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GOEMON

今年の大河ドラマ『天地人』は期待してたわりに面白くないかも…。
まだ物語も半ばなので今後の巻き返しに期待していますが、
直江兼続なんて負けっぱなしの人生ってイメージがあるので、
最後まで盛り上がりに欠けるんじゃないかという杞憂はあります。
と、今日は直江兼続も活躍した時代を舞台に描かれた映画の感想です。

GOEMON

2009年5月1日公開。
『CASSHERN』の紀里谷和明監督が約5年ぶりに放つエンターテインメント超大作。

織田信長(中村橋之助)を暗殺した明智光秀が討伐され、豊臣秀吉(奥田瑛二)が天下を取った時代。超人的な身体能力を武器に金持ちから金品を盗み、貧しき者に分け与える盗賊・石川五右衛門(江口洋介)がすい星のごとく現れ、庶民を熱狂させる。そんな中、五右衛門は盗み出した財宝の中に重大な秘密が隠されている南蛮製の箱を見つけるが…。(シネマトゥデイより)

こうゆう歴史フィクションは史実を遵守しながらも、
その中でいかに遊ぶか、オリジナリティを込めれるかが興味がそそられるところで、、
作家(脚本家)の力の見せ所です。
ボクはそんな歴史フィクションが大好きなのですが、
司馬遼太郎の小説くらいになると、それがあたかも定説のように思えて面白いです。
そして本作も、そんな歴史フィクション作品で、
主に本能寺の変から関が原の戦いまでの戦国時代を描いた物語。
本能寺の変なんてのは大事件でありながら、明智光秀の謀反の原因すら謎のままという
歴史フィクションにとってはおいしい事件で、今までに何本もの作品が作られました。
本作の脚本も書いた紀里谷監督は、そこに果敢にも挑んだわけです。
しかも主役は天下の大泥棒、石川五右衛門で…。

でも、脚本家として力の見せ所であるオリジナリティですが、残念ながら全くなし。
石川五右衛門といえば、史実といえるのは三条河原でカリッと揚げられたことくらい。
これまた歴史フィクションにとっておいしいキャラですが、
紀里谷監督はたいして遊ぶこともなく、よくある俗説や歌舞伎から丸パクリ…。
五右衛門が元忍者だとか、豊臣秀吉の命を狙っていたとかいう逸話は、
信憑性なんて全くないけど、超有名な俗説ですよね。
あと本能寺の変にしても真犯人が秀吉ってのも一番ベタなトンデモ話。
こんなひねりのない物語を大事に5年も温めてたなんて…。

更に残念なのは、石田三成が紀伊国屋文左衛門を殺した時点で早々に感じましたが、
紀里谷監督は史実を遵守する気がないようです。
歴史フィクションとして史実を守ることは最低限のルール。
『戦国自衛隊』みたいにパラレルワールドとするならそれでいいけど、
パラレルワールドのわりには結末は史実に沿ってるし、何がやりたいのやら…。
登場人物は不詳の人物や架空の人物なので、創作の余地は大いにあるけど、
架空とはいえ人気キャラ、その人物がその人物たる設定は守らないといけません。
例えば猿飛佐助ですが、彼は霧隠才蔵と共に後に真田十勇士として活躍する人気忍者。
その彼が関が原の戦いで東軍に仕官するなんてのは、歴史ファンへの裏切りです。
劇中では"サスケ"としか名乗ってないのでオリジナルキャラかと思いましたよ。
特に納得できないのは茶々の設定。浅井長政や秀頼の存在を完全に無視してます。
なんかここまで無茶苦茶だと、教科書程度の歴史しか知らないんじゃないかと思うし、
西洋のデザインを取り入れた世界観も、ただ時代考証してないだけとも思えてきます。

世界観といえば、本作も『CASSHERN』の紀里谷監督らしい独特の映像です。
俳優と小道具以外はほぼCGなので、一見すると絢爛豪華で奇抜な映像だけど、
正直、写真を切り貼りしたような、大作ゲーム程度のCGレベルです。
そのショボいCGで作られた背景に生身の俳優が馴染むように、
逆に俳優の姿をテカテカに加工して誤魔化している感じです。
『300』や『シン・シティ』みたいに、奇抜な映像を売りにしたというよりも、
予算が少ないから大規模なセットも組めないし、大群衆のエキストラも雇えないから、
苦肉の策として、ショボいながらもCGに頼るしかなかった…、そんな感じ。
非俳優のタレントをたくさん起用してるのも、予算がないからじゃない?

非俳優といえば、格闘家のチェ・ホンマンが秀吉の用心棒役で出てましたが、
存在意味のわからない微妙なキャラでしたね。
それはいいとして、朝鮮出兵する秀吉の配下の役を韓国人にやらせるなんて、
なんか皮肉でもこめられているんでしょうか?(チェ・ホンマンはわかってるのか?)
同じく非俳優である猿飛佐助役のガレッジセールのゴリが、
どこかの試写会で"来年のアカデミー賞外国語映画賞取る"宣言をしてましたが、
何を根拠(広末?)にそんな世迷言を言ったのかは知らないが、
本作自体、たしかに海外公開を想定して作られている気はします。
やたら説明過多なのも日本の歴史を知らない外国人に向けた演出でしょう。
西洋の甲冑を身に着ける信長、クローン・トルーパーのパクリみたいな東軍兵士…。
日本人から見たら違和感が強いけど、奇抜にも見える衣装や風景ですが、
外国人が見たらどう思うのかな?
やっぱり日本的な鎧や衣装の方が外国人にも魅力的だと思いますけどね。

とりあえず『CASSHERN』よりかは馴染みのある内容で見やすかったけど、
紀里谷監督の作品はもう暫く観なくていいかも。
『CASSHERN』の時も"あんなのキャシャーンとは別物だ"みたいに言われてたけど、
本作も"こんなの戦国時代じゃない"です。
今後も二次著作物をやるなら、少しはファンのことも考えないとね。
あと日本のCG技術はまだまだなので、この映像手法でやっていくのは厳しいです。

主役の石川五右衛門ですが、なんか情緒不安定で理不尽な性格ですね。
自分が一番感情的なくせに、親の仇を討った子供・小平太をぶん殴った挙句、
説教までかましたのはドン引きしました。
まぁ江口洋介は好きなんで見た目は格好よかったですけど…。
でも派手なアクションシーンは、これまたCG使いすぎで逆に迫力なかったです。

奇しくも同じく石川五右衛門の映画が今月もう一本公開されます。
古田新太主演、江口洋介も出演する『ゲキ×シネ 五右衛門ロック』です。
こちらもある意味で西洋文化とのハイブリッドな時代劇ですが、
CGまみれの本作とは違って、CGなしの演劇映画。
たぶん本作より面白いと思いますが、ゲキ×シネは鑑賞料が高いです…。
演劇を録画した映画なんて、新喜劇をテレビで観るようなものだし、
さすがに2500円は払えないなぁ…。

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