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スティーラーズ

最近疲れ気味で、序文まで手が回りませんが、
今日も映画の感想です。

スティーラーズ
Pawn Shop Chronicles

2014年1月18日日本公開。
ポール・ウォーカー主演のクライムコメディ。

アメリカ南部。白人至上主義者である強盗団リーダーは、ドラッグディーラーから大金を奪い取ろうとたくらんでいた。その頃、エルヴィス・プレスリーを崇拝する巡業芸人は宗教めいたことを口走る男と出会い、妻を何者かに誘拐された過去を持つ男は女性ばかりを狙った猟奇犯と遭遇する。一見、無関係な彼らであるが、奇妙な巡り合い、欲望や怨嗟(えんさ)といった感情、ヒステリックな小人、手癖の悪い料理人など、さらに奇々怪々な連中の登場によって、予想だにしなかった事態に身を投じていくことになる。(シネマトゥデイより)



昨年11月30日に俳優ポール・ウォーカーが交通事故で他界しました。
『ワイルド・スピード』シリーズの主要キャスト(というか主演)で、
劇中でも私生活でも日本車が大好きだった彼には、
とても親近感を感じていたし、本当に残念な訃報です。
彼が亡くなったことで、撮影途中で今年公開予定だった
『ワイルド・スピード』シリーズ最新作が公開延期となり、
それもとても残念なことですが、その代わりといっては何だけど、
その訃報を受けて、彼の最新出演作の本作の日本公開が急遽決定。
追悼と言えば聞こえはいいけど、便乗くさいのは如何なものかと思うけど、
この手の作品は、普通なら日本公開は見送られると思われるので、
訃報によって観ることができたのであれば、不幸中の幸いなのかも。

まぁ正直、面白いかどうかは別として、本作は追悼向きの作品ではないです。
ウォーカーが演じる主人公も挑戦的な役柄で、あまり彼らしいとは言えないし、
アンサンブルキャストなので、そもそも主人公といえるかどうかも微妙です。
ちなみに来月15日には、単独主演作『ハリケーンアワー』の日本公開も決まり、
そちらの方が内容的に追悼作品には向いていると思います。
ちなみに本作も『ハリケーンアワー』も彼の遺作ではなく、
夏公開予定の『ブリック・マンション(原題)』が遺作になりそうです。
あ、でも『ワイルド・スピード』シリーズ最新作も、
ウォーカーの出演シーンを使うはずなので、それが遺作かな。
変な言い方だけど、遺作としてはそれが理想的ですね。

とりあえず追悼的な感じで公開が決まった本作ですが、
どうせならもっと大々的に公開してほしかったと思います。
現在公開中の劇場がミニシアターを中心に全国6館だけ、
ここ関西ではシネマート心斎橋のみで、しかも一日一回という小規模上映で、
ウォーカーの死を悼んでいる人数に対して少なすぎる公開館数です。
…と思っていたのですが、それほど盛況な客入りでもなかったので、
本当に訃報が悲しかったボクとしては、とても寂しい気持ちになりました。

そんなボクは、当然本作もウォーカー目当てで観に行ったのですが、
いざ作品を観る前にひとつの関門をクリアしなくてはいけません。
本作には来場者プレゼントとしてステッカーが配られるのですが、
その絵柄は5人の主要キャストとポスター画像の6種類あり、
それが一人一枚ランダムで配られるのです。
来場者のほとんどはウォーカーのステッカーがほしいですよね。
当然ボクもそうで、ハズレならリピートしてでもと思っていました。
シネマートでは従業員さんが十数枚のステッカーを裏返して扇方に広げ、
ババ抜きのように客が一枚選ぶのですが、その瞬間はドキドキしました。
結果、運よく一発で引き当てることができたのは、ホントに嬉しかったです。
まぁ一発といっても、一緒に観る知人の分もボクが同時に引き、
2枚中1枚がアタリだったので、確率1/3でした。
ちなみにハズレ(?)の方はマット・ディロンのステッカーで、
知人はボクの熱意を受けて、快くウォーカーの方を譲ってくれました。
というか、映画会社も6種類も用意するなんて酷なことしないで、
全部ウォーカーのステッカーにすればいいのにね。
まぁ稀に『ハムナプトラ』ファンが、ブレダン・フレイザー目当てで
観に来てる可能性もないとは言えないけど…。

望み通りウォーカーのステッカーをゲットして、
ホクホク気分で鑑賞した本作ですが、初っ端から意表を突かれました。
クライムサスペンスだと思って観始めたのに、なんか雰囲気が違う。
冒頭、ある質屋で店主と常連客が、黒人サンタの是非でモメているところに、
マヌケそうな男が散弾銃を売りに来るという展開で、どう見てもコメディです。
実は本作は、クライムサスペンスではなく、クライムコメディだったのです。
日本版のポスター画像(※)は完全にクライムサスペンスなノリだし、
邦題も『スティーラーズ(泥棒たち)』とクライムサスペンス丸出しなので、
完全に誤解していました。(というか配給会社に騙されました。)
原題は『Pawn Shop Chronicles(質屋年代記)』というトボケたもので、
質屋を訪れた3人の客の顛末を描いたオムニバス的群像コメディでした。
でももともとウォーカーの追悼のつもりで観に行ったので、
内容は特に期待していなかったため、予想外の展開でも問題なかったし、
むしろB級サスペンスと誤認していたので、
実はなかなか面白いコメディだったのは嬉しい誤算でした。
まぁたしかに、群像劇なのでウォーカーの出番は多くないし、
彼よりもディロンやフレイザーが活躍していたのは想定外でしたが、
コメディで笑っているうちに、追悼の気持ちも忘れていたので、
全く気にならず、普通にとても楽しめてしまいました。
もしウォーカーに全く興味がない人でも、観て損はない佳作です。
以下、ネタバレ注意です。

ウォーカー演じるロウドッグは、弟ヴァーノンと友達ランディの3人で、
ドラッグの売人を襲う計画を立てるのですが、この3人はかなりアホで、
ちょっとした勘違いから、ランディがヴァーノンを故意に車で轢きます。
ヴァーノンは大怪我を負って死にかけていますが、
ロウドッグとランディは彼を放置して、計画通り売人を襲うことに。
ところがショットガンを持ってくるはずのヴァーノンが、
直前にショットガンを質入れしたため、代わりの武器を探すことになり、
野グソ中の狩人から弓矢を失敬し、売人の家に向かうのです。
マスクを被ったロウドッグは、弓矢を突き付けて売人を脅しますが、
長時間矢を構えるのは疲れるみたいで、うっかり手を滑らせてしまい、
相方ランディを射ってしまい…。
さらに保安官からショットガンを貰ったヴァーノンが復讐に現れ、
彼らに向かってショットガンをぶっ放して大惨事になる、
というのが本作のひとつめのエピソードです。
とにかくこの3人のアホっぷりが面白すぎて、笑いが止まりません。
どれくらいアホかと言えば、別に黒人もユダヤ人も嫌いじゃないのに、
出される食事が美味しいと理由で白人至上主義の会に通うくらいアホ。
ピエロのマスク被ったロウドッグにも爆笑でしたが、
せっかくのウォーカーの顔が隠れちゃうのはもったいなかったかもね。
それにしても、ヴァーノンにショットガンをくれた保安官は
一体何者だったのでしょうか?

売人襲撃シーンの後、場面は質屋に戻ります。
ディロン演じるリチャードは、新婚旅行中に旅費が底をつき、
とりあえず結婚指輪を質入れするために質屋を訪れますが、
そこで失踪した前妻の結婚指輪を発見し、店主を問い詰め、
それを売った近所のダイナーのコックに会いに行きます。
コックに妻の失踪について問い詰めると、彼は指輪を叔父から盗んだそうで、
叔父はギャンブルでジャッキーという男から手に入れたそうです。
リチャードは農場に住むジョニーの家を訪れ、
彼を拷問して、妻の行方について問い詰めます。
釣り針とフレイルを使った拷問は、ちょっとグロかったですね。
すると、なんと妻はその農場のサイロに監禁されているとわかり、
リチャードはすぐに救出に向かうが、小さな檻に全裸で監禁された妻は、
なぜか檻から出たくないといい、彼を拒絶するのです。
彼女を無理やり連れ出したリチャードが、もうひとつのサイロも調べると、
そこにはピラミッド状に積まれた檻に、17人もの女性が監禁されており…。
まるで犬猫のように裸の女性が監禁されているシーンは衝撃的でした。
ジョニーに拉致された妻は、頑張って彼女たちを蹴落とし、
ジョニーのナンバー1のお気に入りになり、特別待遇を受けているので、
その生活を手放したくないために、救出されるのを拒んでいるのです。
究極のストックホルム症候群ですが、その心境は理解できなくもないです。
彼女はリチャードがジャッキーを殺したと知り激怒し、
運転中の彼をめった刺しにして殺してしまうのです。
コメディというには、スリラーのような刺激的なエピソードでしたね。
リチャードが刺されて事故った車は、ロウドッグの車にニアミスします。
どうやら初めのエピソードと同日のエピソードということらしいです。
そういえばロウドッグは狩人から弓矢を失敬するときに、
「裸の女ゾンビの集団の幻覚を見た」と言ってましたが、
それはサイロから逃げ出した17人の女性を見たのでしょうね。

最後のエピソードはフレイザー演じるリッキーの話。
彼はエルヴィスのモノマネタレントで、カーニバルでショーをするために、
この町に来たのですが、エルヴィスどころかリベラーチェと揶揄されるほど
全く似てないモノマネなので、全然売れてない貧乏芸人で、
会場に行くためのガソリン代も底をついたので、質屋に駆け込みます。
本物のエルヴィスの遺品という24金のメダルを売り、
その金でショーの前に散髪するのですが、この町の理髪店は、
ドクの店とクックの店があり、この町の住民はドク派とクック派に分かれて、
どちらの理髪店が素晴らしいかで、いがみ合っているのでした。
そんな中、余所者リッキーがどちらの店を選ぶかで町は大騒動になります。
普通に考えれば、町に理髪店が2つしかないのなら、
ドクはクックに、クックはドクに切ってもらってると思いますけどね。
結局どちらの店でも散髪できなかったリッキーですが、
彼のもとに悪魔(?)が現れ、取引を持ち掛けるのです。
魂と引き換え(?)に取引を受けたリッキーのショーは大成功。
彼は大手事務所にスカウトされるのです。
なんだかメチャクチャなエピソードでしたが、面白かったです。
落ち目な印象のあるフレイザーの売れない芸人役は嵌り役でした。
でもショーの「アメイジンググレイス」はなかなか様になってましたよね。

リッキーのショーの途中で、サイロから逃げ出した例の女ゾンビ集団が現れたり、
ヴァーノンが売人の家で起こした爆発がショーを盛り上げる演出になりましたが、
つまり前のふたつのエピソードは最後のショーを盛り上げるために、
悪魔が仕組んだことだったということになるのかな?
そう考えれば、ショットガンを与えた例の保安官の正体も理解できますね。

ポール・ウォーカー目当てで観ると拍子抜けしてしまう内容ですが、
不条理コメディとして、なかなか面白いのでオススメの作品でした。
でもその評価も、追悼補正が掛かってないとも言い切れないけど…。

(※)クライムサスペンスと誤認させる日本版ポスター
スティーラーズ

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