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ある愛へと続く旅

宮崎駿の『風立ちぬ』が、アカデミー賞長編アニメーション部門の
審査対象作品19本の1本に選ばれたそうです。
ここから5本に絞られ、本年度の候補作になるわけですが、
ボクは『風立ちぬ』が大嫌いなので、非常に残念なニュースでした。

ガチで選考すれば『風立ちぬ』なんかが候補に選ばれるはずないけど、
意外と権威主義のアカデミー賞だけに、受賞歴もある宮崎駿の引退作ということで、
労(ねぎら)いやお情けで候補くらいには選ばれちゃうかもしれません。
あんな駄作で貴重な候補の1枠が埋まるのは我慢ならないので、落選を願うばかりです。
そもそもアカデミー賞はアメリカの映画賞なんだから、
外国語映画部門以外はハリウッド映画から選出すればいいです。
日本アカデミー賞だって、長編アニメ部門に外国アニメがノミネートされませんよ。
ハリウッドのアニメ映画は面白いものが多いし、その中から選べばいいです。
まぁアメリカではジブリ映画はディズニー映画と言えなくもないし、
英語に吹き替えられて公開されるから、外国語映画という認識は薄いかもしれないけど…。
(追記:吹き替え作業が間に合わず、字幕のみのLA公開になったそうです。)
他にも日本からは『魔法少女まどか☆マギカ 新編』『ももへの手紙』が審査対象です。

ということで、今日は外国語映画の感想です。

ある愛へと続く旅
Venuto al mondo

2013年11月1日日本公開。
ボスニア紛争を題材にしたイタリア映画。

サラエボで運命的な出会いを果たし、夫婦となったジェンマ(ペネロペ・クルス)とディエゴ(エミール・ハーシュ)。切望する子どもが望めなかった彼らは代理母候補を探し出し息子ピエトロを授かるが、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が勃発する。息子を連れて難を逃れたジェンマだが、ディエゴだけが街に残って命を落としてしまう。それから16年後。ローマで暮らしていたジェンマは、サラエボ時代の友人に誘われてピエトロと一緒にボスニアへ向かう。街の風景を眺めながら、ディエゴとの深い愛を思い返す彼女だが……。(シネマトゥデイより)



イタリア映画『赤いアモーレ』のセルジオ・カステリットが、
同作の主演女優ペネロペ・クルスを再び主演に迎えた本作。
原作も同じマルガレート・マッツアンティーニですが、彼女は監督の奥さんらしいです。
妻の小説を映画化するなんて身内贔屓というか、内輪で安易に映画製作している印象で、
あまり期待できない気もしましたが、ペネロペ・クルス主演なので観に行きました。
イタリア映画なんて観に行くのは久しぶりです。

本作の題材は1990年代に起こったボスニア紛争です。
ボスニア紛争といえば、今年8月に公開されたアンジェリーナ・ジョリーの初監督作
『最愛の大地』でも題材になっていましたが、あまり面白い作品ではなく、
日本でも世界でも悲惨なほどヒットしませんでした。
アンジーの名を冠してもそんな結果なので、みんなボスニア紛争に興味ないのでしょう。
ボクもあまり興味はなく、『最愛の大地』も全然面白くなかったです。
そんな状況なので、同じ題材の本作なんて日本で公開しても客入らなそうですが、
公開週だというのに、やっぱりあまりお客さんはいませんでした。
そんなガラガラな劇場を見て、日本でイタリア映画のヒットは難しいと思うし、
ペネロペ・クルスも日本でそれほど人気があるわけでもないのに、
なぜコケるのが予見できそうな作品を劇場公開するのかと不思議に思ったけど、
鑑賞してみてわかりました。単純に面白い作品だからです。
本作を買い付けた配給会社は、これをぜひ日本に紹介したいと思ったのでしょう。

ざっくり言えば、『愛愛の大地』同様、ボスニア紛争に翻弄された男女の物語ですが、
『最愛の大地』が民族浄化(レイプ)や虐殺などボスニア紛争の悲劇を主、
男女の物語を従とした社会派作品なのに対し、
本作は男女の物語を主、ボスニア紛争を従とした人間ドラマで、
恋愛や母子愛をテーマにした物語なので、ボスニア紛争に限らない普遍性があり、
別にボスニア紛争の知識や興味がなくてもちゃんと楽しめる作品なのです。
レイプの話もちょっと出てきたりもしますが、そこに重点が置かれているわけでもなく、
紛争下での女性の人権などを問題提起しているわけでもないです。
『最愛の大地』と違い、殊更悲劇を描きたいわけでもないので、
ボスニア紛争なんて題材にしているわりには鑑賞後感も爽やかです。
しかも意外性のある物語で、とてもよく出来た脚本だと思いました。

以下、ネタバレ注意です。

イタリア在住のジェンマの元に、サラエボに住む古い知人ゴイコから電話があり、
彼女は息子のピエトロを連れて、彼に会いにサラエボに行きます。
電話口でジェンマが「私のゴイコ」と言っていたので、きっとゴイコは彼女の元カレで、
サラエボ紛争勃発で引き裂かれたかな、…と思ったのですが、そうではありませんでした。
ジェンマはサラエボでゴイコと再会し、物語はここから回想となり、
舞台はまだボスニア紛争の起こる前、冬季五輪直前の1984年のサラエボに遡ります。
大学生のジェンマは論文で詩人を研究するため、サラエボを訪れます。
その時のガイドがゴイコで、ある山小屋に案内された彼女は、
そこでアメリカ人の写真家ディエゴと出会い、恋に落ちます。
でもジェンマには長年付き合っている恋人がおり、帰国後その恋人と結婚します。
ところがディエゴが忘れられなかったのか、あっという間に離婚し、
彼女を訪ねてイタリアにやってきたディエゴと結婚し、妊娠するのです。
なるほど、息子ピエトロの本当の父親は今の旦那ではなくディエゴなのかと思いましたが、
すぐに流産してしまい、更に彼女は卵子の問題で、子どもを産めない体だと判明します。
それならピエトロは彼女の子ではないはずで、一体誰の子なのかという謎が浮上しますが、
本作はその謎の真相を追う物語です。

ディエゴは子供を持つことが夢なので、ジェンマは彼に捨てられるのではないかと不安に。
養子縁組も考えますが、ディエゴの薬物による前科があるため許可が下りず…。
そんな中、ボスニア紛争が勃発し、2人は恩人ゴイコの幼い妹に物資を届けるため、
包囲目前のサラエボに再び訪れ、そこでアリスという若い女性と出会います。
アリスに代理母を依頼することになり、ディエゴの精子を彼女に人工授精するはずが、
サラエボが包囲され、医者が避難してしまったため、人工授精が不可能に…。
仕方がないので、断腸の思いでアリスに夫と寝てもらうことに…。
ところがディエゴは、妻を裏切れないのか、アリスとセックスできなかったようで…。
うーん、ますますピエトロの本当の両親がわからなくなり、物語に引き込まれます。

代理母断念後、すぐに帰国した2人ですが、あれ以来ディエゴの様子がおかしく、
パーティで暴れたり、平和ボケしているイタリアに苛立っているようです。
サラエボでの経験でPTSDになったのかなと思いました。
ある日、ディエゴはジェンマに黙ってサラエボに旅立ち、従軍カメラマンになります。
彼を追ってサラエボ入りしたジェンマは、妊娠したアリスとディエゴの密会に遭遇。
実はあの時セックスしており、アリスは妊娠したようです。
夫から「アリスを愛している」と言われショックを受けます。
ジェンマは生まれたばかりのアリスの子の出生届けを、自分が生んだように書き換え、
赤ちゃんを抱えて、戦況が激しくなるサラエボを脱出します。
その後、アリスと共に残ったディエゴは、崖から海に転落して死んでしまいます。
なるほど、ジェンマの息子ピエトロは、本当はアリスとディエゴの息子で、
そのことを伝えるために、成長した息子とゴイコの元を訪れたのかと納得しました。

これで謎も明らかになり、物語も終わりかと思いきや、
ピエトロ出生の秘密には、ジェンマも知らなかった更に意外な真相が隠されていたのです。
ゴイコに導かれ、彼の家を訪れたジェンマは、そこで彼の妻に会いますが、
その女性こそがピエトロの実の母アリスだったのです。
狼狽するジェンマに、彼女は息子の本当の父親が誰なのか話して聞かせます。
代理母の受精のためディエゴと寝るはずだったあの日、
家に押し入ったセルビア兵にアリスはレイプされ、妊娠してしまったのです。
つまりピエトロはディエゴの子ではなく、鬼畜セルビア兵の子だったのです。
『最愛の大地』でも描かれた、民族浄化ってやつですね。
その時ディエゴは咄嗟に隠れてしまい、その罪悪感からアリスの元に残ったのでした。
それを聞かされたジェンマは、ディエゴが自分を捨てたのではなかったと理解し、
長年抱えていた悲しみから解放され、ピエトロと夫の待つ家に帰国します。
まさか真相が二段階になっているとは、予想外で面白かったし、ちょっと感動しました。
でもディエゴが投身自殺した理由だけは、いまいちよくわからなかったです。
実は生きていて、真相を知ったジェンマと再会なんて展開だと、
更にハッピーエンドだったような気がします。

上映時間が長めで、中弛みを感じるところもありましたが、
なかなか見応えのある作品でした。

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