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タイガーマスク

今月は本当に映画の公開ラッシュで、注目の新作映画がバンバン公開されますが、
上映場所の需要は増えても、劇場の数が急に増えるわけではないので、
作品同士で上映場所の奪い合いになり、不人気作だと通常より早く劇場から消えます。
凄まじい作品の回転率で、ウチの近隣のシネコンでも、
先月公開されたばかりの作品が1カ月を待たずにどんどん上映終了に…。
怒涛の公開ラッシュで観たい映画も多いけど、
絶対観たい映画から優先的に観て、なるべく観たい映画を来週に持ち越したりしていると、
下手すれば来週はすでに上映終了した後だったなんてことも…。
なのでどちらも観るなら優先順位と人気を反比例させる必要があるんですよね。
今日も本当は話題作『清須会議』を観に行きたかったのですが…。

ということで、今日はほとんどの劇場で本日上映終了となる映画の感想です。
先週末に公開されたばかりで、まだそれから丸一週間しか経ってないのに…。

タイガーマスク
タイガーマスク

2013年11月9日公開。
60年代後半にアニメにもなったプロレス漫画を実写映画化。

特殊マスクを身に着け“タイガーマスク”となり、ブラックマネーが行き交う試合に出場する伊達直人(ウエンツ瑛士)。孤児院で育てられた彼は大切な友の命、そして非常に大切だった居場所を奪われ、復讐(ふくしゅう)の獣と化して戦い続けることを心に決める。(シネマトゥデイより)



『あしたのジョー』『宇宙戦艦ヤマト』『ガッチャマン』などに続き、
またしても往年の人気アニメの実写化大失敗です。
中には『ヤッターマン』のように奇跡的に成功した例もありますが、
往年のアニメの実写化は往々にして失敗するもので、
製作サイドとしてもかなりリスクは高いはず。
そもそも原作アニメのファンですら望んでない実写化が成功するはずもないのに、
なぜ同じ轍を何度も踏んでしまうのでしょうか。
それは製作サイドが「自分の作品だけは例外だ」と思い込んでしまうからでしょう。
往年の人気アニメ『タイガーマスク』を実写化した本作の製作サイドも、
ある理由から「この作品はヒットするはず」と考えて、実写化に踏み切ってます。
その理由とは、2011年初めに社会現象となった「タイガーマスク運動」です。

タイガーマスク運動とは、2010年のクリスマスに、
タイガーマスクの正体である「伊達直人」を名乗る人物から、
ある児童相談所にランドセルが数個寄付されたことに端を発し、
同様の手口で、全国各地の児童養護施設に連鎖的に金品の寄付が広がったという社会現象で、
当時この慈善的な美談は、連日のようにマスコミが報道されました。
その一大ムーブメントの真っただ中、2011年の2月に製作発表されたのが本作です。
発表したのは『タイガーマスク』の原作者の弟である真樹日佐夫です。
図らずも『タイガーマスク』が再び脚光を浴びたことに目を付け、
これで一儲けしてやろうという便乗行為なのは明白です。
しかしやはり慈善事業に露骨に便乗した金儲けは、世間からもあまり歓迎されず、
結果的に自分でムーブメントに冷や水を浴びせかけたことになり、
タイガーマスク運動は急激に鎮火していきました。

それでも実写映画化製作は水面下で続いていたようで、
もう世間も完全に興味を失っていた2011年末に、やっとキャストが発表されます。
主演はまさかのウエンツ瑛士で、あまりにも似つかわしくない配役に、
世間は失笑し、原作ファンは落胆したことと思います。
これでもう本作が失敗することは確定し、製作中止してもおかしくない状況ですが、
その数カ月後には本作の発起人である真樹日佐夫が死去したことで、
その弔い合戦とばかりに、製作はギリギリ存続したのでしょう。
ただ本作を観る限り、そのモチベーションの低さは見て取れます。
おそらく本作が最後までヒットすると思っていたのは真樹日佐夫だけで、
他のスタッフ、キャストは貧乏くじを引いたと思っていたに違いないです。

映像も日曜朝の特撮ヒーローの方がまだ頑張ってると思うほどのチープさで、
かなり低予算で撮られていることは見て取れます。
その点に関しては、莫大な予算を投じて失敗した『ガッチャマン』よりは救いがあるが、
劇場での鑑賞に堪えうるような映像ではなく、金を払ってまで観る価値はありません。
宣伝にも費用を掛けることができなかったのか、劇場予告編すら単独では打てず、
SANKYOの新機種「パチスロ タイガーマスク」とのコラボプロモになってます。
いやー、映画館でパチスロのCMを見せられたのも衝撃的かつ不愉快でしたが、
慈善活動が発端で作られた映画が、賭博なんかとコラボしちゃダメでしょ。
(そもそも『タイガーマスク』をパチスロにする時点でおかしいけどね。)
しかも本作は「タイガーマスク基金」など慈善団体を応援していると銘打ってるわけだし、
それが社会悪であるパチンコ産業と提携するなんて違和感がありすぎますよ。
そもそも基金を応援するってどういうことなの?
興行収入の何割かを寄付するというのであればわかるけど、別にそれも明言されてないし、
そもそもいくら低予算でも1週間で上映打ち切られるようでは予算回収すら難しいです。
すなわち、こんな映画を作るくらいなら、製作費を寄付した方が世の中のためです。

そんなに本作に否定的ならば、観に行かなければいいと思われるでしょうが、
ここまでダメ要素が揃っている映画にはなかなか出会えず、
『キャシャーン』を超える世紀の大駄作になる予感がしたため、
映画ファンの性で、否定的な感情を怖いもの見たさが凌駕してしまいました。
もちろんこんな慈善活動に便乗した作品に金は払いたくないので、
劇場の招待システムを利用してタダで鑑賞しましたが。
でもいざ観てみると、大駄作というほどでもなく、普通の駄作でガッカリ。
この程度の駄作っぷりでは、『キャシャーン』と比べるべくもなく、
『あしたのジョー』や『ガッチャマン』にも及びません。
ある意味、最もつまらないタイプの駄作ですね。

まず先に断っておきますが、ボクは80年代生まれなので、
60年代のアニメである本作の原作はほとんど知りません。
だから本作で描かれている設定や展開も、原作を踏まえたものなのか知る由もないです。
でも明らかに「コレじゃないだろう」と思ったのは、タイガーマスクの外見です。
さすがに懐かしのアニメ特集とかで原作アニメもチラッと見たことはあるし、
それを元にした故・三沢光晴選手が扮する実在のプロレスラー「タイガーマスク」から、
原作のタイガーマスクのビジュアルは知っているつもりですが、
本作のタイガーマスクの違和感は半端ではありません。
なにしろ全身アーマーで覆われており、肌は一切見えません。
タイガーマスクといえば、プロレスラーらしく上半身は裸ですよね。
プロレスラーの中にも獣神サンダー・ライガーのような全身タイツの人もいるけど、
あんな特撮ヒーローのようなアーマーはどうかと思います。

まぁヒョロヒョロのウエンツがタイガーマスクを演じるという時点で、
ボディーラインは隠れるコスチュームにするのは予想できましたが…。
というか、ウエンツは伊達直人は演じてるけど、タイガーマスクを演じているとはいえない。
本作でタイガーマスクのコスチュームを着ているのは、スーツアクターでしょう。
そのスーツアクターは、おそらく新日のジュニア選手だと思われますが、
全身アーマーを差し引いても、ウエンツとは明らかに体格が違います。
とはいえ、ある意味本物志向で、ウエンツにプロレスシーンをさせるよりはいいのかも?

孤児で「ちびっこハウス」という児童養護施設に入居していた伊達直人は、
世界的プロレス賭博団体「虎の穴」の日本支部長ミスターXに目を付けられ誘拐され、
団体所属のプロレスラーになるべく修行させられます。
デビューが決まると、ミスターXから試合で被る虎のマスクを渡されるのですが、
マスクには使用者の潜在能力を限界以上に引き出す力があるようです。
自前の力と技で戦うのかと思いきや、まさかそんなチートがあるなんて冷めますね。
でも逆に言えば、マスクを付けたら肉体が勝手に改造されるので、
ウエンツみたいなモヤシっ子が体格のいいタイガーマスクに変身しても筋が通るのかな?
マスクには白、金、黒の3種類あり、白はスピード、金はパワーが強化され、
黒はその2つよりも更に強い能力が得られるのだそうです。
どうやらミスターXが自作したようですが、それなら全部黒にすればいい気が…。
10年後、直人には黒、親友ダンは金、ライバルのジョーには白のマスクが渡され、
彼らはタイガーマスクとして、プロレスデビューが決まり、
「虎の穴」と敵対する「竜の穴」のプロレスラーたちと戦うことになります。

直人ことゴールド・タイガーマスクの初戦の相手は「竜の穴」のサラマンダーですが、
彼の異名は「無敗の帝王」で、それって団体の最強選手な気が…。
初戦からそんな相手を簡単に倒したらダメだろうと思いましたが、
それ以降、直人が「竜の穴」の選手と戦うことはなく、彼が戦うのは同門のジョーです。
ジョーはスピードの白マスクを渡せれますが、最強の黒マスクを貰った直人に嫉妬しており、
直人の親友で金マスクのダンを再起不能にして、直人を挑発します。
ミスターXは「彼の役目は終わった」とダンの息の根を止め、
その行為に愕然とした直人は黒マスクを返上し、「虎の穴」を抜けます。
その後、昔世話になった養護施設「ちびっこハウス」を訪れ、
泊まり込みのボランティアになりますが、ジョーが養護施設を放火します。
それがミスターXの差し金だったと気付いた直人は、ダンの形見である金マスクを被り、
「虎の穴」に乗り込みますが、そこで待っていたのは最新の強化マスクを被り、
グレート・タイガーマスクとなったジョーだった…、という話です。
直人はジョーを倒しますが、金マスクの直人が黒より強いマスクのジョーに、
あんなにあっさりと勝てるのはちょっとおかしいですよね。
実はジョーが考えていたほど、マスクの能力差なんてないってことかな?
ジョーを倒した後、直人はミスターXを崖から突き落とし、一件落着です。

そんなマスクをめぐる戦いと並行して、「ちびっこハウス」の幼名馴染みで、
現在は職員をしているルリちゃんと直人のロマンスも描かれます。
今度、小学校に上がる入所児童のためにランドセルがほしいと言っていたルリのために、
直人はファイトマネーからこっそり札束を寄付します。
これは「タイガーマスク運動」の発端となった事例へのオマージュなのは明らかですが、
直人は児童のためというよりも、ルリのために寄付しているので、
その動機には恋愛感情があり、恵まれない子のための「タイガーマスク運動」とは、
精神的に全く違う気がするんですよね…。
原作の直人も「施設に美人職員がいるから」なんて理由で寄付はしてないでしょう。
これは原作アニメおよび「タイガーマスク運動」を愚弄する演出だと思います。
それにしてもこの施設、経営難や火災など度重なる不幸に見舞われますが、
意外と自力で立ち直ってるし、直人の寄付なんてなくてもやっていけそうな気が…。

「虎の穴」の幹部(ミスターXの上司)役で三池崇史がカメオ出演してますが、
彼はアニメの実写化映画『ヤッターマン』を成功に導いてる手腕を活かして、
どうせ出演するなら本作にももっとアドバイスしてあげたらいいのに…。
まぁ三池監督が本作と同じ原作者の漫画を実写化した『愛と誠』は大失敗だったし、
もしかしたらアドバイスした挙句これだったのかもしれませんが…。
ちょっと面白かったのは、ヒロインの夏菜はじめ、釈由美子、平野綾、遠藤久美子など、
本作の出演女優のタイプが似てるというか、系統が偏っている気がしたことです。
誰だか知らないけど自分の好みのタイプばかりをキャスティングしたんでしょうね。
ボクもこの系統は好きなので、本作の唯一よかったところだったかもしれません。
(劇中で10年経っても、何故か全く老けない「虎の穴」の女性教官たち…。)
あと、直人が初ファイトマネーで豪遊する時に、ゲーセンで遊んでいたのは笑えました。
あんな大金持ってるのに、まずゲーセンに行くというのも滑稽ですが、
格闘ゲーム『鉄拳』でキングを使ってたのには思わず吹き出しちゃいました。

ラストでミスターXが「これで終わったと思うなよ、タイガーマスク…」と言い、
まるで続編があるかのような引きを作って幕を閉じますが、
これで終わりだよ、タイガーマスク…。

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