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メイジーの瞳

児童養護施設を舞台にしたドラマ『明日、ママがいない』が、
第4話で最低視聴率になったようです。
第1話放送後、過激な内容に赤ちゃんポストを運営する慈恵病院や、
全国児童養護施設協議会から抗議され、スポンサーがCM自粛する騒動となり、
当初強気だった日本テレビも泣きが入り、第4話から内容の配慮を明言しました。
抗議されるのは仕方がないが、抗議に折れた日本テレビにはガッカリ。
その程度の覚悟だったなら、はじめからこんなドラマはやるべきじゃないです。
まぁ日本テレビも児童養護施設の子供たちに配慮するのではなく、
スポンサーの意向に配慮しただけのこと。
視聴者さえも無視してるんだから、視聴率が落ちるのも当然だけど、
所詮はそれがスポンサーがお客様であるテレビの限界ですよね。
きっと映画なら抗議されても全く問題なく上映続行できたはずです。

ボクはこのドラマは観てませんが、主演の芦田愛菜ちゃんは、
同郷の小さな星だし、かなり応援している子役なので、
気になるドラマではありましたが、こんな暗そうな概要のドラマを、
1クールも見続ける自信がなく、結局見ないことにしました。
でも単発の映画だったなら、きっと観に行ったと思います。
配慮により、当初想定していた内容から変更されると思いますが、
できれば元のシナリオをいつか映画化してほしいです。
もちろん芦田愛菜ちゃん主演のままで。

ということで、今日は注目の子役、オナタ・アプリールちゃん主演作の感想です。

メイジーの瞳
What Maisie Knew

2014年1月31日日本公開。
スコット・マクギー&デビッド・シーゲル監督によるヒューマンドラマ。

母スザンナ(ジュリアン・ムーア)と父ビール(スティーヴ・クーガン)が離婚し、共同親権を持つ両親の家を行き来することになった6歳の少女メイジー(オナタ・アプリール)。ロックスターであるスザンナは、再婚相手の青年リンカーン(アレクサンダー・スカルスガルド)に子育てを押し付けていた。メイジーは優しいリンカーンと心を通わせ始めるが、スザンナはそんな状況にいらついてしまい……。(シネマトゥデイより)



ボクは全米ボックスオフィスを常にチェックしているので、
日本で公開されるハリウッド映画の動向はそこそこ把握してますが、
本作はインディペンデント映画だったこともあり、
劇場で予告編が流れ始めるまで、全くノーマークでした。
でもその予告編を初めて観た時に、これは絶対に観に来ようと思いました。
その時なぜそう思ったのかはわかりませんでしたが、
今、思い返してみたら、主人公の少女メイジーを演じる子役の
何だか物憂げな表情に、放ってはおけない気持ちになったのでしょう。
ビジュアル的にもかなり可愛らしい女の子ではありますが、
それ以上に幸薄そうな雰囲気に惹かれます。
小学校1年生くらいだと思うけど、あの年齢であの雰囲気は出せないですよ。
どうやら両親が離婚して、両親ともに別の相手と再婚し、
両親の都合で振り回される可哀想な女の子の物語のようですが、
薄幸の少女メイジーがどうなるのか気になって、
観に行かずにはいられませんでいた。

で、いざ観てみると、これが期待以上に素晴らしい作品。
何がよかったって、やっぱりメイジーですよ。
両親の都合に振り回される悲惨な境遇にも文句ひとつ言わずに堪え、
何かもう達観しているとさえ感じる反面、そんな無責任な親や、
継父や継母に対して無償の愛を振りまく健気な姿に感動します。
物分かりがよすぎる子供というのは、見ていて切ないものですね。
ボクの両親は幸いにも仲がよくて、離婚の危機もなければ、
ケンカもほんの数度しか見たことなかったので、
メイジーの気持ちを完全に理解することはできませんが、
子供から見た両親の離婚が、どんなに残酷なものなのか、
うまく描けており、子供にこんな思いをさせてはいけないと思わされました。
「子は鎹(かすがい)」なんてことをよく言いますが、
実際にはメイジーみたいなよく出来た子供でも、鎹にはならないんですね。
いや、よく出来た子供だからこそ、物分かりがよすぎて我慢するので、
親も自分勝手に離婚なんてするようになるのかもね。
もし両親のケンカ中に子供が泣きわめこうものなら、
両親も我に返って、離婚までいかないこともあるかもしれないしね。

メイジーの母スザンナと父ビールが口論しているシーンから始まる本作ですが、
この2人の明確な離婚の理由はイマイチよくわかりません。
はじめは勝手にビールの女性関係が問題になったのかなと想像しましたが、
たしかにビールは浮気していたものの、スザンヌも離婚するまでは
その事実に気付いていなかったようなので、直接の原因ではなさそうです。
ビールは国際的な美術商で、スザンヌはロック歌手で、双方忙しいので、
ただ単にそのあたりのすれ違いが原因だったのかもしれませんが、
理由を明確にしていないのは、メイジー視点で描いているため、
メイジーが離婚理由を把握できていないためかもしれません。
その方がわけもわからず離婚に振り回される子供の理不尽さも伝わるし、
両親のどちらかに非があるとなると、メイジーほど頭のいい子なら、
非の少ない方の親に肩入れしちゃうでしょうからね。

正直どっちの親も親失格だと思うけど、ボクが男だからなのか、
ビールの肩を持つわけではないが、サマンサの方がより悪い気がします。
裁判所もサマンサの単独親権を認めませんでしたが、
アメリカではどうか知らないけど「親権は母親が有利」という意識があるので、
単独親権が認められなかった彼女には、よほど問題があるのではないかと…。
(ロック歌手で収入もあり、生活力はあるはずなので特にね。)
結局サマンサとビールの共同親権となったわけですが、
メイジーを父と母の家を10日毎に行き来させるように裁判所から命令されます。
子供との時間を半分に分ける身体的共同親権というやつで、
アメリカではよくある事案ですが、こんな落ち着かない状況なんて、
絶対子供のためにはならず、むしろ子供を離婚でさらに振り回していますよね。
裁判所は子供を一番に考えた判決を下してほしいものです。

まずビールの家で10日間過ごすメイジーですが、父の新居に着いてビックリ。
なんと今までも世話してくれたベビーシッターのマーゴがそこにおり…。
どうやらビールとマーゴは男女の関係だったようで、
ビールはサマンサとの離婚も成立したし、マーゴと結婚するようです。
メイジーは幼いながらに察したでしょうが、マーゴのことも大好きなので、
きっと複雑な心境だったと思います。
メイジーは本当に賢く優しい子で、サマンサから自分宛に花束が届いた時、
ビールは不快感を露わにして、花束をゴミ箱に捨ててしまいますが、
メイジーはこっそり拾い出して、自分の部屋のクローゼットに隠します。
それをマーゴに見つかった時、咄嗟にメイジーは、
「パパはアレルギーだから花束捨てても仕方がない」と嘘をつき、
母からの花束を捨ててしまったビールのことを庇うのです。
なんて健気で優しい子でしょうか。ちょっと泣けました。

10日経ち、今まで暮らしていたサマンサの家に戻ったメイジーですが、
世話をしてくれるマーゴは父の家にいるので、
母は新しいベビーシッター、というかナニーを雇っていました。
でもナニーはお婆さんで、幼いメイジーにはちょっと怖かったみたいで、
メイジーが嫌がったために、サマンサもすぐにナニーを諦めたようです。
ある日、学校に継父を名乗る青年がメイジーを迎えに来ます。
どうやらサマンサはその青年リンカーンと結婚したみたいです。
メイジーもそんなことは全く知らず、リンカーンのことを警戒しますが、
ホントに急な話なので、交際期間も全くと言っていいほどないし、
サマンサは一体どういうつもりだと思いました。
帰宅後、サマンサはリンカーンのことを訝しがるメイジーに対し、
「内緒だけど、あなたのために彼と結婚したのよ」と言います。
リンカーンはバーテンダーなので、昼間は家にいるため、
自分が仕事中にメイジーの世話をできるということのようですが、
そんなのは急な結婚を娘に納得してもらうための方便だろうと思いきや、
本気だったみたいで、サマンサはリンカーンのことを好きじゃないみたい。
むしろ目の前でメイジーとリンカーンが仲良くしてると、
嫉妬して2人を引き離そうとするほどです。
リンカーンをナニーの代わりにするつもりだったのかもしれないけど、
ビールが結婚したので、自分がシングルマザーだと親権取られると思ったのかも。
ビール曰く、若くて背の高いリンカーンはサマンサのタイプではないらしいし、
本当に娘の世話係にするためだけに好きでもない男と結婚したなら、
なかなかすごい覚悟だと思うけど、リンカーンは可哀想だよね。

リンカーンに出会った時は警戒していたメイジーですが、
優しくて遊んでくれる彼に、すっかり気を許し、
同級生に紹介してくれるほど、仲良くなります。
そんな彼にサマンサは「娘に取り入るなんて最低」とイライラ…。
世話役に娘が懐いてくれたなら狙い通りの展開のはずなのにね。
そんな中、約束の10日経っても、ビールが娘を迎えに来ません。
その間、娘と過ごせる時間が出来て、サマンサも嬉しいかと思いきや、
逆に「なんで迎えに来ないなんて規則違反だ」と腹を立てます。
まぁ彼女も忙しい身の上なので、スケジュールが狂うのは困るでしょうが、
可哀想なのはそんな母を見ている、宙ぶらりんなメイジーですよね。
きっと父からも母からも見捨てられたような気分だったと思います。
どうやら新婚旅行で、迎えが3日遅れたみたいです。
ビールが娘を見捨てたわけではないと安心しましたが、
今度はサマンサが仕事の都合で期日になっても迎えに来ず…。
両親とも、そんなにメイジーとの時間を取る気がないなら、
なんで親権争いなんてしたのかと思いますね。
ただの意地の張り合いだったんじゃないのかと…。

サマンサの家で過ごす期間中ですが、肝心の母はツアー中で、
メイジーはずっとリンカーンに世話してもらいます。
ところがリンカーンに急な仕事が入ったため、
その間メイジーを誰かに預けなくちゃいけません。
仕方なくビールの家にいるはずのマーゴに頼みに行きますが、
「何で私がそんなことしなくちゃいけないの!?」と彼女は大激怒。
どうやらビールが彼女を置いてロンドンに出張してしまったようで、
娘の世話をするための都合のいい女として使われていると感じ、
溜まっていた怒りが爆発してしまったようです。
両親に続いて、リンカーンとマーゴにまでお荷物扱いされ、
たらい回し状態で可哀想なメイジーですが、そんな自分のことよりも、
泣き崩れるマーゴを心配して慰めるのです。
なんて泣かせる優しい子でしょうか。
気が動転して酷いことを言ってしまったマーゴですが、
彼女もそんな健気なメイジーのことが大好きなので、すぐ仲直り。
ついでにそれがキッカケでリンカーンとも親しくなって、
3人で人形劇を観に行ったり、公園に散歩しに行ったりするようになります。
でもマーゴはビールとケンカして家を出てしまうのです。

ビールは英国人で、ロンドンに出張が多いですが、そっちに実家もあるので、
メイジーに「一緒にイギリスで暮らそうか?」と訪ねます。
でもメイジーは母サマンサのことも大好きなので、その話はお流れに。
メイジーにとってはツアーに同行もさせてくれない母と暮らすより、
出張先で呼んでくれる父と暮らした方がいいと思うのですが…。
メイジーとリンカーンとマーゴは、メイジーの好きなカメを買いに、
一緒にチャイナタウンに行きますが、そこでツアー中のはずのサマンサと、
なぜかバッタリ遭遇してしまいます。
リンカーンが元夫の妻マーゴと一緒にいるところを見たサマンサは激怒し、
2人はケンカになり、彼は彼女の元を去ってしまうのです。
怒られるべきはツアーから帰ってたのに、娘をリンカーンに預けたまま、
連絡もよこさないサマンサの方ですよね。
その場はサマンサがメイジーを連れて帰りますが、ツアーは継続中なので、
彼女はあろうことか、娘をリンカーンの勤めるバーに置き去りにして、
ツアーを再開させてしまうのです。
しかしその日リンカーンは出勤せず、一夜だけ同僚がメイジーを預かり、
翌日マーゴが彼女を迎えに来るのです。
知らない人の家に泊まり、よっぽど心細かったのか、
マーゴに会えたメイジーは、一筋だけ涙を流すのです。
彼女が泣いたのはその時だけでしたが、それだけに胸が締め付けられました。
しかしサマンサは最低な母親だな。

マーゴはメイジーを連れて、今は使われてない親戚の家に行きます。
そこにリンカーンもやってきて、3人で浜辺で遊んだり、
モノポリーしたりして、本当の家族のように幸せそうに数日過ごします。
しかし、ツアーを終えたサマンサがメイジーを迎えにやってきて…。
でもメイジーは、母サマンサと家に帰ることよりも、
リンカーンとマーゴと一緒にいることを選択します。
あの物分かりのいいメイジーが、初めて自分の意思を示した瞬間です。
その意思は固く、サマンサも諦めて引き下がります。
そして次の日、メイジーはリンカーンとマーゴと一緒に、
楽しみにしていたボート遊びに出かけるシーンで本作は幕を閉じ、
ハッピーエンドな感じですが、実際は3人の幸せな生活は長くは続かないはず。
リンカーンとマーゴは恋人同士になりますが、
もうメイジーの継父と継母ではなく、彼女とは赤の他人だし、
遅かれ早かれメイジーをサマンサに返さないといけません。
2人が結婚して、メイジーを養子にでもできたら本当にハッピーエンドだけど、
メイジーの両親に振り回される人生はこれからも続くはずです。
きっとどこかで溜まっていたものが爆発して、
メイジーはティーンになったことにはグレてるでしょうね。

メイジーはあまり感情を表に出さない子なのに、
なぜか彼女の気持ちが痛いほど伝わってくる物語で、
両親のケンカや離婚が子供にはどう見え、どう思っているのかが、
うまく描かれた素晴らしい作品だと思います。
ぜひ小さい子を持つ親御さんに観てほしいです。

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