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あさひるばん

1カ月ほど前、知人と映画の話をしている時に『あさひるばん』の話題になったのですが、
知人がこの作品について「創価系映画なんて絶対に観ない」と斬って捨てました。
ボクも新興宗教は大嫌いなので、創価絡みの映画は絶対に観たくありませんが、
知人が何をもって『あさひるばん』を創価系映画だと断定しているのかわからず…。
ネットで軽く調べても、それらしき情報は見当たらなかったので、
ボクは気にせず観に行くことにしましたが、いざ観てみて納得しました。
タイトルロゴが『あさひるばん』と、赤黄青の創価三色になってたんですね。
たしかに企業ロゴが創価三色だったりすると、創価系企業の可能性が高いので、
あまり利用しないようにしたりはしますが、映画のタイトルロゴでそこまで考えるとは、
知人の創価嫌いは尋常ではないと感心してしまいました。

でも偶然かもしれないし、本作が本当に創価系映画なのかはちょっとわかりません。
劇中のタイトルロゴはたしかに創価三色でしたが、下の画像でもわかるように、
ポスターやチラシ、予告編でも『あさひるばん』と赤一色に変えられています。
これは制作サイドが「創価系映画だと勘違いされたくない」と考えたから、
後から変更したのではないかとも思えるんですよね。
(劇中のタイトルロゴは差し替えが間に合わなかったのでしょう。)
逆に本当に創価系映画だけど、アンチ創価から倦厭されないように、
宣伝だけタイトルロゴを赤一色に偽装したとも考えられ、真実はわかりません。
まぁ別にプロパガンダ的な映画ではないし、気にしなければいいだけかな。

ということで、今日は『あさひるばん』の感想です。

あさひるばん
あさひるばん

2013年11月29日公開。
『釣りバカ日誌』の原作者やまさき十三が初監督した人情喜劇。

浅本(國村隼)、日留川(板尾創路)、板東(山寺宏一)は、宮崎県の高校の野球部で“あさひるばん”と呼ばれていた。それから30年。三人のもとに野球部のマネージャーで憧れの存在だった幸子(斉藤慶子)の娘、有三子(桐谷美玲)から「入院中の母に会ってほしい」と記された手紙がくる。故郷で再会した三人だったが、有三子の祖父で野球部の恩師・雷蔵(西田敏行)と対決することとなり……。(シネマトゥデイより)



『釣りバカ日誌』で知られる漫画家でやまさき十三が初監督を務めた本作。
その狙いは明確で、松竹は本作を"ポスト『釣りバカ』"として、
毎年新作を公開する新しいシリーズを立ち上げようとしたのでしょう。
『釣りバカ日誌20 ファイナル』から早4年が経ちますが、
その『釣りバカ』シリーズの終了の前後では、ポスト『釣りバカ』を目指し、
松竹内外からいろいろな人情喜劇が登場しました。
『釣りバカ』や、古くは『男はつらいよ』のようなプログラムピクチャーは、
固定のファンがおり、毎年一定の動員を見込める優良コンテンツです。
それが終わるとなれば、その後釜を狙おうとする者が現れるのは自明の理ですが、
それを実現させるのは言うほど簡単ではありません。

まず一番初めに堂々とポスト『釣りバカ』と銘打って公開されたのは、
漫画原作の人情喜劇『築地魚河岸三代目』だったと思いますが、
公開前からシリーズ化を謳うも興行が振るわず、シリーズ2作目は未だ実現していません。
その後はポスト『釣りバカ』を明言することは避けられるようになりましたが、
おそらく『釣りキチ三平』や『こち亀』はプログラムピクチャー化を狙ったと思われます。
最近では先月公開された『晴れのち晴れ、ときどき晴れ』もそうでしょうね。
ほとんど『男はつらいよ』のパクリでしたから。
ただ、どの作品も興行的には失敗しており、単発で終わっています。
『釣りバカ』の固定客をそのまま取り込むことができなかったためでしょう。

そんな中、公開された本作は、ポスト『釣りバカ』の大本命と期待される作品です。
なにしろ『釣りバカ』の原作者が自らメガホンを取ってますからね。
更に『釣りバカ』の主演だった西田敏行まで起用して、釣りシーンまで用意し、
本作こそが『釣りバカ』の後継作品であることを大々的にアピールしています。
(劇中で主人公が『釣りバカ』のパチンコで遊ぶという露骨なシーンも…。)
予告編でもヒロインの紹介で「今回のマドンナは…」と言っていることからも、
シリーズ化しようという強い意図を感じますね。
…でも、残念ながら今回も失敗に終わったみたいで、たぶん単発になるでしょう。

失敗理由はいろいろ考えられますが、その中でも最大の要因は監督でしょう。
『釣りバカ』の固定客は、映画『釣りバカ日誌』シリーズは好きですが、
別に原作漫画の『釣りバカ日誌』なんて興味ありません。
その原作者が監督を務めたところで、観たいなんて思いませんよ。
しかも地雷率の高い他業種監督で、初監督作品となれば、誰が期待できるのかと。
なんでも漫画家になる前は、助監督をしていた経験もあるそうなので、
全くの素人でもないみたいだけど、71歳という高齢での初監督ではね…。
ボクも、きっと漫画にしてから映画化を待つのは年齢的にもう無理だから、
漫画を飛ばして、いきなり映画化しようと考えたんだと思いました。
(一応映画に合わせてコミカライズしたみたいです。)
彼は漫画家とは言っても作画はしない漫画原作者なので、
本作も脚本家として参加し、監督はプロに任せた方がよかったと思いますが、
冥土の土産に一度映画を撮ってみたかったのでしょうか。

そんな期待するのは難しい本作ですが、いざ観てみるとそれなりに面白いです。
『釣りバカ』と比べてどうかといえば、やはりあの域には達しませんが、
他のポスト『釣りバカ』と比べれば、かなり健闘していた方です。
特によかったポイントは、「あさ・ひる・ばん」を演じた主要キャストの3人です。
でも実は観る前は、最も懸念していたポイントでした。
「あさ」こと浅本は國村隼が、「ひる」こと日留川は板尾創路が、
「ばん」こと板東は山寺宏一がそれぞれ演じているのですが、
この3人は高校時代の同級生という設定ですが、全くそうは見えないんですよね。
どう見ても浅本が他の2人に比べて老け過ぎですよ。
実際に國村隼は一番年上で、最年少の板尾創路とは8歳差ですが、
板尾がとてもアラサーには見えない若作りなため、実年齢以上の差を感じます。
というか、本気でシリーズ化するのであれば、一作目の時点で50代起用しちゃダメです。
『釣りバカ』だってキャストの高齢化によって終了を已む無くされたんだから、
今後10年~20年と続けるつもりなら、最悪でも40代の俳優を起用するべきでしょう。

しかし、年齢的な問題はあるが、この三者三様なキャストは絶妙のバランスです。
それもそのはず、3人は俳優、芸人、声優と三者三様な経歴なんですよね。
芸人や声優を主演級に起用するなんて、一見無茶なキャスティングな気もするけど、
これがいい感じにケミストリーを起こしているように思います。
まぁ芸人の板尾も声優の山寺も、それなりに演技経験はあるので、
無難にこなせるとは思ってましたが、予想以上の好演でした。
板尾演じる日留川は今回あまり出番がなかったけど、その存在感は大きかったです。
おそらく板尾のバーターだと思われるオモロー栗山役のジャリズム山下も、
このポンコツを起用するなんて正気を疑いましたが、意外な好演で驚きました。
しかし何より山寺演じる板東ですよね。
主演の國村演じる浅本の相棒として、スーパーサブぶりを発揮しており、
本作の面白さの大部分は彼の好演があったればこそだと思います。
声優としてはよく耳にしてましたが、これほどのコメディ俳優だったなら、
声の演技ばかりでなく、もっと実写にも出演するべきですよ。
尤も彼が本作に起用されたのは、声の仕事をいていたからで、
彼はアニメ版『釣りバカ日誌』で主人公ハマちゃんの声優だった縁で起用されました。
実写版のハマちゃんの西田敏行と、アニメ版のハマちゃんが共演する趣向なわけですね。
ついでに西田敏行と似ていると評判の上島竜平もチョイ役で起用されており、
ハマちゃんだらけなキャスティングとなっています。
面白いけど『釣りバカ』引き摺りすぎでしょ。
刑務官役の間寛平もそうですが、俳優よりも芸人をタレントを多く起用するのは、
監督本人が異業種出身だから、本職の俳優に拘らないのかもしれませんね。

キャストはとてもよかったけど、物語も無茶苦茶で面白かったです。
高校野球のチームメイトだった浅本、日留川、板東の3人は、卒業から30年後、
惚れていた女子マネ幸子の娘から、「入院中の母に会いに来てほしい」と手紙が届き、
久々に故郷の宮崎に集まることになります。
ところが、板東は傷害の罪で刑務所に服役中で、仮釈放まで2ヶ月あり…。
芸能プロを運営していた浅本は刑務所に慰問に行き、板東を脱獄させようとします。
かなり無茶な方法で脱獄させようとするのですが、やっぱり失敗…。
たぶん実際にあんなことしたら、脱獄幇助で浅本も罪を問われるし、
板東も脱獄未遂で仮釈放どころか刑期が延びるはずだけど、なぜか2人ともお咎めなし。
しかも板東は外出許可を申請して、二泊三日の外出を認められちゃうんですよね。
まぁそれも人情喜劇のいい意味で緩いところなのかもしれません。

日留川とも合流し、幸子の病院へ行きますが、彼女は未婚の母で、
娘のユミ子の父親が誰なのかは本人しか知りません。
そのことで野球部の監督だった彼女の父(西田敏行)からも勘当状態になっています。
ユミ子が明後日、結婚式を挙げると知った3人は、なんとか監督と幸子を和解させ、
監督に結婚式に出席してほしいと考え、自分がユミ子の父親だと名乗り出ることに。
しかし、3人とも自分が父親だと言い張っており…。
あまりに自信満々に父親宣言するので、3人とも本当に心当たりがあるのかと感じ、
野球部の女子マネってのは部員の下の世話までするのかと思い、
幸子を野球部の憧れの存在どころか、とんだビッチじゃないかと軽蔑しちゃいました。
後に3人とも幸子とは関係を持ったことがないとわかるのですが、
ユミ子の実の父親はライバル校のエースだった野沢(松平健)だったみたいで、
その当時から付き合っていたようで、ビッチではないとわかったものの、
とんだ裏切り者だったのは間違いなさそうですね。

幸子は高校卒業後すぐユミ子を出産したみたいですが、野沢もそのことを知りません。
野沢は現在、宮崎県選出の代議士として法務副大臣になっていますが、
幸子は野沢に迷惑を掛けたくないのか、ユミ子が彼の子であることは秘密にしています。
それは彼女の気持ちなので勝手にすればいいんだけど、問題は野沢で、
彼はユミ子が自分の娘だと気付くのに、それを認知しようとしないんですよね。
野沢は板東の外出を取り計らってくれたり、ユミ子の結婚式に便宜を図ってくれたりと、
人情味のある男として描いているように思えますが、代議士という立場上、
認知しようとしないのは隠し子スキャンダルを恐れているように見えて、
どうも不誠実な男に思えてしまいました。

3人は監督に自分がユミ子の父親だと名乗り出ますが、
幸子と和解するどころか、監督の怒りを煽っただけで…。
そうなるのは当たり前で、彼らがなぜそれで解決すると思ったのかが謎です。
後日、監督の趣味が釣りだと知った浅本は、
結婚式の出席を賭けて、監督とヤマメ釣りで勝負します。
ハマちゃんに釣りを挑むなんて無謀、…と思いきや、運よく浅本が勝利。
その甲斐あって監督が結婚式に出席し、めでたしめでたしでした。
釣りの勝敗だけで30年ちかい勘当を解くなんて、ちょっと考えにくいけど、
釣りで何でも解決しちゃうところが、『釣りバカ』イズムを継承しているのでしょう。
ある意味バカのひとつ覚えな気もするけど、お約束だから仕方ないです。
ただ、せっかく3人いるのに、浅本と監督の勝負にしてしまうのはちょっとね。
できれば3人協力して監督に挑める対決方法にするべきでした。

そこそこ面白かったけど、この成績ではシリーズ化は絶望的です。
もうこの絶妙な3人に会えないのは残念ですが、仕方がないです。
『釣りバカ』だって初めから人気があったわけじゃなく、
人気のあった『男はつらいよ』と二本立て上映されてフックアップされたのです。
だから単品でシリーズ化なんてしようとしても初めから人気が出るはずはなく、
ポスト『釣りバカ』になんてなれるはずはないんですよね。
とはいえ『釣りバカ』が終了した今となっては、もう同じ手は使えません。
出来るとすれば『男はつらいよ』のようにテレビから火を付けるしかないでしょう。
(それでも『こち亀』は失敗しましたが…。)
せめて『釣りバカ』のように鑑賞料を1000円均一にするくらいすればいいのに…。

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