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地獄でなぜ悪い

ちょっと更新間隔が開いてしまいました。
3日も何も更新できなかったのは久しぶりですが、
それというのも、季節の変わり目で体調を崩してしまい、
仕事中以外はずっと病床に伏せっていたためです。
その間、更新できないばかりか、映画館にも行けなかったのが辛かったですが、
「別に映画は逃げないし、回復してから観に行けばいいか」と考えるようにしました。
ところが、世の中には逃げる映画もあったんですよね。

先週末公開の映画『空飛ぶ金魚と世界のひみつ』を観たいと思っていたのですが、
近所の劇場では昨日上映終了で、なんとたったの1週間で打ち切りに…。
1週間限定上映ではなかったはずですが、よほど人気がなかったのかな?
でも1週間で打ち切りは極端だけど、最近は2~3週での打ち切りはよくあるので、
やっぱり観たい映画はなるべく早く、できれば公開週のうちに観た方がいいみたいです。
気になっていた『空飛ぶ金魚と世界のひみつ』が観れなかったのは残念だけど、
1週打ち切りになるような不人気作品なら面白くない可能性が高いし、
病気のお陰で金をドブに捨てずに済んだのかもしれません。
現在は多少回復したので、今日はブログだけ更新して、明日から映画館通い再開です。

ということで、今日は4日前に観た映画の感想です。
早く感想を書いてしまいたかったのですが、しんどくて無理でした。

地獄でなぜ悪い Why don't you play in hell?
地獄でなぜ悪い

2013年9月28日公開。
園子温監督による異色アクション・コメディ。

とある事情から、激しく対立する武藤(國村隼)と池上(堤真一)。そんな中、武藤は娘であるミツコ(二階堂ふみ)の映画デビューを実現させるべく、自らプロデューサーとなってミツコ主演作の製作に乗り出すことに。あるきっかけで映画監督に間違えられた公次(星野源)のもとで撮影が始まるが、困り果てた彼は映画マニアの平田(長谷川博己)に演出の代理を頼み込む。そこへライバルである武藤の娘だと知りつつもミツコのことが気になっている池上が絡んできたことで、思いも寄らぬ事件が起きてしまう。(シネマトゥデイより)



一昨年に東日本大震災が起こり、それを好機とばかりに、荒廃した被災地でロケをして、
震災ネタの映画『ヒミズ』『希望の国』を撮った園子温監督ですが、
やはりネタがセンシティブだったからか、彼の特徴であるエログロ描写が控えめで、
彼のファンとしてはちょっと物足りない内容だったと思いました。
震災から2年経ち、震災ネタにも飽きたのか、本来のスタイルに戻った本作。
悪ふざけ満載の内容で、ようやく我らが園子温が戻ってきた、という印象を受けました。
とはいえエロ描写はほとんどないし、切り株などのグロ描写も陳腐な気がしますが、
東映系シネコン配給のメジャー映画なので、大規模公開されるし、
観客の間口を広げるために、あまり過激なエログロ描写はできなかったのでしょうね。

園子温、初の娯楽作で、初のアクション映画と銘打たれた本作。
でもアクション映画は初だと思うけど、今までもずっと娯楽作ばかりだったような…。
『ヒミズ』『希望の国』は震災ネタだし、その前の『冷たい熱帯魚』『恋の罪』は、
実際の殺人事件を元ネタにした作品で、彼の作品は実話を基にしたものが多く、
たしかに娯楽作ではあるものの、シリアスでシニカルな社会派な面もありました。
しかし本作は(『仁義なき戦い』などのパロネタはありますが、)全く元ネタがなく、
社会派な面も全くない、娯楽に特化したコメディ映画だと思います。
ノリが軽いので、今までの作品よりも誰でも気軽に観れる気がします。
どことなく井口昇作品の北米向け和製エクスプロイテーション映画のような雰囲気で、
現に第38回トロント国際映画祭でミッドナイト・マッドネス部門観客賞を受賞したけど、
もしかすると日本人よりも外国人にウケる内容かもしれませんね。
監督はハリウッド進出も目論んでいるそうだし、端から北米向けに撮ったのかも。

武藤組組長の自宅を、北川会の構成員4人が襲撃するも、あいにく武藤は留守。
自宅には妻のしずえしかいなかったが、彼女に返り討ちにあい3人死亡してしまう。
そのことで彼女は過剰防衛の罪に問われ逮捕されるが、しずえの娘であるミツコも、
母親が殺人犯ということが理由で、子役として出演中のCMから降ろされてしまい…。
それから約10年、娘の夢を台無しにしたことを気に病みながら服役する妻に、
武藤は娘の主演映画を見せてやりたいが、女優を続けるミツコは鳴かず飛ばずで…。
なのに武藤のコネでブッキングした折角の主演映画も、
ミツコは「役が気に入らない」と逃げ出し、監督から降板させられてしまい…。
仕方ないので自分たちでミツコの主演映画を撮ることになり、
ちょうど池上組と抗争中なので、池上組に殴り込みするところを撮ることにします。
ところがヤクザなので映画制作なんてわからず、
ミツコの紹介で橋本という青年に無理やり撮らせることになるのだが、
実は彼も映画制作なんて全くわからない一般人で…。
困った橋本は、映画マニアの平田率いる「ファックボンバーズ」に協力を依頼する。
…というような話です。

序盤はヤクザの話とファックボンバーズの話が並行して描かれますが、
武藤が「映画班を作る」と言い出すまでに上映時間の半分以上使っており、
武藤組とファックボンバーズが合流するのは更に先になるので、
なかなか物語が動き出さず、序盤から終盤にかけてはテンポが悪かった気がします。
でも前振りを丁寧に描いていただけに、クライマックスの盛り上がりはかなりのものです。
ボクとしてはキャストも豪華なヤクザの抗争の話の方が面白く、
ファックボンバーズの成り立ちや内輪モメの話はどうでもいい気がしましたが、
映画が撮りたくて仕方がない平田は、おそらく園監督自身の若い頃を投影したキャラで、
監督としてはこちらがメインだったのかもしれませんね。

映画マニアすぎる平田のウザさが半端ないのは面白かったですが、
そんなに映画監督になりたいなら、さっさと映画業界に入ればいいのに、
いつかチャンスが来るだろうと、10年以上も仲間内で撮影ごっこしてるだけなんですよね。
4年前に撮ったパイロットビデオがあるだけで、結局自主映画一本も撮ってないみたいで、
やたら熱い彼だけど、映画に対する本気度はかなり疑わしいです。
ただの無職の変人なのに、グルーピーみたいなのもいるし、何故かモテるのも不思議ですね。
そんな平田が橋本の依頼でミツコの主演映画を制作することになりますが、
ちゃんと映画を撮ったことがない単なる映画マニアの平田では、
映画素人の橋本と技術的に大差ない気がします。
それでも35mmカメラなど本格的な撮影機材を使いこなしたりできるのは、
いくらコメディとはいえ、設定的にちょっと無理がありすぎるような気がします。
平田は普通に新人映画監督という設定でよかったんじゃないのかな?
それにこのままだと実際に監督をする橋本の存在が宙ぶらりんなので、
橋本と平田は併せて1キャラにした方がよかった気がするんですよね。

武藤組による池上組への殴りこみを舞台にすると聞いた平田は、
単なる抗争を撮ってもスポーツ中継と変わりないと考え、
あろうことか池上組に撮影の打ち合わせに向かいます。
普通ならそんな話が通るはずありませんが、池上組組長の池上はミツコの大ファンで、
ミツコの主演映画の撮影のためならと快諾します。
池上は武藤宅を襲撃した北川会の構成員の生き残りで、襲撃の折にミツコに出会い、
一目惚れしてしてしまうのですが、当時のミツコは10歳前後の子供なので、
池上に「ロリコンか!」とツッコミたくなりますが、
たしかに当時のミツコは清純派なのにサイコで、妙な魅力があったように思います。
でも成長したミツコは派手な蓮っ葉女子で、子供時代の魅力はないです。
ミツコを演じたのは二階堂ふみですが、子供時代を演じた子役を成長させても、
彼女のような雰囲気にはならない気がするんですよね。
どうせならカメオ出演していた成海璃子にミツコ役をやらせた方がよかったです。
池上演じるのは堤真一ですが、ミツコにデレデレな様子が笑いを誘いました。

打ち合わせと言っても、武器は日本刀を使う取り決めと、
撮影の許可を得ただけで、殴りこみ自体はガチなので、台本はありません。
主演のミツコがあっさり死ぬかもしれないし、こんなの映画になるはずありません。
実際に組長同士の対決とか盛り上がりそうですが、武藤は雑魚に殺されちゃうしね。
でもそんな展開も予想外で面白かったし、この殴りこみのシーンは盛り上がったけど、
最後に警察に踏み込まれて、一斉掃討されてしまったのはなんだか残念でした。
どちらの組が勝つか、誰が生き残るのかワクワクしながら観てたのに、
ミツコもヤクザも撮影クルーも全員警察に撃ち殺されてしまって、
折角これから決着って時に、水を差されたようで少し興醒めです。

掃討され全員死んだので、折角の撮影もファウンドフッテージ状態になっちゃったな、
…と思いきや、平田だけ映画に対する執念で生き残り、
現場からテープや音声を回収し持ち去ります。
映画撮れたら死んでもいいと神に願掛けした平田だけが逆に生き残るという、
なんとも皮肉なラストなのはいいのですが、彼が現場から逃走する途中、
急に「カット」と声が掛り、本作は幕を閉じるのです。
つまりこの出来事自体が映画であるという、メタフィクションなオチだったわけですが、
予想外なオチだとは思ったけど、ちょっと逃げっぽいような…。
平田以外の主要キャラが全員死んじゃって、物語に収拾がつかなくなったから、
メタオチに逃げて誤魔化したような印象を受けました。
まぁ映画撮影を題材にした作品だったので、この手のメタオチも悪くはないけど、
やっぱりメタオチは夢オチ同様、安易なオチなので、褒められたものではないかな。

メタオチ含め終盤の興醒め感は否めませんが、
園子温の復活を感じさせるなかなか面白いスプラッタコメディで、
彼の次回作にも期待が持てる出来です。
でも出来れば彼には一般ウケするメジャー作品ではなく、
ミニシアター系で際どいエログロ作品を撮ってほしいです。
それにしてもミツコの唄うCMソングのフレーズ
「全力歯ぎしりレッツゴー♪ギリギリ歯ぎしりレッツフライ♪」は、
妙に中毒性があり、知らず知らずに口ずさんでしまいますね。

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