ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

ウォールフラワー

毎年、新語・流行語大賞の候補の中には、全然流行してないだろと思うような、
全く聞いたことがない言葉が含まれてますよね。
今年の候補は例年に比べると比較的マシだったと思うのですが、
完全に意味がわからなかった言葉がひとつだけありました。
それは「SNEP(スネップ)」です。
なんでも、20歳以上59歳以下の在学中を除く未婚者で、ふだんの就業状態が無業のうち、
一緒にいた人が家族以外に連続2日間いなかった人々を指す言葉だそうで、
簡単に言えば「孤立無援の無職者」という意味です。
その意味を聞いただけでも気持ちが沈みそうになるネガティブな言葉ですが、
こういうネガティブな言葉を新語として認定してしまうのはどうかと思います。
他の候補でも「さとり世代」とか「こじらせ女子」なんてネガティブなカテゴライズは、
その状態に市民権を与え、自分だけじゃないと知ることにより、脱却を阻害します。
過去の流行語でいえば「NEET」や「草食系」なんかもそうですが、
その言葉が登場した途端に、そんな人が爆発的に増えたように思います。
「スクールカースト」なんて言葉もそうで、ボクはその言葉が出来る以前の学生でしたが、
学校にそんな悲惨なヒエラルキーはなかったような気がします。
いざ出来てしまうと、便利だからボクも使ってしまいがちですが…。

ということで、今日はスクールカーストを描いたと宣伝されている映画の感想です。
ボクはそれには異論がありますが、理由は後述します。

ウォールフラワー
The Perks of Being a Wallflower

2013年11月22日日本公開。
1999年に出版されたベストセラー青春小説を映画化。

1991年、シャイで物静かな高校生チャーリー(ローガン・ラーマン)は、クラスメートたちに“壁の花”とあだ名を付けられ甘く見られていた。だが、彼の平凡な日常は、パトリック(エズラ・ミラー)とサム(エマ・ワトソン)兄妹との出会いによってすっかり様変わりする。チャーリーは初めて知る友情の素晴らしさや、初恋の胸のときめきに有頂天になっていたが……。(シネマトゥデイより)



何はともあれ、ヒロインのサム演じるエマ・ワトソンが可愛すぎます。
『ハリー・ポッター』シリーズのハーマイオニー役で有名な彼女ですが、
契約の関係なのか『ハリポタ』が完結するまでの間は、ほぼ他の作品には出演せず、
ボクの鑑賞した限りでも、アニメ映画『ねずみの騎士デスペローの物語』の
声のキャストとして出演しているだけでした。
でも『ハリポタ』シリーズが完結し、いよいよ本格的に女優活動をはじめたようで、
彼女の出演作が続々と公開されているみたいです。
本作は『ハリポタ』以降の彼女の出演作としては2本目なのですが、
ボクは1本目『マリリン 7日間の恋』を完全に見逃してしまいました。
というか、今の今までその作品に彼女が出演していたことも知らず…。
実際に脇役だったみたいなので仕方ないですが…。
というわけで、『ハリポタ』以外のエマ・ワトソンの演技を観るのは本作が初めてです。

いやー、もう一度言うけどエマ・ワトソンは可愛すぎます。
誰とは言いませんが、子役で人気が出た女優は、成人するまでに低迷するものですが、
彼女は『ハリポタ』に守られたまま成人しているためか、未だフレッシュさを残したまま、
可愛い子役から綺麗な女優に成長しましたね。
『ハリポタ』終了後、髪を切ったそうで、本作でもベリーショートを披露していますが、
あまり好きな髪型じゃないのに、彼女にはとても似合っていると思いました。
あんまりこんなことは思うタイプじゃないんだけど、相手役のローガン・ラーマンに対し、
なんて役得なんだとちょっと嫉妬しちゃうくらい魅力的です。
ハーマイオニーは日本でも大人気なので、本作もヒットするかと思ったのですが、
本作はたったの10館でしか公開されてないみたいで…。
本場アメリカでも週末の興収が最高10位という結果だったので、
ハーマイオニーの人気は絶大でも、エマ・ワトソン自体は思ったほどでもないのかな?
英エンパイア誌の最もセクシーな女優ランキングでも1位だったみたいだし、
絶対に本人も人気あるはずなんですが、『ハリポタ』のイメージが強すぎて、
ハーマイオニー像を壊されたくないと思う人が多いのかも。
ハリー役のダニエル・ラドクリフの方は完全にその傾向がありますが…。

エマ・ワトソン云々は置いておくにしても、本作のような傑作青春映画を、
こんな小規模で地味に公開するなんて勿体ないです。
誰もが持っている青春時代の甘酸っぱく苦い思い出を呼び起こさせすような映画で、
心の琴線がかき鳴らされること請け合いで、批評家や客からの評判も上々です。
簡単に言えば、非リア充の少年が高校でリア充な親友を作ったことでリア充化する話ですが、
不思議なのはボクにはそんな経験はないのに、なぜか共感を覚えてしまうことです。
(ボクは本当に平均的な学生で、学校にもヒエラルキーもあまり感じなかったですが。)
よほど特殊な学生生活をおくってない限り、みんな共感できるんじゃないかと思います。
舞台もアメリカなので、日本の高校生活とはずいぶん違うはずなのですが、
本作で描かれる友達や恋愛の悩みは形は違えど誰もが経験することで、
現代人の原風景に触れる何かが本作にはあるのでしょうね。

内向的なチャーリーは、高校入学初日に学園ヒエラルキー最下層に位置付けられてしまう。
誰からも話しかけられず、「壁の花」のようにひっそりと息を潜め、
卒業までやり過ごすことに決めていたチャーリーだったが、
陽気なパトリックとその義理の妹で美しく奔放なサムに出会ったことで、
彼の学生生活は一変し、初めて友情や恋を知るが…、という話です。
最近では「スクールカーストもの」なんて称されることのあるような内容ですが、
スクールカーストとは日本の学校社会におけるヒエラルキーのことなので、
本作のようにアメリカの学校が舞台の場合はちょっと違うかなと思います。
アメリカの学園ヒエラルキーは顕在化するので、潜在化するスクールカーストよりも単純で、
客観的に物語の題材としてはとても娯楽的だと思います。
スクールカーストなんて描いた作品は、良くも悪くも不快感しか残りませんが、
アメリカの学園ヒエラルキーを描いた作品は、本作を含め爽やかなものも多いです。
まぁどちらにしても、実際に最下層の学生にとっては辛いものでしょうが…。

チャーリーはとてもシャイな文学少年で、授業で手を挙げるのも避けるほど内気。
高校初日も最上級生の姉を頼っていましたが、学校では相手にしてくれもらえず…。
そんな折、技術工作の授業で先生のマネをして新入生を和ませる先輩パトリックを見ます。
アメフト部の試合の応援席で再びパトリックを見かけたチャーリーは、
思い切って声を掛けてみると、とても優しい先輩で、すぐ親しくなります。
自分から声を掛けるのってとても大事なことですよね。
誰かに声を掛けてもらうのを待っていたのでは、なかなか友達なんてできません。
本作の原題を訳せば「壁の花であることの特典」ですが、彼は単に壁の花だったわけではなく、
自分で行動を起こしたから、リア充化する特典を得ることができたわけです。
ボクも比較的内向的なタイプですが、入学から暫らくは頑張りました。
お陰でリア充とまではいかなくても、最下層に落ちることはなかったです。
余談ですが、初日に友達になった人とは何故か親友にはならないものですよね。
チャーリーの場合はパトリックと親友になりますが…。

パトリックとお近づきになれたお陰で、彼の仲の良い義理の妹サムとも親しくなります。
サムはとても美人で、奔放だけど親しみやすい女の子で、チャーリーは一目惚れ。
更にパトリックの遊び仲間たちも紹介されて、一気にリア充化です。
チャーリーのように無口な人というのは、話さないだけ考えることが多いためか、
いざ話してみると賢くて面白いことが多いですよね。
チャーリーもパーティでマリファナ入りブラウニーを食べさせられて、
饒舌になるのですが、その話が面白くて、パトリックの仲間からも気に入られます。
でも話下手だからって、良い子はマリファナ食べちゃダメですよ。
マリファナで饒舌になった彼は、親友が去年自殺したことをサムに打ち明けます。
それを聞いた彼女は「チャーリーは友達がいないようだ」と兄パトリックに話し、
同情した優しい2人はチャーリーの親友になってくれるのです。
…が、同情で親友になったという展開はちょっとどうかと思いますね。
それにそんな悲惨な過去があるチャーリーは、単に寂しい子ではなくなるし、
特殊すぎて少し共感しづらく、感情移入も難しくなってしまいます。
ところが終盤では彼の更に特殊な過去が明らかになるんですよね…。

このパトリックの仲間たちですが、彼らもヒエラルキーの上位生徒ではありません。
パトリックもゲイだし、ゴス少女や、金持ちの映画オタクなど、
学園ヒエラルキーでは定義し難いアウトサイダーです。
なので彼らの仲間になったことで、チャーリーはヒエラルキーを駆け上がったのではなく、
ヒエラルキーから外れることで、最下層を脱したことになります。
サムは彼らに比べると、良識的で普通の女の子ですが、彼女にも特殊な事情があり…。

クリスマスに仲間内で行ったシークレット・サンタ(プレゼント交換会)で、
サムはチャーリーにタイプライターを贈ります。
プレゼントにタイプライターって、薄々は感じてましたが、本作はちょっと昔の話なんですね。
『ロッキー・ホラー・ショー』のコスプレ上映回なんかもしていたので、
70年代後半かなと思ったけど、そこまで古くはなく、粗筋によれば1991年だそうです。
ちょうど原作者であり監督でもあるスティーヴン・チョボスキー監督の青春時代で、
本作はその頃の監督自身の体験が基になってるのかもしれませんね。
映画や音楽など当時の流行の引用も散見されますが、ボクの青春より一周り前なので、
その引用にピンとこなかったのは残念だったかもしれません。
デヴィッド・ボウイの楽曲「ヒーローズ」が物語のポイントだったりするけど、
ボクはエンドロールでやっと曲名がわかった程度の知識しかなく…。
青春映画なので、10代後半から20代前半向けの作品だと思うけど、
何気に一番楽しめるのは40代だったりして?

タイプライターを貰った折に、チャーリーとサムは自分の恋愛の話をしますが、
初キスの話になった時に、サムの衝撃の過去が明らかになるのです。
なんと彼女は、11歳の時から父親の上司にレイプされていたそうなのです。
エマ・ワトソンも『ハリポタ』終了早々、急にハードな役柄ですね。
普通そんな苦い過去があると、性に対して嫌悪感を抱きそうなものですが、
サムは恋愛体質になり、性に対して比較的奔放な性格になりました。
その時も最低な男クレイグと付き合っていましたが、チャーリーの初キスも奪います。
後にクレイグが他の女と浮気していたことが発覚し卒業前に破局しますが、
何気にサムもクレイグの浮気を責められない気がしますね。

クリスマスに憧れのサムにキスされて、舞い上がったチャーリーは、
大晦日にサムをデートに誘おうと決心します。
でも大晦日のパーティの後、彼はサムの親友メアリーから、
セイディのダンス会(女が男を誘う学校主催のパーティ)に誘われます。
それを了承したチャーリーは、ダンス会後にそのままお持ち帰りされペッティング。
いつの間にかメアリーと交際することになっていたのでした。
本当はサムのことが好きなチャーリーは、強引なメアリーに流されるままの状況が不満で…。
数カ月前まで非リア充だったくせに、妥協できないなんて厚かましい奴です。
天使か小悪魔のようなサムに比べたら、メアリーはちょっと劣りますが十分可愛いのに…。
まったく、リア充になった途端に調子乗りやがって、と少し反感を覚えました。

そんなチャーリーにはやっぱり天罰が下ります。
仲間内で「真実か挑戦」ゲームをした時、「最も可愛いと思う子にキスしろ」というお題で、
チャーリーはメアリーを差し置いて、サムにキスするのです。
当然メアリーは大ショック、親友を傷付けられたサムも憤慨し、
パトリックからも「暫らく距離を置いてほしい」と告げられ、彼はボッチに逆戻り。
調子に乗りすぎた報いで、いい気味ですね。
それから暫らく後、パトリックの交際相手ブラッドのゲイ関係が相手の父親にバレ、
2人は険悪な関係になり、ブラッドがパトリックを「ホモ野郎」と罵ったことで、
取っ組み合いの大ゲンカになり、それを見ていたチャーリーは思わず援護に入り、
無意識の内にブラッドのぶん殴ってパトリックを助けます。
それをキッカケにサムからも許してもらえ、再び仲間に加わるのです。
メアリーにも新しい恋人ができていたし、チャーリーも反省しただろうからいいのですが、
無意識に殴っていたというのがポイントで、それは一心不乱だったということではなく、
本当に無意識で、気付いた時には拳が腫れ上がり、相手が床に倒れている状況で…。
そう、チャーリーは普通の精神状態ではないのです。

チャーリーは過去のトラウマから、頻繁に幻覚を見る精神疾患を患っているのです。
それは例の親友の自殺ではなく、もっと幼少時代のトラウマです。
どうやら大好きだった叔母が、交通事故で死んだのは自分のせいだと思っているようですが、
本人も自衛本能からか詳細を完全には覚えていない様子。
ところがプロムの夜、サムにボディタッチされたことが引き金となり、
自分が叔母に性的虐待を受けていたことを思い出し、心が壊れます。
自殺を図りますが、気付いた姉が阻止し、彼は精神病院に入院することに…。
医者や家族にその秘密を明かすことで、徐々に回復して退院した彼に、
大学生になったパトリックとサムが会いに来て…、という物語です。
はじめは誰もが共感できる普通の高校生だったチャーリーですが、
親友の自殺の告白などでちょっと普通じゃないなと思っていたら、
それ以上に悲惨で異常な過去が明らかになり、最終的には精神病患者ですよ。
精神病にまでなられちゃうと、ちょっと共感するのは困難になり、
中盤過ぎに、少し気持ちが醒めていくのを感じました。
まぁチャーリーの過去に何があったのか解き明かしていく終盤の展開は目が離せませんが、
終わってみれば、これを青春映画というにはちょっとサイコ色が強すぎる気も…。
正直、パトリックとサム兄妹との関係を描いた本筋だけを追えば、
チャーリーの精神疾患の描写は必然性がないように感じるため、
衝撃的な展開を取って付けたような印象が残るんですよね。
それでも十分面白いのですが、誰しもが最後まで共感できる青春映画として、
ストレートに描いてもよかった気がします。

コメント

マリリン 7日間の恋

「マリリン 7日間の恋」でも、それはマリリン・モンロー役ではないという意味では脇役でしたが、印象的でしたよ。自分はハリポタを知らないので、この映画でエマ・ワトソンを知りました。

雑用係のコリン君は衣裳係のルーシー(as エマ・ワトソン)と恋仲になるが、マリリン・モンローに誘惑されて……というお話。僕は、「おい、何やってんだ! そんなオバサンよりルーシーの方がかわいいだろ!!」と心の中で叫んでいました。それでエマを知ったのです。

モンロー役のミシェル・ウィリアムズがアカデミー主演女優賞にノミネートされて話題になりましたが、自分はむしろエマ・ワトソンにキラリと光るものを感じた作品でした。機会がありましたら、ぜひ。

Re: マリリン 7日間の恋

ジェニファー・ローレンスやクリステン・スチュワートなど、
90年生まれには綺麗な若手女優が多いですが、
その中でもエマ・ワトソンは突出してかわいいです。
『マリリン 7日間の恋』は、『ハリポタ』以降はじめての映画出演で、
ハーマイオニー役以外もできるのか、お試しみたいなものだと思ったのですが、
ちゃんとした役が与えられていたのですね。
さっそく宅配レンタルのリストに入れておきました。
本人役で出演した『ディス・イズ・ジ・エンド』でも、
短いシーンながら、とても印象的でした。
来月公開の超大作『ノア 約束の舟』にもヒロイン役で出るみたいで、
それも楽しみにしています。

  • 2014/05/07(水) 21:32:19 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1180-c5bf5459
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

[洋画] 日本の青春ドラマとはだいぶ違う。「ウォールフラワー」

観ようかと思っていて観そびれた映画。観る機会は何度かあったのだが、プライオリティを考慮して切り捨てた作品、と言った方が適当か。その後、青春映画の傑作の呼び声高く、気になっていたところ、下高井戸で上映していることがわかったため、駆け付けた。 題名ウォールフ

  • 2014/05/06(火) 23:25:28 |
  • 窓の向こうに

FC2Ad