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フィルス

今日も映画の感想です。

フィルス
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2013年11月16日日本公開。
アービン・ウェルシュの小説をジェームズ・マカボイ主演で映画化したクライムコメディ。

スコットランド警察の刑事、ブルース・ロバートソン(ジェームズ・マカヴォイ)。優秀な頭脳を誇り、活力あふれる彼だったが、その裏ではアルコールとドラッグの依存症に陥り、売春や不倫に手を出し、残業の不正申告を欠かさないという、刑事の風上にも置けない人物だった。そんな中、日本人の留学生が殺されるという事件が発生。目撃者ゼロという、この難事件を解決すれば出世コースに乗れると張り切るブルースだが、捜査を進めれば進めるほど自身の問題アリな過去も噴出するようになり、精神的に追い詰められていく。(シネマトゥデイより)



先月半ばに日本公開されたけど、ここ関西では先月下旬に遅れて公開となったので、
「まだ暫らくは公開期間があるかな」と思って悠長に構えてたのですが、
どうも来週には公開終了するみたいで、慌てて観に行きました。
昨今の映画館の作品回転率の早さには困ったものです。
というか、こんな面白い作品をたったの3週間で打ち切るだなんて勿体ないです。
もっと沢山の人に観てほしいのに、ミニシアターでの上映が主で公開規模も貧弱。
本作はハリウッド映画ではなく、イギリス映画ですが、
これではせっかく面白い映画を買い付けてきた配給も報われません。

とはいえ、積極的にオススメするのには憚られる作品で…。
なにしろゲス野郎の鬼畜外道な行動を描いた18禁作品ですからね。
(タイトルの「フィルス」とはゲスとか卑猥という意味です。)
これではメディアでも扱われにくいし、宣伝にならないので客も呼べません。
(舞台となったスコットランドでは初登場ナンバー1だったようですが…。)
でも、そんな過激な内容だからこそ面白いんですよね。
観るまでのハードルは高いけど、観た人はほとんど満足したんじゃないかな?

斯く言うボクも、かなり満足させてもらいましたが、
どこが面白かったかと問われると、ちょっと説明に困るかも…。
主人公の悪徳ゲス警官のトンデモない行為の数々も笑えるんだけど、
ただのゲス行為だと思っていたものが、ちゃんと理由がある伏線だったり、
ラストにはどんでん返しもあったりして、脚本もとてもよくできています。
でもそれだけじゃなくて、何かそこはかとない味がある映画なんですよね。
ゲスな主人公なのに、何故か愛すべきキャラに思えてしまう、
主演ジェームズ・マカヴォイの好演の妙かもしれません。
その魅力は筆舌に尽くし難いので、観てほしいです。

以下、ネタバレです。

エディンバラ警察の巡査部長ロバートソン刑事(愛称ロボ)は、
警部補になるための昇進レースに躍起になっており、
ライバルである同僚を陥れたり評判を下げる裏工作に日々励んでいます。
その努力もあって、昇進レースでは目下先頭を走っています。
自分の評価を高めないで、同僚のコンプレックスを突いたり、
性的趣向を暴露したりして、ライバルを貶めて消去法で警部補になろうとする根性が、
志が低いというか、本当にゲスの極みですが、実際に昇進する人というのは、
こんなタイプの人だったりするんですよね。
でもイギリスの警部補って上司の推薦だけでなれるものなんですかね?
日本だと法律関係のペーパーテストなんかもあって、勉強する必要があるはずですが、
彼は悪知恵はかなりのものだけど、勉強は出来なさそうな気がします…。

ロボはアル中だしヤク中だし、とにかく素行が悪く、特に酷いのは下半身で、
淫行の現場に踏み込んで、「親に黙っていてやるから」と少女にフェラを要求したり、
職権乱用して娼婦にセクハラしたり、同僚の妻をセフレにしたりともう滅茶苦茶。
妻を寝取られた同僚は、後にリストカットしちゃうんですよね。
こんなゲス野郎は警部補になるどころか、警察官になっちゃダメですよね。
(「フィルス」は警官を指す俗語でもあるけど、イギリスは悪徳警官ばかりなの?)
警察官どころか、なんと彼はフリーメイソンのメンバーでもあるのです。
どうやったらフリーメイソンに入会できるかは知らないけど、
けっこうハードルは高く、会員への要求も高いと聞いたことがありますが、
彼みたいな悪徳警官が、よくフリーメイソンでいられるものです。
彼の上司もフリーメイソンだし、日本では馴染みがないだけで、
意外と簡単に入会できたりするのかな?
(別にあんな男だらけの組織に入会したくはないけど…。)

ある日、日本人学生が若者の集団にリンチされ死亡する事件が発生し、
ロボはライバルの同僚たちを差し置き、捜査の指揮を任されます。
これを解決すれば昇進は決まったようなもので、ロボもさぞ張り切るだろう、
…と思いきや、フリーメイソンの友達とハンバルクに売春旅行に行くため、
その間の指揮権を同僚の女性巡査部長に委ねてしまうんですよね。
結局帰国後も彼女が指揮を継続することになり…。
かなりリードしてるから余裕をかましたのか、女だからと侮ったのかわかりませんが、
昇進のすごいチャンスなのに、ホントに警部補になるつもりあるのか…。
しかもその旅行も、売春が主な目的ではなく、友達を貶めるためのものでした。
その友達であるブラザー・ブレイジーは公認会計士なので、
貶めたり出し抜いたところで何の得もないように思われるのですが…。
さらに彼の妻に度々卑猥なイタズラ電話を掛けて、彼をその犯人に仕立てるのです。
ストーカーを捕まえたという実績を作りたいのかとも思いましたが、
留置所に面会に行った時のブレイジーの態度から、逮捕したのはロボではないようで…。
どうやら彼は、そんな意味のないことを「ゲーム」と称して楽しんでいるようなのです。
同僚の妻を寝取るのもゲームだし、昇進レースで同僚を蹴落とすのもゲームらしいです。
性根から腐ったやつですね。

ただ、ロボの性根が腐っているのにはそれなりにワケがあるみたいで、
どうやら妻と幼い娘に愛想を尽かされ、捨てられたみたいなんですよね。
だから夫婦円満の家庭を見るとゲームを仕掛けてブチ壊したくなるのでしょう。
劇中で彼が強烈な黒人差別発言をするシーンがあります。
「まともな白人女性は黒人にフェラしない」みたいなことも言いますが、
それもただの暴言ではなく、妻の男が黒人男性だったことへの妬みだったのでしょう。
そんな感じで、無茶苦茶に見える彼の行動にも、それなりに理由があったりするのです。
でも、彼をこんな異常な人間にしてしまったのは、妻が出て行ったためではありません。
それ以前から異常だったから妻に見限られたわけだからね。
どうやらロボは少年時代に弟を殺してしまっているらしいのです。
かなりよく出来た弟だったようで、その僻みが殺意になったのか、
それとも単なる事故だったのかはわかりませんが、炭鉱の崖から突き落としたようで、
それがトラウマとなって幻覚に悩まされ、酒やコカインに浸る生活になったのです。
幻覚で鏡に映った自分の顔がブタに見えたり、同僚や友達の顔も動物に見えたりして、
物語が進むにつれ、彼の精神的異常さが露わになってきます。

ロボは「昇進すれば妻が戻ってくる」という強迫観念に駆られているため、
昇進レースに躍起になっているのですが、妻は別にそんなことは望んでおらず、
それも彼が勝手に作り上げた幻想だったのです。
彼は度々女装して妻になり切り、自分を慰めているようなのですが、
女装中は自分を本当に妻だと思い込んでいるようで、その姿で街を徘徊したりもします。
その時、実は日本人学生殺人事件の現場を目撃しているんですよね。
捜査の指揮を任されたロボが、目撃者も見つかってないのに、
犯人の若者たちの顔を知っていたのはそのためだったようです。
犯人のひとりである花屋の女性店員に「どこかで会ったことない?」と言われ、
異常に怒ったのも、それが原因だったみたいですね。
目撃者は自分だから、犯人の特定も簡単で、解決すれば昇進レースも圧勝できるのに、
証人である目撃者の素性を明かすことができないのはジレンマだったでしょうね。

それにしても、この日本人学生殺人事件ですが、その殺害シーンは本作の冒頭にあるのに、
作中で描かれているのは主に昇進レースなどのロボのゲス行動が主で、
終盤まで全く捜査が進展しないんですよね。
日本人のボクとしては、ロボの無茶苦茶な日常もたしかに面白いけど、
この事件を捜査する過程も詳しく描いてほしかったと思いました。
犯人の若者たちも、なぜ急に日本人学生をリンチして殺したのか動機すら明かされず…。
まぁロボも「ジャップのために休暇をやめるなんて冗談じゃない」と言ってるし、
スコットランド人のアジア人に対する人種差別は苛烈なのは有名だし、
犯人たちに特に動機なんてなかったのかもしれませんが…。
なんだかちょっと不愉快な気もしますが、それほどムカムカしなかったのは、
劇中の日本人学生が、日本人だとは思えなかったからでしょう。
なにしろ絡まれた時のセリフが「トラブル探してないから!」ですもん。
そんな変な日本語ありませんもんね。

女装したロボは、街で再び犯人の若者たちに出会い、拉致られます。
拘束され、リーダー格の若者(変態)に弄ばれそうになりますが、
彼はその若者をアパートの窓から突き落とし殺害。
そこに同僚たちが駆け付け、女装や目撃者の件がバレてしまいます。
彼は警部補昇格どころか、制服警官(巡査)に降格されてしまい、
「ルールに例外はない」と呟き、首吊り自殺をするのです。
そのセリフの意味はわかりませんが、ゲームに負けたってことでいいのかな?
とりあえず犯人を始末したのは彼の手柄なんだし、ちょっと可哀想かも…。
まぁ彼が死のうと思ったのは、降格になったからではなく、
街中でばったり出会った妻の娘に無視されたことに絶望したからでしょうが…。
ところで、その首吊り自殺のロープには贈り物のマフラーを使ったのですが、
そのマフラーをくれた女性の夫の命を、必死で救おうとしたことへのお礼の品でした。
ロボは心臓発作か何かで路上で倒れた男を、心臓マッサージで救おうとしたのです。
その後救急車で運ばれますが、結局手遅れだったようだけど、
人命救助するなんて、悪徳ゲス警官らしからぬ行動ですよね。
やっぱりロボは、性根から腐ってしまっていますが、元は善人なのでしょうね。
マカヴォイの演技にそれが垣間見えるので、ロボが魅力的に感じるのかもしれません。

オススメするのは憚られますが、それでもオススメな作品です。

コメント

FILTH

スコットランド英語に触れたくてこの映画を観ました。

>でもそれだけじゃなくて、何かそこはかとない味がある映画なんですよね。
同感です。コメディーなのに、どのシーンもなぜか悲しさが漂っているような気がしました。

>ゲスな主人公なのに、何故か愛すべきキャラに思えてしまう、
主演ジェームズ・マカヴォイの好演の妙かもしれません。

ジェームズ・マカヴォイいいですね。『ラストキングオブスコットランド』でファンになりました。

  • 2014/09/03(水) 22:12:16 |
  • URL |
  • ETCマンツーマン英会話 #hfCY9RgE
  • [ 編集 ]

Re: FILTH

語学目的で洋画を観るなんて面白いですね。
『トランスフォーマー4』ではヒロインの恋人がアイルランド訛りだったみたいで、
それを主人公にツッコまれるシーンがありましたが、
字幕頼みのボクには、どこの英語も大差ないように聞こえます。
『ハリポタ』のハグリッドがスコットランド訛りと聞いたことがありますが、
マカヴォイの話し方とはずいぶん違う気もします。
ボクはアメコミ映画が大好きなので『X-MEN FC』でファンになりました。

  • 2014/09/04(木) 21:22:50 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

『トランスフォーマー4』

BLRPNさん、お返事有難うございます。

>『トランスフォーマー4』ではヒロインの恋人がアイルランド訛りだったみたいで、
それを主人公にツッコまれるシーンがありましたが、

貴重な情報有難うございます!実は毎日そんなネタを探しているのです。
『トランスフォーマー4』、早速チェックしてみました。
Jack Reynorが演じた、Shane Dysonがアイルランドのカーレーサーとありました。
完璧です。(^-^)/




  • 2014/09/04(木) 23:17:21 |
  • URL |
  • ETCマンツーマン英会話 #hfCY9RgE
  • [ 編集 ]

Re: 『トランスフォーマー4』

なんだか面白そうなことをしてるのですね。
図らずもお役に立てたようならよかったです。

  • 2014/09/05(金) 18:59:35 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

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