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Seventh Code

今日も映画の感想です。

Seventh Code
セブンスコード

2014年1月11日公開。
黒沢清監督、前田敦子主演のサスペンス。

秋子(前田敦子)は松永(鈴木亮平)という男性を追い掛け、ウラジオストクを訪れる。ようやく極東の街で念願の相手と再会を果たすものの、向こうは彼女のことなどきれいさっぱり忘れていた。ある日、斉藤(山本浩司)が経営する小さな食堂で働きながら松永の行方を探していた秋子のもとに、ようやく情報が入ってくる。(シネマトゥデイより)



ボクはAKBが嫌いだし、そのメンバーや卒業生に対してもいい印象はないけど、
前田敦子に対しては、ちょっと見直しています。
『もしドラ』の時なんかはマジで大根だと思ったし、大嫌いだったけど、
AKB脱退後の『クロユリ団地』での演技はかなり頑張っていたので、
大島優子なんかとは違い、一人前の女優になってきた評価しています。
それでもまだ積極的に彼女の主演作を観たいとまでは思いませんけどね。
なので彼女の主演作である本作も、全く観る予定はありませんでした。
しかも本作の監督は、豪華俳優を起用しておきながら大不評だった
『リアル 完全なる首長竜の日』も記憶に新しい黒沢清なので、
何もなければまず絶対に観ることはなかったはずです。

ところが本作は、第8回ローマ国際映画祭のコンペ部門で、
最優秀監督賞と最優秀技術貢献賞を受賞したんですよね。
イタリアの映画祭と言えば、世界最高峰のヴェネチア国際映画祭があり、
ローマ国際映画祭なんて聞いたこともないし、
まだ数年前にできたばかりで、どれほど権威があるかわかりませんが、
男優賞のマシュー・マコノヒー主演『ダラス・バイヤーズクラブ』や、
女優賞のスカーレット・ヨハンソン主演『her/世界でひとつの彼女』など、
ボクも注目しているハリウッド映画とも争っての受賞のようなので、
これはそれなりに快挙なのではないかと、観に行くことを決めました。

そんな国際的な映画賞を受賞しての凱旋公開のはずが、
日本ではなぜか1週間限定の公開になっており、
ここ関西ではテアトル梅田で1月18日からの1週間限定公開でした。
ボクが観た24日が最終日で、今日現在すでに日本公開は終わっています。
劇場は前田敦子のファンらしき人から、映画ファンのような人まで、
けっこう盛況だったのに、なぜ限定公開なんかにしたのかな?
あの調子なら、公開期間延長しても、けっこう稼げそうなのに…。
上映時間60分の中編映画なので、回転率もいいはずです。
うーん、映画会社が本作には全く集客を期待していなくて、
国際映画賞獲ったから、一応一週間だけお試しで劇場公開したのかも?
まぁその限定というプレミア感のお陰で、盛況だった可能性もあるけどね。

でもボクがもし映画会社の人でも、本作の公開は1週間限定にしたはずです。
正直、特に駄作とも思わないけど、特に面白い作品ではないし、
これで客入りが見込めるとは思えないので。
なぜこれが国際映画賞なんて受賞できるのか不思議ですが、
どうやら競合相手が弱かったみたいですね。
そもそも60分の中編映画である本作が、
長編映画が競うコンペ部門に出品されているのがおかしいですが、
それもそのはずで、コンペ部門の出品作品が集まらなかったため、
基準を下げて、なんとか集めたみたいなのです。
上記のハリウッド映画も、本来なら基準外だったみたいですが、
映画祭に箔をつけるため、無理やりエントリーしたとのこと。
本作を含め、そんな強引にねじ込まれた基準外の作品に、
最優秀作品賞以外の作品賞主要な賞を全て持っていかれる状況では、
本作の競合相手がどの程度の作品だったかなんて推して知れます。
黒沢清はカンヌ映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞したりと、
国際的にもそれなりに名の知れた監督なので、
審査員にしてみれば監督賞を受賞させるには無難な人物だったのかも。

もうひとつの技術貢献賞が何を称える賞なのかはわかりませんが、
競合他作品の多くが、ほとんど新人監督の作品だったみたいなので、
ベテラン監督の本作が、技術的に優れているのは当たり前です。
結局は、やはりあまり価値のない賞だったのだろうと思います。
おそらく別の日本映画が受賞していたら、あまり話題にもならないですが、
仮にも国民的アイドルだった前田敦子の主演作だったので、
そこそこ大きく報道されてしまっただけでしょうね。
彼女の主演作『もらとりあむタマ子』のワールドプレミアが
全く権威のない釜山国際映画祭で行われた時も、
「前田敦子世界進出」みたいな感じで大々的に報じられましたが、
どうやら彼女のバックは彼女を国際的女優に仕立てようと必死なようです。

そんなゴリ押しで虚飾されている前田敦子ですが、
前述のように、彼女は女優として着実に進歩しているし、
本作での演技もなかなか悪くないと思います。
なので下手にゴリ推しを受けないで、地道に女優業を頑張った方がいいです。
本作にも秋元康がトータルプロデュースという名目で、
エンドロールに名を連ねていますが、いつまでも秋元の庇護を受けていたら、
他の仕事が来なくなって、秋元に飼い殺しにされますよ。
そもそもトータルプロデュースって一体何するの?
製作総指揮ならわかるけど、そんな肩書きの映画スタッフいるのか?
…と思ったら、なんでも本作は前田敦子のNewシングルのPVらしいですね。
厳密にはNewシングルのPVの脚本を中編映画化したものらしく、
本作の『Seventh Code』というタイトルも全く意味がわからなかったけど、
シングルの曲名「セブンスコード」をそのまま使っているだけみたいです。
そのシングル曲のトータルプロデュースがいつも通り秋元康だから、
それを映画化した本作でもトータルプロデュースなのでしょう。
エンドロール前に前田敦子が急に歌い出すから、一体何事かと思ったら、
むしろそこが本編で、それまでの物語はそれの前フリなのでしょう。
以下、ネタバレ注意です。

六本木でナンパしてきた男・松永のことが忘れられず、
彼の所在を追ってロシアのウラジオストクまでやってきた高山秋子。
しかし、再会した松永は秋子のことを覚えておらず、素気なくあしらわれ…。
しつこく松永の後を追う秋子ですが地元のマフィアに襲われ、
荷物も所持金も全てを奪われて、荒野に捨てられるも、何とか街に戻り、
日本人の斉藤が経営するレストランに居候し、再び松永を探し始めます。
ある日、店の前を松永の車が通り過ぎ、秋子は後を追いかけるが…、という話。
秋子はナンパされて一度食事しただけの男を追って、
ウラジオストックまでやってくるなんて、どんなサイコ女だって感じで、
リアリティ皆無ですが、実は秋子の狙いはそんなことではありませんでした。
彼女は(おそらく)フリーの工作員で、ロシア政府に雇われて、
核爆弾に使うクライトロンを持っているマフィアの松永に接近し、
彼を始末してクライトロンを奪うのが真の目的だったのです。
これが本作のオチで、ロマンスと思いきやスパイスリラーという、
どんでん返しになっており、秋子がサイコ女じゃないのはわかりました。
秋子という名前もウラジオストックと縁のある与謝野晶子から取ったのですね。

秋子がまさか工作員だったとは、正直予想外のオチでしたが、
急にロシア語を話したり、マフィアの保管庫のロックを解除したりと、
ただのサイコ女でないことは何となくわかっていたので、
松永を追うのも、痴情が原因ではないと予想していました。
何が目的なのか、真相を楽しみに観ていたのですが、
工作員というオチには、ガッカリしたというか、納得できないです。
もし本当の工作員であれば、松永に接近しなければならない時に、
あんな拒絶されて当然のサイコ女を演じるのは不自然すぎますからね。
たとえ秋子がどんなに美人でも、一度食事に誘っただけで付きまとう女は、
誰でも関わり合いたくないと思うはずです。
特に松永は犯罪者なので、警戒心は人一倍強いはずだし、
工作員なら、もっとマシな接触方法はなかったのかと呆れるし、
ある意味、秋子が単なるサイコ女の場合よりもリアリティがありません。

オチで台無しになったものの、そこまでの異国情緒のある雰囲気や、
(中編なので)テンポのいい展開はそれなりによかったし、
まぁそこそこ楽しめた方かな。

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