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ダイアナ

海外ドラマ『glee』の主要キャストであるコーリー・モンティスさんが、
今年7月に急逝したことを受け、ドラマも来年放送のシーズン6で完結するそうです。
ボクは遅ればせながら今年になって『glee』を見始めたのですが、
シーズン1を見終わって、そろそろシーズン2を見ようかなという時に、
彼の訃報を聞いたので、ドラマを見たいモチベーションが急落して、
未だにシーズン2を見始められません。
普通ならむしろ追悼の気持ちで、更に見たいと思いそうなものですが、
薬物中毒という亡くなり方のせいで、正直あまり死を悼む気持ちになれません。
シーズン5では追悼エピソードを作られるそうですが、それにもあまり共感できません。
語弊があるかもしれないけど、人間の価値って死に様で決まるような気がします。
モンティスさんのご冥福をお祈りしています。

ということで、今日は衝撃的な死に様により伝説となった人物の伝記映画の感想です。

ダイアナ
Diana.jpg

2013年10月18日日本公開。
ナオミ・ワッツ主演でダイアナ元英皇太子妃の半生を描いた伝記映画。

1995年、ダイアナ(ナオミ・ワッツ)が夫のチャールズ皇太子と別居してからすでに3年の月日が過ぎようとしていた。ある日、彼女の良き友であり、治療師でもあるウーナ(ジェラルディン・ジェームズ)の夫が倒れたと連絡が入り、ダイアナは急いで病院に駆け付ける。そこで彼女は、優秀な心臓外科医ハスナット(ナヴィーン・アンドリュース)と出会い……。(シネマトゥデイより)



1997年に36歳の若さで逝ったダイアナ元英皇太子妃の最後の2年間を描いた伝記映画です。
世界中で愛され、世界一有名な女性だったダイアナですが、
死後十何年も経った今でも人気が高いみたいで、未だにテレビで特集されたり、
今年7月の彼女の息子ウィリアム王子の第一子誕生報道の過熱ぶりも、
ダイアナの人気による影響も強かったのではないかと思われます。
ここ日本でも人気があるみたいで、本作がかなりの規模で上映されていることや、
伝記映画なのに吹替版まで作られていることからも彼女の人気の高さを窺えます。
(右翼からも批判される日本の皇太子妃とは大違いです。)

そんな人気者ダイアナを題材にするのは映画製作者にとって美味しいネタだし、
彼女の伝記映画が作られるのも自明の理ですが、その反面彼女が人気者すぎるため、
下手な内容にしてしまうといろいろな人から反感を買うことになるパンドラの箱にも…。
本作はパンドラの箱を開けてしまったようで、イギリスのマスコミや映画評論家から、
かなり手厳しい評価を受けています。
その批判の矢面に立たされてしまったのが、ダイアナを演じたナオミ・ワッツ。
演技派女優として評価が高い彼女ですが、本作の演技派ボロカスに叩かれています。
でもボクが見る限りでは、彼女の演技に何か問題があったとは思えず、
ただ単に彼女がダイアナを演じることに不満がある人が多かったということでしょう。
というか、誰がダイアナを演じても、ダイアナのファンは納得しないでしょうね。
ダイアナの伝記映画を撮るのは、まだちょっと早かったのかもしれませんね。

何かと酷評される本作ですが、ボクとしてはそれほど悪い印象は受けませんでした。
むしろ伝記映画は退屈な作品が多い中、本作は退屈することなく楽しめました。
たしかに若干薄っぺらさを感じますが、最後の2年間だけを描いているので、
波乱万丈なダイアナの伝記映画と考えると、薄く感じるのは仕方ないです。
彼女の最後の2年間、それもある男性とのロマンスに特化して描いているので、
とても観易い内容に纏まっているようにも思います。
ただロマンスに特化しすぎているため、アンゴラでの対人地雷廃絶運動など、
彼女の遺した功績についてはあまり大きく取り上げられておらず、
逆にスキャンダラスなことばかりフィーチャーされているので、
ダイアナのファンにとっては不満を感じるのかもしれませんね。

ボクとしても、少し物足りなく感じてしまったのは、
最大の関心事である交通事故の真相について、全く描かれなかったことです。
最後の2年間を描くなら、その幕引きの展開は最重要だと思いますが、
驚いたことに本作は、交通事故には一切触れず、
ただ「パリ市内の病院で息を引き取った」としか言及されません。
ダイアナの最期を知らない人が本作を観に来るなんてことはないでしょうが、
もしそんな人が本作を観たら、ヒロインが何の脈絡もなく死んで戸惑うでしょうね。
もちろんボクは彼女が事故死したことはわかっていましたが、
今年8月頃にも空軍特殊部隊SASが関与したのではないかと新情報が出たりと、
彼女の死については様々な陰謀説があることも有名で、
本作でも彼女の死の真相に迫る仮説が描かれるものと期待していたので、
そこが何も描かれなかったことは、少し物足りなく思います。

パパラッチの追跡を逃れようとして交通事故に遭ってしまったという、
通説通りの展開すらも明確に描かれなかったことは意外ですが、
本作ではパパラッチによる過剰な報道合戦については描かれているので、
そのパパラッチの過熱ぶりがダイアナを死に追いやったという通説が、
本作のダイアナの死に対するスタンスでしょうね。
その上で、このパパラッチの過熱ぶりは、ダイアナにも非があるというような論調です。
彼女が死んだ時、交際相手の大富豪ドディと同乗していました車で事故るのですが、
本作ではダイアナがドディと交際していた理由は、
その前に交際していた医師ハスナットに対する当て付けが目的で、
彼女自身がドディとの交際をリークし、パパラッチを煽っていたという展開です。
ある意味では彼女の死は自業自得だというのが、本作の提示する事故の真相の仮説かも。
ただこの仮説には矛盾があると思います。
わざとパパラッチされたいのであれば、パパラッチを振り切るため暴走する必要はなく、
その結果交通事故に遭うこともないと思え、かなり不自然に思えます。

そんな不自然な展開になっているのは、本作のスタンスとして、
ダイアナが生涯で最後に愛したのは(一般的に考えられている)ドディではなく、
医師ハスナットだったという設定になっており、それの帳尻を合わせるために、
ドディとの交際は、別に彼のことが好きだったわけではなく、
パパラッチを煽り報道させることで、ハスナットに嫉妬させたかったということです。
ちょっとあり得るかもしれないと思ってしまう、なかなか興味深い仮説ですが、
もちろんその真偽は定かではなく、それを確かめる方法もありません。
当のダイアナは亡くなってるし、ハスナットは大のマスコミ嫌いらしく証言しません。
なんでもハスナットは本作への協力も固辞したそうですが、
ハスナットの一族の人々などからは協力を得られたようなので、
やはりハスナット側に都合のいい偏った内容になってるかもしれませんね。
世界一有名な女性が最後に愛した男なんて、男冥利に尽きるし、
ハスナット自身、沈黙はしていても本作に悪い気はしてないんじゃないかな?

ボクなんかだったら中小企業の社長令嬢でも尻込みしそうですが、
英国王室の皇太子妃の愛人になるなんて、普通の男では考えられない度量で、
そんなハスナットのことを男として尊敬してしまいそうになりますが、
彼は目立つことが大嫌いというのが、どうにも違和感を覚えます。
そんなにマスコミに騒がれたくないんなら、セレブに手を出すべきじゃないし、
いずれ交際がバレて否応なく注目を浴びることは、アホでも想像できそうなことです。
どうも彼の行動には矛盾を感じるというか、共感が持てません。
チャールズ皇太子との離婚後もコソコソしてるし、マスコミにスッパ抜かれた時は怒るし、
はじめは度量の大きい男だと思ってたけど、中盤から器の小さい男に思えてきます。
ダイアナとの結婚も、一族を理由に有耶無耶にしているような印象で…。
パキスタン人のハスナットはムスリムで、彼の実家もムスリムですが、
ムスリムの家族が、バツイチのクリスチャンの嫁を認めるはずないのはわかりきったこと。
「宗教上の理由で母親が結婚を認めてくれない」と言われたら、
いくらダイアナとはいえ引き下がるしかないですが、
それでも交際は続けたいなんて、ムシがよすぎますよね。
破局した時も「医師を続けたいから」みたいな理由で結婚を拒否しますが、
別れたくはないような感じで、未練たらたらで全く男らしくないです。
そもそも元皇太子妃と結婚したところで、心臓外科医の仕事に支障はないはず。
パパラッチから追われることに、結婚の有無は関係ないですしね。
なので本作からは彼の本心がいまいち汲み取れないんですよね。

その結果思ったことは、本作ではハスナットがダイアナをふったような印象ですが、
実際はやっぱりダイアナが大富豪ドディに心変わりしたのではないかと思えます。
晩年は対人地雷廃止に尽力し称賛されながらも、
一方で派手な生活をしてバッシングも受けていたダイアナなので、
やはり地味な心臓外科医よりも派手な大富豪に惹かれるんじゃないかな?
なにしろ一時は王室に嫁いだほどの野心的な目立ちたがりですからね。
作中でも破局後にブランド品を買い漁るところや、夜遊びをパパラッチに撮られますが、
そんなお騒がせセレブっぷりを報道されたところで、ハスナットは嫉妬しないし、
やっぱり本作のダイアナがパパラッチを煽って、その結果事故に繋がったという仮説は、
物語としては面白いとは思うけど、ちょっと信憑性に欠ける気がします。

あと気になったのは、作中にチャールズ皇太子が登場しないことです。
イギリス映画として、亡くなった元皇太子妃のことはネタにできても、
現皇太子のことをネタにするのはタブーなんでしょうか?
(少年時代のウィリアム王子とハリー王子はちょっとだけ登場してます。)
まぁ『英国王のスピーチ』とか、近代の歴代国王の伝記映画も撮れる国なので、
天皇を題材にするのはタブー視されがちな日本の皇室よりは寛容なのかな。

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