。
女の子には事欠かず、そんなにモテるならポルノなんて要らなそうですが、
彼は事後、こっそりベッドを抜け出しては、パソコンを起動し、
ネット上のポルノ動画で自慰をしますが、彼はセックスだけでは物足りず、
締めに大好きなポルノで抜かないと満足できないみたいです。
実際にセックスした後、他人がセックスしている映像を見て興奮できるなんて、
ちょっと信じられないド変態ですが、前述のように彼の講釈を聞くと、
なんとなくそれも納得できるような気がします。

ジョンが考えるポルノの優位性ですが、
まずセックスした相手よりもポルノ女優の方が上玉ということ。
これはポルノによってピンキリだと思うけど、お気に入りのポルノ動画だから、
出演するポルノ女優が自分好みになるのは当然なのかな。
彼は巨乳で美尻が大好きなようですが、なかなか素人の女性だと、
好みの体型の女の子にばかり当たるはずはありませんもんね。
まぁそれでも生の女の子に越したことはないだろうと思いますが、
むしろ思わず納得してしまったのはここからで、
彼もやはりフェラなんかは映像より実際にやってもらう方が好きだけど、
フェラをやってもらうために、先にクンニで奉仕するのが面倒臭いとのこと。
ボクも基本的にオーラルセックス全般嫌いなので、妙に納得しました。
更に彼は正常位もあまり好きではないらしいです。
彼がバックが好きですが、なかなか実際の女の子はやらしてくれないそうです。
ボクは経験自体が少ないので、女の子の一般的な趣向はわかりませんが、
たしかにポルノなんていうのは一種のファンタジーですもんね。
ポルノみたいなセックスしてるカップルなんて、ほとんどいないはずです。
更に正常位だと男しか動かないので、不公平さを感じるみたいですが、
いやー、その発想はなかったです。
言われてみればたしかに一般的なセックスって、男の負担の方が大きいかも。
ジョンのようなモテ男でもそうなんだから、ほとんどの男がそうでしょ。
まぁ簡単に言えば、ポルノはセックスより楽ってことですね。
彼くらいの経験があれば、その境地に至るのもわかる気がします。

でもジョン曰く、そんな素晴らしいポルノにも、ひとつ欠点が…。
それは絶頂の瞬間に、男が映ってしまう危険性があることです。
これはマジで最悪ですが、ボクがポルノを嫌いな最大の理由もまさにこれ。
絶頂の瞬間じゃなくても、男の裸なんてキモいものは一切見たくないので、
必然的に男の裸を見ることになるポルノは、むしろ拷問ですよ。
映画で俳優が濡れ場を演じる時の俳優の裸は全然平気ですが、
正直ボクはポルノ男優なんて輩を軽蔑しているので、
存在自体が気持ち悪いそいつらの裸を見せられるのは耐えられません。
男の喘ぎ声や鼻息が聞こえるだけでも吐きそうになりますからね。

おっと、なんだか話があらぬ方向に…。本作の感想に戻ります。
以下、ネタバレ注意です。

ポルノ中毒のプレイボーイのジョンが、いつものようにナンパに繰り出すと、
お気に入りのポルノ女優でも見たことがないほどの上玉の女の子を見つけます。
スカーレット・ヨハンソン演じるその女の子は、たしかにナイスバディで、
美女だと思うけど、そこまで「特上」って印象はないかな…。
ジョンの友達も、ボクと同じ印象だったようなので、
たまたまジョンのタイプに合致しただけで、やはり好みは人それぞれ。
ボクとしては彼女の前に目を付けた紫の服の子の方がタイプでした。
でも作中で最もタイプなのは、ジョンの妹だったけどね。
ジョンはその特上の女の子をナンパしますが、キスまでは簡単にできたものの、
お持ち帰りはできず、後日彼女の名前が「バーバラ」であると知り、
ネットで検索し、見事に彼女のフェイスブックを見つけて、ランチに誘います。
その後、一緒に映画を観に行って、なんだかんだで交際が始まります。
その時彼女と観た映画は『スペシャル・サムワン』という架空の映画ですが、
ベタベタなロマコメで、『親愛なるきみへ』のチャニング・テイタムと
『プラダを着た悪魔』のアン・ハセウェイが主演という、
チップフリック(女子ウケしそう)なキャスティングで笑っちゃいました。
案の定、女子力の高いバーバラは超感動します。
ボクはロマコメも意外と好きですが、ポルノにしか興味がないジョンは、
「映画なんて時間の無駄だ」と思っていて、ロマコメをバカにしてますが、
バーバラに気に入られるために仕方なく付き合って話を合わせます。
映画ファンとしては、映画をポルノより下に見ているジョンに対して、
ちょっとカチンとくるけど、実際ジョンのような人も多いでしょうね。

バーバラと交際し始めたジョンですが、彼女はキスしかさせてくれず…。
セックスを迫るも「まだ早すぎる、もっと知り合ってから」と拒否し、
まず友達や家族を紹介し合いたいと言い出すのです。
若いのに結婚を前提に真剣に交際しようと考えている感じで、
ブロンドでセクシーな派手な女の子のわりには、身持ちが固くて好印象でした。
しかし更にジョンに対し、夜間学校に通うように勧めてきます。
どうやら彼がバーテンダー(サービス業)に従事していることが気に入らず、
学位を取ってホワイトカラーに転職してほしいみたいです。
まぁ結婚を考えるなら、収入や安定を考えるのは当然かもしれないけど、
付き合う相手を職業や収入で判断しているような感じで、
ワープアのボクとしては、好印象から一転し、とても感じ悪く思えました。
それならそうと、端から金持ちのボンボンとでも付き合えよって感じです。
彼女の器量なら、男もより取り見取りなはずなのに…。

ジョンは何としても彼女とヤリたいので、
言われるがままに夜間学校に通い、友達や家族も紹介します。
バーバラを実家に招いた時に、彼女はジョンの母親に対して、
「何かお手伝いしましょうか?」なんて言っていたので、
派手な格好のわりに家庭的なんだなと、またちょっと見直したのですが、
後日、彼女は家事なんて一切しないことが判明しました。
それを「メイドがいるから」と悪びれずに言うのですが、
お嬢様なんだろうからそれは仕方ないとして、一人暮らしのジョンに対しても、
彼女は「男が家事するなんて恥ずかしいからやめて」と言うのです。
この世間知らずな発言には幻滅を通り越して怒りを感じました。
どれだけ身勝手な女なのだろうと…。
ジョンの妹はそんなバーバラの本性見抜いていたようですが、
ジョンの両親はすっかり騙され、息子に素敵な恋人ができたと大喜びです。
ジョンの父はバーバラにやたらスキンシップをしますが、
そのエロ親父っぷりも笑えましたね。

バーバラに言われるがままにしたことが功を奏し(?)、
ついにジョンは念願の彼女との初セックスをするのですが、
それでもやっぱり事後にこっそりポルノを見ます。
憧れのバーバラとのセックスよりもポルノの方が上だったみたいですが、
彼女ほどの美女がセックスで男に尽くすことなんてあり得ず、
フェラもパイズリもしてくれないので、物足りないみたいです。
なんか納得ですね。
ジョンが事後にポルノを見ているのを発見してしまったバーバラは大激怒。
どうやらポルノに対して激しい嫌悪感があるみたいで、
「ポルノなんて見る男は病気だ」とジョンを罵ります。
ジョンは「友達が悪戯でポルノ動画を送って来ただけだ」と、
AVが母親に見つかった中学生みたいな言い訳で、その場を取り繕いますが、
二度とポルノを見ないことを誓わされるのです。
こんなわがままな女には「キミのセックスが物足りないからポルノ見るんだろ」
とでも言ってやればいいのに、ベタ惚れのジョンは言われるがままです。
まぁその後も隠れてこっそり見続けるんですけどね。
それにしても、ジョンは釣った魚には餌をやらないタイプかと思ったので、
バーバラのことも一発ヤレたら興味なくすかと思ったのに、
むしろどんどん彼女に尽くすようになったのは意外でした。
彼女とのセックスも期待していたほどではなかったのに不思議です。

バーバラに気に入られるために、嫌々夜間学校に通うジョンですが、
校舎の入り口で泣いている中年女性の生徒エスターと出会います。
それがキッカケで、エスターは何かとジョンに絡んでくるようになりますが、
オバさんには興味ないジョンは迷惑そうにしています。
オバさんかどうかは別にしても、たしかにお節介焼きで、
ズケズケと質問攻めにしてくるので、ちょっと鬱陶しいタイプです。
でも実はこのオバさんこそが、本作のヒロインなんですよね。

ある日、バーバラが勝手にジョンのパソコンのブラウザ履歴を見て、
彼が毎日ポルノ動画を見ていたことを発見し責め立てます。
うわ…、いくら恋人でもブラウザ履歴見るなんて最低ですよね。
自分の行為は棚に上げて、ジョンを責め立てるんだから性質が悪すぎます。
その結果、ジョンは見事にフラれてしまうのですが、破局したのはよかったけど、
この場合はバーバラが悪いんだし、彼女がジョンにフラれるべきで不愉快です。
その口論で、ジョンは珍しく反論するのですが、
ジョンが「(キミの好きな)ロマコメ映画もポルノも一緒だ」というと、
バーバラは「映画には賞があるから別物」と反論します。
するとすかさずジョンは「ポルノにも賞がある」というのですが、
アメリカにはポルノの賞があるということに驚きました。
そういえば『ポルノ☆スターへの道』でポルノの授賞式が描かれてたかも。
映画の賞に比べると、全く権威もなさそうでしたけど…。
しかしあんな趣向の分かれるものを、どうやって競わせるんですかね。

ジョンはバーバラにフラれて以来、より一層ポルノに嵌ります。
フラれて以降も夜間学校には通い続けるジョンは、
ある日エスターに声を掛け、ふたりはカーセックスするのです。
あんなにウザがっていたオバさんと急にそんなことになるなんて、
ちょっと急すぎる展開で彼の心境が理解できませんが、
ある意味バーバラとは真逆なエスターに興味を持ったのかな?
事後、エスターは「あなたはポルノ中毒。ポルノなしで抜けるか?」と訪ね、
ジョンはポルノ中毒であると認めませんが、試してみると自慰できず、
自分がポルノ中毒であると認めざるを得なくなります。
まさかジョンがポルノ中毒を自覚してなかったとはビックリですね。
「男はみんなこれくらい普通だ」と思ってたのでしょうか。
エスターはジョンに「あなたのセックスは一方的だ」といい、
「もしポルノ以上のセックスを望むなら双方向じゃないとダメだ」と助言。
そしてジョンは彼女とセックスして、「求めていたのはこれだ」と気付くのです。
それ以来、ジョンはエスター一筋になって、めでたしめでたしです。

二人が幸せそうなので別にいいけど、終盤の展開は怒涛すぎやしませんか?
ジョンはエスターのことは絶対タイプじゃないはずなのに、
急すぎるこの心変わりには、ちょっとついていけませんでした。
エスターもお節介なオバさんから、急に愛の伝道師みたいになるし、
彼女はセックスを語れるほど、経験豊富そうにも見えないんだけど…。
なんでも、14か月前に夫と子供を交通事故で亡くしたようで、
それが悲しくて泣いていることが多いんだけど、そんな彼女が、
ジョンみたいな若い男といきなり交際したりするものかな?
しかも双方ともに結婚するつもりはないようで、本当に愛し合う二人なら、
結婚したいと思ってもよさそうなものだけど…。
そのあたりの恋愛の機微は、恋愛経験の少ないボクには理解できないのかも。
それにしても、ジョンはエスターと交際するようになって、
ポルノはスッパリやめることができたんですかね?
それって重要なことだと思うけど、なぜ本作では描かれなかったのかな?
まぁ1日に11回も自慰していた男が、愛のあるセックスに目覚めたからといって、
急にセックスだけで性欲を処理できるはずないし、
ポルノをやめたかどうかなんて、言わずもがなかな…。

終盤のロマコメ的帳尻合わせはちょっと残念だったけど、
全体的にはとても面白く、かなり笑わせてもらったし、
目からウロコな興味深い内容もあったので、かなり楽しめた作品です。
本作で華々しく監督デビューしたジョセフ・ゴードン=レヴィットですが、
次回監督作はアメコミ映画『サンドマン』という噂もあり、
楽しみだったのですが、どうやら監督ではなく製作に回りそうな感じですね。
まぁたぶん主演はすると思うので、どちらにしても楽しみです。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1253-b03b1615
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad