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トリック劇場版 ラストステージ

いろいろリサーチしましたが、今季から見るテレビドラマは、
岡田准一主演の大河ドラマ『軍師官兵衛』だけになりそうです。
大河ドラマは別ですが、映画ファンのボクが見るテレビドラマを選ぶ基準は、
ずばり「劇場版になりそうかどうか」ということに尽きます。
でも、人気作じゃないと劇場版化なんてされませんが、
どのドラマが人気作になるかなんて予想できないので迷いますね。
なので常々、劇場版にする気があるのかどうかだけでも、
放送開始前に告知してほしいと思っていました。
なんと今季は、そんなドラマがあるんですよね。
向井理、綾野剛共演のTBS日曜劇場『S -最後の警官-』です。
放送前から劇場版化が決定し、2015年公開になるんだそうです。
これはお誂え向きのドラマのはずなのですが、いざ告知されてみると、
不思議なことに全くドラマを見る気が起きなくなってしまいました。
たぶん劇場版のプロローグ状態になってしまう懸念があって、
退屈なプロローグを1クールも見続けるのは辛いと思っちゃうのかも…。
でも初回は今季最高の視聴率だったみたいだし、今後の評判次第では、
劇場版公開までにドラマも見てみようと思います。
あ、あと『チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮』も劇場版化が決まってましたね。
でも主演の伊藤淳史が超苦手なので、これはまず見ないかな。
『チーム・バチスタ』シリーズといえば、主演は竹内結子&阿部寛がいいです。

ということで、今日は阿部寛主演のテレビドラマ劇場版の感想です。

トリック劇場版 ラストステージ
トリック劇場版 ラストステージ

2014年1月11日公開。
人気テレビドラマの劇場版第4作にしてシリーズ完結編。

海外の秘境でレアアースを採掘するため、協力を依頼された天才物理学者・上田次郎(阿部寛)。しかし、採掘権は獲得してあるものの、そこに住む部族が立ち退きを拒否。上田は自称天才マジシャン・山田奈緒子(仲間由紀恵)の力を借り、部族が信奉する呪術師(水原希子)のトリックを見破ろうとするが……。(シネマトゥデイより)



このシリーズはテレビドラマの時からずっと鑑賞していて、
ずいぶん前から前売り券も買って公開を待っていたのですが、
堤幸彦監督の前作(と前々作)の『劇場版 SPEC 結』2部作が、
昨年のワーストを争うくらいに悲惨な作品だったため、
本作に対しても疑念が強まり、足が重くなってしまったので、
なかなか観に行くことができずにいました。
いざ観に行くにしても、直前に放送されたスペシャルドラマがあり、
(シリーズ前作は直前スペシャルドラマとの関連も多かったので、)
本作を観る前にそちらも見ておいた方がいいような気がして、
まずそのドラマを見る時間を割く手こずり、さらに鑑賞日が延びて…。
…で、いざそのドラマを見たら、これがあまり面白くなくて、
さらに本作に対する疑念が強まってしまい、また足が重く…。
でも明日にはまた観たい映画がワンサカ公開されるので、
週を持ち越すわけにはいかないと思い、奮起して観に行きました。

もはや本作への期待なんて風前の灯火のような中で観ましたが、
正直、それでもかなり不満の残る作品だったように思います。
それでも『劇場版 SPEC 結』2部作に比べたら数百倍マシだし、
直前スペシャルドラマよりもちょっとマシだったのは救われました。
本当に『SPEC』に関しては面白い面白くない以前に、
怒りすら覚えるほど酷かったので、その苦々しい体験を、
また味わうことなく済んだことはホッとしました。
ただ、監督に対しては『SPEC』から受けた悪印象が拭えず、
『SPEC』シリーズでも多用された、ダジャレや往年のギャグなど、
小ネタを質より量ぶちこむ所謂「堤演出」に対しても、
ちっとも面白いとは思えなくなってしまっていて…。
「ムッシュム・ラー村」とか「村上商事」とか、
こんな不出来なダジャレで笑う人なんているんですかね?
そういえば村上商事の社長役を村上ショージにやらせていましたが、
阿部寛主演作ということもあり『カラスの親指』を思い出しました。
『カラスの親指』でのショージはなかなか好演していたので、
今後は俳優業も増えるかと思いきや、久々の映画出演作がコレとは…。
「すべり芸を確立させた」でお馴染みの彼ですが、
今回も堤監督のせいで見事にすべってます。

あと固有名詞のダジャレでは、本作の舞台「赤道スンガイ共和国」があり、
これはシリーズ最初のエピソードである「母之泉」で
対戦相手の霊能力者を演じた菅井きんに対するオマージュなのは明白ですよね。
今回のズンガイで対峙する霊能力者は「ボノイズンミ」という名前で、
信者たちからは「おっかぁさま~」と往年の台詞で崇められているので、
「母之泉」の「ボノイズンミ」は何か関連があるのではないかと思ったけど、
それについては全く言及されることはなく…。
せっかく劇場版前作の『~霊能力者バトルロイヤル』のラストで、
わざわざ「母之泉」ネタをぶち込んで伏線を張っておいたのに、
それをちゃんと活かすこともできず、単なるセルフオマージュで終わるとは…。
まぁ今更「母之泉」の続編的な話にしたところで、
シリーズが始まったのは13年半前のことなんで、覚えてない人も多いだろうし、
なにより重要キャストの菅井きんが、高齢でまだ俳優業しているかもわからず、
やりたくてもできない状況だったのかもしれません。
ヒロインの父親の死の真相も、シリーズ初期から引っ張ってきた謎でしたが、
父親を演じた岡田眞澄もすでに亡くなっているので、
それに関しても何も描くことができず終わってしまいました。
『踊る大捜査線』でもそうだけど、俳優が亡くなってしまうのは避けられず、
その点では長期シリーズって考えものですよね。

なぜ随所にシリーズ初めのエピソードのセルフオマージュをするかと言えば、
これも『SPEC』と同様で、本作がシリーズ完結編だからです。
堤幸彦の代表作シリーズ2本が、ここ2カ月で立て続けに終わるわけだけど、
『SPEC』はどうだか知らないけど、本シリーズに関しては、
彼も本当は終わらせたくないみたいですが、諸事情により終わるようです。
その諸事情は明言されていませんが、まず考えられるのは、
仲間由紀恵と阿部寛の主演2人がベテランになりすぎたことでしょうね。
外見は驚くほどキープしていますが、年齢的にこの役柄も限界なのかも…。
ただ『SPEC』と立て続けというのが、どうも気になるんですよね。
テレビや映画関係者が「堤演出は飽きられている」と見抜かれ、
干す前に人気シリーズだけでも完結してもらおうと思われているような…。
まぁ『SPEC』の不出来を見たら、一時は一世風靡した堤演出も、
もはや時代遅れなのは誰の目にも明らかで、業界が手を引くのも当然かな。
ボクも本作を最後に、金輪際、彼の作品は見るまいと思ってるし。
まぁ前作も人気テレビドラマの劇場版なのに、興収20億円にも届いてないし、
興行的には続編は望めない状況だったので、あと1本撮れただけでもマシか。
ちなみに本作は、まだ上映一週目ですが、前作の9割スタートで、
依然として右肩下がりの状況は続いています。
『SPEC』よりも先に公開しておけばまだマシな出足だったでしょうが、
あんな世紀の駄作の後では、この成績でも健闘している方ですよ。

そんなわけで、堤幸彦にとっても望まぬ完結編だったわけですが、
その思いが強く出てしまったのか、何とも言えないラストになっています。
とにかく疑問が残りまくりのラストで、ファンが続編を熱望するように、
あえて中途半端な終わり方にしたのではないかと勘繰りたくなるほどです。
以下、ネタバレ注意です。

ある日、上田教授の前に貿易会社「村上商事」の加賀美という男が現れます。
彼は赤道スンガイ共和国でレアアースの採掘権を獲得しましたが、
呪術師ボノイズンミを信仰する地元民が立ち退きに応じず開発できません。
ボノイズンミの呪術がトリックだと見破ってほしいと依頼された上田教授は、
例によって自称天才マジシャンの山田奈緒子を誘い、スンガイへ飛び、
秘境の洞窟に住むボノイズンミと対決することになるが…、という話。
毎度おなじみの因習の残る田舎で起きる横溝正史的なミステリーですが、
今回は最後ということで、奮発して海外ロケしちゃいました。
展開的にも毎度おなじみの霊能力者と対決し、インチキを暴くお話で、
正直マンネリですが、舞台が海外になっただけでも、多少新鮮味があるかも。
それにマンネリなのは悪いことではなく、逆に『SPEC』なんかは、
完結篇で当初の刑事ドラマな内容から逸脱しすぎた超展開だったため、
悲惨な結果に終わったこともあり、安心のマンネリ展開は歓迎でした。

本シリーズは、毎度主人公コンビが霊能力者のインチキを見破り勝ちますが、
「母之泉」の霊能力者をはじめ、戦ったインチキ霊能力者の中には、
完全にインチキとは断定できない人物も数名います。
そしてヒロイン奈緒子自身も、霊能力者の家系であり、
節目節目で不思議な力を見せており、自覚ない霊能力者の可能性があります。
そこが本シリーズの最大の関心事であり、完結編である本作では、
当然その謎(霊能力者の是非)が明らかになるものと思いきや、
またしても奈緒子は霊能力者の片鱗は見せるものの、結局あやふやに終わり…。
これは「らしい」といえばそうだけど、せめて完結編くらいは、
引っ張り続けた謎に一定の答えを示してくれないと、
ただ答えが出せなかったから逃げて観客に判断を丸投げしただけになります。
まぁ「あわよくば続編」と思っているので、棚上げしたのかもしれません。
でもラストの問題は、そんな霊能力者の是非ではありません。
いや、もちろんそれも関係しているのかもしれませんけど…。

奈緒子は霊能力者の片鱗を見せるも、呪術師ボノイズンミはインチキです。
いや、インチキというのはちょっと語弊があるかな。
ある意味、超常的な能力を持ってはいるけど、呪術ではないって感じです。
ボノイズンミは呪術でどんな(?)病気でも治してしまうのですが、
それは実は呪術ではなく、西洋医学を遥かに超える薬学知識での治療でした。
近々ジャングル上空でツングースカ大爆発のような災害が起きると予言するも、
それも地中の変化を敏感に感じ取れる体質に由来するものらしく、
どちらも特異の能力ではあるけど、霊能力ではないです。
でも言われてみれば確かに、すごい名医なんて魔法使いみたいなものだし、
秀でた能力と霊能力なんて紙一重なのかもしれないですよね。
これはある意味で、本シリーズの霊能力者の是非に対する、
遠回しな答えだとも取れなくもないので、興味深いです。
ボノイズンミは民衆の心を掴むために手品みたいなこともしますが、
今まで奈緒子たちが戦ったほとんどの霊能力者と違い、
みんなを騙して私腹を肥やしたりするつもりはなく、
むしろ私腹を肥やそうとしているのは奈緒子たちが協力する村上商事側なので、
善悪が今までのシリーズとは逆になっているのも興味深いところです。

もちろん奈緒子たちがずっと悪者側に付いているはずもなく、
中盤以降は彼女も呪術師ボノイズンミに好意的になります。
なんとなく彼女は盲目的に霊能力を嫌悪していると思っていたので、
そのあっさりした心境の変化には違和感を覚えますが、
村上商事のやつらはマジで救いようのないクソなので、
彼らの思惑通りボノイズンミのインチキを暴き立てる展開よりはいいかな。
そもそも最終対決になる前に、村上商事が雇った医者の凶弾で、
ボノイズンミは死んでしまうんですけどね。
その医者「たにオカマさし」こと谷岡将史を演じるのは北村一輝ですが、
普段お姉キャラの彼だけど、ボノイズンミを撃った直後に一瞬だけ、
『SPEC』で北村一輝が演じる吉川刑事の口調になります。
堤作品同士ということでセルフオマージュなわけですが、
普通ならこの手の演出は楽しめるところですが、『SPEC』がクソすぎるため、
そのネタを本シリーズにまで持ち込むんじゃないよと思ってしまいます。

奈緒子は死んだボノイズンミの意思を継ぎ、呪術師として秘境に残ると決断。
ツングースカ大爆発的災害から現地民や上田を守るため、
ひとりで地底に行き、そこに貯まる可燃性ガスを引火させ、
地底で爆発させるのですが、当然彼女は大爆発に巻き込まれて…。
死を覚悟した奈緒子は地底に向かう直前に上田に、
「死後の世界があるなら必ず方法を見つけ出し、一年後に連絡を取る」と、
死ぬ直前の奇術師フーディーニのような遺言を伝えます。
その一年後、上田は死んだ奈緒子からの連絡を取るために、
生前のフーディーニのように、または前作の松平健演じる霊能力のように、
本物の霊能力者を探し出そうとするのですが…。
…と、ここでまさかのエンドロールが流れ始め…。
いくら何でもこんな中途半端すぎる終わり方はないだろうと思い、
エンドロール後にも続きがあるのは想像に難くなかったですが、
習慣とは恐ろしいもので、エンドロールが始まると席を立つ客が何組か…。
完結編の完結を見届けずに帰るなんて、一体何を見に来たのかと思ったけど、
他の客も席を立ったりはしないものの、ちょっとザワつきはじめ…。

…で、やっぱりエンドロール後に続きがあったので、
ひとまずホッとしましたが、それも束の間でした。
上田は霊能力者を募集するのですが、やってくるのはインチキばかりで、
もう約束の一年も過ぎようかという時に、なんと奈緒子が現れるのです。
霊能力者の募集に奈緒子が応募してくるのは、
最初のエピソードの奈緒子と上田の出会いを再現する展開で、
ファンサービスというか、ある意味完結編らしいラストですが、
ここで問題なのは、なぜ死んだはずの奈緒子が現れたのかということ。
そのことが本作では言及されず、あわふやなまま終わっているのです。
やはり奈緒子は霊能力者で、何らかの霊能力で爆発から脱出したのか…。
それが一番ハッピーエンドな考え方ですが、最も辻褄が合うのは幽霊説です。
無事爆発を逃れたなら、一年も待つ理由はどこにもないし、
仲間由紀恵の持ちキャラである貞子のような感じで現れたしね。
(時間的にも午前0時直前の深夜だったし。)
でもヒロインのデッドエンドなんて、シリーズとしては最悪ですよね。
…って、そういえば『SPEC』もヒロインのデッドエンドでしたね。

でも生存説で一年の音信不通を納得するもうひとつの可能性としては、
ボクは単なるミスディレクションだと思ってますが、
矢部刑事が最後に探しに行った記憶喪失の女性が奈緒子だった説です。
ちょっと都合がよすぎる展開なので、あまり好きじゃないけど…。
あ、矢部と言えば、上田の霊能力者募集で集まったインチキ霊能力者の中に、
矢部のシリーズ当初の相棒だった石原がカメオ出演しています。
彼を演じていた俳優は、俳優を廃業しているはずなので、
これもファンに対する完結編ならではのサプライズだと思いますが、
どうせならそんなシーンじゃなくて、矢部と絡ませてほしかったです。
まぁボクは見てないけどスピンオフドラマの方で共演したらしいけどね。
石原は置いといて、とにかく奈緒子に対しては疑問の残るラストで、
『SPEC』ほどではないけど、釈然としないラストでした。
あ、でも堤監督にはコリゴリなので、続編はもういいです。

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