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エンダーのゲーム

二十代半ばを過ぎたあたりから、長時間テレビゲームを出来なくなりました。
忙しくて出来なくなったのではなく、体力的な理由なのか、
1時間くらい続けると、急激に目が疲れてくるんですよね。
三十過ぎた今となっては、30分プレイしたら一旦やめるような状態で…。
でもこの前はじめたゲームは、なぜか何時間でもプレイでき、
何年かぶりにゲームで徹夜してしまいました。
どうも体力的にゲームができなくなっているのではなく、
長時間プレイできるほど面白いゲームを何年もしていなかっただけみたいです。
目も疲れているのではなく、無意識に退屈さを感じて眠くなってるだけで、
面白いゲームなら徹夜でも朝まで目がギンギンに冴えていました。
ちなみにそのゲームは戦略シュミレーションゲームでしたが、
名作かどうかはわからないけど、あまりやったことのないジャンルなので、
ボクとしては新鮮で嵌ってしまったのかもしれません。

ということで、今日は戦略シュミレーションゲームで地球を救う物語の感想です。

エンダーのゲーム
Enders Game

2014年1月18日日本公開。
オースン・スコット・カードによるSF小説を実写化。

強大な軍事力を持つ昆虫型生命体、フォーミックとの宇宙戦争を続けている人類。その第2次侵攻に備えるべく、世界中から優れた少年兵士たちが防衛軍ベースキャンプのバトルスクールへと集められ、宇宙で戦う技術と知識をたたき込まれていた。そんな中、戦いを終わらせる特殊な能力を秘めているとして少年エンダー(エイサ・バターフィールド)もベースキャンプに送られる。生命を持つ者同士が戦争で殺し合うことに強い疑問を抱きながらも戦士の才覚を発揮し、少年戦士の指揮官となるエンダーだった。(シネマトゥデイより)



邦題があまりにも工夫がなく、どうも面白そうに思えないかったですが、
全米初登場ナンバー1の作品だったので、観に行くことにしましたが、
期待しないなりに意外と楽しめたので、観てよかったです。
原作は読んでいませんが、1977年に発表されたSF小説で、
もう30年以上前に書かれているので、古臭い内容になのではと懸念したけど、
まぁ確かに古典的な展開のストーリーではあるものの、
映像的にはかなり頑張ってたし、キャストもよかったです。
主演の子役は『ヒューゴの不思議な発明』の主演子役ですよね。
ずいぶん印象が変わっていたので、言われるまで気づきませんでしたが、
本作もなかなかいい演技だったと思います。

本作は「選ばれし者が世界を救う」系の、よくあるSFファンタジーですが、
主人公の少年エンダーは例によってはみ出し者のいじめられっ子ですが、
他とちょっと違うのは、彼がやたら生意気で自意識過剰で、
特に努力することもなく生まれながらに高い能力を持つ天才肌で、
ややもすれば全く共感できない不愉快な人物になりそうなところかな。
どうもサード(第三子)という、この世界では特別な出生だそうで、
大人たちからも何かと目に掛けてもらっており、
これでは周りから僻まれて、のけ者にされても当然なほどです。
ボクもこんなガキンチョは大嫌いですが、そんな奴が主人公という状況は、
なかなか珍しいし、ちょっと興味深かったりもするんですよね。
ハリー・ポッターやアナキン・スカイウォーカーも増長する時期があるけど、
エンダーはその状態がずっと続いているような感じで、面白いです。
それにこんなガキって、思春期の少年にはけっこう多いですよね。
本作でも、エンダーの周りもエリート意識が強い少年ばかりだし、
ある意味、そんな少年らしさがよく描けているのもよかったです。
でもやぱり最後までエンダーのことは好きにはなれませんでしたが…。

まるで『スターシップ・トゥルーパーズ』のアラクニド・バグズのような、
昆虫型異星人フォーミックに襲撃を受け、数千万人が殺された地球ですが、
ひとりの軍人ラッカムの特攻により、敵母船を撃破し、何とか退けます。
それ以降、地球の国際艦隊(IF)では、フォーミックの再襲来に備えて、
少年たちを優れた指揮官に育てるべく、訓練しています。
襲撃から50年後の2086年、新兵の訓練を受けているのが主人公エンダーです。
なぜ少年を徴兵するのかというと、エヴァとリンクするため…、
…ではなく、テレビゲームの影響で電子機器の使い方をすぐに覚えたりと、
物事への順応性が高いためのようです。
ゲーム脳とは逆の考え方で面白いですが、やはり所詮は子供なので、
英才教育で訓練して大人になれば優秀な軍人にもなると思うけど、
本作のように子供のままで指揮官なんかにするのはあり得ないですよね。
まぁ子供が読むジュブナイル小説が原作だと思うから、
設定に無理があっても子供が主人公なのは当たり前ですが。

エンダーは訓練長官グラッフ大佐の寵愛を受けて、
同年代の士官候補生の中ですぐに頭角を表します。
他の候補生の子たちにしてみれば、面白くない状況で、
理科室に連れ込まれてリンチされそうになりますが、
エンダーは痩せっぽちなのに腕っぷしが異常に強く、
逆にいじめっ子を返り討ちにするのです。
それはもう倍返しどころではない過剰防衛で…。
どうやら彼の兄ももともと士官候補生だったみたいですが、
優秀なもののサイコ野郎だったみたいで訓練学校を退学していて、
そのサイコの資質はエンダーにもあるみたいなのです。
ただ彼の姉はとても優しい性格で、その彼は資質も持っているみたいで、
ちょっとした二重人格で、自分でも苦悩しているみたいです。
普通なら暴力行為は窘められるところですが、
訓練長官はそんなエンダーの性格も気に入っているみたいで、
退学にするどころか早々に訓練学校を卒業させ、
地球軌道上の訓練基地(バトルスクール)に入学させます。
まだ序盤なのに、あまりの展開の速さに驚きましたが、これはまだ序の口。
それ以降、エンダーは恐るべきスピードで出世していきます。
そのため努力なきサクセスストーリーって感じがするんですよね。

訓練基地ではクラス対抗の試合「バトルルーム」が行われていて、
なんでも無重力の空間の中で対戦相手をガンで撃ち合って点を取る競技で、
これは一応宇宙空間でのフォーミックとの戦いを想定してるのかな?
でもこの競技では、撃たれた選手は体が硬直するだけなので、
一度撃たれた仲間を盾や鎧代わりににして身を守ったりしますが、
こんなの本当の戦争では全く役に立たない、単なるゲームですよね。
エンダーは訓練の合間にタブレット端末でビデオゲームに興じますが、
実はそれは訓練長官らが仕掛けた心理ゲームとなっていて、
そのプレイは逐一モニタリングされ、そのプレイを気に入った訓練長官は、
またしても彼を昇格させ、21連勝中のサラマンダー隊に異動させます。
バトルルームでの成績がいいとかならまだしも、
たまたまやったゲームで昇格させるなんて不公平もいいところです。

そんな新入りエンダーに、サラマンダー隊の隊長ボンソーは辛く当たります。
試合でもチームメイトからのけ者にされますが、
彼は勝手に行動して、対戦相手を何人も倒す大活躍を見せます。
隊長は子供とはいえ将校なので、軍人にはあるまじき上官無視です。
でもそんなエンダーのスタンドプレーを、訓練長官は大絶賛し、
「隊長に従うのがいやなら自分の隊を持たせてあげよう」と、
彼をドラゴン隊の隊長、すなわち将校に昇格させるのです。
その瞬間に、今まで教官だったタップ軍曹(大人)よりも、
上の立場になるんだから、とんでもない大昇格ですが、
それが普通は咎められるべきスタンドプレーのお陰なのは如何なものか…。
ドラゴン隊はサラマンダー隊と試合することになりますが、
バトルルームは撃ち合いによる得点だけでなく、
相手チームのゲートに侵入できたら勝利なので、
エンダーは部下の隊員を自分に貼り付かせることで、彼らを肉の鎧にして、
そのまま相手チームのゲートに突撃して勝利します。
ゲームとしては、ある意味必勝法なので賢い作戦だと言えますが、
部下を壁にして手柄を得るのは、上官として如何なものかと思いますよね。
これが本当の戦争だったら、とんでもない鬼畜外道ですよ。

反則まがいの作戦に腹を立てたサラマンダー隊のボンソー隊長は、
シャワールームでエンダーに襲撃を掛けます。
ところがどっこい、エンダーのサイコな面が現れて、
反撃を受けたボンゾーは床に頭を強打し意識不明の重体になり、
地球に送り返されることになるのです。
これは弾みなので過剰防衛とは言えませんが、やはりはエンダーはお咎めなし。
それどころかエンダーはボンゾーの見舞いのため、
訓練基地を辞めてでも地球に帰りたいと訓練長官に申し出るのです。
なんで憎むべきボンゾーのためにそこまでするのかと謎に思いますが、
彼は敵に情愛が湧くという、なんとも妙な性格なのだそうで…。
とはいえ、見舞いが真の目的かどうかは定かではなく、
シスコンのエンダーは、危うく人を殺しかけたことのショックを、
優しい姉に慰めてほしかっただけなような気もします。
寵愛するエンダーに訓練を辞められては困る訓練長官は、
彼の一時的な地球帰還を了承し、それどころか自分も同行するのです。
他の士官候補生はどうでもいいのかと思うような異常な寵愛っぷりですね。

その後、ボンゾーがどうなったのかは言及されず、気になりますが、
姉に再会して癒されたエンダーは、訓練を再開するため再び宇宙へ。
しかし訓練基地には戻らず、深宇宙にあるフォーミック母星の近くの
指揮官養成基地に異動になります。
訓練基地の狭き門を突破したものだけが集められる基地で、
事実上、指揮官に昇格したわけですが、それもバトルルームの成績ではなく、
仲間をケンカで殺しかけたことがキッカケのような、謎の昇進です。
こうなるともう、ただ訓練長官は、士官候補生の能力も成績も何も関係なく、
とにかく寵愛するエンダーを指揮官にしたいだけみたいな印象ですが、
それもそのはず、28日後にはフォーミックの再襲撃が予測されており、
それまでに何としても指揮官が必要だったのです。

エンダーは指揮官養成基地で、ある教官に会いますが、
なんと彼は戦争で特攻したはずの英雄ラッカムでした。
50年前の軍人にしては、妙に若すぎる気がしますが、
何より特徴的なのはタトゥーだらけの厳つい顔面です。
なんでも彼は、マオリ族出身らしくて、顔面のタトゥーもその名残です。
なんだか突飛な設定ですが、どうやら国際艦隊というだけあって、
隊員を国際色豊かにしたいみたいですね。
隊員には黒人も多いし、訓練基地のルームメイトはムスリムまでいたし。
でもアジア人らしき人は、モブキャラにひとりいたくらいかな?

指揮官養成基地ではバトルルームではなく、
シュミレーターによる模擬戦の訓練が行われます。
波動砲的な最強兵器を搭載した製作費700億ドルの母船リトルドクターと、
数台の戦艦と、無数の無人機を指揮するシュミレーションです。
予想はしてたけど、戦争は結局、宇宙船同士の戦闘になるわけで、
人間同士の撃ち合いなんてバトルルームの訓練は何の意味もありませんでした。
どうりでバトルルームの成績が昇進に考慮されないはずです。
それ以外にも関節技の訓練なんかもしていましたが、
よく考えたら相手は昆虫型異星人なので、人間の関節技なんて意味ないよね。
これなら初めからこのシュミレーションの訓練をさせればよかったです。

異常に出世の早いエンダーですが、出世が早いのは彼だけでなく、
訓練基地の同期の3人や、サラマンダー隊の2人までも、
一個艦隊を指揮する士官となり、エンダーの直属となっています。
各所でいじめられたエンダーですが、この5人は比較的好意的だったので、
能力ではなく、エンダーとの仲の良さで訓練長官が選抜した疑いが…。
まぁそれだけにチームワークはバッチリで、どんどん難しくなる模擬戦を、
彼らは次々とクリアーしていくのです。
そんな彼らもついに模擬戦で敗北しますが、翌日はいよいよ卒業模擬戦で、
それをクリアすればフォーミックとの実戦の指揮が任されることに。

そしてついに卒業模擬戦が始まりますが、ステージはフォーミック母星の目前で、
リトルドクターの主砲を使い、母星を破壊するというシュミレーションです。
エンダーたちは艦隊を何隻も沈められるなどの苦戦を強いられますが、
リトルドクターの特攻により母星を破壊し、卒業試験にクリアします。
ところが、それは模擬戦などではなく、実戦だったのです。
エンダーらがシュミレーターの画像だと思っていたものもライブ映像で、
模擬戦勝利どころかフォーミックの殲滅に成功していたのです。
これは喜べばいいと思いますが、例の敵に情愛が湧く厄介な性格のエンダーは、
騙されて知らず知らずのうちに一種族を滅ぼしてしまったことに激怒します。
脅威を排除できたのだからいい気も知るけど、たしかに道徳的にも問題で、
再襲撃を返り討ちにするための訓練のはずが、実質こちらから攻め込んでおり、
実際にフォーミックに再襲撃の意思があったかどうかもわかりませんよね。
しかも、どうせ模擬戦だからと気兼ねなく撃破された艦隊にも、
実は1000人近い兵士が乗っており、それも見殺しにしたことになります。
エンダーが罪悪感に打ちのめされて激昂するのも無理からぬことです。

まぁ実戦だと訓練の成果が出せないというのはよくあることで、
模擬戦と錯覚させた国際艦隊の上官たちの思惑もわからなくはないです。
ただ、ひとつ疑問なのは、エンダーたちは前日の模擬戦は失敗しているのに、
そんな彼らを実戦で使うなんて正気とは思えないことです。
こちらから攻め込んでいるわけだから、実戦なんて更に翌日でもいいのに、
なぜそんなにスケジュールにこだわる必要があったのか疑問ですね。

傷心のエンダーですが、フォーミックが思考で交信していたことに気付き、
母星にいなかったため生き残っていたフォーミックの女王を発見します。
女王と思考で対話したエンダーは、フォーミック最後のタマゴを預かり、
提督の立場を利用して、生まれてくる新しい女王のための、
新天地となる星を探して宇宙を旅して、めでたしめでたし…。
…って、エンダーって国際艦隊の提督にまでなってたんですね。
おそらくフォーミック殲滅の指揮を執った功績が認められてのことでしょうが、
新兵から提督まで、あまりに早すぎるサクセスストーリーで、
なんだかひとりの軍人の大河ドラマのダイジェストを見ていたような感じです。
でも新兵から提督までの期間は1年未満だったのはほぼ間違いなく、
むしろ体感的には2カ月未満な気さえする印象で、
あまりにご都合主義すぎる超スピーディな展開が、逆に新鮮でした。

その急激な展開は宇宙戦争ものと考えると違和感がありますが、
本作のタイトルは「エンダーの戦争」ではなく、「エンダーのゲーム」であり、
エンダーのやっていることは、ただのゲームだと思えば納得できます。
エンダーが戦っているのは、異星人なんかではなく、
同年代のゲーマーたちであり、バトルルームのシューティングゲームや、
模擬戦の戦略シミュレーションゲームを通じて、彼はその頂点に立っただけ。
1年で新兵が提督になることはどんな才能があっても不可能でも、
特定のゲームの世界一になることは可能です。
その天才ゲーマーの物語に、軍の階級制度や異星人襲撃を絡めて、
SF作品にしてしまっただけだと思うんですよね。
フォーミックを倒すことは目的ではなく、世界観を作るための手段なのでしょう。

概要はよくあるSFファンタジーなのに、珍妙な世界観で楽しめました。
原作はシリーズものですが、本作も続編があるかもしれませんね。
でもよくあるSFやファンタジー小説原作のシリーズものと違って、
かなりキリのいいところで終了しているので、続編は作らなくてもいいかな。
まぁエンダーのサイコな兄のことはちょっと気になりますが…。

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