今のご時勢、原作のない映画なんてほんの一握りしかありません。
で、映画の感想書いてて、ふと、原作を知らない人の感想を原作を知ってる人が
読んだらどう感じるんだろうって思いました。
たぶん"全然わかってないな"って嘲笑されるんでしょうね。
ボク自身、映画の製作側に対しては"誰でもわかるようにするべき"と思ってますが、
観る側の姿勢としても"ある程度わかってから来い"って思うことがあります。
ボクはある時期からネタバレに遭遇するのを恐れて予習しなくなったんですが、
"原作既読推奨"とか"未読不可"とか、映倫あたりが指定してくれないかな?
今日は嘲笑覚悟で原作未読(未プレイ?)の作品の感想です。
ひぐらしのなく頃に 誓
2009年4月18日公開。
サウンドノベルが原作の『ひぐらしのなく頃に』の続編。
昭和58年、離婚した父親と一緒に人里離れた雛見沢へとやって来たレナ(松山愛里)は平穏な毎日を送っていた。彼女は最近東京から転校して来た圭一(前田公輝)や、世話好きの魅音(飛鳥凛)らとも仲良くやっていたが、実は両親の離婚のトラウマがあった。そのせいか父の新しい恋人(矢部美穂)にもなかなかなじめずにいた。(シネマトゥデイより)
『ひぐらしのなく頃に』という作品には問題編と解答編が用意されていて、
前作は問題編、今作は解答編ということになっているらしい。
でも、今作を観るまではその意味がよくわかりませんでした。
問題編といわれる前作は、村の禁忌に触れてしまった主人公の少年・圭一が、
狂った村人や女友達から命を狙われるというホラー映画でした。
最後に観客に対して"どうか真相を暴いてください"というメッセージが流れますが、
ストーリーとしてはちゃんと完結してて、謎らしい謎はありません。
(意味不明なシーンはいっぱいあったけど、和製ホラーはそうゆうものです。)
だから解答編が上映されるといってもピンときませんでした。
でも今作を観て納得です。
前作の真相は、狂っていたのは村人じゃなくて自分だった的な、被害妄想オチの話。
ジャンルもホラーじゃなくてサスペンスだったんですね。
確かにいわれてみると、思い当たるヒントらしきものもあった気がしますが、
和製ホラーだと思い込んでいたボクにはわかりませんでした。
でも納得したと同時にガッカリもしました。
この手のサスペンスで被害妄想オチは夢オチ、二重人格オチと並ぶ禁じ手のひとつ。
禁じ手というよりも、今までやり尽くされてきた手法です。
近いところでは、同じくゲームから映画化された『サイレン』と全く同じオチですね。
確かに萌え系ゲームとしては、ホラー要素も含めて斬新な演出でしょうが、
映画となると、イマイチ新鮮味にかけるオチです。
でも、前作の評価が下がってしまったからといって、今作とは関係ありません。
今作は解答編とは銘打っているものの、前作とは直接繋がりはなく、
前作の舞台設定をそのまま生かしたパラレルワールド。
前作がサスペンスホラーだったのに対し、今作はクライムサスペンスです。
主人公も圭一から女友達だったレナに代わり、
今度は彼女が前作の圭一同様に被害妄想に取り付かれます。
圭一だけは何故かパラレルワールドの記憶もあるらしく、
レナを自分の二の舞にはさすまいと奮闘する青春友情物語です。
とにかく怒涛の展開で、あれこれ考える間もなく話が進んでいくのですが、
飽きることなく最後まで見れました。
萌えゲームが原作のはずですが、恋愛要素もなく、お色気シーンもないんですね。
クラスの女子の割合が高かったり、無意味な児童の下着姿が撮られてたりするのは
そっち系の名残を感じさせますが、基本的にはシリアスな内容。
美少女萌えゲームにしたのは世に出るための手段だったって感じですか。
結果的にいろいろメディアミックスされて映画化までされたわけですが、
こうゆうキャラクタービジネスって、ジャパニーズドリームって感じです。
キャラクターといえば、映画チラシ等で原作のアニメ絵のキャラも見たけど、
レナのイメージが絵と全然違いますね。
アニメ絵の方はおっとりした感じの、かわいいキャラですが、
レナを演じた松山愛里は都会的なモデルな綺麗な娘でした。
松山愛里はもともと猟奇的な役に向いてそうな雰囲気があるけど、
アニメ絵の方は全然ないし、その点では原作の方がギャップが大きそうです。
ボクが原作ファンだったらこの配役は納得いかないかも。
他の主要キャラは、キャラが薄いんでよくわかりませんが…。
あ、配役といえば、刑事役が杉本哲太から大杉漣に交代してましたね。
パラレルワールドだからいいけど、全然性格も違いました。
今作は解決編で完結編なはずだけど、前作以上に色々謎を提示したまま終わりました。
最後の大量死のシーンも、唐突で全然意味がわかりませんが、
前作の真相を知ったことで、細かい部分の謎も見えるようになりました。
前作では禁忌に触れたために殺されたと思われた看護婦とカメラマンの
変死事件の真相が再び闇の中に…。
圭一やレナを襲った蛆虫病(?)も被害妄想で片付けられません。
細かいところでは魅音(飛鳥凛)やリカ(あいか)が2重人格ぽいのも伏線ぽい?
今作が完結編と聞いていたので続編を望むべくもないでしょうが、
本当に続編を作らないなら、こんな形で終わらすのはやめてほしかったです。
ある程度は想像で補えますが、続きは原作でってことかなぁ。
映画化するなら、原作と違うかろうが、キチンと完結させるべきです。