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クルードさんちのはじめての冒険

ちょっと今日は劇場映画の感想はお休みして、
久しぶりにDVDで鑑賞した新作映画の感想を書きたいと思います。
DVDの感想は約1カ月半ぶりになりますが、今年はあまり書く機会がありませんでした。
というのも、今年は過去最高に劇場映画を観ている年なので、
そっちを優先して書きたいために、DVDの感想を書く余裕がほとんどなかったからです。
昨年は80本もDVDの感想を書いているのですが、今年はこれで20本目。
もし今年中に書くとしても、あと1~2本くらいになると思いますが、
DVDの鑑賞本数で言えば、昨年とそう変わらないはずです。
つまり今年執筆したDVDの感想は、どうしても書きたかった作品だったので、
良くも悪くも印象的な作品ばかりです。

ということで、今日は良い意味で印象的だった新作DVDの感想です。

クルードさんちのはじめての冒険
The Croods

2013年11月20日リリース。
ドリームワークス製作によるアドベンチャーアニメ。

まだ文明が発達していない原始時代のころ。クルード一家は、父グラグの「外の世界に出てはいけない」という家訓を守り、ほとんど外には出ずに洞窟で暮らしていた。しかしある日、天変地異が起こって洞窟が崩壊してしまう。家を失った彼らは自分たちの新たな居場所を見つけるため、初めて外の世界へ出ることに。こうして原始人かぞくの驚きと不思議に満ちた冒険が始まった。(公式サイトより)



現時点で全米ボックスオフィス年間興収10位である本作。
こんな大ヒット作が、日本で劇場公開されないなんて本当にどうかしています。
制作したのは『マダガスカル』『カンフーパンダ』などでお馴染みのドリームワークスです。
ドリームワークス・アニメーションは、昨年までパラマウントと配給契約をしていましたが、
配給手数料で仲違いし、今年からは20世紀フォックスと5年間の配給契約を結んでいます。
しかしこれが日本のファンにとって、あまり好ましくない結果になりました。
20世紀フォックスは日本でのアニメ映画の興行に消極的なんですよね。
たぶん大作の劇場配給に全力を尽くしたいとでも思っているのでしょうが、
アニメ映画やコメディ映画などは、検討の余地もなくビデオスルーにします。
本作は全米年間10位ですが、20世紀フォックス配給作品としては年間トップセールスです。
そんな貢献度の高い稼ぎ頭まで、日本ではビデオスルーにしちゃうんだから徹底してますよ。
ちなみに20世紀フォックスの年間4位の『Epic』、年間5位の『Turbo』も、
アニメ映画ということで、すでにビデオスルーになることが決まっている様子…。
代表的シリーズ『アイス・エイジ4 パイレーツ大冒険』がビデオスルーになった時点で、
こうなることは予想できていたとはいえ、海外アニメ映画ファンとしてはガッカリです。

とはいえ、パラマウントに残留していたとしても結果は同じだったかも。
パラマウントでの最終作である『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』も、
公開未定を経て、一昨日ビデオスルーになりました。
当時の配給会社と制作会社とゴタゴタを鑑みれば、それも仕方がないのかな。
それ以前にも『メガマインド』という作品が、劇場公開を見送られていますが、
恐ろしいことに『メガマインド』はビデオスルーにすらなりませんでした。
20世紀フォックスは最悪でもビデオスルーはしてくれそうなので、
ある意味では移籍してくれたのは、ありがたかったのかもしれません。
ただビデオスルーばかりだと、日本の映画市場から海外アニメの火が消えかねません。
ディズニーが頑張ってくれてはいますが、ピクサーと双璧をなすドリームワークス作品が、
日本の劇場でかけられなくなるのは本当に悲しいことです。
質の高いハリウッドアニメと競合しない状態になれば、
(現時点で完敗状態の)日本のアニメの質も一段と落ちると思います。
20世紀フォックスさんには、日本でのハリウッドアニメの火を消さないため、
延いては日本のアニメ文化を発展させるために、手を貸してほしいです。

とはいえ、いくら全米年間10位、20世紀フォックス年間首位の大ヒット作でも、
本作を日本で公開して、客が入るとは到底思えないのも事実です。
ボクはドリームワークスには全幅の信頼を寄せているので絶対観に行くけど、
普通の人は(ディズニー以外)制作会社で作品を選んだりしません。
面白そうかどうかで判断すると思いますが、その点、本作は正直面白くなさそう。
とにかく、ビュジュアル的に主要キャラが可愛くなさすぎます。
主人公は原始人で無精髭の生えた厳ついオッサンだし、
その娘であるヒロインもやたらガタイがよくて外見に萌え要素はゼロです。
バタ臭いというか、最新の映像技術を用いてるのに古臭く感じるビジュアルなんですよね。
こんな作品のポスターや短い予告編を目にしたとしても、
可愛いもの好きな日本人客(特にチビッコ)は観たいとは思わないでしょう。

でも本作の内容は、実は世界で最も日本人が楽しめるものかもしれません。
本作の監督はドリームワークスの最高傑作で日本でも口コミで大評判となった
『ヒックとドラゴン』のクリス・サンダースなのです。
それだけでも本作の出来がいいことは十分に担保されていると思いますが、
更に注目すべき点は、この監督の出世作が『リロ&スティッチ』であることです。
スティッチと言えば、世界中のどこの国よりも日本で愛されるディズニーキャラ。
その生みの親が監督をしている作品となれば、日本人に合わないはずはありません。
主要キャラのビジュアルによるハードルさえ乗り越えることができれば、
とても楽しい物語が待っていることは受け合います。

ボクも序盤では、主要キャラに魅力を感じず、「どうなんだろう?」と思いました。
というか、レンタル店でDVDのジャケットを見て、手に取るのが躊躇われたくらい、
面白くなさそうな予感をヒシヒシと感じました。
でも、監督とドリームワークスを信頼して、我慢して暫らく観ると、
主要キャラたちの内面的な魅力にどんどん惹かれていきます。
特に、正直ブスだと思っていたヒロインが、とてもチャーミングに感じられるようになり、
本作を見終わった頃には大好きになっていました。
ハリウッドのアニメはキャラの所作や物語運びによって、
キャラを魅力的に描くのに長けてますが、本作はそれの最たるもので、
それができる自信があるから、あえてキャラのビジュアルはイマイチにしたのかも。
「女の子を可愛く描けばオタクが喜ぶ」という風潮の日本のアニメも見習うべきです。

しかし、本作もビジュアルに全く頼ってないわけではないです。
原始人である主人公一家は、原始人らしく無骨で野暮ったいビジュアルですが、
原始時代の動物たちは、ビジュアル的にもとても魅力的なものばかりです。
といっても、マンモスとかサーベルタイガーとかノスロテリウムとか、
原始時代に実在した絶滅動物を登場させているのではなく、
カメの甲羅を付けた鳥や陸上生活するクジラ、ゾウのように鼻の長いネズミなど、
奇想天外で魅力的なオリジナル動物ばかりが続々と登場します。
ファンタジックな動物なので、本作の舞台は地球の原始時代ではないということかな。
別に地球の原始時代が舞台でもいいし、普通の原始時代の動物を使えばいいのに、
そんな遊び心がドリームワークスらしいのかもしれませんね。
20世紀フォックス配給になるし、『アイス・エイジ』と被らないように配慮したとか?

以下、ネタバレ注意です。

洞窟に住むクルード一家は、祖母と父と母と3人姉弟の6人家族。
彼らは力持ちだが過保護な父グラグの教えによって、ほとんど外へ出ずに暮らしていました。
洞窟の外には恐ろしい動物がうろついており、ご近所さんはみんな食べられたので、
グラグは厳しい規則を作ることで、家族を危険から遠ざけていたのです。
夜は絶対に外に出ちゃいけないし、ひとりで行動するのも厳禁。
「好奇心は最大の敵」と言う考えから、新しいもの新しいことは徹底的に禁止します。
でも長女イープはとても好奇心旺盛なお年頃で、そんな生活が退屈で仕方がありません。

ある夜、こっそり洞窟を抜けだしたイープは、外で野宿する青年ガイと出会います。
ガイは火を起こすことが出来るのですが、火を初めて見たイープは驚きます。
新しいものを避けるクルード一家は、火の存在もまだ知らなかったみたいですが、
狩猟で生活しているようなのに、ダチョウのような鳥を捕まえないで、
卵だけを盗んでいたのも、生肉では食べにくいからかもしれませんね。
火がないから洞窟の中はいつも真っ暗だし、かなり不便そうな生活ですが、
父グラグは理解できないものを恐れているので、一家は雨にも当たったことがないほどです。
太陽のように明るくて温かい火に感動したイープは、
自分の知らなかったものを沢山知ってるガイに興味津々になります。
そんなガイ曰く、もうすぐ地面が割れて溶岩に覆われ世界が終わるとのこと。
彼は高い山に登って避難しようと、ひとりで旅をしている最中です。
一緒に行こうと誘われたイープですが、絶対に洞窟を離れない家族を置いは行けず…。
ガイはそんな彼女に救援要請用のホラ貝を渡して去っていきます。

ところが次の日、早くも大地震がが起こって落石により洞窟が崩れてしまい、
一家は否応なく移住を余儀なくされるのです。
新しい洞窟を見つけるため、ジャングルに分け入った一家ですが、
戦々恐々なグラグをよそに、イープたち家族ははじめての冒険にちょっとワクワク。
いきなり殴ってくるパンチモンキーや、頭でっかちなサーベルタイガーを振り切り、
ジャングルを脱出しますが、そこでピラニアのような肉食の鳥の群れに襲われ…。
イープは咄嗟に救援要請し、すぐに駆けつけたガイは火を起こして鳥を撃退。
火を初めて見た一家は彼の神業に驚き、彼を無理やり旅に引き入れます。
ガイの狩猟用罠を作る知恵や、猛獣を避けるための知識のお陰で、旅はスムーズに進み、
彼は一家から信頼と人気を得ますが、父グラグだけは彼に否定的。
グラグは「知恵や知識なんて必要なのは弱い奴だ」と強がってみせますが、
他の家族はガイに感化され、自分で考えることを学ぶのです。
そしてますます不貞腐れるグラグ…。

グラグには一家の大黒柱として、家族から尊敬されていた自負があるだろうから、
急に現れた若造に家族が夢中になるのは面白くないでしょうね。
好奇心や探究心は悪だと家族に教えてきたのに、それがガイに覆され父の威厳失墜です。
でもたしかに一家が今まで生きてこれたのは、グラグの過保護により、
獰猛な動物動物から身を守れたからなので、この状況はちょっと気の毒ではあります。
急にガイの真似をして賢そうに振る舞うも失敗しまくるグラグの姿は、
滑稽ではありますが、惨めでちょっと泣けてきました。

旅の途中、住みやすそうな洞窟を見つけたグラグは、そこに住もうと言い出しますが、
ガイに感化された家族は「もう洞窟ぐらしなんて嫌だ」と反発。
グラグは「洞窟のお陰で今まで生きてこられた」と説得しますが、
娘イープから「あんなのはただ死ななかっただけよ」と手痛い一言…。
ついに怒ったグラグはガイに殴りかかりますが、勢い余ってタールに嵌り…。
タールから抜け出せなくなった2人は、本心を語り合ってお互いを認め和解します。
そしてガイの起死回生のアイディアを協力して実行し、タールから脱出するのです。

そんな賢いガイですが、もちろん全知全能というわけではありません。
一家は天変地異から避難するため高い山に登りますが、
なぜガイがそこを避難場所に選んだかと言えば、彼は高い場所からならば、
空に浮かぶ太陽に飛び移ることができると思っていたからなのです。
ガイも所詮は原始人、サバイバルの知識はあっても、天文学の全く知識はないんですね。
そういえば、夜空の星のことも「太陽が休む場所」なんて言ってたけど、
ロマンチストなわけじゃなくて、本当にそうだと思っていたんでしょうね。
高い山に登っても手が全く届かない太陽に愕然とするガイとクルード一家…。
そうしている間にも地割れが一家に襲いかかり…。
グラグは自慢の馬鹿力で、一家とガイを安全な場所に投げ込み、避難させますが、
自分は避難することができずに、危険地帯にとり残されてしまいます。
更に悪いことに、そんなグラグに例の頭でっかちサーベルタイガーが襲いかかります。

…と思ったら、このサーベルタイガーも天変地異で心細かったのか、
グラグを食べるかと思いきや、ネコのように甘えてくるのです。
あんな獰猛な猛獣だったのに、急に可愛らしくなっちゃいましたね。
まるで『ヒックとドラゴン』のトゥースレスのようです。
そういえばスティッチも二面性があるし、監督はツンデレな動物キャラが好きなのかも。
グラグは人生で初めて知恵を振り絞り、「チャンキー」と名付けられたそのネコと一緒に、
奇想天外な方法で危険地帯を脱出し、安全地帯で彼を心配していた家族と
感動の再会をして、ハッピーエンドとなります。
正直、その脱出方法には無理がありますが、この冒険で得た経験を基にしたアイディアで、
「なるほど、あれが伏線だったのか」と感心できたので面白かったです。
知恵は経験から生まれるという、好奇心や探究心の大切さを説いた展開で、
それが本作が描きたかった最大のテーマだったのでしょうね。
ラストの娘イープとの和解も感動的だったし、家族愛の物語としても最高です。

これは全米年間10位も頷ける傑作アニメ映画でしたね。
日本年間1位の例のアニメ映画なんて足もとにも及ばない作品なので、
ぜひ多くの人に見てもらいたいと思いました。

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