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42 世界を変えた男

日本シリーズ第6戦、王手をかけていた楽天が負けてしまいましたね。
阪神ファンのボクはアンチ読売なので、星野楽天を応援していたから残念です。
まぁ第7戦に勝てばいいだけの話ですが、チームの勝敗よりも残念なのは、
30連勝中だった楽天の田中将大投手の連勝記録が止まってしまったことです。
願わくば本年度無敗でメジャーに送り出してあげたいと思っていたので、
読売には「もっと空気読めよ!」と言いたいです。
読売ファン以外のほとんどの野球ファンがそう思ったんじゃないかな?
とはいえ、ボクとしては田中将大投手のプロ野球での29連勝よりも、
大リーグのワールドシリーズで大活躍した上原浩治投手の方がすごいと思います。
やっぱり所詮はプロ野球、田中投手にも大リーグで通用するところを見せてほしいです。

ということで、今日は大リーグに移籍して大活躍した選手の伝記映画の感想です。

42 世界を変えた男
42.jpg

2013年11月1日日本公開。
黒人初のメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンの伝記ドラマ。

1947年。ブルックリン・ドジャースのゼネラルマネージャーを務めるブランチ・リッキー(ハリソン・フォード)は、黒人青年ジャッキー・ロビンソン(チャドウィック・ボーズマン)と契約、彼をメジャーリーグ史上初の黒人メジャーリーガーとして迎える。だが、白人以外には門戸を開かなかったメジャーリーグにとって彼の存在は異端なものでしかなく、チームの選手たちはもちろん、マスコミや民衆からも糾弾される。そんな状況ながらも、背番号42を誇るようにプレーするジャッキーの姿は次第に人々の気持ちを変えていく。(シネマトゥデイより)



11月1日は映画の公開ラッシュでしたが、その中でも最も期待していた作品が本作です。
全米でも初登場1位、批評家からも好評を得てヒットした、期待を裏切らない出来です。
本作に限らず、『しあわせの隠れ場所』とか『インビクタス』とか、
人種差別絡みのスポーツものは、安定した面白さがありますね。
その反面、想定の範囲内の出来というか、期待を超えるほどの感動はありませんでした。
黒人選手が酷い差別を受けながらも、プレーでチームの勝利に貢献し、
チームメイトやファンの信頼を勝ち得ていく話だろうと予想しましたが、
全くその通りの物語で、差別による酷い仕打ちも想定内のものでした。
それによる黒人選手の苦悩とか挫折とかも描けていれば、尚よかったですが、
本作は出来事(史実)を追うことに重点が置かれ、登場人物の心境描写は弱いです。
まぁそれでも、出来事自体が興味深いものなので、十分面白いんですけど。

本作は黒人初の大リーガーだったジャッキー・ロビンソンを描く伝記映画ですが、
彼が大リーガーになる以前は、大リーグの16球団、400人の選手は全員白人でした。
つまり彼は黒人初の大リーガーだっただけでなく、有色人種初の大リーガーで、
彼がいなければ、イチローや上原浩治など日本人大リーガーもあり得なかったのです。
…というような宣伝や批評があるけど、ちょっとそれは言いすぎ。
もし彼がいなくても公民権法は施行されるし、遅かれ早かれ黒人選手も誕生したはず。
野茂英雄が大リーガーになったのは、ロビンソンが大リーガーになった時から、
約40年も後のことですから、日本人選手の活躍と彼の功績は関係ないでしょう。
まぁ初の日本人選手、村上雅則には影響があったでしょうけどね。
何事にも初めはあるので、ロビンソンが初の黒人選手というだけであれば、
ボクとしては大したことではないような気がします。
彼がすごいのは、大リーガーになった初年度に、チームを優勝に導く活躍をしたこと。
もし初の黒人選手でも、白人選手と比べ平凡な選手であれば、
彼も現在に至るまでこれほど評価されていないと思います。

むしろロビンソン以上にすごいと思ったのは、
彼と契約したブルックリン・ドジャース(現ロサンゼルス・ドジャース)のGM、
ブランチ・リッキーの先見性や信念だと思います。
黒人が黒人の地位向上のために頑張るのは当たり前のことですが、
白人のリッキーが黒人のために頑張るのはとても尊い行為だと思います。
黒人選手の登用も、公民権法の施行後なら大したことではないでしょうが、
ジム・クロウ法の真っただ中でそれを実行するんだから、並大抵のことではないです。
そしてニグロ・リーグで活躍する多くの黒人選手の中から、
ロビンソンに白羽の矢を立てた選人眼は超人的ですね。
リッキーは黒人選手の起用は「ワールドシリーズに出場するため」と言いますが、
それは本心ではなく、彼は大学野球選手時代のチームメイトだった黒人捕手が、
人種差別により挫折したことをとても残念に思っており、
大リーグの人種的不公正を是正したいと思っていたのですが、
政治や主義ではなく、その黒人捕手との友情が動機だったことに感動しました。
本作の真の主役は、現場で戦ったロビンソン以上に、
体制と戦ったリッキーだったようにも思います。

太平洋戦争が終結した1945年、ドジャースのリッキーGMは、黒人選手の起用を考え、
ニグロ・リーグのカンザスシティ・モナークスの選手だったロビンソンに声を掛けます。
ロビンソンはドジャース傘下の3A球団、モントリオール・ロイヤルズに入団することに。
彼は南部出身の黒人差別主義者の監督も、超人的なプレーで黙らせます。
ドジャースとの練習試合では、白人客からのブーイングと黒人客からの喝采の中、
フォアボールで出塁し、盗塁で一点をもぎ取る大活躍を見せます。
相手の白人投手も、黒人選手にやられるのは屈辱的だと考えるので、
意地でもヒットを打たれまいとしてフォアボールを出してしまうんですよね。
出塁させてからは、意地でも刺したいと牽制に意識が向きすぎ、
投球の集中力が散漫になって、ボークを取られてしまいます。
黒人選手と意識するあまりに普段の力が出せなくなってしまう。
白人投手にとって、こんなに出塁させると厄介な相手はいないでしょうね。
ロビンソンが優れているのは走塁だけでなく、打撃もかなりのもの。
初戦となる3A開幕戦では、いきなりホームランを打ちます。
でもどんなに活躍しても、白人ファンからは疎まれ、脅迫を受けることも度々…。

翌年、ロビンソンはドジャースの春季キャンプに参加することに。
しかしドジャースの白人選手は、黒人とプレーしたくないと嘆願書を書きます。
リッキーGMは、ドローチャー監督を通して選手たちに「嫌なら解雇だ」と一喝します。
ドローチャー監督も、強い選手なら誰でもウェルカムな、黒人差別しない人みたいです。
ロビンソンにとってもありがたい監督でしたが、ドローチャー監督はシーズン前に、
大リーグコミッショナーから女優との姦淫を名目に謹慎処分を受けるのです。
なんだか、ドジャースが黒人選手を起用したことへの嫌がらせのような気もしますね。
監督の後任が決まらぬまま、シーズンが開幕してしまいます。
監督のなり手なんて多そうですが、やっぱり黒人選手のいるチームは嫌なのかな?
シーズン途中で、現役を退いていたショットン監督が就任しますが、
彼は黒人差別しない名将のようで、ロビンソンも幸運でしたね。

ドジャースと契約し、正式に大リーガーとなったロビンソンですが、
嘆願書は取り下げたチームメイトも、まだ彼のことを疎ましく思っており…。
更に審判たちも彼に対して厳しい判定(というか誤審)を取りがちで、
アナウンサーまで、彼に悪意のある実況をしたりと、相手球団だけでなく周りは敵だらけ。
そんな中でも最悪なのは、フィラデルフィア・フィリーズのチャップマン監督です。
チャップマンはロビンソンが打席に立つ度に、反吐が出るほどの差別的野次を飛ばします。
ムカつくキャラ年間ランキング一位に選びたいほどの不愉快な輩です。
今までいくら差別されても我慢していたロビンソンも、心が折れそうになり、
そんな状態ではいいプレーができるはずもなく、二打席連続フライ…。
最低な行為ですが、結構効果的な作戦かもしれませんね
チャップマンは黒人選手だけでなく、ユダヤ人選手などにも似たようなことをしてるので、
実は別に差別意識はないのかもしれませんね。
現在なら差別発言なんてすれば一発退場ですが、当時の審判は注意すらしません。
それをいいことにエスカレートさせていくチャップマン監督の行為に業を煮やしたのは、
なんとチームメイトのスタンキーでした。
彼は言い返さないロビンソンの代わりに、チャップマンに詰め寄り猛抗議します。
チームメイトの中にもロビンソンを認める白人選手が出てきたんですね。
それに励まされたロビンソンは、三打席目でヒットを打ち、盗塁の決めて得点します。
さすがにやりすぎたのか、後日フィリーズはマスコミに「私刑集団」と叩かれ、
チャップマンは嫌々ロビンソンに和解を申し出ることになるのです。
和解なんかでは許せないと思いましたが、チャップマンは翌年解雇されたようなので、
ちょっと留飲が下がったかな。

ロビンソンを認めたチームメイトはスタンキーだけでなく、
シンシナティでの試合ではブーイングを浴びる彼に、
地元出身のリースが彼の肩を抱き、親密さをアピールして観衆を黙らせます。
更にいつも気を使って試合後ひとりでシャワーを浴びているロビンソンに、
チームメイトのブランカは「みんなで一緒に浴びよう」と声を掛けます。
その頃にはほとんどのチームメイトはロビンソンを認めているみたいですが、
ウォーカーってやつだけは、最後まで蔑んでいたみたいです。
やっぱり人種差別の根は深く、いくら頑張っても認めないやつもいるんですね。

とはいえ、ロビンソンのチームへの貢献度は大きく、前年優勝のカージナルスに全勝し、
ドジャースは次のパイレーツ戦を勝てば優勝が決まるところまできます。
しかしパイレーツの投手は、以前ロビンソンにわざとデッドボールを当て、
怪我をさせた因縁の相手、オスターミューラーです。
ロビンソンはそんな彼からホームランを打ち、ドジャースはリーグ優勝します。
いやー、そんな劇的なことってあるもんなんですね。
でも奇跡もそこまでだったようで、本作では描かれなかったところを見ると、
ワールドシリーズはあまりいい結果は残せなかったのかな?
とはいえ、シーズン中のロビンソンの活躍で、翌年からは黒人選手が2人加入し、
他球団でも黒人選手を起用するチームが出てきます。
そして彼の功績により、彼の背番号「42」は全球団共通の永久欠番となり、
彼がデビューした4月15日は、全選手が背番号「42」を付けるそうな。
それは美談だと思うけど、そのあからさまな手の平の返し方はちょっとね…。

ロビンソンの半生を描いた伝記映画ですが、実質1945年から1947年を描いただけ。
それでも十分ドラマチックだったけど、もっと家族のこととか描けばよかったかも。
個々のチームメイトとの友情もそうですが、専属の黒人記者との関係など、
人間ドラマをもっと掘り下げると、物語に深みが出たはずです。
このままでも興味深い内容で、大リーグの歴史の勉強にはなりましたが、
物語としては思ったほど感動できませんでした。
大リーグにも人種差別にも全く関心がない人は、本作を楽しめるのかどうか…。

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