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V/H/S ネクストレベル

今日も映画の感想です。

V/H/S ネクストレベル
VHS2.jpg

2014年1月24日日本公開。
ホラーアンソロジー『V/H/S シンドローム』のシリーズ第2作。

こつぜんと姿を消した青年の捜索依頼を受けた探偵と助手は、青年が滞在していたという古い家屋に潜入する。そこには大量のビデオテープと血痕が残されており、戸惑いながらも助手はビデオテープを再生してみる。しかし、映し出される映像は恐怖に満ちたおぞましいものばかりで、助手は取りつかれたようにテープを再生していくが……。(シネマトゥデイより)



本作は日本でも昨年7月に劇場公開された『V/H/S シンドローム』の続編です。
前作がそれなりに人気だったのか、すぐ続編が製作され、
今度は日本でも全米公開から半年で公開されたために、
前作からたったの半年で続編がスピード公開されることになりました。
(前作の日本公開は全米公開から1年近くかかりました。)
まぁ続編といっても、短編ホラーを寄せ集めて枠物語に落とし込んだだけだし、
作ろうと思えばすぐに作れそうなお手軽な形式の作品ですよね。
出来はともかく、この調子でシリーズを重ねてほしいと思います。

前作は5本の短編ホラーと枠物語からなる構成でしたが、
今回は短編ホラー4本と枠物語になり、短編1本分減ってます。
というと、ちょっとお得感も減ったように思われるかもしれませんが、
前作はトータル上映時間が長すぎた印象だったので、
本作で短編が1本減り、その分上映時間も短くなったのは歓迎です。
出来はともかく、とても観やすい作品になったと思います。

本数は減ったものの、1本1本の短編はパワーアップしています。
とにかく監督陣がすごくて、前作はほとんど無名監督ばかりでしたが、
本作はホラー映画ファンなら知らない人はいないであろう作品を監督した、
POVホラー映画の巨匠から、大注目の若手監督が集結しており、
出来はともかく、その顔ぶれだけでもテンションが上がることは間違いなし。

さっきから「出来はともかく」と3回も書いてしまいましたが、
もう言わずもがなでしょうが、ボクは本作の出来はイマイチだと思います。
いずれも腕は確かな監督による短編だし、映像的には前作以上で、
個々の物語も前作以上によく出来た、興味深いものが多いのですが、
不思議なことに、その佳作短編4本をアンソロジーとして纏めてしまうと、
本作の総合的な印象がイマイチに感じられるんですよね。
その要因と思われることが2点あるのですが、ひとつは短編のネタ被りです。
前作は全てPOVという共通項があるだけで、ゾンビ、吸血鬼、殺人鬼など、
バラエティに富んだジャンルのホラー映画だったのですが、
本作は短編4本と枠物語の計5本の中に、ゾンビものが3本もあり…。
おそらく前作は各々が撮影に入る前に内容のすり合わせがあったのでしょうが、
本作は名のある監督ばかりなので、各々勝手に撮ってもらって、
それを集めて枠物語に落とし込んだだけなのでしょう。
まぁ「類は友を呼ぶ」って言うし、企画に賛同したもの同士、
ジャンルの方向性が似てしまうのは仕方のないことかもしれませんが、
多彩さが売りのアンソロジーでネタ被りは最悪です。
もうひとつの要因は作品の構成にあります。
それも含め、以下、ネタバレとなる各物語の感想です。

「Tape 49」
これが本作の枠物語となります。
撮ったのは前作で枠物語の脚本を担当したサイモン・バレットで、
当然前作との内容的な関連性もあると思われたのですが、
ボクには正直、前作との繋がりがイマイチよくわかりませんでした。
主人公は私立探偵のラリーで、彼はある女性から息子の捜索を依頼され、
助手のアイーシャと共に、その息子がいたらしい民家を訪れ、
その中で大量のVHSを発見するのです。
たぶん舞台は前作の民家と同じだったような気がするので、
前作でVHSの映像を見て失踪した若者の母親からの依頼かと思ったけど、
どうもそのVHSを収集する青年(家主)の母親の依頼だったみたいです。
前作の枠物語のタイトルは「Tape 56」なので、
もしかすると時系列としては前作の事件よりも前の話になるのかな?

ラリーは何か手掛かりはないかと、アイーシャにVHSを見るように指示し、
自分は家探しを続けるのですが、彼女は一本見るごとに気分が悪くなり、
3本目を見た後に死んでしまいます。
前作では1本見ただけで死んだので、本作のVHSの呪いはちょっと弱いかな?
彼女は死の間際に、VHSの1本に「WATCH」と書き残しており、
ラリーがそのVHSを見終わると、急に死んでいるはずのアイーシャが動き出し、
彼はアイーシャと依頼人の息子のゾンビに襲われるのです。
この物語は完全に4本の短編を繋ぐためだけのブリッジでしかなく、
アイーシャがなぜ死んだのかも、なぜゾンビ化したのかも、
そのVHSが何だったのかも一切説明がなく、全く内容がありません。
これでは面白くも何ともないけど、そんな枠物語に内包されては、
短編がいくら佳作でも、作品全体の印象が微妙になるのは当然です。
ゾンビに襲われるオチは前作の「Tape 56」も同様でしたが、
これなら前作の枠物語を使いまわしても問題ないくらいで、芸がなさすぎます。

「Phase I Clinical Trials」
枠物語でアイーシャが初めに見るVHSがコレです。
1本目ということもあり、新鮮味もあったのかもしれないけど、
本作の短編はコレが最も面白く、最後の短編が最も微妙という、
ぶっちゃけ右肩下がりになる構成になっていると思いました。
撮ったのは『サプライズ』で今最も注目のホラー監督アダム・ウィンガード。
前作の枠物語の監督も彼でしたが、それは『サプライズ』公開前だったので、
その時は「誰だよ?」って感じでしたが、本作では目玉のひとりです。
目玉監督の彼が撮った短編は、目玉を題材にしたもので、
本作の短編は全てPOVなのですが、この短編のカメラはなんと目玉なのです。
主人公ハーマンは自動車事故で右目を失ってしまい義眼を付けていますが、
手術費が無料になるため、義眼にカメラを仕込む臨床実験に協力しています。
その映像は録画されますが、彼自身にもちゃんと見えているみたいです。
ちょっとあり得ない設定だと思いましたが、まさにPOV(主観映像)ですね。
目玉がカメラなので瞬きすると一瞬暗転し、映像的に見難く思いましたが、
それを考慮してか、彼の瞬きの回数は異様に少なく、それは助かるものの、
その映像を見ているボクもそれに釣られて瞬きが減り、目が乾きます。

その義眼カメラには裸眼では見えないものも見えてしまうようで、
彼は自宅で血まみれの男の霊や少女の霊を度々目撃するようになります。
裸眼では見えないのにカメラを通せば見えるという設定は、
前作の短編のひとつ「Tuesday the 17th」と真逆の設定ですね。
どちらが面白いかといえば前作の設定の方だと思いますが…。
霊が見えることに悩む彼のもとに、クラリッサという女性が訪ねてきます。
彼女は難聴で人工内耳を使っているのですが、
そのせいで霊の声や物音が聞こえるようになり、
その経験から似た境遇のハーマンにアドバイスに来たのです。
電子機器でしか確認できない霊の話はよくあるけど、
人工器官のせいで霊を見聞きする羽目になるというのは興味深いです。
ただハーマンは明らかに霊の叫び声まで聞こえている節があり、
それはちょっとおかしいと思うんですよね。
そもそも義眼の映像なのに、音声が入っているのも変ですね。
クラリッサは霊からプールに引き摺り込まれ溺死。
ハーマンは霊が見聞きできるから殺されるのだと考え、カミソリで…。
なかなかショッキングなラストでした。

「A Ride in the Park」
アイーシャが2本目に見るVHSは、
あのPOVホラーの金字塔である『ブラエ・ウィッチ・プロジェクト』を撮った
POVホラーの第一人者、エドゥアルド・サンチェス監督の短編です。
マイクは自分が公園でサイクリングする映像を撮るために、
ウェアラブルカメラ(ヘリメットカメラ)を付けて走っていますが、
公園の林の中でゾンビの一団に襲われ、噛まれて自分もゾンビ化します。
『REC』『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』など、POVのゾンビ映画は多いけど、
ゾンビにカメラが付いているパターンは初めて観たので斬新でした。
他のバイカーを襲ったり、公園でお誕生会しているところに乱入したりと、
ゾンビになったマイクは大暴れします。
ホラーというよりはコメディのノリが強い展開でしたが、ラストが秀逸。
食欲しかないゾンビになってしまったのだと思っていたのですが、
ケータイに妻から着信があり、それを聞いたマイクは、
自らライフルを咥え、自殺(?)するのです。
人間だった時の意識も残っていたと思われる切ないラストでした。

「Safe Haven」
アイーシャが見た後に死んだ、3本目のVHSがこの短編。
監督は世界的に評価の高い『ザ・レイド』のギャレス・エヴァンスです。
インドネシアを舞台に、「天国の門」を信仰するカルト教団を取材する
テレビクルーが巻き込まれた凄惨な出来事の一部始終が撮られています。
POVの形式としても、ハンディカムや監視カメラの映像が中心な、
在り来たりなPOVホラーですが、その展開には全く付いていけず、
いまいち面白味がわかりにくい作品だったと思います。
テレビクルーが、司祭が子供たちに性的虐待をしていると噂される
怪しげなカルト教団の内部に潜入し、取材する展開は興味深かったのですが、
終盤で司祭の男の号令により、信者たちが次々と自殺し、
ゾンビになってクルーを襲うのですが、立て続けにゾンビもの短編なのは残念…。
半人半獣の山羊のようなベタな悪魔も出現するのですが、あまりの超展開に絶句。
カルト教団の不気味さ、恐ろしさを描くだけでも十分ホラー映画になるのに、
急にゾンビとか悪魔とか超常的な存在を登場させないでほしかったです。
その悪魔は妊娠中の女性クルーの腹を突き破って生まれるのですが、
ラストで悪魔が主人公に「パパ」と言ったシーンでは、
あまりの思いがけないセリフに、劇場内で笑いが起きました。
笑いで終わるVHSを見て、アイーシャが死ぬなんて違和感ありますね。

「Slumber Party Alien Abduction」
最後はアイーシャが「WATCH」と書き残し、ライリーが見たVHSです。
監督は『ホーボー・ウィズ・ショットガン』のジェイソン・アイズナー。
タイトル通り、夜に少年少女がエイリアンからアブダクションされる話ですが、
あまりにベタなグレイ系エイリアンで、笑ってしまいます。
イタズラ好きの弟が、姉が彼氏とセックスしている現場に乗り込んだりするのは、
なかなか面白い展開だと思うけど、それもホラーではなくコメディとしてだし、
正直本作の短編4本は、最初の一本を除いてホラーコメディなんですよね。
でも不気味なVHSを見て怪死するという本作のテーマ的には、
短編は怖くて不気味な内容のものを集めるべきだと思います。
強いてこの最後の短編の見どころを挙げるとすると、
映像のほとんどがペットの小型犬の首輪に搭載されたカメラのものということで、
犬目線のPOVだったということでしょうか。
でも性質上、映像の乱れが凄まじく、終盤は状況がわかりにくいのは困りました。
逆に本来POVで撮影すれば、そんな映像になるはずなので、
他の短編の映像がPOVのくせに見易すぎるとも言えますが…。

総評ですが、名のある監督を集めたのはいいけど、
前作から続投のアダム・ヴィンガード以外の監督は、
本作をお遊び企画くらいにしか考えていないため、
本気で撮ったホラー映画は提供していないように思います。
それでもそこそこ興味深い短編にはなっているものの、
やはり全く怖くないのは如何なものかと…。
もし次回作を作るなら、本作の監督陣よりも腕は未熟でも、
「これを機に有名になってやる」と野心を燃やせるような、
無名の新人監督に渾身の短編を提供してもらった方が、
有名な監督の手抜き短編のアンソロジーよりは楽しめるかもしれません。
まぁ何にしても、枠物語のテコ入れは必要不可欠です。

-前作の感想-
V/H/S シンドローム

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