ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

R100

昨年末の『HEY!HEY!HEY!』に続き、前クールで『リンカーン』『アカン警察』も終了し、
ダウンタウン司会のレギュラー番組が次々と打ち切られてしまいました。
『ガキの使いやあらへんで!!』『ダウンタウンDX』も視聴率低迷しているようで、
時代の寵児だったダウンタウンの人気にも陰りが見え始めましたね。
ボクも彼らのことは結構好きだったので、昔はそれらの番組もよく見てましたが、
今は全く見なくなりました。(見ても年末の『笑ってはいけない○○』くらいです。)
なぜ急に興味を失ったのか、明確にはわかりませんが、
時期的にはやはり松ちゃんが映画監督を始めたころかな?
その映画が面白ければ更に好きになったかもしれないけど…。

ということで、今日は松ちゃんの最新監督作の感想です。

R100
アール R100

2013年10月5日公開。
ダウンタウン松本人志、監督第4作。

男(大森南朋)は誘惑に負け、1年という期限付きでミステリアスなクラブへの入会を決意する。入会の際の条件は、たとえ何があろうとも途中で退会することはできないという内容だったが、当初彼はそのことをまったく気にも留めていなかった。その後、彼の人生には次々と型破りで魅力的なキャラクターの女性たちが出現するようになり……。(シネマトゥデイより)



松ちゃん…、いや松本はもうダメかもしれない。
『大日本人』『シンボル』『さや侍』と、「次こそは」と思いながら観てきましたが、
本作は監督第4作目にして最低の出来だったと思います。
前作『さや侍』では映画としてずいぶんマシになったと思ったけど、
あれはやはり共同脚本を務めた(映画経験も豊富な)板尾創路のお陰だったようで、
松本ひとりの脚本力では、どうもまともな映画なんて撮れないみたいです。
こんな作品、まともな映画関係者なら駄作になることはわかるはずなのに、
きっと現場もワンマン状態で、誰も彼のやることに口を出せないのでしょう。
映画監督としても芸人としても大先輩であるビートたけしあたりが、
一度ガツンと言ってあげた方がいいと思いますが、まずそんなことはあり得ないし、
芸人仲間で映画監督でもある内村光良あたりから注意してもらえないかな?
ダウンタウン自体がタレント業でも斜陽しているんだから、
本業に専念するように言ってあげた方がいいと思うんだけど…。
まぁ松本は本業が限界だから映画監督に活路を求めているのかもしれないけど、
依然映画素人同然の彼が映画監督なんてできるのも本業での地位のお陰ですよね。
一蓮托生の相方である浜ちゃんにとっても松本の映画の出来は死活問題のはずなのに、
彼は映画の出来に何も言わないんでしょうか?

本作は第38回トロント国際映画祭ミッドナイトマッドネス部門に正式出品されましたが、
地元有力紙からは映画祭に出品された全63作品中、最低の評価を受けたようです。
その評価は至極真っ当だと思いますが、当の松本は「すっごいウケました」とご満悦で…。
「自分の作品は海外の方が評価される」「松本ブランドが出来あがりつつある」と、
すっかり「世界の松本」気取りなのが呆れるのを通り越して痛々しいです。
しかし本作を異常なほど自画自賛しはじめたのはトロント国際映画祭以降なので、
地元紙から酷評され、それが日本でも大きく報道されてしまったことで、
「ここままでは日本で大コケする」と、内心焦りがあったのかもしれません。
松本は毎度、海外での上映を視野に入れていることを強調しますが、
彼の監督作はたしかに海外でも上映されているものの、かなり小規模なため、
やはり最大の草刈り場は日本国内なんですよね。
本作も北米で公開されることが決まりましたが、配給を手掛けるドラフトハウスは、
韓国映画など外国のカルト映画を配給する会社で、本作の公開規模も知れたものです。

そもそも日本ではハリウッドメジャーのワーナー・ブラザーズが配給しているのに、
本拠地である北米でワーナーが配給から手を引いているという時点で、
ワーナーのこの映画に対するスタンスは推して知れますよね。
更に言えば前作は松竹が配給していたのに、本作から手を引いたことでも、
松竹の本作および松本作品への不信感が窺えるというものです。
実際、過去の作品と比べても、劇場はビックリするほどガラガラで、
すでに松本の威光は松本信者にしか通用しなくなっていることは明白で、
松竹としても本作に関わらなくてよかったと安堵しているでしょう。
製作費は50億円との話もありますが、もしその額が本当なら大赤字は間違いないでしょう。
てか、50億もかけてこの出来なこと自体がかなりヤバいですけどね。
ちなみに本作が出品されたトロント映画祭のミッドナイトマッドネス部門では、
現在公開中の園子温監督のコメディ映画『地獄でなぜ悪い』が観客賞を受賞しています。
本作はもちろん無冠ですが、今に観行くならどちらを選ぶべきかは言わずもがなですね。

そこまで松本作品に否定的で期待していないのであれば、
なぜ観に行ったのかと思われるかもしれませんが、
それはボクが主演の大森南朋のファンだったからです。
でも劇中での彼の扱い方が酷すぎて、ファンだからこそ観て後悔しました。
SMクラブを題材にした作品で、大森南朋演じる主人公が変態M男なのは面白いけど、
彼がSMの女王様に折檻され恍惚の表情になると、CGで彼の顔を膨張させる演出があり、
その顔がかなり不気味でキモチワルく、とても不愉快な気持ちになりました。
(誤解を恐れずに言えば、ダウン症みたいな顔に加工されます。)
なんでも当初は主人公役を役所広司にオファーしたそうですが、
彼は脚本に目を通して「今の自分にはできない」と、やんわり断ったそうです。
「R100」だけに、なんとも気の利いた断り方だと感心しますが、結果これは英断で、
役所広司も本作を観れば、断ってよかったと安堵したでしょうね。

ついでに更にキャストの話ですが、SMの女王様役を、
大地真央、寺島しのぶ、片桐はいり、冨永愛、佐藤江梨子ら、
豪華女優陣が務めるのも見どころのひとつです。
…と言いたいところですが、可愛い佐藤江梨子はいいとして、
他の出演女優のボンテージ姿なんて、かなり微妙じゃないですか?
まぁこれは個人の価値観の問題だけど、どうせならもっと若くてセクシーな女優を集めて、
SMの女王様役に起用してほしかったと思いました。
そうすればどれほど脚本がクソでも、眼福感でちょっと得した気分になれただろうしね。
SMクラブ「ボンテージ」を運営する国際的官能組織のCEOも女王様ですが、
そんな個性派女優演じる女王様のボスだから、すごい人が演じているかと思いきや、
プロレスラーみたいにやたらデカい外国人女性で…。
たしかにインパクトはあったけど、もったいぶった割には単なる出オチでガッカリです。
あんなゴツい女王様では、いくらドMでも興奮できるかどうか…。
あと、渡部篤郎演じる反社会的組織撲滅のため国から雇われた謎の男も、
結局正体も何もわからず仕舞いで、一体何がしたかったのやら…。
(…と観客に思わせるための不条理キャラでしょうけどね。)

家具店に勤務する片山は、「ボンデージ」という謎のSMクラブに入会してしまい、
それ以降、さまざまなタイプの女王様が片山の日常生活の中に現れるように…。
プレイは次第にエスカレートし、職場や家庭にまで女王様が現れるようになり、
片山は退会を望むが、途中退会はできない決まりで…、というような話。
日常生活の中で急にボンテージ姿の女王様が出現しSMプレイが始まるのは面白いが、
ちょっと笑いそうになっても、興奮した片山が件のあの不気味な顔になるため、
面白いという気持ちが急激に醒めて不快感だけが残ります。
また、片山が女王様に暴力振るわれたりするのは望んだことなので仕方がないが、
他人に迷惑がかかるようなプレイは見ていて不愉快になりますね。
寿司屋で出された寿司を次々と女王様が潰していくプレイがあるけど、
店がすごく気まずい雰囲気になり、隣の席の客とか板前さんが気の毒でした。
雰囲気が悪くなるのは店だけでなく、そんなものを観せられる劇場も同様で、
松本信者が1~2人笑っているだけで、あとはドン引きしているのがわかりました。
途中退場者はいませんでしたが、劇場は笑いよりも寝息が響いている状態で…。

家にまで押し掛けてきた女王様は、片山を緊縛しプレイを始めますが、
なんとその現場を目撃した幼い息子を、ギャッグを嵌めて緊縛し天井から吊るし、
あろうことかその横で片山に対する調教を続けるのです。
幼い子供まで巻き込むなんて、これはいくらなんでもやりすぎで、胸糞悪いです。
いくらMとはいえ、そんな状況でも恍惚感を覚える片山に対して強い憤りを感じます。
しかもその時のプレイが、渡辺直美演じる「唾液の女王様」に、
唾を吐きかけられるというもので、生理的嫌悪感が半端ではなかったです。

その下品極まりないプレイ中に、唾液の女王様は事故死してしまうのですが、
彼女を派遣したSMクラブ側は片山が殺害したと断定し、
報復のため片山や彼の家族の命を狙って刺客を送り込んできます。
その刺客のひとりが「丸呑みの女王様」で、
彼女はその名の通り人間を丸呑みにする能力があります。
もうその無茶苦茶な設定には呆れるばかりでツッコむ気も失せますが、
巨額をかけた映画なら、もっと特殊メイクのクオリティはなんとかなったはず。
テレビのコント番組同然のクオリティに閉口させられます。
丸呑みの女王様は、病気で寝たきりの片山の妻と義父を丸呑みにしますが、
片山に銃殺され絶命するので、呑み込まれた2人は戻って来ませんでした。
でも片山も2人が消えたことを気にする様子もなく…。

義父の自宅を全身タイツの女王様軍団に包囲された片山は、
迫りくる彼女たちを手榴弾で応戦し、その過程でMだった彼はSに目覚めるのです。
しかしCEOの女王様にあっさり捕まり、納屋で彼女の調教を受けることに…。
その結果、片山は何故か妊娠してしまうんですよね。
SMクラブの支配人曰く「Mを突き詰めるとSになる」
「Sはそれ以上のSに平伏すことで、真の扉が開かれSを身籠る」
…という理論だそうで、片山はSを身籠ったのでしょう。
全く理解できない展開ですが、そもそも中身なんて何もない不条理オチだし、
ツッコんだら負け、深く考えるだけ無駄です。
ただ単に松本に物語をまとめる才能がなく、不条理オチに頼るしかなかっただけです。
弟をほしがっていた片山の息子に、Sの弟妹ができるかもしれないので、
ハッピーエンドと言えなくもないけど、代わりに母と祖父は死んじゃってるし…。

そんな物語として全く成立していない無茶苦茶な内容の本作ですが、
松本は批判をかわすために、ある逃げを打っています。
それはこの内容を劇中劇とし、100歳間近の映画監督が撮った映画を装うことです。
「100歳のボケ老人が撮った映画」という仮定して撮った作品という体裁のネタで、
これが自分の本当の実力ではないとでも言いたいのでしょう。
劇中でも「100歳を超えないと理解できない」という台詞もあり、
なるほど、だからタイトルが『R100』なのかと納得しそうになりますが、
映画のレイティングの「R」とは「鑑賞禁止」を指すものであり、
理解できないだけで見てもいいなら「推奨」を指す「PG」を使うべき。
なので本作のタイトルも『PG100』とするべきだと思いますが、
これも松本が如何に映画をわかってないかを露わす一例かもしれませんね。
(厳密には「PG」を使うのもおかしいですけどね。)
本作は実際に15歳未満鑑賞禁止の「R15+」指定を受けていますが、
児童に対する過度な虐待シーンあるし、「R18+」指定が妥当だと思います。
いや被害者を増やさないためにも、特別に「R松本信者」指定を設けるべきだな。
ちなみに一昨年、99歳の新藤兼人が撮った映画『一枚のハガキ』を観ましたが、
たしかに時代遅れで面白くないとは思ったものの、本作よりは100倍マシでした。

あと、劇中劇内で頻繁に使われる「今、揺れてます?」という震災ネタですが、
劇中の100歳の監督曰く「今の日本におけるリアリティ」を表現したということだけど、
松本演じる警察官も使っていたことからも、松本イチオシの天丼ネタだと思われます。
別に不謹慎だとは思いませんが、単純にかなり滑ってますね。
映画を撮る才能と芸人としての笑いの才能はイコールではないと思いつつも、
どんな芸人監督が作った映画よりも面白くない本作を観てしまっては、
今後、松本で笑うことは出来なくなったと思います。
暫らくは面白い芸人ではなく、面白くない映画監督という目で見てしまうし…。
松本はことあるごとに「映画の概念を破壊したい」と言っていますが、
それが出来るのは映画の概念がわかっている人だけです。
映画の概念を学ぶためにも、一度まともな映画監督に師事した方がいいです。
このまま「劇場版コント」を作り続けても、タレント業同様に落ちぶれるだけでしょう。
とにかく芸人風情が映画を舐めるなと言いたいです。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1127-ec604872
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad