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清須会議

この前、先週公開された映画『くじけないで』を観に行ったのですが、
その序盤で、でんでんが出演しており、「この人、最近やたら観るな」と思って、
ちょっと調べてみたら、今年だけでも8本以上の映画に出演しているみたいです。
そこで気になったのが、今年映画最多出演の俳優は誰だろうということ。
でんでんの出演本数を超える俳優がいるのかどうか、わかる範囲で調べてみました。

まずパッと思い付いたのが、西田敏行と佐藤浩市です。
かなり出演作を観たイメージがありましたが、それぞれ5本でした。
大御所でオイシイ役が多いからイメージに残り易いだけだったようです。
そこで若手で考えると、濱田岳と高良健吾をよく観た気がします。
調べてみると浜田は5本、高良はでんでんとタイの8本でした。
主演や準主演も多いので本数以上に活躍しているように思えますね。
でんでんのように脇役キャストに目を向けると、國村隼が9本も出ているようで、
これが最多本数じゃないかと思ったのですが、更に調べてみると、
上には上がいるもので、染谷将太は11本以上に出ているみたいです。
そんなに出演しているイメージは全然なかったですが、
チョイ役でチョコチョコいろんなところに顔出してるみたいですね。
ボク調べでは彼が今年の映画最多出演俳優だと思うのですが、どうでしょうか?
女優は全く見当が付かないので、今度時間があればゆっくり調べてみます。

ということで、今日は染谷将太も気付かないほどチョイ役で出演している映画の感想です。
西田敏行、佐藤浩市、でんでんなど、本作の出演俳優は出演本数が多い人が多いけど、
ホントに日本の映画業界って、どれも同じ俳優ばかり使ってるんですね。

清須会議
清須会議

2013年11月9日公開。
三谷幸喜原作・脚本・監督の群像喜劇時代劇。

本能寺の変によって織田信長が亡くなり、筆頭家老の柴田勝家(役所広司)と羽柴秀吉(大泉洋)が後見に名乗りを上げた。勝家は三男の信孝(坂東巳之助)、秀吉は次男の信雄(妻夫木聡)を信長亡き後の後継者として指名し、勝家は信長の妹・お市(鈴木京香)、秀吉は信長の弟・三十郎信包(伊勢谷友介)を味方にする。そして跡継ぎを決めるための清須会議が開催されることになり、両派の複雑な思惑が交錯していく。(シネマトゥデイより)



楽しみな作品なのに、なかなか観に行けなかったのですが、やっと観ることができました。
なぜなかなか観に行けなかったかと言えば、本作が話題作で人気作だからです。
今月は映画の公開ラッシュなので、シネコンの上映作品がコロコロ変わり、
後回しにしているとすぐ上映終了になったり、一日一回上映で観に行けなくなる作品が多く、
そんな作品を優先的に観ておく必要に迫られるんですよね。
でも本作のような人気作は、日に何度も上映されるし、ロングランになるはずなので、
後回しにしても簡単に観逃すようなことにはならないので、安心して他から観れます。
現に二週連続で興行成績一位を獲得しており、すでに累計動員数100万人を突破しており、
こんな安定した人気作であれば、2ヶ月以上のロングランになるのは間違いないです。
(今週末の興収は『かぐや姫の物語』に負けるでしょうが、それでも二位はキープするはず。)

ボクも一時は7本ちかく観たい作品が溜まっていてので、本作を後回しに消化してましたが、
なんとか概ね片付いたので、やっと本作を観ることができました。
公開日の9日は怒涛の邦画ラッシュの日でしたが、その中で一番期待していた本作を、
一番最後に観ることになってしまい、その分、期待もどんどん膨らみましたよ。
ボクの知る限りでは、けっこう評判もいいみたいだったし、
かなりワクワクしながら待望の本作を観に行きました。
…でも、いざ観てみると、はっきり言って期待ハズレな出来で、とても残念でした。

いや、悪い作品ではないと思います。
なかなかちゃんとした時代劇だし、清洲会議を題材にした歴史映画としては、
非常に真っ当でよく出来た作品だったと思います。
しかし、ボクが観たかったのは歴史映画ではなく、三谷幸喜のコメディ映画です。
彼の持ち味である、まさかの展開を見せるウェルメイドなシチュエーションコメディです。
はっきり言って、こんな清洲会議を再現しただけの歴史ものであれば、
三谷幸喜じゃなくても書けるし撮れるはずです。
たしかに、三谷組を集めた豪華キャストは、彼の作品だから実現できたとは思うけど、
これではただの豪華キャストによる歴史再現VTRみたいなものですよ。
もっと脚本にも、彼らしさを出してほしかったです。

もちろん、まるで現代劇のようなセリフ回しや、全くチャンバラがないことなど、
時代劇としては一風変わった作品だとは思いますし、それは興味深いです。
しかし多少の脚色はあったとしても、物語は史実通りであり、想像通りの展開です。
本能寺の変で織田信長が死んだ後、家臣の柴田勝家と羽柴秀吉らが後継者を決め、
日本史上初めて合議によって歴史が動いたとされる清洲会議ですが、
そんな超有名な歴史的事件の顛末は、誰でも少し日本史の知識があれば知っていること。
それをそのまま物語にしても、単なる普通の歴史映画になるだけです。
いや歴史映画が全て悪いとは言いませんが、三谷幸喜がそんな普通のことをやるとなれば、
これは期待ハズレになっちゃいますよ。

たしかに実際の清洲会議自体、まるで三谷幸喜作品のような話ではあります。
信長の後継者を巡る勝家と秀吉の権力争いの話ですが、
会議の最中、不利な状況の秀吉が、まさかの奇策で形勢逆転する話で、
まるで三谷幸喜の得意とする予想外な展開になる密室劇そのものです。
そんな歴史的事件に彼が興味を持つのは必然かもしれませんが、
それをそのままやったのでは芸がないです。
実際の清洲会議の顛末を知ってる者としてみれば、秀吉が勝つことはもちろん、
秀吉が後継者に信長の孫である三法師を担ぎ出すことも、
丹羽長秀がそれに賛同することもわかっています。
本作では当初、勝家と結託して信長の三男である織田信孝を推す長秀ですが、
彼が最後に裏切ることは本作を観る前からわかり切っているので、
全然予想外の展開にはならず、三谷幸喜作品らしくないです。

とはいえ、歴史的事実を題材にしてるんだから、史実通りで当たり前なのはわかります。
でもその結末に至る経緯を、脚色して独自性を出すことはできますし、
その脚色こそが歴史ものを書く作家の腕の見せ所です。
たしかに本作にも、そんな史実では残っていない歴史ミステリー的な展開が用意されてます。
本作最大の脚色は、秀吉が三法師を担ぎ出すことになる経緯でしょう。
秀吉は当初、信長の次男である織田信雄を後継者に推すのですが、
コイツがかなりの暗愚なため、代わりの候補を見つけないと勝ち目はありません。
そこで見つけたのが、信長の長男である故・織田信忠の子供、三法師です。
一般論では三法師を推すように助言したのは黒田官兵衛と言われてますが、
本作では更にその裏には、三法師の母である松姫が、父・武田信玄の意向を受け、
自分の子を天下人にするために企てた策略があったと描かれます。
まるで秀吉も勝家も松姫の手の中で泳がされていたとでも言うようなオチですが、
こんなオチでは正直全く面白味がありません。
なぜなら清洲会議は、表向きは後継者選びの評定ですが、
実際は勝家と秀吉の権力争いであり、誰が後継者かなんて些細な問題だからです。
実際に三法師は織田家の後継者にはなったけど、ご存知のように天下人にはなっておらず、
松姫の企ては失敗しているも同然なので、松姫黒幕説ではオチとして弱いのです。

もうひとつの歴史ミステリーは、なぜ丹羽長秀が秀吉側に付いたかですよね。
その経緯は、権力争いである清洲会議では、三法師の件より重要でしょう。
史実として、なぜ長秀が秀吉を支持したのか、ボクの歴史知識ではそこまでわからないけど、
本作でも描かれますが、領地配分で秀吉が便宜を図る約束をしたという説はあり得ます。
しかし本作の長秀は、そんな欲だけで盟友の勝家を裏切るような人物ではなく、
一番の理由は、お市の方に熱を上げ信孝を蔑ろにする勝家に愛想を尽かしたからです。
しかしこの説はいくらなんでも無理があります。
いくら武骨な勝家でも、清洲会議の最中に恋愛を優先するなんてあり得ません。
しかしそんなあり得ない展開を正当化するために、本作は勝家のことを、
かなりどうしようもないお馬鹿さんとして描いています。
宿老のひとり池田恒興を懐柔する時も、秀吉は所領の配分で彼を釣るのに対し、
勝家は「越前の美味しいお米を毎年贈ろう」と言って、彼を取り込もうとするのです。
まぁネタとしては面白いかもしれませんが、仮にも宿老筆頭の勝家がそんなにバカなのは、
歴史考証的に滅茶苦茶すぎ、歴史ミステリーとしていい加減すぎます。
歴史考証を重視しないなら、史実に沿った歴史ものなんてやるべきじゃないです。

他にも滝川一益が評定に遅れた理由が迷子になってたからとか、
本作にはたしかにネタとしては面白いけど、あり得ない展開が散見されます。
顛末は史実通りなのに、その経過の脚色は不出来な作品で、
歴史ファンが歴史映画としてみたら、こんなに退屈な作品はないと思います。
歴史上の人物が沢山出てきて、人間関係の複雑な設定のため、
「歴史を知らないと楽しめない作品」という評価も聞きますが、
むしろ逆で、歴史を知っていると先も読めるし設定の雑さにも気付くので、
歴史に関心があればあるほど楽しめない作品だと思われます。
…いや、逆ではなく、歴史を何も知らないとついていけないだろうから、
歴史を知ってても知らなくても楽しみにくい作品ですね。
あ、そういえば、ひとりだけ歴史上の人物じゃない登場人物がいましたね。
三谷幸喜の前作『ステキな金縛り』の主人公だった落ち武者の霊、更科六兵衛です。
生前は北条家の家臣だった六兵衛が、織田家の家督争いにどう絡むのか見ものでしたが、
なるほど、北条家と戦った滝川一益の遅刻理由のひとつとして登場させたわけですね。
これは粋な演出だと思いましたが、もうちょっと出番があってもよかったかな。

そんな更科六兵衛を演じるのは前作に引き続き西田敏行ですが、
本作もいつもながらに豪華キャストです。
おそらく当て書きなので、ほとんどのキャラは嵌り役ですが、女性キャラがちょっとね…。
鈴木京香演じるお市の方と、剛力彩芽演じる松姫の引眉とお歯黒が不気味すぎます。
他は時代考証無視しまくってるくせに、なぜそんなところだけ再現するのか…。
もともと女性キャラの少ない物語なので、普通の眉だった中谷美紀演じる寧々が、
異常に魅力的に見えましたよ。(あの妙な踊りも可愛かったですね。)
でもそれだけでは華がなさすぎると思ったのか、
天海祐希を無理やり捻じ込んでますが、あんな使い方はないです。
人気俳優を適材適所に配役し、活躍させてこその豪華キャストなので、
ただ登場させることだけを目的にしているのは、単なる製作費の無駄遣いです。
天海祐希ほどではないが、松山ケンイチも浅野忠信も無駄遣いですよ。
特に浅野忠信は、前作で更科六兵衛の息子から数えて25代目の子孫を演じているので、
六兵衛の親類役ならまだしも、前田利家役なのはどうかと思います。

あと個人的な好き嫌いの話になりますが、秀吉役の大泉洋が憎たらしすぎて、
秀吉が勝つとわかっている物語だけに、いまいちモチベーションが上がりません。
評定後の三法師お披露目で終わっていればいいのに、その後も長すぎます。
秀吉が勝家にお市の方を取られて悔しがったり、勝家にこれまでの非礼を詫びたりと、
悪役だった秀吉の名誉を少し挽回させるための後日談だったのかと思いきや、
最後の最後に「一年以内に織田家を滅ぼす」と言い放ち…。
結局悪役のまま幕を下ろすなら、評定決着で終わってもよかったはずです。
ただでさえ138分もあるんだから、切れるところは切らないとね。

まぁそうは言っても、それほど悪い作品でもなく、
三谷幸喜作品ってことで脚本に期待しすぎただけで、
もし他の監督や脚本家の作品だったら十分満足な出来だったのかも…。

コメント

全く同感です。

先に観てしまってましたので、先のワタクシの書き込みでは感想は触れてませんでしたが、勝家の描き方が酷過ぎますよね。
ワタクシ的に反省はやはり、感想を見てから観に行くべし。ということに尽きます。
ということで、今後も感想を参考とさせていただきます。先に観るとよろしくないことが、再確認できました。特に邦画。
ちなみにルームメイトですが、観に行こうと思います。
実はワーク・ライフ・ムービー・バランス上、来週に行けないと、次は12月の第3週になりそうなので。
現在、ムービックスで公開中でかつ時間帯が合う作品はルームメイトしかないのです。

  • 2013/11/23(土) 21:03:46 |
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  • 通りすがり #-
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Re: 全く同感です。

三谷幸喜は当て書きするみたいなので、柴田勝家をどう描くかではなく、
役所広司にどんな演技をさせたいかで役の設定を決めてしまうのでしょう。
正直、その書き方は実在の人物を描くのにはあまり向いていないのかもしれません。

ボクの感想を作品選びの参考にしていただけるのは、非常に光栄ですが、
貴重な映画鑑賞機会のようなので、なんだか恐縮してしまいます。
ボクは天の邪鬼なところがあって、メジャー作品には厳しく、
マイナー作品には甘いので、その点も考慮してもらえると助かります。

  • 2013/11/24(日) 23:50:54 |
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  • BLRPN #-
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残念ながら

今週はワーク・ライフ・ムービーバランスが崩れて、ワークのみの1週間となりそうです。
日本人として、一心不乱に仕事に生きる1週間としたいと思います。
「42」を観たかったですが。

  • 2013/11/25(月) 20:18:05 |
  • URL |
  • 通りすがり #-
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Re: 残念ながら

あらら…、それは残念ですね。
『42』もなかなかいい映画なので、機会があれば是非。

  • 2013/11/27(水) 22:53:55 |
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  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

傑作!

人それぞれ好みの問題ですから、致し方ありませんが。
コメディー云々を超えて見ごたえ十分でした。
特に丹羽長秀、彼は智将として描かれています。秀吉が三法師を担ぎ出し、丹羽を説得にあたります。智将丹羽は先が見通せるんですね、彼は義と情そして智のはざまで揺らいだ末勝家を裏切りますが、その時の忸怩たる思いが彼の表情に満ち溢れます。私にとって一番の見どころでした。
登場人物それぞれに魅力的なキャラが当てられ、実力役者が見事に演じています。ですからそれぞれの人物の心情に私自身がより添えられるようです。まさにマジックです。ただし松姫には背筋が凍りましたが。
ラストではこの後のいきさつが分かるだけに歴史の虚しさ無情さを感じます。清々しい青空にほろ苦さを残した、私にとっては本格時代劇でした。
もっと早く見るべきでした。

  • 2014/01/25(土) 14:59:06 |
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  • 無記名 #-
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たしかに好みは人それぞれなので、どんな感想も否定しませんが、
本作に対する絶賛を読んだのは初めてなので、ちょっと驚きです。

丹羽長秀が思い悩んだ末に三法師を推したのは史実でしょうけど、
ボクとしては、お市に熱を上げる柴田勝家を見兼ねてという展開は短絡的で、
むしろ丹羽長秀の智将的なところを潰してしまっているように思えます。
本作を本格時代劇として考えることは、ボクには到底不可能ですが、
それほど悪い作品ではなかったとは思ってますよ。
ただ本文でも書いた通り、三谷幸喜にはウェルメイドな脚本を期待しちゃうので、
納得できない点が多すぎる本作に対して残念な気持ちになっちゃいます。
もし別の監督の撮った作品なら、もう少し好意的な感想を書いたかも。

  • 2014/01/25(土) 22:19:41 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

人それぞれ

まさに人それぞれ価値観があることが再認識できました。
そういう意味で大感謝。

  • 2014/01/28(火) 06:45:00 |
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  • 通りすがり #-
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