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魔女っこ姉妹のヨヨとネネ

年明けには今年(2013年)の映画の個人的ベスト10なんかも書きたいと思ってますが、
今日は3カ月に一度の恒例の、四半期ベスト3を発表したいと思います。
今回は10月から12月の第四四半期に鑑賞した76本の映画が対象です。
その内訳は洋画40本、邦画36本で、アニメ映画は11本でした。
3カ月で76本も映画を観に行ったのは初めてですが、数観れば地雷を踏む確率も上がり、
この第四四半期はかなり駄作が多かったように思いますが、それにしたって酷く、
この期間だけで今年のワースト10のほとんどが埋まりそうな駄作ラッシュでした。
しかしそんな中にも今年のベスト級の作品が数本あり、落差の激しいシーズンでした。
いつもはベスト3に絞る作業は大変なのですが、今回はいい作品が少ないだけあって、
候補は4本しかなく、比較的簡単に3本選択することができました。
最後まで悩んだ候補は『42 世界を変えた男』でしたが、
絞った3作品はまだ絶賛公開中なので、オススメする意味も込めて選びました。
まだ観てない人は是非観に行ってほしい映画です。

2013年第四四半期映画ベスト3(順不同)
『かぐや姫の物語』…高畑勲監督、おそらく最後にして最高の意欲作。
『ゼロ・グラビティ』…オスカー最有力候補の名に恥じぬ映像美。
『永遠の0』…日本人なら必見の傑作戦争映画。

ということで、今日は2013年最後に鑑賞した映画の感想です。

魔女っこ姉妹のヨヨとネネ
魔女っこ姉妹ヨヨとネネ

2013年12月28日公開。
コミック『のろい屋しまい』を原作にした劇場長編アニメ。

魔法や呪いをかけ、逆に解くことを職業にしている人がいる魔の国で、のろい屋を経営する魔女の姉妹ヨヨとネネ。ある日、高層ビルに絡み付くように生えた大樹の調査に行ったヨヨは、不思議な光によって異世界へと飛ばされてしまう。そこで出会った子どもの両親が化け物になっていたことから、ヨヨとネネは魔の国と異世界で起きた不思議な出来事を解決しようと立ち上がる。(シネマトゥデイより)



過去最高本数の映画を観た今年の、締めとなる映画なので、
有終の美を飾ってほしいと面白い作品であることを期待しましたが、
予想以上に素晴らしい映画で、本当によかったです。
ボクはハリウッドのCGIアニメ映画では感動して泣くこともあったけど、
日本のアニメ映画で泣くことはまずないのだけど、迂闊にも本作には涙腺崩壊し、
洋邦問わずアニメで泣いたのは今年初めてだったかもしれません。
でも今思い返しても、そんなに泣ける展開じゃなかった気がするので、
そんな展開でも泣かせるだけの演出力がある作品だったのではないでしょうか。
師走で何かと疲れてたので、たまたま泣ける体調だっただけかもしれないけど…。

本作は単発映画なはずですが、まず最初に感じたのは、
なんだか劇場版アニメを観ているような錯覚があったことです。
なんというか、アナザーストーリー的というか、スペシャル版みたいな印象の物語でした。
なんでも徳間書店の漫画雑誌に連載されている漫画『のろい屋しまい』が原作ですが、
なぜかタイトルを大幅に変えて映画化されたようなのです。

ボクは原作漫画のことは全く知らなかったのですが、本作を観る限りでは、
魔の国という魔法の世界を舞台としたハイファンタジー作品だと思われます。
しかし本作は、ある出来事がキッカケで、主人公の魔女ヨヨが、
空間移動で魔法の存在しない日本の横浜に来てしまい、そこで事件に巻き込まれ、
魔法で解決するという、ローファンタジー的な展開になっており、
おそらく原作のエピソードでも異質なアナザーストーリーなのではないかと推測されます。
普通は原作ものの単発映画であれば、原作のエピソードを基に映画化すると思うのですが、
一作目からこんなオリジナルストーリーで制作するところを見ると、
原作漫画のオリジナル劇場版という位置付けなのかもしれません。
出版社である徳間書店主導の映画だけあって、あくまで漫画が主であり、映画は従。
本作を観て興味を持った人は原作漫画や雑誌を買ってほしいという目論みなのかも。
ハイファンタジーよりも現実世界を舞台にしたローファンタジーの方が敷居は低いし、
本作から入って原作漫画の世界に興味を持ってほしいという意図が垣間見えます。

もしそんな目論みだったとしたら上手い手法で、ボクも原作漫画に俄然興味が沸きました。
単発映画の物語としては、本作だけで十分に成立しているので楽しめるのですが、
意図的なのか登場人物や魔の国の設定については、あまり多く語られることはなく、
「気になったら原作を読んでね」と言われてる気がしました。
基本的にそんなあざとい劇場版はあまり感心できないと思っているのですが、
本作の設定の伏せ方が絶妙で、物語を楽しむために必要最小限の設定はちゃんと語られ、
原作を知らないと楽しめないような劇場版と違い、何も不都合を感じることなく楽しめます。
その上で、展開上あまり関係のないところで、気になる設定を散りばめてあるのです。

例えば主人公の「のろい屋しまい」ヨヨとネネの関係がそうです。
本作の展開上は、彼女たちが姉妹であるとわかるだけで十分なのですが、
とても不自然な姉妹なので、裏設定が気になってしまうのです。
というのも、姉のヨヨの方が妹のネネよりも圧倒的に幼く見えるのですが、
その理由は本作では語られることはなく、なんでなんだろうと気になります。
彼女たちの祖母である魔の国の司令官おヨネさんもまだ30代に見えるので、
きっと魔力が強いと老化が遅くなる設定でもあるんじゃないかと勝手に想像しましたが、
やっぱり気になるので、原作漫画を読んでみようかと思ってしまいました。
でも幸いにも(?)その程度の基本的な設定は、鑑賞後ネットで調べればすぐわかったので、
その疑問については原作漫画を買うまでには至りませんでしたが、
他にも巨大なネコマタになるガイコツ顔の猫ビハクのことや、
魔の国の世界観など、ちょっと気になる設定が沢山あるので、
いずれは原作漫画も読んでみたいと思わされます。
なにより本作自体がとても面白い作品なので、本作だけで終わるのは勿体なく、
またヨヨの活躍を見たいと思うので、原作漫画は気になりますね。

以下、ネタバレ注意です。

魔の国で、呪いをかけたり解いたりすることを生業とする「のろい屋」の姉妹ヨヨとネネ。
ある日、森に突然出現した高層ビルを調べていたヨヨは、不思議な魔方陣を見つけ、
謎の光に包まれ魔法の存在しない異世界(横浜)に迷い込んでしまいます。
そこで出会った孝洋という少年の両親が、呪いでバケモノになってしまう事件が発生。
ヨヨとネネは2つの世界で起こっている事件の関連性を疑い、調査を始めるが…、
という物語ですが、タイトルのわりには、活躍するのはヨヨばかりで、
ネネは魔の国からのサポートに徹する感じですね。
ビジュアル的にはネネの方が好みというか、彼女の方が姉だと思ってたし、
彼女が主人公だと勝手に勘違いして観に行ったので、意外な展開でした。
なにしろヨヨは見た目が幼稚園児な女の子なので、まさか彼女が主人公とは思いませんでした。
でも幼児なヨヨですが、空間移動時に少し成長し、小学校高学年くらいの見た目になります。
魔法が存在しない世界に来て、姿を幼児に留めていた魔法が弱まったのかな?
それでも高校生くらいに見える妹ネネの方が断然歳上に見えますけど。
ちなみに鑑賞後調べたら、ヨヨの実年齢は18歳だったみたいです。(ネネは15歳。)
それにしては小学生くらいに成長するなんて中途半端な気がしますが、
これは横浜で出会う孝洋の年代に合わせたんでしょうね。
小学生の淡い恋を描いた(みんな大好き)ボーイ・ミーツ・ガールな演出にするためにね。
なかなかお似合いだと思ったけど、18歳のヨヨからしたら孝洋は全然ガキだったのですね。

孝洋と兄の健生の両親をバケモノに変えた呪いの素を「魔法見鶏」で探すと、
今、巷で流行しているケータイゲームが原因だとわかります。
そのゲームでレアカードが出ると、願い事が叶うと評判なのですが、
孝洋の近くだけ、願い事を叶えた人たちがバケモノ化しているようです。
調査を続けるヨヨですが、どんどん魔力が弱まっていき、
ついには魔法陣で魔の国に帰ることもできなくなってしまい途方に暮れます。
そんな折、孝洋の家で預かっている幼い従妹の亜紀の持っているペッツに、
魔法陣が描き込まれているのを見つけ、亜紀の母親が魔の国出身の魔女で、
12年前の戦争で行方不明になった石の触媒の第一人者マオだとわかります。
(この戦争のこともちょっと気になりますね。)
マオの協力を得れば、魔の国に帰れると考えたヨヨですが、生憎マオは昨年他界しており…。
この事実を孝洋から聞いた時、ヨヨは「で、彼女は今どこに?」と聞き返しますが、
死んだって言ってるのに変なことを聞く奴だなと思ったら、後にその理由がわかります。

亜紀にせがまれて、夏祭りに花火を見に行ったヨヨと孝洋。
射撃でヨヨが孝洋のためにグレート・ムタの人形を取ってあげて、2人は仲良くなりますが、
そんな折、強力な呪いにより、街中の建物が次々と消失し、魔の国に出現する現象が発生。
夏祭りの会場は大混乱になり、亜紀が怪我をしてしまいますが、
そんな亜紀を放って事態の調査を始めるヨヨに、孝洋は激怒します。
なぜ孝洋が怒るのか理解できないヨヨですが、どうやら魔の国では、
死者は体さえ残っていれば魔法で生き返すことが可能なようで、
ヨヨは亜紀が死んでも「生き返せばいい」と思っていたみたいです。
道理で亜紀の母マオの死も、いまいち理解してなかったわけですね。
ケータイゲームの世界は魔の国にそっくりでしたが、死者をザオリクできちゃうなんて、
魔の国は本当にゲームみたいな世界観なんですね。
呪文にもレベルがあるみたいだし、MP(魔力)も寝ればある程度回復するみたいだし、
まるでRPGの世界観で、そのキャラがリアルに出現したような印象で興味深いです。
その混乱でペットの猫ビハクが屋台の下敷きになり死んでしまい、
ヨヨは蘇生呪文を使いますが上手くいかず、この世界では死者は生き返らないと理解します。
でも優しい救助隊員が心臓マッサージを施してくれて、なんとかビハクは生き返るのです。
ヨヨはその治療を「魔法みたい」と言いますが、どうやら魔の国には、
魔法が発達した代わりに科学や医学はないみたいで、それも興味深い世界観です。

どんどん建造物が送り込まれている状況を、魔の国の司令官である最強の魔女おヨネさんは、
異世界からの侵略とみなし、パンプキンパーティによる報復に出ようとします。
おヨネさんの手にかかれば、世界の消滅させるなんてわけないですが、
ネネはヨヨごと消滅させられるのは困ると、攻撃までの時間稼ぎをします。
一方、ヨヨは孝洋と仲直りし、ゲームの製作者が亜紀の父親だと知り、会いに行くのです。
どうやらゲームはマオが作った「人を幸せにする魔法」を応用して作られており、
そのお陰でレアカードを手に入れたら願いが叶う仕組みになっているのですが、
願いを掛けるプレーヤーが我儘で、利己的な願いばかりだったようで、
人を幸せにする魔法が呪いへの変化してしまい、今回の事件が起きたみたいです。
まぁそんなゲームのジンクスみたいなものに、人のために願掛けするような人はいないから、
利己的な願いばかりになるのも無理からぬことですよね。
マオが魔法を込めた石の触媒を発見したヨヨですが、その石の呪いに飲み込まれてしまいます。
しかし世界が荒廃する中で、人々も家族や知り合いを心配するようになり、
急激に利他的な願いが増えたため、幸せの魔法が解放され、ヨヨに力を与えてくれます。
人の幸せを願うことの大切さを説いた、何気に道徳的な作品で、感動しました。
マオが亜紀のために遺した奇跡石の力で、本来の魔力を取り戻したヨヨは、
特大魔法で世界中の呪いを浄化し、元の世界に帰ることができて一件落着です。
最後のヨヨが孝洋と亜紀と別れるシーンも感動的でした。

とてもいい物語だったのですが、展開的にちょっと疑問だったのは、
おヨネさんは簡単に空間移動できるので、現実世界を破壊するにしても、
別にヨヨを連れ戻してから破壊すればいいだけだったこと。
それからふたつの世界は両方に分かれて存在する双子の奇跡石が共鳴するせいで、
呪いが両世界に影響し合っていたわけだけど、別に横浜の奇跡石を探して破壊せずとも、
所在のハッキリしている魔の国の奇跡石を破壊すれば事足りると思ったことです。
もうちょっと理に適っている設定にしてくれたら、尚よかったと思います。
でも、このままでも今年屈指の素晴らしいアニメ映画だったことに変わりはないです。
残念なのは、今年の冬休みはアニメ映画が豊作すぎて、本作の存在が目立たず、
客入りがかなり悪かったことです。
もう学校も会社もほとんどが休みなので、大混雑を予想して早めに劇場に行きましたが、
座席の一割にも満たないガラガラな客入りには拍子抜けしました。
いい映画なので、是非もっと多くの人に観てもらいたいものです。

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