ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

四十九日のレシピ

今日感想を書く映画で、今年劇場で観た映画201本目になります。
年間鑑賞本数の自己最高記録は昨年の200本だったので、
これで記録更新となり、12月末まで記録は伸び続けることになります。
ボクとしては年間200本でも異常な本数に思えたし、
これ以上記録は伸びないだろうと思っていたのですが、
観たいものを観ていただけなのに、けっこうあっさり更新しちゃいました。
こうなるとあと1月半どこまで記録を伸ばせるか、挑戦したい気持ちになります。
目標を切りがいいところで(月20本平均となる)240本に設定するつもりですが、
残りの期間で観たい映画が約40本も公開されないので、鑑賞のハードルを少し下げて、
暫らくは節操なくいろいろ観に行こうと思ってます。
そして2013年は「生涯で最も映画を観た年」として自分史年表に刻もうかな。

ということで、今日は自分史年表を作る物語の感想です。

四十九日のレシピ
四十九日のレシピ

2013年11月9日公開。
伊吹有喜原作の小説を、タナダユキ監督が映画化した感動作。

熱田良平(石橋蓮司)が急に妻の乙美を亡くして2週間が過ぎたころ、派手な身なりのイモ(二階堂ふみ)が熱田家を訪問する。突然現われ、亡き妻から四十九日を無事に迎えるためのレシピを預かっていると言い彼女の存在に良平は目を白黒させる。そこへ夫(原田泰造)の不倫で、離婚届を突き付けてきた娘の百合子(永作博美)が東京から戻って来て……。(シネマトゥデイより)



本作の原作小説は、震災前にNHKでドラマ化もされていたそうですが、
それほど話題にもなってなかったのか、ボクは全く知りませんでした。
本作に興味を持ったのは、永作博美が主演だということだけです。
余談ですけど、今アコムのCMに永作博美が出演してますが、妙に可愛くないですか?
年齢はボクの方が一周り程度下で、彼女のことは学生時代に好きだったものの、
その熱も冷めて久しいけど、そのCMでちょっと再燃した気がしました。
落ち目の象徴である消費者金融のCMというのがちょっと引っ掛かりますけどね。
とにかく主演が彼女ということ以外、全く予備知識のないまま観に行きました。
そういう映画は内容に期待してない分、期待以上の出来で楽しめることが多いけど、
本作もそれに違わぬ出来で、とても楽しめたと思います。
いや、期待してなかった分を差し引いても、なかなかの佳作だと思います。
ただ残念なことに、ドラマ放送時と同様、今回もあまり話題にはなってませんね。
『清須会議』など邦画が公開ラッシュだった先週末の公開では、
本作のような良質だけど地味な作品は、埋没してしまうのも已む無しか…。
客席もかなりガラガラで、興収ランキングもトップ10にも入れずでした。

以下、ネタバレ注意です。

妻の乙美を亡くして生きる気力を失っていた良平のもとに、
夫の不倫で結婚生活が破たんし、離婚を決意した娘の百合子が東京から戻ってきます。
そんな2人の前に、ロリータファッションの不思議な少女イモが現れ、
彼女は、乙美から頼まれていた四十九日までの家事を引き受けにやってきたと言い、
2人に乙美が残したという「暮らしのレシピ」カードの存在を伝えます。
そこには日々の家事のちょっとしたコツが自筆の可愛い絵で綴られていると共に、
「四十九日はみんなで楽しく大宴会」と書かれており…。
イモは大宴会をしたがっていますが、良平も娘の百合子も全く乗り気ではなく…。
百合子にとっては亡くなった乙美は継母で、あまり親しくもなかったみたいだし、
そもそも急にやって来たこのロリータ少女は何者なんだって感じです。

イモこと井本は、乙美が生前ボランティアをしていた更生施設「リボンハウス」に、
セックス依存症で入所していた20歳の女の子で、生前の世話になった乙美の頼みで、
四十九日の大宴会の準備とそれまでの良平の世話をしにきたのです。
演じるのは二階堂ふみですが、セックス依存症なんてまた際どい役だなと思いましたが、
本作にはそんな過激なシーンはなく、彼女にしては普通の役柄です。
普通の役なのにいつもよりちょっと魅力的に感じるのが不思議です。
ついに念願のサブカル女優脱却かもしれませんね。
まぁロリータ少女が普通だと思える時点で、彼女の演技歴の異常さはわかりますが…。
イモはどこか何か悟っているというか、20歳とは思えない達観したところがある子で、
乙美と良平や百合子の関係も、本人たち以上に知っている感じで、
これは単なる不思議な少女ではなく、本当に超常的な存在ではないかと思えました。
物語中盤過ぎに良平が、イモの本名「井本」が「乙美」の逆さ語だと気付きますが、
ボクはその事実に序盤から気付いてしまってました。(けっこう鈍い方なのに意外!)
なのでイモは、別人の姿を借りてやってきた死んだ乙美なんじゃないかと考え、
ずっとそう思って終盤まで観ていたのですが、そんなファンタジーではなかったらしく…。
十分楽しめたけど、妙な先入観で観てしまったことは、ちょっと勿体ない気がして…。
でも名前が逆さ語なんて、偶然にしては出来すぎで、その事実がないのであれば、
そんな妙な設定はリアリティを失わせるだけな気がします。

百合子が実家に戻ったのは、夫・浩之の不倫相手を孕ませたことが原因ですが、
子供が授からなかった百合子は、勝ち目がないと思って身を引くのです。
母の介護まで献身的にしてくれている百合子を余所に外で女作るなんて、
全く酷い夫ですが、彼は百合子にも未練があるようで、なかなか離婚には踏み切りません。
良平もこんな男といたら娘が不幸になると思うが、百合子が東京に戻ろうとしたので、
それを引き留めるために、四十九日の大宴会を開くことにします。
でも百合子は依然として乗り気ではありませんが、
そんな彼女の前に、日系ブラジル人三世の青年ハルがやってきます。

ハルは乙美が働いていた自動車工場の従業員で、やはり彼女の世話になったようで、
イモが大宴会の準備の応援のため彼に声を掛け、暫らく住み込みで手伝うことになります。
底抜けに明るく前向きな青年ですが、日本語がカタコトで職場ではイジメられており、
引き籠りがちだった彼に、乙美は車を譲り、「外へ出なさい」と励ましたそうです。
美談ですが、古いとはいえ車をあげちゃうなんて、ちょっとすごすぎですね。
まぁ最終的にはハルはブラジルに帰国し、百合子が譲り受けますが…。
百合子はとにかくハルのペースに翻弄され、美容院に連れて行かれたり、
買い物に付き合わされたりして、気付けば大宴会の準備に巻き込まれます。
ハルは百合子のおさげ髪を「しっぽ、ヤベェ」と言って否定し、やめさせますが、
ボクとしてはおさげ髪の永作博美の方が可愛かったけどな…。
むしろ自分のボサボサヘアの方がヤベェだろと思いましたが、
演じるのは岡田将生なので、どんな髪型でもイケメンです。
ハルもイモに負けず劣らず魅力的なキャラですが、大宴会前日に帰国するんですよね…。
ハルのいない四十九日はいくら盛り上がっても、ちょっと寂しいものがありました。

イモやハルの影響で、大宴会に前向きになった百合子は、乙美の自分史年表を作って、
大宴会で貼り出したいと思いますが、いざ作ってみると余白だらけで…。
継母で実子のいなかった乙美に、自分の境遇を重ねて、
「子供を生まなかった女性の人生なんて空白ばかりだ」と悲しくなり…。
なんとか乙美の年表を埋めようと、彼女の遺した絵手紙を取りに一度東京の家に戻ります。
そこで夫の浩之と再会し、ついでに浮気相手の亜由美とも会うことに…。
それまで百合子にも未練がある浩之のことは、優柔不断な最低男だと思ってましたが、
亜由美を見ると、彼の百合子と別れたくない気持ちもわかる気がします。
亜由美は若くて美人だとは思うけど、妻や子の母親として考えると最低な女です。
彼女には連れ子もいますが、浩之と結婚する時には、その子は親戚に預けるつもりで、
イモが「子供を生んでも必ずいい母親じゃない」と言いますが、まさにその通りです。
「生まれてくる子に父親をあげると思えば」と身を引いた百合子ですが、
そうすると代わりに別の子供が不幸になるんですよね…。
それに浩之は会計事務所を経営し裕福なので、金目当てに結婚を迫っているような印象も…。
なので浩之も百合子に未練があるというよりは、彼女と離婚が成立することで、
亜由美と結婚せざるを得ない状況になることに懸念を感じているんだと思います。

絵手紙を使っても、やはり年表は大して埋まることはなく、
乙美は身寄りもなかったため、彼女のことを知る人も少ないですが、
百合子は「どうしても継母の人生が知りたい」と、良平と一緒に、
「リボンハウス」のボランティア仲間だった女性に話を聞きに行くことに。
しかし彼女も、乙美の過去についてはほとんど聞かされておらず…。
更に大宴会に「リボンハウス」の卒業生を呼ぶのはやめた方がいいと警告されます。
卒業生たちにとっては、更生施設にいたことは消したい過去であると。
ボクもそれまではイモやハルのように、乙美に世話になった人たちが、
四十九日には集まるものだろうと思ってましたが、なるほど納得です。
良平も「せっかく大宴会の準備しても誰か来るのか?」と思うようになります。
前日にはハルも帰国しちゃうし…。

そして、いよいよ四十九日の大宴会当日。
スカスカの年表を貼り出し、酒や料理も用意して待っていますが、
集まったのは近所の数名と良平側の親族だけで…。
しかも百合子の伯母(良平の姉)がかなり嫌なクソババアで、
百合子のことを石女と言わんばかりに、子供がいないことを責め立て場の空気は最悪に…。
いい加減肝を据えかねた良平に注意されますが、全く聞く耳を持たず…。
どこにでもいますよね、こんな空気の読めない親戚って。
ボクも適齢期になっても結婚してないことや、いつまでも低所得なことを、
祖父母の法事でお局のような伯母からガミガミ言われ、ゲンナリした経験があります。
それ以来、親戚からも腫れ物に触るような扱いを受けるようになり、
今では自衛のため、ニ親等以内しか親戚とは認めないことにしています。
百合子の伯母と自分の伯母が重なり、血管が破裂するかと思うほどの怒りを感じました。
伯母に何も言い返さないボクとは違い、百合子はやんわりと反論し、
それに気を悪くした伯母は、親戚一同引き連れて出て行ってしまいます。

客は近所の数名だけになり、ますます寂しくなった大宴会ですが、
そこに「リボンハウス」の卒業生の女の子がひとり、またひとりとやってくるのです。
みんな更生施設のことは忘れたいはずだろうに、四十九日には出たいと思うほど、
乙美に感謝しているようで、とても感動させられました。
更にハルの友達(工場の従業員?)と思われる若者もどんどん集まってきて、
四十九日は本当に大宴会になります。
百合子が大宴会開催のチラシに「どなた様でも」と書いていたので、
ただ酒を飲みたいだけの全然関係ない人も混ざってるかもしれないけど…。
本当に大宴会になったこと自体にも感動したけど、それより何より、
「これのどこが大宴会だ?」とバカにしていた伯母の鼻を明かせたことが痛快です。

…と思ったら、伯母たち親戚一同は、なぜかハワイアンな格好で戻ってきて、
みんなにフラダンスを踊らせたりと、その場を仕切り始めるんですよね…。
直前の暴言のことは忘れて、まるで大宴会の大成功が自分の手柄であるかのように…。
そんなクソババアに敷居を跨がせるなと思いましたが、
良平たちも彼女の仕打ちを忘れたかのような好意的な態度で彼女を受け入れ、
この展開には許容できないほどの違和感を覚え、さっきまでの感動も急激に冷めました。

でも、大宴会が終わり客が帰った後、貼ってあった年表が、
いつの間にか客の寄せ書きで埋まっていたのを見て、再び感動が蘇りました。
…と思ったのも束の間、今度は百合子の夫・良平が訪ねて来て、
良平に土下座し、百合子を泣き落して、復縁してしまうんですよね。
ボクは良平と別れて正解だと思っていたので、この展開にも納得できません。
前述のように、良平が最終的に百合子を選んだのは、
不倫相手の由香里との結婚に不安を抱えているからに他なりません。
子供のこともあるし、復縁すれば百合子は更に辛いことになるはずです。
最悪の選択で終わった本作をハッピーエンドだとは思えず、
釈然としない気持ちで劇場を後にすることになりました。

そんな不可解な気持ちで幕を閉じた本作を、その気持ちのまま思い返すと、
よく考えれば不可解な点だらけの物語だったと気付いてしまいます。
まず、根本的に乙美が「四十九日にみんなで楽しく大宴会」なんて書き残すのはおかしい。
身寄りもなく、自分史が書けないほど薄っぺらい人生だと思っていた自分の法事に、
なぜ大宴会できるほどの人が集まってくれると考えられたのか。
ボクなんて友達は多少いるけど、葬式や法事には親戚も来ないと思ってるし、
四十九日に大宴会をしてほしいなんて大それたこと、微塵も思いません。
「リボンハウス」の卒業生はきっと来てくれると思っていたのでしょうが、
更生施設云々もあるし、ちょっと自意識過剰なんじゃないかと思えてきます。
結果、大宴会に伯母が戻ってくるまでの内容であれば今年屈指の日本映画だと思ったけど、
その伯母と浩之の結末が完全に蛇足で、せっかくの佳作をぶち壊しています。
それが非常に悔やまれますが、やっぱり永作博美は素敵だと再確認できたことと、
ちょっと苦手だった二階堂ふみの新しい魅力に気付けたので、まぁよかったかな。

コメント

激しく同感です

といっても映画ではなく、永作博美ですが。
ジョージアの店に行きたいですよね。あとワタクシ的には菅野美穗のハイボールの店で唐揚げ食べたいです。

ちなみに本日、清須会議を観てきました。

  • 2013/11/14(木) 21:52:07 |
  • URL |
  • 通りすがり #-
  • [ 編集 ]

追伸

200本には到底及びませんが、清須会議で今年44本目でした。いままで最高は年間59本ですので、趣味とは言えませんね。気分転換程度の楽しみです。
なので、観る映画も選抜しないといけないので、ネタバレも含めてすごく感想が参考になってます。
大感謝。

  • 2013/11/14(木) 21:56:49 |
  • URL |
  • 通りすがり #-
  • [ 編集 ]

永作博美って、ジョージアのCMにも出てたんですね。
見たことなかったので、公式サイトで動画を見ました。
このCMの彼女もめちゃめちゃいいですね。

日本人の平均は年間2本程度らしいので、年間40本以上観たら立派な趣味です。
年間200本も観ると、もはや趣味というよりも中毒です。
ボクも年間60本程度を観ていた頃の方が楽しめてました。
『清須会議』ですが、どうもタイミングが合わずまだ観に行けてません。
はやく観たいのですが…。

  • 2013/11/16(土) 00:53:01 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1158-9148f15e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad