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死霊館

日本にもハロウィン文化がかなり定着し、街にジャックランタンが溢れている昨今ですが、
本場と違っていまいち定着しないのが、ハロウィンにホラー映画を観るという風習です。
日本ではホラー映画は夏に観るものというイメージがあるのか、
ハロウィン直前の来週末も今週末も、ロクなホラー映画が公開されません。
映画ファンとしては、せっかくハロウィン文化を日本に持ち込むなら、
ホラー映画を観る(公開する)風習も一緒に輸入してほしかったです。
(もちろん夏は夏でホラー映画を公開してほしいけどね。)
とはいえ今年に限れば、本場アメリカでも『キャリー』くらいしか公開されません。
どうやら今年のハロウィンに公開予定だった『パラノーマル・アクティビティ5』が、
制作が間に合わなかったのか、来年のハロウィンに公開延期になったようで…。
2009年から毎年公開してきたシリーズなのに、今年で途切れたのは残念です。
でも来年は『パラノーマル・アクティビティ5』の他にも、
スピンオフ『Paranormal Activity: The Marked Ones』が公開されるとか。
中南米向け作品らしいので、それが日本で公開されるかはわかりませんけど。

ということで、今日はホラー映画の感想です。

死霊館
The Conjuring

2013年10月11日日本公開。
ジェームズ・ワン監督によるオカルトホラー。

1971年アメリカ・ロードアイランド州、両親と5人の娘たちが古びた一軒家に引っ越してくる。しかし、毎朝母親の体にあざができ、一定の時間に止まる時計など不気味な怪現象が次々と発生し、娘たちに危害が及んだことから、一家は心霊学者のウォーレン夫妻(パトリック・ウィルソン、ヴェラ・ファーミガ)に解決してほしいと依頼する。夫妻が現地を調査すると恐るべき歴史が明らかになり、夫妻は館に巣食う邪悪な存在に立ち向かうが……。(シネマトゥデイより)



本作は初登場全米1位を記録した大ヒット・ホラー映画です。
1億4000万ドルちかく稼いでいますが、ホラー映画としては相当な成績で、
超常現象系ホラー映画としては、ここ10年で最高の興収じゃないかな?
評価もかなりよく、日本でも小規模ながら無事公開される運びとなりました。
邦題のB級臭さが気になりますが、内容は超A級のホラー映画です。

なんでも、本作は実話が基になった物語らしいですが、
そんなものはホラー映画の常套句であり眉唾、信じる人なんていないと思います。
ただ本作に登場する悪魔研究家エド&ロレーヌのウォーレン夫妻は実在したようです。
というか、妻ロレーヌは存命で、彼女のインタビューに基づき制作されています。
彼女が今まで公表しなかった「最も恐ろしい事例」を映画化したそうですが、
自称千里眼の80歳以上のお婆さんの話を、真に受けるのは難しいですね。
ただその話が事実かどうかは別にしても、物語自体はとても面白く、
ペテン師であれ悪魔研究に何十年も従事してきた経験は活かされています。

1971年、アメリカ・ロードアイランド州に建つ一軒家に、
ペロン一家引っ越してくるが、奇妙な現象が次々と発生し、
一家は心霊学者のウォーレン夫妻に助けを求める、という物語で、
物語としては『呪怨』など「呪われた家」系の、よくあるタイプのホラー映画です。
それでも面白いのは、ペロン一家の視点と、ウォーレン夫妻の視点が、
並行して描かれている構成により、物語のドラマ性が強くなっているためかな。
実際にロレーヌ・ウォーレンの話を基に撮っているのであれば、
ウォーレン夫妻が主人公になりそうなところですが、単純にそう描かず、
被害者のペロン一家のことも丁寧に描かれているところがよかったです。

このペロン一家ですが、両親と未成年の娘5人の7人家族ですが、
こんな大家族が被害に遭うというホラー映画も珍しい気がします。
素晴らしいのは、5人の娘たちがちゃんとキャラ立ちしていることです。
普通5人も子供がいると、個々の個性が埋没してしまいそうなところですが、
まるで萌えアニメの5人姉妹のように、それぞれに属性を兼ね備えており、
たった2時間の上映時間の中でも、それぞれに印象を残せています。
長女のアンドレアはセクシーなお姉さん、次女ナンシーはしっかり者のメガネっ娘、
三女クリスティーンは活発なボーイッシュ、四女シンディは憑依体質の不思議ちゃん、
末っ子エイプリルはあどけない金髪の女の子って感じです。
もうひとり、ウォーレン夫妻の娘ジュディも、ホンワカした甘えん坊で、
そんな印象的な子たちが被害者なので、感情移入しやすいし、ハラハラできます。
ただ、ハリウッドのホラー映画は子供が酷い目に遭うことを避ける傾向があるため、
彼女たちが死ぬ展開はあり得ないだろうと予想できちゃいます。
同じ理由で、彼女たちが孤児になる展開も考えにくく、
ペロン一家の誰かが死ぬ展開にはならないだろうと予想できます。
また、ウォーレン夫妻が実在する以上は、夫妻が死なないのも確定しているので、
本作はどんな凶悪な超常現象が起きようとも、誰も死にはしないと思えるため、
緊張感はそれほど感じられないかもしれません。
まぁペロン一家とウォーレン夫妻以外にも登場人物はいるので、
もしかしたら彼らは死ぬかもしれないとは思いましたが…。

以下、ネタバレ注意です。

1968年、ウォーレン夫妻は7歳の少女アナベルの霊が人形に憑依する事件を調査。
このアナベル人形ですが、本作の監督ジェームズ・ワンの代表作である
『ソウ』シリーズのビリー人形にも勝るとも劣らない不気味な造形で、
かなりインパクトがあったので、てっきり本作はこの人形の呪いが中心の怪奇譚かな、
…と思いきや、この事件は夫妻によりあっさり解決され、
悪魔の媒介であるアナベル人形は夫妻が自宅に持ち帰り、保管されてしまいます。
夫のエドは教会公認の悪魔研究者で、霊視ができる妻ロレーヌと一緒に、
教会の依頼で各地の超常現象を調査して回っているみたいです。
そして超常現象の原因となった媒介を自宅に持ち帰り、保管しています。
なぜそんな不気味なものを集めているのか不思議でしたが、
実在の夫妻は悪魔研究の傍らで、オカルト博物館を経営しているみたいで、
その展示物として、いわくつきのグッツを集めているようです。
劇中でも自宅の保管庫には、いろんなガラクタが雑然と保管されていましたが、
中には日本の鎧兜なんかもありました。
鎧兜なんて媒介にするのは悪魔ではなく落ち武者くらいのものだと思うけど…。

1971年、父ロジャーと母キャロリンと5人の娘からなるペロン一家は、
競売で落札した池のほとりの古い一軒家に引越してきます。
引越し当日、家で目隠し鬼をして遊んでいた娘たちが、入口を塞がれた地下室を発見。
池の近くでは、末っ子エイプリルが、古いオルゴールを拾います。
翌朝、母キャロリンは庭でペットの犬セイディーが殺されているのを発見、
更に家中の時計が3時7分で止まっており、自分の体に妙な痣があるのに気付きます。
ペットが殺されているだけでも、「ただ事ではない」と思いそうなものですが、
念願のマイホームに浮かれているためか、夫妻は妙な現象をあまり気にしません。
他にも夢遊病が急に再発し、妙な行動を取り始める四女シンディや、
急に「見えないお友達」ローリーと遊び始める末っ子エイプリルなどなど、
引越してから奇妙な現象が立て続けに起こっているのですが…。

しかし、父ロジャーが出張でいない夜、寝ている三女クリスティーンの足が、
何者かに引っ張られ、驚いて起きた彼女は何か不気味な人影を見ます。
その人影は彼女に「この一家を皆殺しにする」と告げ…。
更に物音を感じて起きた母キャロリンは娘たちの肖像画が全て落下するのを目撃。
物音を追って地下室に入ると、何者かに中に閉じ込められてしまい…。
更に夢遊病でクローゼットに頭突きを繰り返す四女シンディを止めた長女アンドレアが、
クローゼットの上に現れた不気味な老婆に襲われ…。
さすがに家の異常を感じた一家は、悪魔研究者ウォーレン夫妻に調査を依頼します。

ウォーレン夫妻の夫エドは、その依頼にあまり乗り気ではありません。
どうやら妻ロレーヌの霊視は、命を削りながら行っているそうで、
前回の悪魔祓いの折に、霊視で何かを見た妻が8日間も茫然自失状態になったことで、
これ以上、妻に負担を掛けたくなはいと思っているみたいです。
(でも実際には命を削っているロレーヌの方が長生きしてるんですよね…。)
しかしロレーヌは同じ子を持つ母親としてキャロリンに同情し依頼を承諾し、
夫妻は助手のドリューとブラッド巡査と共に、ペロン一家の家を調査します。

ウォーレン夫妻が一家の話を聞く限り、怪奇現象は霊障の疑いがかなり強く、
更にその家の周辺は、昔バスシーバという魔女の土地だったことがわかり、
土地を奪われて首吊り自殺した魔女の怨霊が怪奇現象の根源だと考えます。
すぐさま悪魔祓いをするべきですが、エドは悪魔研究者でエクソシストではないため、
エクソシストに依頼する必要があるが、教会は「悪魔の証拠がなければ動けない」と、
ストーカー被害に対する日本の警察のような態度なので、
家にカメラを仕掛けたり録音したりと、悪魔の証拠を押さえようと頑張ります。
しかしそんな時に限って、なかなか魔女は姿を現しません。
70年代なので、撮影機材も発達しておらず、これでは証拠を掴むのは難しそうです。

ところがある日、ロレーヌが母キャロリンの部屋に魔女がいるのを発見。
魔女はキャロリンに憑依します。
さらにブラッド巡査がメイド姿の幽霊に遭遇、さらに四女シンディが夢遊病になり、
彼女を追ったロレーヌは、クローゼットで見えないお友達ローリーの隠し部屋を発見。
そこに入ると床が抜け、地下室に落下し、そこでローリーの母親の幽霊に会います。
ローリーとその母親は前の住人でしたが、魔女の呪いを受けて死んだみたいです。
メイドの霊も魔女の呪いで自殺したご近所さんだったらしく、
この家には魔女以外にも、魔女に殺された霊がウジャウジャいるみたいですね。
さらに三女ナンシーが、見えない力に髪を掴まれ、引きずり回されますが、
そのシーンを撮影することに成功し、夫妻はビデオを知人の神父に見せます。
ところが神父は「悪魔祓いを承認するのは難しいだろう」と…。
神父曰く、ペロン一家は教会の信者じゃないし、娘たちも洗礼を受けてないから、
バチカンが承認を渋るんじゃないかとのこと…。
信者しか救わないなんてカトリックって心が狭いですね。
神様はもっと寛容で慈悲深いものだと思うけどね。

そんな折、ロレーヌのロケットペンダントを媒介にして、
魔女の呪いが夫妻の家にまで感染し、保管室からアナベル人形が脱走し、
彼らの一人娘ジュディに襲いかかるのです。
まさかここでアナベル人形が再登場するとは、全く予想外の展開ですが、
アナベル人形は序盤だけでは勿体ないキャラなので、この再登場は嬉しかったです。
バチカンの承認を待っていた夫妻ですが、自分たちの子まで被害を受けるとなると、
もう他人事ではなく、夫エドは自ら悪魔祓いをすることを決意します。
そこに、ホテルに避難していたペロン一家から、魔女に憑依された母キャロリンが、
三女クリスティーンと末っ子エイプリルを連れ去ったと連絡を受け、
夫妻たち調査チームと父ロジャーは呪われた家に急行します。
彼らはクリスティーンをハサミで刺し殺そうとしていたキャロリンを拘束し、
さっそく悪魔祓いの儀式を執り行いますが、エドの腕が未熟なのか、
魔女の呪いが強力すぎるのか、全く上手くいきません。
悪戦苦闘しているうちに、憑依されたキャロリンは自力で拘束を解き、
床下に隠れている幼いエイプリルに襲いかかります。

ロレーヌは正気を失っているキャロリンに、「一番大切な日を思い出して」と叫びます。
すると彼女の中で、家族で海岸に遊びに行った幸せな日の光景がフラッシュバックし、
彼女は正気を取り戻し、自分の中の魔女の怨念を吐き出すのです。
ここが本作の素晴らしいところで、悪魔祓いでも払えなかった魔女の邪悪な力に、
母親の愛の力が打ち勝つという、とても感動的なシーンです。
本作はただ怖いだけのホラーではなく、家族のドラマも描いているのが素晴らしいです。
ちょっと出来すぎな展開で鼻白む人もいるかもしれないけど、
ボクは普遍的なテーマである家族愛に、素直に感動できました。
結局、ケチ臭いバチカンの力も借りなかったわけだし、
母の愛は魔女の力どころか、神の力(宗教)をも凌駕するということです。

キャロリンを正気に戻し、クリスティーンとエイプリルも助け出した夫妻は、
エイプリルの拾ったオルゴールを自宅に持ち帰り、保管します。
てっきり地下室の封印を解いたことで、魔女が現れたのだと思ったけど、
魔女の媒介はオルゴールの方だったということなのかな?
オルゴールは無害な少年の霊ローリーの媒介だった気がしますが…。
どちらにしても今回のアナベル人形脱走で、保管庫は危険だとわかったはずなのに、
まだ保管庫に媒介を置いておくなんて、またジュディが襲われるかもしれないのにね。
劇中でも保管したオルゴールが勝手に回り始めていたし…。

さて、空前の大ヒットを記録した本作、そんなドル箱をこれ切りにするはずもなく、
すでに続編の製作も決定しているようです。
もちろんペロン一家のその後の物語ではなく、
エド&ロレーヌのウォーレン夫妻が経験した別の事例が描かれるのでしょう。
もしかしたら長期シリーズ化されるのかもしれませんね。
でも少なくとも本作の魅力の半分は、ペロン5姉妹の存在だったと思うので、
続編も面白くなるかどうかは微妙かもしれません。
せめてアナベル人形だけでも、再登場してほしいものです。

コメント

ハロウィンにホラー映画を見たいならシッチェス映画祭ファンタスティックセレクションの6本がお薦めです。

  • 2013/10/18(金) 18:56:51 |
  • URL |
  • くろ #-
  • [ 編集 ]

あー、そんな企画もありましたね。
昨年のシッチェス映画祭ファンタスティックセレクションは2本観ました。
今年のラインナップでは、グランプリ作品『道化死てるぜ!』と、
イーライ・ロス製作の『アフターショック』が面白そうです。
でも、関西では梅田ガーデンシネマでの上映なのですが、
通常1200円のレイトショーでの上映のくせに、
今年は1500円均一なのが納得できないので、観に行かないつもりです。
梅田ガーデンシネマも、ヒューマントラストシネマ渋谷のように、
3回3000円の前売券を販売してくれたらいいのに…。

  • 2013/10/18(金) 22:36:38 |
  • URL |
  • BLRPN #-
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