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アメリカン・ハッスル

来月はファーストデイと週末が重なる映画の当たり月で、
今週末は怒涛のハリウッド映画の公開ラッシュになるので、
今週末から来週にかけては毎日のように映画館に通うことになりそうです。
ただでさえ観たい作品が多くて、来週末までに観切れるかわからないのに、
来週末公開予定だった『ラッシュ プライドと友情』までが
今週末に先行上映されることになってしまいました。
観たい映画が沢山あるのは嬉しいけど、何から観ればいいか、
どう時間を作って観に行こうか、ちょっと悩ましいです。
特に時間で悩むのが、今日公開の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』。
なんと上映時間が約3時間もあり、安易な気持ちでは観に行けません。
でもオスカー候補の1本なので、映画ファンとしてはぜひ観ておくべき作品だし、
優先的に観に行こうと思っています。

ということで、今日は今週末公開のオスカー候補の感想です。

アメリカン・ハッスル
American Hustle

2014年1月31日日本公開。
デビッド・O・ラッセル監督が、1970年代に起こった収賄スキャンダルを映画化。

詐欺師アーヴィン(クリスチャン・ベイル)と、その相棒で愛人のシドニー(エイミー・アダムス)。彼らはFBI捜査官リッチー(ブラッドリー・クーパー)に逮捕されるが、無罪放免を条件におとり捜査への協力を持ち掛けられる。それは、架空のアラブ人富豪をダシに、カジノ利権に群がる政治家やマフィアを一網打尽にするというもの。アーヴィンとシドニーは、標的のカーマイン市長(ジェレミー・レナー)に近づくが、二人の仲を嫉妬(しっと)するアーヴィンの妻ロザリン(ジェニファー・ローレンス)がおとり捜査の邪魔をする。(シネマトゥデイより)



今週末は今年になって初めての怒涛の映画公開ラッシュで、
今日も観たい映画が4本も公開され、どれから観ようか迷いましたが、
「初日1000円」という企画に惹かれ、本作から観ることにしました。
翌日もファーストデイなので、1000円で観れることには変わりないけど、
明日はまた別の映画を1000円で観たいので好都合でした。
でも、あまり告知が行き届いていなかったのか、安く観れる機会なのに、
それほどお客さんが入っていたわけでもなく…。
たとえ1000円じゃなくても、これほどの話題作の初日なら、
もっと集客してもいいはずなのに、なんだか寂しいです。

第86回アカデミー賞に『ゼロ・グラビティ』とタイ記録の
最多10部門でノミネートされた本作ですが、
特徴的なのは演技部門を総なめにしていることでしょう。
主演男優クリスチャン・ベイル、主演女優エイミー・アダムス、
助演男優ブラッドリー・クーパー、助演女優ジェニファー・ローレンスと、
演技力だけでなく人気も兼ね備えた、超豪華実力派俳優の共演作で、
ノミネートでの演技部門の総なめも当然といった顔触れです。
というか、完全に演技部門総なめにしてやろうという意図を感じる配役で、
アカデミー賞ありきで製作された作品だと思われます。

ボクもこんなキャストを揃えられたら、否が応でもテンション上がりますが、
いざ観てみると、演技派俳優共演作でありがちな演技合戦になっていて、
演技を魅せることが目的となっているために、展開のテンポが犠牲となり、
正直、期待していたほど面白いとは思えなかったんですよね。
演技合戦が功を奏してか、全演技部門ノミネートはしたものの、
ボクの見立てでは、演技部門での受賞は難しいと思います。
たしかに各俳優の演技は素晴らしかったのかもしれませんが、
演技派ばかりだと、各俳優の演技の素晴らしさは埋没し伝わりにくいし、
それに何より、演技以外の部分の印象が強すぎて、演技の印象が残りにくいです。
それが何かといえば、各俳優の攻めまくったルックスです。
役作りの鬼であるベイルのハゲでメタボな体系をはじめ、
パンチパーマのクーパー、エロいアダムス、ケバいローレンスと、
普段の役のイメージとは違うルックスに果敢に挑戦しているのですが、
ギャップがありすぎて、出オチ状態になり、演技に気が回らなくなります。
役作りも演技の重要なポイントなので、そこが評価されるかもしれないけど、
過去の受賞者の傾向だと、あまりに攻めすぎた役作りは評価されにくい気が…。
まぁ各部門、他に最有力候補がいるのが、受賞できないと思う最大の理由だけど。

演技部門の他にも、作品賞、監督賞、脚本賞と、
全主要部門にノミネートされている唯一の作品なのですが、
前述のように演技合戦になっているため、物語のテンポが悪く、
さらに詰め込みすぎに感じられて、あまりいい脚本とは思えません。
そもそも70年代に実際にあった「アブスキャム事件」を基にした物語だけど、
その事件自体にあまり面白味を感じられないんですよね。
当時のアメリカは政治家の汚職事件が大きく取り沙汰された時期で、
本作の元となった政治家の収賄事件「アブスキャム事件」も、
かなり注目されたのではないかと思われるし、その時代を経験した人なら、
本作で描かれている内容に高い関心を持つかもしれないけど、
80年代生まれで、かつ日本人のボクとしては、元ネタには全く関心がなく、
多少手の込んだ詐欺事件ではあるものの、大局的にはよくある収賄事件で、
取り立てて見るべきところもない出来事のように思えます。
また、政治が絡む事件の性質上、ちょっとややこしいところもあり、
話の流れについていくのがやっとで、内容の面白さまでは味わいにくく、
正直、中盤は退屈さも感じてしまいました。

その収賄事件に絞って展開するならまだしも、
ことあるごとに男女の痴情の縺れが描かれるので、
収賄事件の話が遅々として進まず、テンポが悪く感じられるんですよね。
というか、実際は本作はその痴情の縺れの方がメインだったみたいですが、
ボクは詐欺師とFBI捜査官らによるクライムサスペンスのつもりで観たため、
本作の本質的なところを味わえなかったのかもしれません。
収賄事件が進行する中、主要人物たちの四角関係の展開になるたびに、
「また話が停滞し始めた」とイライラしちゃいましたからね。
そもそもあんな一世一代の大博打の最中に、
愛だの恋だのにウツツを抜かす余裕があるとは到底思えず、
そこに全くリアリティを感じられませんでした。
実在の事件が基でも、たぶん四角関係の話は創作なんじゃないかな?
そんな色恋沙汰の部分は全く注目していなかったので、
それについての感想は書けないため、以下、収賄事件の感想になります。
ネタバレ注意です。

天才詐欺師のアーヴィンは、愛人のシドニーと共に、
銀行融資の手付金詐欺で荒稼ぎしていました。
シドニーが身分詐称で英国王室の関係者のフリをして、
ロンドンの銀行にコネがあるから5000ドルの手付金で
50000ドルを融資できると客を騙すという手口です。
如何にも嘘くさい話ですが、シドニーの演技力はエイミー・アダムス並で、
彼女は完璧なイギリス訛りを使いこなすので、みんな信じちゃうんでしょう。
ある日、リッチーという男が融資を申し込みに訪れますが、
彼は実はFBI捜査官で、2人はまんまと囮捜査に引っ掛かり逮捕されます。
しかしアーヴィンはリッチーから「同業者を4人売れば無罪放免にする」と
司法取引を持ち掛けられ、仕方なくその話に乗ることに。
アーヴィンは知人にアラブの金持ちのシーク(族長)のフリをさせ、
彼を餌に詐欺師を釣ってFBIに売ろうと考えますが、
釣れた同業者から、カムデン市長カーマインのカジノ利権の話を聞くのですが、
出世欲にかられたFBIリッチーは、ぜひ政治家の収賄事件を挙げたいと、
市長の収賄現場を押さえようと、アーヴィンらに無理やり協力させ、
3人で市長を詐欺に掛けようと、囮捜査をはじめるのです。
アーヴィンにとっては、同業を4人売る方が簡単なのに、
なぜそんな危険な計画に乗るのか疑問でした。

市長カーマインは、たしかに真っ白な政治家ではないものの、
基本的には市民を大切にするいい人で、なかなか敏腕の市長です。
雇用を生むためにカジノ建設法案を成立させた彼ですが、
肝心のカジノの建設費用が捻出できず、困っていたところに、
投資顧問を名乗るリッチーらから、偽のシークの融資を持ち掛けられ、
その話にまんまと乗ってしまうのです。
どう考えても、悪者はアーヴィンらの方で、元ネタを知らないボクは、
最後にはアーヴィンらが捕まる展開になると予想しましたが、違いました。
結論から言えば、可哀想なことにこの事件の一番の犠牲者は市長で、
彼をハメたアーヴィンやリッチーは、特にお咎めもないんですよね…。
実際の事件が元ネタというのだから仕方ないけど、
ちょっと釈然としない気持ちになります。

アーヴィンはパーティで市長に偽のシークを引き合わせるのですが、
いつもの偽シークは所用のため、FBIが偽シークを用意します。
でもそのシークはアラブ人ではなく、メキシコ人で…。
FBIにしてはいい加減すぎる人選ですが、
市長はアラブ人を黒人と勘違いするアホなので、市長の目は誤魔化せます。
ところがパーティにはカジノを経営するマフィアたちも参加していて、
ランスキーの右腕の元殺し屋のテレジオに、めちゃめちゃ疑われるのです。
テレジオはシークを本物と証明するために1000万ドル用意しろと迫ります。
そんな金、いくらFBIでも用意することはできず、彼らは途方に暮れます。
さらに、カジノは取り締まりが厳しいため、アラブ人出資者では都合が悪く、
シークに市民権を与える必要もありますが、そんなスピード取得は難しく…。
それにしても市長が作るのは公的なカジノだと思うのに、
なぜ経営をマフィアにやらせるんでしょうね。
たしかにマフィアにはノウハウがあるのは理解できるけど、
アラブ人出資者はダメなのに、アメリカ人マフィアの経営はOKなんて、
今だったら絶対に考えられないことです。

アーヴィンたちはシークに市民権をスピード取得させる根回しのため、
市長と結託して議員の何人かに賄賂を渡します。
FBIリッチーにしてみれば、大量の収賄事件を挙げるチャンスで、
その受け渡しの現場はきっちり録画してあります。
(結局、7人もの議員が逮捕されることになりました。)
そんな折、アーヴィンの奔放な妻ロザリンが、浮気相手のマフィアに、
リッチーが投資顧問ではなく役人であるとバラシてしまうのです。
それによりアーヴィンはマフィアに拉致られ、殺されかけますが、
そんな時に、ある名案を閃くのです。
後日アーヴィンは、リッキーに200万ドル用意してほしいと依頼。
大物マフィアのテレジオを逮捕するためならばと、FBIは快諾し、
テレジオの弁護士に接見し、「1000万ドルのうち一部を用意できた」と、
シークのフリをしたFBIから200万ドルを彼の口座に送金させるのです。
その際に弁護士から、テレジオの犯罪行為に関する発言を言葉巧みに引き出し、
FBIがそれをこっそり録音、テレジオを逮捕するための証拠を手に入れ、
リッキーたちFBIは計画の成功に大喜びします。
なるほど、アーヴィンはテレジオに殺される前に、
FBIにテレジオを逮捕してもらおうと考えたわけだな。
でもそれって、名案というにはあまりに普通な計画だよね…、
…と思ったら、実は騙されていたのはFBIの方だったのです。

実はテレジオの弁護士は偽物で、本当はアーヴィンの知人。
FBIが送金した200万ドルは、アーヴィンのものになります。
アーヴィンはFBIに匿名の電話で、200万ドルと引き換えに自分の免責と、
市長の収賄の減刑を要求し、晴れて無罪放免となるのです。
と同時に、FBIに逮捕されそうだったテレジオを助けたことにもなり、
彼に恩を売ることもでき、マフィアから命を狙われなくなります。
このアーヴィンの計画は、起死回生、ウルトラCの名案だと感心しましたが、
前述のように、減刑されたとはいえ懲役刑をくらった市長は気の毒だし、
大物マフィアの逮捕のチャンスをふいにしてしまったのも、
社会的には損失が大きいので、結局アーヴィンの計画は保身でしかなく、
あまり感心できる行為ではないが、それをハッピーエンドのように描くのは、
ちょっと納得できず、釈然としない気持ちになります。
その後、アーヴィンは画廊を開き、堅気になったのはよかったけど、
雇用を生む市民のためのカジノ計画が、市長逮捕後どうなったのかも描かれず、
何とも言えない後味の悪さが残るので、ウルトラCの詐欺を描いた内容のわりに、
痛快感が全く得られないんですよね…。

あとアーヴィンは妻ロザリンと離婚し、彼女は例のマフィアと結婚。
アーヴィンはなぜか息子の親権は彼が取ることになるのだけど、
その子は妻の連れ子だったので、ダメな母親だったとはいえ、
実の母親から引き離されてしまったその子も可哀想な気が…。
アーヴィンは義理の息子のことが大好きだったので幸せだろうけど、
やっぱり結局はアーヴィンばかりが自分の思い通りになった物語で、
ボクとしてはイマイチ好ましく思えないラストでした。

期待していたほどには楽しめなかったとは思いましたが、
話題作なのは間違いなく、オスカー最有力候補とも言われているので、
第86回アカデミー賞を楽しむためには本作の鑑賞は必須です。
映画ファンならとりあえず観るべきですよね。

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