ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

MUD -マッド-

今日も映画の感想です。

MUD -マッド-
Mud.jpg

2014年1月18日日本公開。
マシュー・マコノヒー主演のドラマ。

14歳のエリス(タイ・シェリダン)はアメリカ南部、アーカンソー州の川辺のボートハウスで両親と暮らしている。彼はある日、親友ネックボーン(ジェイコブ・ロフランド)と出掛けたミシシッピ川の島でマッド(マシュー・マコノヒー)という男性と出会う。エリスは世間から隠れて暮らす彼に興味を抱くが、ネックボーンはマッドのことを快く思っていなかった。(シネマトゥデイより)



「未体験ゾーンの映画たち2014」が先週末から関西でも始まりました。
日本人の洋画離れにより、洋画が劇場公開されにくくなった昨今、
海外では評価が高く、話題作なのに、日本では劇場公開されていない作品を、
厳選して公開しようという特集上映で、第3回目となる今年は26作品が選ばれ、
関西ではシネ・リーブル梅田で、日替わりスケジュールで公開されます。
未公開を阻止してくれるこの企画は、洋画好きとしてとても有難く、
毎年何本か利用させてもらっており、昨年は全20本中8本観ましたが、
今年は全26本中、本作1本だけになりそうです。
急激に減ったのは、スケジュールの都合など時間的な問題もあるのですが、
正直、今年のラインナップは微妙じゃないですか?
まぁ観てない作品をどうこう言うことはできないとは思いながらも、
B級カルト映画がやたら多くて、別に未公開を阻止する必要もなさそうな、
ビデオスルーでも十分と思える作品ばかりです。
ビデオ販売会社にリリース前のお試し上映の場を提供しているような感じで、
本当に面白い作品や話題作を厳選しているのか疑わしいラインナップです。
来年も期待していますが、初心に帰ってほしいと思います。

そんな中で、唯一見逃せないと思った本作ですが、
本作はそもそもここにラインナップされること自体が間違いな作品です。
ラインナップされるのは未公開になるところを救済された作品という建前だけど、
本作はそもそも未公開になんて絶対にしてはいけない作品で、
他の作品とは全く格の違う、ちゃんと普通に一般公開すべき映画です。
なにしろ本年度のオスカー候補マシュー・マコノヒー主演のハリウッド映画で、
独立系で限定公開でありながら全米7位になったヒット作で、
一昨年のカンヌでパルムドールを争った超話題作です。
こんな救済企画ではなく、全国のシネコンで大規模公開すべき作品です。
「未公開ゾーン2014」でも本作が目玉作品の1本だとわかっているようで、
他の作品が日替わりの中、本作は毎日一度は上映される特別待遇です。
なので他の作品よりは幾分観に行きやすいのですが、
毎日上映時間が変わるのが厄介で、関西公開直後に観に行きたかったけど、
都合がいいスケジュールの日が見つかるまで、一週間もかかりました。
こんな話題作は、通常の上映で一日何度も上映してほしいものです。
ついでに言うと、関東よりも公開が1カ月も遅れる地方軽視は不愉快です。

本作はただでさえ話題作なので、観に行くのは間違いありませんが、
更に興味を惹かれたのは、予告編での宣伝文句です。
「これから上映する予告の"監督の名前"を是非、おぼえてください。」
「きっとアメリカを代表する監督になります。」という文句で、
先物買いをしたいファン心理を突いた、うまい煽りだと思います。
いざ観てみると、それも過剰宣伝ではないかもしれないです。
配給会社が「現代版『スタンド・バイ・ミー』!」なんて謳ってるけど、
なかなか言い得て妙な、名作然とした青春映画だったと思えました。
ただ『スタンド・バイ・ミー』のロブ・ライナー監督も、
未だに『スタンド・バイ・ミー』が代表作で、
「アメリカを代表する監督」の域には達していませんから、
本作の監督もこれが渾身の出来で、ずっと代表作のままな可能性もありますよね。
ただ、本作が評価されてか、メジャー作品を撮る機会が与えられたそうで、
その出来次第では、本当に「アメリカを代表する監督」も夢ではないかも。
あ、肝心の監督の名前ですが、ジェフ・ニコルズ監督です。
覚えやすいような覚えにくいような、平凡な名前ですね。

本作で監督以外にもうひとり、注目すべき人物といえば、
事実上の主演である子役のタイ・シェリダンでしょう。
彼の演技も高く評価され、天才子役とまで言われています。
初めて見る子だなと思ったら、どうやら『ツリー・オブ・ライフ』にも
出演していたみたいだけど、『ツリー・オブ・ライフ』は退屈な映画だったので、
睡魔と闘うのに必死で、内容なんてほとんど覚えておらず、
彼がどんな役でどんな演技をしていたのかも記憶にないです。
でも本作の彼は、たしかにとても素晴らしい好演だったと思います。
もうひとりの子役、ジェイコブ・ロフランドも負けず劣らずよかったです。
この手の成長物語は、子役の出来にかかっていますから、
本作が佳作なのは、ふたりの子役の貢献度が大きいと思われます。
もちろん演技派マコノヒーも、抜群の安定感で作品を支えていますが。
以下、ネタバレ注意です。

主人公はアーカンソー州のミシシッピ川の川岸に浮かぶボートハウスで、
両親と暮らしている14歳の少年エリスです。
親友のネックボーンと川をボートで冒険するのが好きみたいです。
先日の洪水による浸水で、中洲の無人島でボートが木の上に乗っていると聞き、
そのボートをツリーハウス的な秘密基地にしようと考え、探しに行きます。
ところがそのボートには、すでにマッドと名乗る男が住んでおり…。
マッドはエリスたちに、ボートを譲る代わりに食料を調達してほしいと頼みます。
拳銃を持った物乞いの男なんて、誰がどう見ても怪しいですが、
マッドは恋人ジュニパーを待っているために、そこから動けないらしく、
その話を聞き、両親が愛を忘れ離婚を考えていることに心を痛めていたエリスは、
愛し合うマッドとジュニパーのために、彼に協力してあげることにし、
親友ネックボーンも渋々協力するのです。
子供だけの冒険や、秘密基地作りや、謎の男との秘密の交流なんて、
好奇心旺盛な子供時代の気持ちが蘇り、何だかワクワクしちゃいますね。

ある日、エリスは母と一緒に車で街まで出掛けますが、州道で検問があり、
警官に「この男を知らないか」指名手配書を見せられます。
そこにはマッドの写真が載っており、警官にはしらを切ったエリスですが、
どんな事情なのかマッドを問い詰めます。
指名手配犯だとわかっていながら、何とも勇気のある少年です。
マッド曰く、恋人ジュニパーを孕ませ暴行して流産させた男を銃殺したとのこと。
つまりマッドは逃亡中の殺人犯で、島に隠れていたわけですが、
エリスは怖がるどころか、恋人を助けたマッドの愛に感激します。
少年たちが冒険中に殺人事件に巻き込まれてしまう、
まさに現代版『スタンド・バイ・ミー』といった感じですが、
ド田舎なので『スタンド・バイ・ミー』の時代とあまり雰囲気は変わらず、
古き良きアメリカ映画の空気が漂っているとでも言うのか、
なんとも心地いい普遍的なノスタルジーを感じます。

ある日、エリスたちは街でジュニパーらしき女性を発見し、マッドに報告。
マッドは「彼女に手紙を渡してくれないか」と2人に頼みます。
2人がジュニパーのモーテルに手紙を届けに行くと、
彼女はカーヴァーという男から暴行されている真っ最中で…。
カーヴァーはマッドが銃殺した男の兄貴で、復讐のためにマッドを捜しています。
更に彼の父親は、殺し屋を何人も雇い、マッドを捜しているそうです。
カーヴァーが去った後、ジュニパーにマッドからの手紙を渡します。
手紙には「一緒に逃げよう」と書かれていて、
エリスも愛する2人のために協力を惜しまない所存です。
いやー、殺し屋まで出て来たのに、エリスはつくづく勇気のある子ですね。
というか見掛けによらず無謀な子で、年上に対してもすぐに殴り掛かるし、
明らかに堅気ではないカーヴァーに対しても飛び掛かって行きましたからね。
すぐ年上の女の子を好きになるし、自分が14歳なことをすぐ忘れるのかも?

マッドは逃走用の足にするため、ボートを木から降ろし、修理します。
修理道具や部品は、エリスたちに調達してもらうのですが、
子供だけでは限界があると考え、トムという男を頼るように言います。
トムはエリスのボートハウスの対岸のボートハウスに住む謎の老人で、
どうやらマッドの育ての親のようです。
しかしトムは、マッドがジュニパーと逃げるのは反対で協力してくれません。
ジュニパーは危険な男と遊んでは、幼馴染のマッドに助けてもらう悪女で、
マッドはいつも彼女に利用されているだけだと、トムは懸念しているのです。
仕方なく、エリスたち子供だけで部品の調達を始めますが、
ボートのエンジンだけはそう簡単に手に入らず…。
彼らは廃品業者の壊れたボートから、壊れたエンジンを失敬するのです。
エリスの親友ネックボーンの叔父さんは、南部ダイバーみたいな恰好で、
川に投棄されたものをサルベージし、修理して売るのが仕事のようで、
その手伝いをしているネックも、エンジンくらいなら修理できるみたいです。
14歳のくせに凄いですが、なんとその歳でバイクにも乗ってるんですよね。
アメリカは州によって免許取得条件が違うと聞いたことがありますが、
アーカンソー州は14歳でも二輪免許が取れちゃうの?

逃亡決行の日、エリスとネックはバイクでジュニパーを迎えに行きますが、
モーテルに彼女の姿はなく、彼女はバーに行ったらしいと聞き、
彼らもバーに向かいますが、そこで男とイチャイチャする彼女を見て、
2人が愛し合っていると信じていたエリスは言葉を失います。
ありのままをマッドに報告すると、マッドからまた手紙を渡すように頼まれ、
ジュニパーに届けるのですが、手紙には「終わりだ」と書かれていて、
マッドの彼女に対する愛もその程度だったのかと憤ったエリスは、
島に戻り「嘘つき!」と彼に猛抗議し、立ち去ろうとするのですが、
足を滑らせ小川に転落し、猛毒のヌママムシに噛まれてしまうのです。
マッドはエリスを抱きかかえ、猛ダッシュで街の病院まで連れて行くのです。
警察やカーヴァーに捕まる危険を顧みず、熱い友情ですね。
病院で当然通報されるも、マッドは何とか島に逃げ帰ることに成功しますが、
カーヴァーにエリスがマッドと繋がっていることがバレてしまいます。
エリスはけっこう頻繁にジュニパーのモーテルを訪れていたんだから、
彼女のモーテルを監視していたカーヴァーなら、
この繋がりにもっと早く気付いてもよさそうなものだけどね。

エリスが退院し、自宅療養している頃、ジュニパーを諦めたマッドは、
修理したボートでひとりで逃亡する用意が整っていましたが、
最後にエリスに別れを告げようと、彼のハウスボートを訪れます。
ところが、そこには武装したカーヴァーと殺し屋たちが張り込んでおり、
マッドがハウスボートに着いた直後、襲撃を受けてしまうのです。
それを見ていた対岸のトムは、マッドを助けるために加勢。
彼は元海兵隊の凄腕の狙撃手で、対岸から殺し屋を次々と撃ち殺します。
マッドも殺し屋から銃を奪って応戦し、激しい銃撃戦となりますが、
マッドが川にダイブした時にカーヴァーの撃った弾に被弾し…。
直後にカーヴァーはトムに狙撃されますが、マッドは浮いてこず、
結局、マッドは消息不明となってしまうのです。
でも実はマッドはトムに救出されており、2人でボートに乗って、
ミシシッピ川を下ってメキシコ湾へ出て、逃亡に成功しており、
めでたしめでたし…、です。

マッドとジュニパーの気持ちが曖昧なままの幕引きは気になりますが、
トムの言うように2人は一緒にいない方がお互いのためなので、
それも含めてハッピーエンドかな。
ただ、エリスの両親が結局別居(或いは離婚)しちゃったのは、
てっきり今回の大騒動でヨリを戻すと思ったので、
何だか意外な展開で、ちょっと心残りを感じるかも…。
ただ、愛にもいろんな形があると知り、エリスが成長する物語なので、
マッドとジュニパーにしても、彼の両親にしても、
円満に終わらないところが本作のポイントなのかもしれませんね。
その一方で、エリスには新しい恋を予感させる展開があり、
やはりハッピーエンドだったと言えるでしょう。

とても面白い青春映画でした。
監督と子役の今後に期待です。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1237-cc7be42d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad