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KILLERS キラーズ

先週末から「第87回キネマ旬報ベスト・テン特集上映」が始まりました。
先週は『キネマ旬報』の「決算特別号」も発売されたので買いましたが、
ホントに「キネマ旬報ベスト・テン」の結果だけは納得できません。
日本で最も権威のある映画賞だと言われる「キネマ旬報ベスト・テン」ですが、
その選考委員である映画評論家たちの感性が一定方向に偏りすぎで、
一般人の感性とあまりに温度差があると思います。

特に問題なのは、一般人がまず観ないようなマイナー作品が、
上位を占めてしまっていることです。
ボクは昨年、洋画153本、邦画97本の計250本の映画を観ており、
本数だけなら映画評論家に負けないくらい鑑賞したはずですが、
それでも受賞作のうち、日本映画は6本、外国映画は4本しか観ていません。
加点方式なので、観た選考委員が多い作品が有利になるのは間違いないが、
日本映画1位の『ペコロスの母に会いに行く』なんて、
一般人は存在すら知らないであろう超マイナー映画です。
昨年の日本映画1位は、日本映画かどうかも怪しい『かぞくのくに』だし、
一昨年は99歳の映画監督の遺作というだけで選ばれた『一枚のハガキ』。
選考委員どもは挙ってマイナー映画ばかりを観に行っているのでしょうか。
それかマイナー映画の配給会社が、加点方式を逆手にとって、
選考委員を招待して無料上映会でもしてるんじゃないでしょうか。
ちなみに読者選出のベスト・テンは、ほとんど鑑賞した作品だったし、
読者も類友で偏ってはいるものの、まだある程度納得できる結果でした。

もうひとつの疑問は「第87回キネマ旬報ベスト・テン特集上映」の存在です。
これはキネマ旬報ベスト・テンの受賞作の中から選ばれた6本を、
全国数か所の劇場にて、千円均一で日替わり上映する企画ですが、
なんと「決算特別号」には、1本無料で観られるクーポンが付いています。
日本映画、外国映画ともに1位の作品も上映作に選ばれていますが、
もし1位の作品の配給会社が特別上映の許可をしなかったらどうしていたのか。
例えば外国映画2位の『ゼロ・グラビティ』は、まだ絶賛公開中なので、
もし1位だったとしても特別上映は認めないはずです。
このことから、例えばDVDリリース済みの作品や弱小配給会社の作品など、
特別上映しやすい作品が上位に選ばれやすいのでは?と勘繰ってしまいます。
ちなみにボクはクーポンを使えそうにありません。
特別上映は昼間なので都合が合わないし、別に観たい作品もないので。

ということで、今日は「第87回キネマ旬報ベスト・テン特集上映」を上映中の
テアトル梅田で鑑賞した映画の感想です。

KILLERS キラーズ
キラーズ KILLERS

2014年2月1日公開。
北村一輝主演のバイオレンス映画。

生活感をまったく感じさせない部屋に女を連れ込んでは殺害し、その様子を余すところなく撮影する野村(北村一輝)。一方、ジャカルタで政治の腐敗や不正を人々に知らしめようと奮闘するフリージャーリストのバユ(オカ・アンタラ)は、動画サイトにアップされていた殺人映像を目にする。目を覆いたくなるほどむごいものだが、目を向けずにはいられない美しさを誇る、その映像に魅了され、彼は殺人に手を染めるように。東京とジャカルタ、遠く離れた場所に暮らす彼らだったが、次第にその距離を近づけていく。(シネマトゥデイより)



ここ11本は洋画ばかりを観てきましたが、久しぶりに日本映画を観ました。
毎年右肩上がりに増え続ける映画の鑑賞本数を抑えるために、
今年はなるべく(アニメ以外の)日本映画は観ないようにしようと考えており、
日本映画の鑑賞ハードルはかなり高く設定しているのですが、
それでもハードルを越えてくる日本映画というのもあります。
本作もそんな1本だったわけだけど、日本映画と言い切れるかは微妙で、
厳密には日本とインドネシアの合作映画です。
インドネシアのアクション映画『ザ・レイド』の監督である
ギャレス・エヴァンスが製作総指揮を務めており、
監督もインドネシアのスラッシャー映画『マカブル』のモーブラザーズなので、
ボクの判断基準だとインドネシア映画だし、たぶん外国人が観ても、
これはインドネシア映画だと判断すると思います。
なのでやっぱりボクも日本映画感覚では観ておらず、
日本映画に架したハードルは適用してなかったかもしれません。

なんでもインドネシアとの合作は本作が初の試みだそうですが、
こうした映画を通じての文化交流はいいですよね。
今は特定アジアと日本の関係は最悪だし、別に改善もしてほしくないけど、
その分、他のアジア諸国とは今まで以上に友好関係を築くべきで、
インドネシアともこうして交流が持てたのは嬉しいことです。
両国の映画産業にとってもメリットがあり、
日本だけではなかなか海外に打って出る日本映画は作れないけど、
ハリウッドリメイクも決まるほど評価の高い『ザ・レイド』の監督が、
製作総指揮に名を連ねているとなれば、海外も関心を持ってくれます。
実際に本作は特ア以外のアジア各国をはじめ、
イギリス、フランス、ドイツなどでも配給が決まったそうで、
おそらく北米での配給も確実じゃないかと思われます。
(まぁそんな大規模公開は期待できないとは思いますが。)
インドネシア映画にとっても、市場規模の大きい日本進出は魅力だし、
日本の資本で映画製作できるのも美味しい話でしょう。
この日尼関係は今後も続いてほしいものですが、とりあえず近々の話として、
『ザ・レイド』の続編『ザ・レイド GOKUDO』には、
日本から松田龍平と遠藤憲一、そして本作の主演である北村一輝も参加します。
日本以上に世界から注目される作品になるはずなので、期待しています。
ちなみに本作のもう一人の主演、インドネシア俳優のオカ・アンタラも
『ザ・レイド GOKUDO』に出演しており、北村一輝との共演シーンでは、
本作のオマージュ的な演出もあるのだそうです。
『ザ・レイド GOKUDO』を観る人は本作も必見ですね。

さっきから何度も『ザ・レイド』と書いていますが、
実はボクは『ザ・レイド』のことはほとんど覚えていないんですよね…。
DVDだったけど鑑賞したのは間違いないけど、特に印象が残ってなくて…。
でも監督であるモーブラザーズの『マカブル』の方は覚えています。
たしかカニバム・ホラーで、ゴア描写が満載な作品でしたが、
それから比べれば、本作のスラッシャー加減は控えめかな。
北村一輝演じる殺人鬼が、殺した女の肉を食べるシーンなんかは、
ちょっと『マカブル』を彷彿とさせる気がしましたけど…。
あと、日本のシーンで『冷たい熱帯魚』の製作チームが参加してますが、
こちらもその作品のエログロっぷりと比べるとかなり生易しいかも。
でんでんが登場するところは、ちょっと『冷たい熱帯魚』を彷彿させますが…。
(ちなみにでんでんは殺人鬼役ではありません。)
『マカブル』と『冷たい熱帯魚』のタッグと考えると、
本作はもっとドギツイ内容になるのでは予想されましたが、
良く言えば観やすく、悪く言えば温いバイオレンス映画になっています。
国際的に配給されることを見越して、マイルドにしちゃったのかも。
ちなみにインドネシアでの上映でも、本作のエログロシーンのいくつかは、
カットされたり柔らかい表現に変更されるそうです。
そのインドネシア版を基に、各国の上映バージョンを作るそうなので、
必然的に日本版の本作が、最も過激な内容ということになります。
そんなに際どい描写があるとも思えませんでしたが…。
以下、ネタバレ注意です。

冒頭、北村一輝演じる野村のセックスシーンから始まります。
18禁映画ですが、残念なことに女性のバストトップもありません。
その後、野村は相手の女性を椅子に縛り付け、覆面を被りカメラを回して、
ハンマーで女性を殴打し、死に逝く瞬間を撮ります。
そしてそのスナッフビデオを動画サイトにアップするのです。
せっかく殺すなら、拷問的にジワジワ殺せばいいと思うのですが、
本作はそういうトーチャーポルノではないみたいです。
その動画を見たジャカルタの記者バユは、すっかり魅了され、
野村のスナッフビデオの大ファンになってしまいます。
そんな本物のスナッフビデオを投稿できる動画サイトなんてあるのかな?
もし現実にあったとしても、被害者の顔がしっかり写ってるので、
そんなものがネット上にアップされたら、もっと大騒ぎになりますよね。
野村は硫酸を使って「ボディを透明に」しちゃうので、死体は残らず、
レミノール反応すらも残さない徹底した証拠隠滅をしているので、
大騒ぎになったとしても簡単には捕まらないでしょうけどね。

ある日バユがタクシーに乗ると、運転手とグルな強盗に襲われ、
拳銃を突き付けられますが、必死の反撃により逆に強盗と運転手を殺害。
図らずも殺人に手を染めてしまったバユを得も言われぬ快感が襲い、
気付けば彼は死に逝く強盗たちをケータイで動画撮影し、
野村のように動画サイトにアップするのです。
日本でその動画を見た野村は深く共感し、IPアドレスを調べて、
バユにコンタクトを取り、2人はチャット仲間になります。
といっても、バユの方は野村に共感しながらも、
そんな自分の感情を否定しているんですけどね。
人を殺す快感に目覚めてしまったバユは殺人衝動に駆られるようになり、
野村はそれを煽ろうとするのです。

本作はジャカルタで殺人に目覚めていくバユと、
日本で殺人を続ける野村の物語が、並行して描かれる構成となっています。
バユと野村という2人の殺人鬼(キラー)の物語だから『キラーズ』ですが、
おそらくこの複数形には、もうひとりキラーが含まれているはずです。
それが自閉症の弟を殺そうとしていた女性、久恵です。
その場面に出くわした野村は、彼女にも接触します。
はじめは獲物にするために近づいたのかと思いましたが、
どうやら彼女にも共感を覚えて、弟を殺すように煽るのが目的のようです。
それと野村は極度のシスコンで、久恵に死んだ姉の面影を見たようで、
そのため彼女の自閉症の弟のことは自分とダブり、
彼にスタンガンを与え、同級生を殺すように煽ったりもしました。
きっと野村は殺人鬼友達がほしかったのでしょうね。
ちなみに野村の自宅にはミイラ化した姉の遺体が寝かせてありますが、
レミノール反応よりも、死体が堂々と自宅にある方がヤバイでしょ。

一方のバユは、記者として悪徳政治家ダルマ氏の汚職を暴こうとしましたが、
決定的な証拠が掴めず、逆にダルマ氏サイドから執拗な嫌がらせを受けます。
殺人に目覚め、野村に煽られたバユは、ダルマ氏たちを殺してしまおうと考え、
まずダルマ氏の弁護士ロバートを襲撃し、灯油をかけ焼死させます。
ダルマ氏の手下が火だる(ry。
このロバートですが、単なる悪徳弁護士かと思いきや、
自宅に少年を監禁している変質者で、バユは図らずも少年を救ったことに。
死の間際にロバートからダルマ氏の宿泊先のホテルを聞き出し、
その部屋に襲撃を掛けますが、ダルマ氏は不在で、部屋には彼の息子が…。
そのバカ息子に正体がバレかけたバユは、咄嗟に彼を射殺します。
銃声を聞きつけた警備員が部屋に大挙して押し寄せますが、
揉みくちゃになりながらも彼はなんとか逃げ果せるのです。
いやー、あの狭いホテルの通路であんな大勢から挟み撃ちにされたら、
まず絶対逃げられないと思うんだけど、ちょっと出来すぎかもね。
それに無差別に若い女性を殺す野村とは違って、バユは私怨による殺人なので、
すぐに警察から疑われてもおかしくないと思うんだけど…。
彼とダルマ氏が対立していたことは報道されるほど公然の事実なのに、
ぜんぜん操作の手が彼に及ばないのは、ちょっと不自然すぎるけど、
インドネシアの警察はそれほど怠慢ということか?
でも当のダルマ氏は、息子を殺したのがバユだと勘付いたみたいで…。

一方、野村はミドリという街娼に声を掛けられ、
いつものように殺すために彼女を車に乗せ、お持ち帰りしますが、
その道中、車がスリップし、軽い怪我を負ったミドリが激怒。
彼女は街娼の元締めの黒人男性を呼び出し、野村は彼にボコられます。
その時はなぜか泣き寝入った野村ですが、後日また風俗街でその黒人を発見し、
彼の後を付けて、クラブのトイレで彼をメッタ刺しにして殺します。
その時の凶器が普通に刃物ではなく、ラジオペンチだったのが斬新で、
きっと黒人は刺される痛みと挟まれる痛みを同時に味わったことでしょう。
でも野村はなんでラジオペンチなんていつも持ち歩いてるんですかね?
黒人を殺した後、そのクラブでミドリのことも発見し、
殴って気絶させ、車のトランクに押し込み、自宅に運びます。
その際に覆面パトカーの警官から職質され、ドキドキしましたが、
なんとか誤魔化すことに成功したものの、普通はあんな挙動不審な男を、
警官が車も調べないで帰すはずはないと思うんだけどね。
日本の警察も怠慢ですね。

いつものようにミドリを椅子に縛り付け、殺すところを撮影する野村ですが、
今回は特別に、その様子をバッユに生中継することに。
本心はどうだかわかりませんが、パソコンの前で「やめてくれ」と叫ぶバユ。
野村がお構いなしにミドリを撲殺しようとしたその時、玄関のチャイムが鳴り、
久恵が訪ねてきたため、ミドリを気絶させ、殺人は一時中断することに…。
野村が弟を誑かしたことを非難しに来た久恵ですが、
野村はなぜか彼女を家に上げてしまうんですよね。
そんな折、バユの必死の呼びかけで、目を覚ましたミドリは悲鳴を上げ、
その声は久恵の耳にも届き、野村は彼女の口を封じようと襲い掛かるも、
久恵は弟が野村から貰ったスタンガンで応戦し、彼はダウン。
そのまま逃げればいいものを、久恵はミドリを助け出そうと奥の部屋へ。
ミドリを連れて、何とか家から脱出するも、追ってきた野村に捕まり、
女性二人はあえなく殺されてしまうのです。
ヒロインだから久恵は殺されないと踏んでいたので、この展開は予想外でした。
その後、野村は姉のミイラに火を放ち、自宅を後にします。

野村がどこに行ったのかと思えば、なんとバユのいるジャカルタでした。
息子をバユに殺されたダルマ氏は、登校中の彼の娘エリを拉致します。
そんなことは知らないバユは、自宅で妻ディナの遺体を発見。
てっきりダルマ氏の手の者に殺されたと思ったのですが、
家を飛び出すと、そこには血まみれの野村が…。
なんと妻を殺したのは野村だったのです。
いやー、これも予想外の展開で驚きましたが、
ついに相見えた日尼二人の殺人鬼の邂逅にテンション上がりました。
野村を負うバユ、ついに直接対決かと思った次の瞬間、
バユはダルマ氏の手下の車に撥ね飛ばされ、拉致されてしまうのです。

バユは廃ビルに連れてこられますが、そこで待っていたのは、
息子の復讐を目論むダルマ氏と、拘束された娘エリでした。
最愛の娘を人質にされては、大人しく殺されるしかないバユですが、
拷問される彼を助けに駆け付けたのが、なんと野村。
ダルマ氏を痛めつけ、バユの手錠を外した野村は、
エリに銃を突き付け、バユにダルマ氏を殺すように要求します。
はじめは拒否するも、言われるままにダルマ氏を殺したバユですが、
そんな父の姿を見たエリは、彼を拒絶します。
その様子にご満悦の野村は、「最後はオレがやる」と言い、
再びエリに銃口を向けますが、バユが彼に襲い掛かり揉み合いに。
そのまま2人は廃ビルから落下し、2人とも死んで幕を閉じるのです。

いやー、最後までどうなるか読めない、気の抜けない展開で、
137分もある長尺映画でしたが、あっという間な印象でした。
それにしても、北村一輝演じる野村のサイコキラーっぷりは凄かったですね。
彼は最近、映画に引っ張りダコで、『SPEC』『TRICK』『猫侍』
『テルマエ・ロマエ』とコメディ的なキャラが続いていましたが、
あのジャックナイフのような面構えは、殺人鬼向きですね。
各所で言われていることですが、野村は映画史に残る殺人鬼でした。
もうちょっと過激なバイオレンス表現があると尚よかったですが、
サイコスリラーとしても十分面白い作品で、オススメです。

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