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すべては君に逢えたから

今月1日にケンタッキー・フライドチキンに行ったのですが、
まだハロウィンの翌日だというのに、カーネルおじさんがサンタの格好で驚きました。
その時はさすがに気が早すぎるだろと思いましたが、街はあれよあれよクリスマスモード。
ボクはクリスマスシーズンは好きなので、この雰囲気はウキウキします。
街はクリスマスで盛り上がってるのに、イマイチ盛り上がれてないのは映画業界です。
今年もあまり目立ったクリスマス映画が公開されないようで、
来週末からは早くも冬休み映画、お正月映画の様相を呈してきます。
クリスマス映画も大好きなボクとしては寂しい限りです。
今公開中の映画の中で、クリスマスに相応しい映画を強いて挙げるなら、
エマ・ワトソンがサンタのコスプレで出演している『ウォールフラワー』くらいか…。

ということで、今日はクリスマス映画の感想です。

すべては君に逢えたから
すべては君に逢えたから

2013年11月22日公開。
東京駅とクリスマスを題材にした群像劇。

アパレル会社で働く山口雪奈(木村文乃)と建設会社の仙台支社で働く津村拓実(東出昌大)は遠距離恋愛中の恋人同士だが、お互いの多忙さから次第に擦れ違いが生じ始め………(『遠距離恋愛』)。言い寄ってくる女性を全て疑うウェブデザイン会社の社長・黒田和樹(玉木宏)は、一人で過ごす方が気が休まる。そんな彼が、愛していた人を失った直後の佐々木玲子(高梨臨)と偶然出会い……(『イヴの恋人』)。(シネマトゥデイより)



「きよしこの夜」で始まる本作はクリスマスを題材にした群像劇で、
日本版『ラブ・アクチュアリー』というコンセプトで制作されたとのこと。
クリスマスという題材に加え、東京駅が2014年に100周年を迎えることを記念し、
東京駅を題材にした群像劇にもなっています。
しかし、本作は両テーマともに驚くほど希薄な出来に仕上がっています。
ストーリー性を重視するために、与えられた題材を活かしきれないなら仕方ないですが、
本作はストーリー性も希薄で、お世辞にも面白い映画とは言えません。
こんな出来では東京駅100周年の来年まで上映しているかどうか、
いや、今年のクリスマスまで上映しているかも怪しいと思われます。
今年、ほぼ唯一のクリスマス映画なのに残念です。

群像劇と言うにはエピソード同士の繋がりが薄く、オムニバスと言った方がいいですが、
本作は「イヴの恋人」「遠距離恋愛」「クリスマスの勇気」「クリスマスプレゼント」
「二分の一成人式」「おくれてきたプレゼント」という6本のエピソードからなります。
しかし、うち3本はあまりにも瑣末すぎる内容なので、実質3本プラスおまけです。
でもメインとなる3本の内容もほとんど中身がなく、全体的に薄っぺらい印象です。
6本もエピソードがあれば、1本くらい面白いものがあってもよさそうなのに、
全て可もなく不可もなくな、どうしようもない作品に仕上がっています。
いや、可もなく不可もなくならまだいいですが、どれも若干不可よりです。
内容がイマイチな群像劇やオムニバスは、豪華キャストの共演に力を注ぐものですが、
本作はそこにすら力を注がず、なんだか微妙に地味なキャストで、
これでよく『ラブ・アクチュアリー』を目指したなんて言えるものです。

作品の冒頭、先陣を切って登場するのは本田翼演じる菜摘です。
なので彼女が本作のメインヒロインかと思ったのですが、
彼女のエピソードである「クリスマスの勇気」は、6本中最も瑣末なものでした。
というか、単独では成立せず、「おくれてきたプレゼント」とニコイチで、
なんとかおまけと言える程度のエピソードになります。
女子大生の菜摘は、友達からイヴの夜に開かれるカラオケパーティに誘われ、
そこにサークルの憧れの先輩も来るそうで、告白のチャンスなのですが、
こじらせ女子な彼女は「告白なんてできない」とイヴもケーキ屋でバイトをします。
そんな自分に自信がない彼女に、ケーキ屋の女性店長の琴子(倍賞千恵子)は、
自分が49年前に恋人とかけ落ちし損ねた話を聞かせるのです。
イヴの夜、ケーキ屋に琴子に会いに年配の男性(小林稔侍)が訪れます。
彼は琴子の49年前の恋人の兄で、弟が先月亡くなったことを伝えに来たのです。
当時、かけ落ちしようとした弟を止めたのは自分で、弟は本当にあなたを愛していたと…。
その話を聞いていた菜摘は勇気をもらい、先輩に告白しようと決心する、…という話です。

この話の最大の問題点は、ほとんど東京駅が関係ないということです。
かけ落ちの待ち合わせ場所が東京駅だったみたいなので、
琴子のエピソード「おくれてきたプレゼント」はまだ若干関係していますが、
菜摘のエピソード「クリスマスの勇気」は東京駅と微塵も関係ありません。
というか、こじらせ女子が他人の恋話聞いて自分も告白してみようと思うだけの話で、
物語と言えるほどの内容がありません。
しかも告白しようと決心するだけで、結局告白するところまでは描かれないし…。
それにもし告白が成功したとしても、憧れの先輩は恋人と別れたばかりらしいので、
そんな破局してすぐ次の女と付き合うような男では祝福する気にもなれないので、
告白しようと決心したこと自体、正しい選択だとは思えません。
本田翼はちょっと好きなので、この扱いの悪さは残念でした。

そのケーキ屋の常連客が「二分の一成人式」の主人公である正行(時任三郎)です。
正行は余命三カ月の不治の病ですが、10歳の息子は父の病気のことは知らず、
残された家族との時間を大切にしようと退職します。
しかし些細なことから息子とケンカして、大切な時間を無駄にしてしまい…。
そんなある日、息子の小学校で10歳を祝う二分の一成人式が行われ、
式で息子が読んだ父への手紙に心を打たれた正行は、
次の日に息子に病気のことを打ち明ける、という話です。

一見すると感動的な物語ですが、この話の問題点はクリスマスが関係ないこと。
というよりも、クリスマスを舞台にするには差し障りのある展開です。
息子に病気を打ち明けるのはイヴなので、二分の一成人式はイヴイヴですが、
12月23日はほとんどの小学校が冬休み期間中ですし、
年の瀬の忙しい時に父兄参観なんてするとは考えにくいです。
イヴをクライマックスにする必要があったのはわかるけど、無理がありすぎます。
更にクリスマスに相応しくないどころか、この話もやはり東京駅との関係も希薄です。
正行は新幹線の運転手ですが、冒頭でそれも退職してるし…。

正行の義理の弟(妻の弟)が「イヴの恋人」の主人公である和樹(玉木宏)です。
和樹はウェブデザインの会社を経営しているのですが、
冒頭から部下に対してあまりに高圧的な態度を見せており、第一印象は最悪。
こんな奴のロマンスなんて、応援する気になれないと思わされます。
彼はかなり高給なようで、夕食も当たり前のように高級レストランに行きます。
誰かと行くならまだわかるけど、ひとりで晩飯に高級フレンチなんて…。
その店で売れない役者をしている玲子(高梨臨)と出会います。
玲子は役者をやめて田舎に帰るつもりで、最後の贅沢にと高級レストランに来たのです。
食後、2人は高級バーでバッタリ再会しますが、自意識過剰な和樹は、
玲子が偶然を装って自分を逆ナンしようとしていると勘違いし、彼女を侮辱。
頭にきた彼女は、「一緒に来るはずだった恋人が死んだ」という話をでっち上げ、
得意の芝居で泣いたふりをして、和樹に強烈な罪悪感を与えて去るのです。
翌日、またまたバッタリ再会した時に、和樹は何かお詫びをさせてくれと申し出、
玲子の劇団の稽古場に高級焼き肉弁当を届けるのです。
ところが、今度は玲子が罪悪感を感じ、恋人が死んだ話は嘘だったと告白し…。

ロマコメでありがちな、第一印象最悪なところから恋に発展するパターンの話ですね。
特にクリスマスではなくてもいい話だけど、特に問題なのは東京駅の方かな。
嘘付かれたことに怒った和樹は、それ以来、玲子に会おうとはしませんでしたが、
彼女が東京を発つイヴの夜に気が変わって、東京駅まで会いに行きます。
ところが、東京駅は東京駅でも、バスターミナルの方で…。
彼女の田舎は高知なので新幹線では行けず、深夜バスで帰るのですが、
この展開なら駅のホームでクライマックスを迎えるのが普通ですよね。
「遠距離恋愛」と被るのを避けたかったのかもしれませんが、微妙なシチュでした。
和樹は多忙なくせに映画が好きみたいで、秘書にDVDを借りに行かせてるのですが、
秘書は借りる作品をレンタル店の店員に見繕ってもらっていて、その店員が玲子でした。
それを知った和樹は玲子に「初めてのデートで観る映画は何がいいかな?」と聞きますが、
ボクだったら『すべては君に逢えたから』という映画だけはオススメしませんね。
結局2人は『カサブランカ』を観に行きますが、玲子のチョイス、渋すぎます。
それはともかく、義理の兄が余命3カ月なのに、悠長に女口説いてる場合か。

玲子が役者人生最後の舞台に選んだのが児童養護施設のクリスマス観劇会。
そこの孤児のひとり、茜のエピソードが「クリスマスプレゼント」です。
彼女がどんな理由で施設に入っているのかは描かれていませんが、
彼女はいつか絶対に母親が迎えに来るはずだと信じています。
イヴの夜、施設職員の千明(市川実和子)が作ったサンタからのカードを見た茜は、
「北欧のサンタが日本語で書くのはおかしい」と考え、
「これはきっとママからのクリスマスカードだ」と勘違いする、という話です。

6本の中では最も、というか唯一クリスマスらしい話だと思いましたが、
彼女がママに会えるわけでもなく、ちょっと救いようのない、切ない話ですよね…。
イヴの夜にはどんなにあり得ない展開でも、「クリスマスの奇跡」として許されるのが、
クリスマス映画の醍醐味だし、それによるハッピーエンドを期待してしまいます。
本作も素直に、茜と母親がイヴに再会する展開でよかったんじゃないかな?
もっと言えば、「二分の一成人式」だって、イヴの夜に正行の病がなぜか治っても、
「クリスマスの奇跡」ってことで成立したと思うんですよね。
「おくれてきたプレゼント」も含めて、6本中3本が死の影を感じる話だなんて、
クリスマス映画としてはちょっとどうなんだろうと思ってしまいます。

ここまで5本のエピソードにダメ出ししてきましたが、
最悪だったのは最後の1本「遠距離恋愛」です。
まずダメなのは、もともとエピソード間の繋がりが薄い本作ですが、
このエピソードは他のエピソードと薄い繋がりすらなく、群像劇としては邪魔。
東京でブライダルデザイナーをしている雪奈(木村文乃)は、
仙台の被災地で建設業に勤める拓実(東出昌大)と遠距離恋愛中です。
毎日メールや電話をやりとりしている2人ですが、拓実は仕事が忙しいのにかまけて、
雪奈からの連絡を無視するようになってしまいます。
そのくせに美人上司とはふたりで遅くまで飲み歩いているようで、
雪奈は心配になって、仙台まで彼に会いに来るが…、という話。
遠距離恋愛というネタは、東京駅というテーマには最も相応しいと思います。
ただロマンスとして、こんなに不愉快な気分になるのも珍しいです。
「イヴの恋人」の和樹の印象も悪かったですが、拓実は吐き気を催すほど最悪で、
男の風上にも置けないクソ野郎なため、この恋愛は応援できません。

仙台まで押し掛けて来て、なぜ連絡が取れないのか問い詰める雪奈に対し、
拓実は「オマエみたいなチャラチャラした仕事とは違うから」と、
彼女のブライダルデザイナーの仕事を貶すのです。
この職業差別的な発言だけでも不愉快極まりないですが、
(むしろ被災地にハコモノ作る拓実の震災ビジネスの方が下賤です。)
本当に吐き気を覚えるのはむしろここからです。
当然この発言には雪奈も憤慨し、それ以降連絡を取りません。
やっと仕事が落ちついた拓実は、雪奈とヨリを戻したいと考え、
イヴに東京を訪れ、彼女の手掛けているブライダル・ショーを観に行きます。
雪奈の仕事を見て、自分が間違っていたと彼女に謝り、更にプロポーズします。
そして拓実は最終で仙台に帰るのですが、ホームに見送りに来た雪奈を、
ドアが閉まる直前に新幹線に引っ張りこむのですが、その時のセリフが最悪です。
「明日仕事があるのに」という雪奈に対し、拓実は「朝イチで帰ればいい」と…。
コイツ、やはり彼女の仕事を軽く見てやがる、全然反省してないだろ、と反吐が出ます。
更に拓実演じる東出昌大の大根芝居がキモくて、不快感が加速しました。

こんなものが100周年のメモリアル作品でいいのか、東京駅…。
幸いにもまだ99周年目だし、鉄道もの映画『奇跡』や『阪急電車』を見習って、
真の100周年メモリアル作品を撮り直した方がいいです。

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