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スラムドッグ$ミリオネア

今日、GW映画が一斉に封切られます。
ファミリー向けアニメから何やらマニアックなものまで色々公開されますが、
今年(去年?)のアカデミー賞ノミネート作も3本封切られます。
今年はアカデミー賞主要部門ノミネート作はとりあえず観ることにしているので、
たとえ興味はなくても3本とも観に行くつもりです。
その中でも注目はやっぱり作品賞を受賞した『スラムドッグ$ミリオネア』ですね。
ということで早速観てきました。

スラムドッグ$ミリオネア

2009年4月18日日本公開。
第81回アカデミー賞、作品賞を含む8部門を受賞。

テレビ番組「クイズ$ミリオネア」に出演し、賞金を獲得したジャマール(デヴ・パテル)だったが、インドのスラム街で育った少年が正解を知るはずがないと不正を疑われ逮捕される。ジャマールになぜこれほどの知識があり、この番組に出演するに至ったのか。警察の尋問によって、真実が明らかになっていく。(シネマトゥデイより)

スラム育ちで無学の青年が「クイズ$ミリオネア」の最終ステージまで到達する…、
それがこの作品の最大の売りではありますが、別にクイズ番組に挑戦する青年の
サクセスストーリーが描かれているわけではありません。
これはインドのスラムや悲惨な児童就労の実態を背景にしつつ、
過酷な社会を生き抜くジャマールと、その兄サリームの生き様、
女友達であり恋人であるラティカとの純愛の物語です。
「クイズ$ミリオネア」はその物語を回想し、よりエキサイティングに見せるための
ツールでしかありません。
だからクイズの問題がジャマールがたまたま経験したことに関することだったり、
問題順が幼少期の出来事に関するものから順番に出題されるなど、
ありえないレベルのご都合主義で、ツッコミどころ満載ですが、
そのありえない偶然をドラマティックな運命の悪戯として描いているので、
「クイズ$ミリオネア」の出題に対してのツッコミは野暮なことです。
ボクも長々とツッコミたい気持ちはあるのですが、今回は控えておきます。

ただこの作品の根本の設定に対してどうしてもツッコミたいことがひとつ。
無学の青年が「クイズ$ミリオネア」で最後の問題までたどり着くことが
絶対に不正以外ではありえない異常事態みたいに描かれているけど、
「クイズ$ミリオネア」ってそんなに崇高なクイズ番組でしたっけ?
もちろんボクはみのもんたが司会をしていた日本の「クイズ$ミリオネア」しか
知りませんが、ボクの数少ない視聴経験で言わせてもらえれば、
近年流行のお手軽お勉強クイズ番組と大差のない低俗番組じゃなかったですか?
なんか回答者も一般レベル以下の芸能人が多かったような気もするし…。
まぁ日本版しか知らないからそう感じるだけかもしれないけど、
本作中のインドの「クイズ$ミリオネア」もやっぱり低俗な感じは受けましたね。
みのもんた以上に軽い雰囲気の司会者、そんなに知性的じゃない出題…。
たとえ国の最高学府を卒業してても、スポーツや芸能問題まではわからないでしょ?
でも番組は低俗でも、このクイズ形式はよくできていますね。
特にお馴染みの3つのライフラインは、この映画のために誂えたかのようです。

"なぜジャマールは問題を正解できたのか?"
"(A)イカサマをした。(B)運が良かった。(C)天才だから。(D)運命だから。"
映画の冒頭で観客に向けて「クイズ$ミリオネア」風にこんな問題が出題されます。
正解は言うまでもなく"(D)運命だから"ですが、
ジャマールの些細なことも覚えている記憶力を考えれば、むしろ(C)ですよ。
ボクも"100ドル札の肖像が誰か"なんてことは聞いた事があるはずだけど、
全然記憶に残ってなかったのに、ジャマールは一回聞いただけで覚えてる。
これは野暮だけど、(B)の要素も強いですよね。

ジャマールがラスト2問目まで正解することは観客の誰もが既知のことですが、
最後の問題は正解できるかどうかわかりません。
なので最後の出題のシーンはけっこうドキドキするんですが、
難解な問題じゃなく、答えを知ってる人は普通に知ってそうな問題だったし、
もし知ってたらあのドキドキ感は味わえないんでしょうね。
それだけでも映画の印象がかなり違ってくる気がします。

アカデミー賞では作品賞をはじめ8部門も独占した本作ですが、
俳優関係の部門を取れてないことが、逆に上辺の派手さではなく、
作品としての良さを物語っていると思います。
メインのジャマールの回想話はインドの貧困問題を描く社会派な部分と、
兄サリームとの悲惨な確執、ラティカとの悲恋と暗くなりそうな話なのに、
全編を彩るインド映画音楽の魅力で活き活きと、明るく楽しく描かれています。
インド映画といえば、本作もインド映画らしく、最後は大人数ダンスで終わりますが、
唐突に始まるので違和感は感じてしまうものの、そのハッピーな雰囲気に呑まれて、
視聴後の後味がかなりいいですね。
実際はそんなに万々歳なハッピーエンドではないはずなんだけど…。
アメリカにもスラム街はあるけど、そこを舞台にしてたら殺伐とした映画になりそう。
インドを舞台にしたことがこの映画の勝利ですね。

まだ作品賞ノミネート作は『ベンジャミン・バトン』『フロスト×ニクソン』と本作の
3本しか観てませんが、今のところアカデミー賞の結果通り、
ボクも本作が最優秀賞だと思えました。

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