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ホビット 竜に奪われた王国

今日で2月も終わりですが、今日観た映画で今年30本目になります。
今年は感想本数を180本に抑える計画なので、順調なペースです。

3月になれば、いよいよ第86回アカデミー賞の発表が迫りますね。
今日も作品賞候補である『ネブラスカ』が日本公開になりましたが、
来月は作品賞候補『オール・イズ・ロスト』『あなたを抱きしめる日まで』、
そして作品賞本命と言われる『それでも夜は明ける』も日本公開されます。
更に長編アニメ賞の大本命『アナと雪の女王』も来月公開で、
気分もどんどん盛り上がってきましたね。

ということで、今日はアカデミー音響編集賞、録音賞、視覚効果賞候補の感想です。
ボクの予想では、残念ながら全て『ゼロ・グラビティ』が受賞するかな。

ホビット 竜に奪われた王国
The Hobbit The Desolation of Smaug

2014年2月28日日本公開。
J・R・R・トールキンの小説『ホビットの冒険』の映画化した3部作の第2部。

ホビット族の青年ビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)は、魔法使いのガンダルフ(イアン・マッケラン)や屈強なドワーフの一行と共に、たった一頭で一国を滅亡に導くと伝えられる邪悪な竜スマウグに奪われたドワーフの王国を奪取すべく旅に出る。竜の潜む山を目指す道中、巨大なクモの大群や凶暴なオークたちが一行の行く手を阻むように次々と立ちはだかり……。(シネマトゥデイより)



本作は『ロード・オブ・ザ・リング(以下LOTR)』三部作の
前章となる『ホビット』三部作の第二部で、
一昨年に公開された前作『ホビット 思いがけない冒険』の続編です。
前作の公開時には、続編が来年公開、つまり昨年公開されるはずでしたが、
今回は日本公開を後回しにされたみたいで、今年にずれ込みました。
前作は世界同時公開だったので、ちょっと残念です。
本作は昨年末に公開された全米で大ヒットしており、
ボックスオフィス歴代30位となる好成績を残しています。
まぁそれでも『LOTR』三部作や前作に比べたら控えめな数字ですが。

もともと前後編として企画された『ホビット』シリーズ。
原作小説も上下巻で発売されていますが、
実際に製作するにあたって、三部作に変更になりました。
なぜ変更したかですが、原作が長すぎるから、…ではありません。
原作小説は『LOTR』の原作に比べたらかなり短く、薄いです。
それをオリジナル要素で膨らまして、三部作にしています。
ピーター・ジャクソン監督にとって、ライフワーク的な作品なので、
簡単に終わらせたくなかったのだろうと予想されます。
無理やり三部作化したはずですが、オリジナル要素が膨らみすぎて、
本作は上映時間が160分以上にもなっています。
前作より若干短めですが、前作は原作上巻丸々1本分の内容だったのに対し、
本作は下巻の半分の内容だけでそんな長尺になっているんだから、
如何にオリジナル要素で膨れ上がっているかがわかると思います。

そんな無茶をすれば、水増し状態になり、冗長な作品になるのが世の常ですが、
監督の本シリーズへの思い入れが尋常ではないため、
オリジナル要素の出来が秀逸で、むしろ原作を忠実に映像化した部分より、
原作にはないオリジナル部分の方が見所になてしまっているほどです。
膨らました分だけ中身をしっかり詰めているのは素晴らしいことですが、
やはり人間には集中力の持続時間や生理現象というものがあるので、
あまり長すぎるのは如何なものかと思います。
おそらく三部作通して8時間近くになると思うけど、
それならいっそのこと各2時間の四部作にでもしてくれた方が観易いかも…。
本作を観る前に前作をおさらいしようとも思ったけど、
3時間弱もあると観なおす気になれなかったし…。
幸いにも前作公開から1年ちょっと(約14か月)しか経ってないので、
おさらいしなくてもだいたい覚えていましたけど…。
…って、こんな超大作の続編が約1年で製作されちゃうって何気に凄いですね。

オリジナル要素もよく出来ていて、なかなか面白い作品でしたが、
それでも前作の方が面白かったような気がします。
これは完全に個人的な好みでしかないのですが、ボクはゴラムが好きで、
ゴラムがいたから『LOTR』や前作も楽しめたところがあります。
しかし本作には登場しないので、なんだか物足りないです。
なんというか、作品からユーモラスさが激減した気がします。
まぁ原作でも上巻で出番は終わりだったんだから、
本作に出ることを望むべくもないのですが、
これだけオリジナル要素を足してある本作なら、
ちょっとくらいゴラムの出番も作ってくれてもよかった気が…。
なにしろ原作には登場しない『LOTR』の人気キャラ、
エルフのレゴラスを登場させてしまうほど大胆な改変をしている本作ですから、
ゴラムをちょろっと出すことなんて造作もないはずです。

そのレゴラスの登場が本作のオリジナル要素の最大の目玉ですが、
これも個人的な好みでしかないけど、彼の登場はそれほど嬉しくないです。
というのも、レゴラス演じるオーランド・ブルームがあまり好きじゃないので。
彼の宗教観や政治思想に反発を覚えるので、正直顔も見たくないです。
(『LOTR』から10年来の再演なのに、外見が当時のままなのは感心するけど…。)
わざわざレゴラスを引っ張り出してきただけあり、『LOTR』以上の大活躍で、
迫りくる敵を弓矢でバッタバッタと倒したりと、魅せ場満載です。
そのアクションシーンは目を見張るものがありましたが、
所詮はオリジナルで追加されただけで、大筋では無くても問題ないシーンです。
それよりも、なぜか雑に扱われている熊男ビヨルンを、
もっと活躍させてあげてもよかったんじゃないかと思います。

とはいえ、レゴラスの登場で、一躍脚光を浴びた原作キャラもいます。
それが13人のドワーフのひとり、キーリです。
何と彼はレゴラスが想いを寄せるエルフの女性タウリエンに恋をして、
レゴラスと三角関係になるんですよね。
たしかオリジナルキャラだと思われるタウリエンですが、
彼女もキーリのことは満更でもないようで、
三角関係というよりもレゴラスの横恋慕状態です。
キーリはドワーフ一行の中では最も若く、伯父トーリンと並ぶイケメンですが、
種族間の仲が悪いとされるエルフが彼を気に入るのは少々不思議ですね。
ドワーフの美的感覚で言っても、キーリもタウリエンを好きになるかどうか…。
(なにしろドワーフの女性は髭が生えた男みたいな風貌ですからね。)
なのでちょっと不可解な三角関係なのですが、このオリジナルの展開は、
レゴラスを本作に登場させるためには必要だったのでしょう。
彼は『LOTR』でドワーフのギリムと親友になるまでは、
ドワーフのことが大嫌いなはずなので、本作や次作でドワーフと共闘するのに、
いつまでもドワーフが嫌いだと不自然になってしまいます。
そこでドワーフの恋敵を置くことで、その嫉妬心を、
種族全体への嫌悪感に結びつけていることにしたのでしょう。
レゴラスは戦いでは大活躍するも、ポジション的には情けない男なので、
ボクとしては少し溜飲が下がります。
以下、ネタバレ注意です。

魔法使いの灰色のガンダルフやトーリン率いる13人のドワーフとともに、
かつてのドワーフの王国エレボールを取り戻すため冒険を続ける
ホビット族の青年ビルボ・バギンズ。
彼らはエレボールへの近道である闇の森を通り抜けなければなりませんが、
ガンダルフはガラドリエルからの警告を思い出し、一行を離脱します。
ガンダルフは強すぎますから、彼がいない方が冒険としては面白いですが、
彼が急ぐ旅路を切り上げてまで、何をしたかったのかがイマイチわかりません。
彼は茶色のラダガストと合流し、死霊使いの正体を探りに
ドル・グルドゥアに向かいますが、それってこのタイミングでするべきこと?
結局彼は死霊使いこと冥王サウロンの復活を止めることはできず、
逆にサウロンに捕えられてしまい、本作ではいいとこなしです。
まぁ『LOTR』への繋ぎとしては興味深い展開ではありましたが…。

ガンダルフを欠いたドワーフ一行は、案の定闇の森で迷子になり、
巨大蜘蛛の大群に襲われ、蜘蛛の巣で身動きが取れなくなります。
そこに現れたのがレゴラス率いる森のエルフの軍勢で、
彼らは蜘蛛を蹴散らし、ドワーフ一行を捕縛し、牢屋に閉じ込めます。
ビルボはゴラムから奪った魔法の指輪で姿を消して難を逃れ、
ドワーフたちを脱獄させ、逃げるために酒樽で急流を下ります。
しかしその途中でボルグ率いるオークの軍勢に襲撃され大ピンチ。
そこにドワーフを追ってきたレゴラスとタウリエンもやってきて、
三つ巴の急流下りバトルとなるのです。
このシーンは前半の山場ですが、めちゃめちゃ盛り上がります。
思わず笑ってしまうほどの斬新なドタバタ痛快バトルで、
このシーンだけでも本作は観る価値があると断言できるでしょう。
このバトルでキーリがモルグルの矢(毒矢)で負傷しますが、
なんとか逃げおおせ、下流の湖の畔に流れ着きます。

エルフに武器を取り上げられたドワーフたちは、
エレボールから最も近い湖に浮かぶ町エスガロスで補給しようと考えますが、
エスガロスの統領はエルフとの貿易で財を成しているため、
ドワーフを受け入れることは無理そうです。
そこで彼らは町人の船頭バルドに賄賂を渡して町に入り込みます。
このバルドですが、単なる気のいい青年かと思いきや実は超重要人物で、
エレボールをドワーフから奪った邪竜スマウグと過去に戦った
デイルの王ギリオンの子孫で、ドワーフの大弓を扱うことができ、
スマウグに対抗する武器である黒い矢の所有者です。
ガンダルフもビルボなんて誘う前に彼に声を掛けるべきですよね。
ギリオンはスマウグ撃退に失敗したため、
デイルはスマウグの荒らし場となり、今は滅んでしまっています。
そういえば本作の当初の邦題は『ホビット スマウグの荒らし場』でしたね。
でも本作では一行はデイルには行かず、エレボールでスマウグと対峙するので、
現邦題の『ホビット 竜に奪われた王国』の方がしっくりきますね。

エスガロスの武器庫から武器を盗み出そうとするドワーフ一行ですが、
負傷しているキーリが足手まといになってしまい、統領に捕まります。
しかしトーリンがエレボールを取り戻したら、財宝の分け前を渡すと約束。
財政難で苦しむ統領は、態度を一転させ彼らを歓迎、武器も提供してくれます。
町人に見送られて、エレボールへ向かうドワーフ一行ですが、
トーリンは足手まといな甥キーリに居残りを命じます。
キーリの兄フィーリと、医療担当オインもキーリに付き添って残ることに。
キーリを連れて行かないのはわかるけど、貴重な戦力を何人も置いていくとは、
ちょっと考えにくい決断だと思えますが…。
ボフールに至っては、飲みすぎで出発に間に合わず、
そのまま置いてけぼりになっちゃうんだからビックリです。
こいつら本当に故郷を取り戻す気があるのかと疑ってしまいますが、
更にエレボールの秘密の扉に着いた時も、鍵穴が見つからないだけで、
トーリンたちは諦めて退散しようとするんですよね…。
ドワーフではないビルボが諦めずに頑張ったお陰で、鍵穴を発見でき、
エレボールに入ることができたのですが、もっと頑張れよドワーフ。
まぁ居残り組が次作で大活躍することは想像に難くないですけどね。

ビルボは別に扉の鍵穴を探すために連れてこられたのではなく、
トーリンが「山の下の王」になるために必要なアイテム「アーケン石」を、
エレボール地下のスマウグの寝床から盗み出すのが彼の本来の役目です。
ひとり、地下に降りたビルボが見たのは金銀財宝の山。
その中から「大きくて白い宝石」というヒントだけで
アーケン石を捜すだけでも至難の業ですが、やはり最大の問題はスマウグ。
ビルボは探索早々、スマウグに勘付かれてしまうのです。
スマウグの声を演じるのは、注目株のベネディクト・カンバーバッチ。
正直あんなに声を加工してしまうと、誰が演じても同じな気もしますが、
実は声だけでなく、ゴラムのアンディ・サーキス同様、
スマウグの動きもモーションキャプチャで演じているんですよね。
その撮影シーンを想像すると、シュールで面白いですね。
スマウグに見つかったビルボは、オベンチャラでご機嫌を取ろうとします。
このあたりの掛け合いは、ゴラムの時ほどではないけど面白かったです。
余談だけど、ビルボ演じるマーティン・フリーマンは、
カンバーバッチ主演のテレビドラマ『SHERLOCK』でワトソンを演じてます。
名コンビが本作でも共演することになったわけですが、
やっぱりその絡みでカンバーバッチを起用したのかな?

オベンチャラもスマウグには通じず、ピンチになるビルボですが、
彼はこの任務には打ってつけのアイテム、魔法の指輪を持っています。
窮地になるたびに指輪を付けて姿を消して難を逃れるのですが、
正直ずっと付けっぱなしにすればいいのにと思っちゃいますね。
ただそこが本作のよく出来ているところで、
この指輪は冥王サウロンが作った邪悪なものであるという
『LOTR』から足された後付け設定を、うまく取り入れており、
ビルボ自身がこの指輪を付けることに躊躇するようになっているのです。
それでもスマウグに殺されるよりはマシだから、
やっぱり付けっぱなしの方がいいと思っちゃいますが…。
アーケン石探索をビルボに丸投げし、上で彼の帰りを待つトーリンですが、
スマウグの目覚めに気付いたバーリンから一喝されて、ビルボを助けに行きます。
…と思いきや、ビルボと再会するなり「アーケン石はどうした?」と、
彼に剣を向けるトーリン。
前作でドワーフたちの信頼を得たと思っていたビルボですが、
トーリンにとって彼は、未だにアーケン石を探す道具でしかなかったのでしょう。
なんだかちょっとショックな展開でした。
でもアーケン石があっても、スマウグがいる限り、エレボールは取り戻せないし、
形だけ山の下の王になってもトーリンには意味がないと思うんですが、
なぜそんなにアーケン石に固執するんですかね。
指輪と一緒で「プレシャス」な呪いでも掛かってるんでしょうか。

しかしスマウグが大暴れしている中で、仲間同士揉めている暇はなく、
ビルボとトーリンの関係は棚上げされて、みんなでスマウグと戦うことに。
彼らは製錬所にスマウグをおびき寄せ、炉を起動させて金を溶かし、
溶解した熱い金をスマウグにぶっ掛けます。
これも原作にはない本作オリジナルの展開ですが、
鍛冶を生業とするドワーフらしい戦術で、とても面白かったです。
しかし所詮はオリジナルの展開なので、それでスマウグが倒せないのは必定。
スマウグに金メッキを施しただけで、何のダメージも与えられませんでした。
そもそも灼熱の炎を吐くドラゴンですから、熱さに弱いわけがないです。
怒ったスマウグは、ドワーフたちに協力したエスガロスの町を破壊しようと、
ビルボやドワーフたちを無視して、飛び立ちます。
こうなることを予言でわかっていたバルドから警告を受けていたビルボは、
エスガロスに向かって飛ぶスマウグを見ながら「僕らのせいだ」と呟き、
本作はそこで終了、第三部『ホビット ゆきて帰りし物語』に続きます。

てっきり本作でバルドがスマウグを射殺すところまで描くと思っていたので、
こんなところで中断されるとは、なんだか中途半端な印象です。
スマウグも倒せなかったし、エレボールでの激戦中に
エスガロスを襲撃したボルグもレゴラスが迎え撃つも倒すには至らなかったし、
ボルグの父である穢れの王アゾクも、今回は待機していたし、
もちろんガンダルフもサウロンに一方的にやられただけなので、
本作は主要な敵キャラをひとりも倒していないことになり、物足りないです。
クライマックスの製錬所作戦も不発で、フラストレーションが堪ります。
オリジナル要素を詰め込みすぎて、スマウグ退治まで描けなかったのかな?
まぁ満足できなかった分、続編を早く観たいという気にはなりますが…。

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