ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

そして父になる

テレビドラマ『半沢直樹』の最終回の視聴率がとんでもないことになっていたようで、
何でも関西での瞬間最高視聴率は50%を超えたのだとか…。
このご時勢に、半数以上の人が見たテレビドラマがあるなんて信じられないです。
ボクは上戸彩が嫌いなので見てないのですが、よほど面白かったのでしょうね。
視聴率は『半沢直樹』ほどではないけど、朝ドラとして空前の大ヒットを記録し、
話題になっているドラマ『あまちゃん』の方はボクも見ています。
今週が最終週なのでもうすぐ終わっちゃうのが悲しいほど面白かったです。
『半沢直樹』の視聴率は率直にスゴイと思うけど、面白さの半分は原作小説の手柄なので、
テレビドラマとして評価するならオリジナル脚本の『あまちゃん』です。
映画でもオリジナル作品のヒットは難しいと言われてますからね。
早くも今年の流行語大賞は「倍返しだ」か「じぇじぇじぇ」だろうなんて言われてるし、
どちらも社会現象的な人気ドラマなので、どちらも立派なものです。
ほんの3カ月前は、20%にも満たない平均視聴率だったドラマ『ガリレオ』で、
フジテレビが「大ヒットだ」と息巻いてましたが、今思えばチャンチャラおかしいですね。

ということで、今日は『ガリレオ』の福山雅治主演のフジテレビ製作映画の感想です。

そして父になる
そして父になる

2013年9月28日公開。
是枝裕和監督、福山雅治主演によるヒューマンドラマ。

申し分のない学歴や仕事、良き家庭を、自分の力で勝ち取ってきた良多(福山雅治)。順風満帆な人生を歩んできたが、ある日、6年間大切に育ててきた息子が病院内で他人の子どもと取り違えられていたことが判明する。血縁か、これまで過ごしてきた時間かという葛藤の中で、それぞれの家族が苦悩し……。(シネマトゥデイより)



本作は第66回カンヌ国際映画祭のコンペ部門で審査員賞を受賞した作品で、
フジテレビの現社長で、本作のプロデューサーである亀山千広は、その受賞を受けて、
10月に予定していた本作の公開日を前倒しして、9月28日に変更しました。
受賞当時はまだ亀山肝煎りのドラマ『ガリレオ』も今年最大のヒットだったし、
カンヌ審査員賞受賞と『ガリレオ』ヒットの余韻があるうちに、
なるべく早く公開した方が儲かると考えたのでしょう。
結局9月28日に前倒しするだけでは飽き足らず、更に4日間前倒しして、
本日9月24日から先行上映が始まりました。
先行とはいえ平日の火曜日なんて中途半端な日に公開開始するなんて前代未聞で、
それなら先週末の3連休からにすればいいのにと思うのですが、
フジテレビはハリウッドのアニメスタジオであるイルミネーションと提携しているため、
『怪盗グルーのミニオン危機一発』と同日公開には出来なかったのでしょうね。
3連休はイルミネーションに華を持たせて、連休明けの火曜日に公開開始したのでしょう。

その先行上映の4日間だけ「カンヌ1日密着ショートムービー」が上映前に流されます。
その名の通りカンヌ国際映画祭コンペ部門に参加した時のドキュメンタリーですが、
本当に審査員賞を受賞したことが誇らしかったんでしょうね。
でも、ご存知の通りカンヌの最高賞はパルムドールで、その次が審査員特別グランプリ、
審査員賞はさらにその下で、ちょっとした諸賞のひとつでしかありません。
はっきり言って、大騒ぎするほどの賞ではないです。
まぁカンヌのコンペ部門にノミネートされるだけでも名誉なことですが、
本作と同時にノミネートされていたのが三池崇史監督の『藁の楯』ですから、
程度が知れるというもので、本作の是枝裕和監督は国際映画祭の常連なので、
(三池崇史も同様に)内容は問わず、彼の作品というだけでノミネートされて当然です。

でも勘違いしてほしくないのは、本作が審査員賞程度の作品で、
内容も大したことないと言いたいのではありません。
是枝裕和監督は日本の映画監督の中でも五指に入る素晴らしい監督だと思っているし、
そんな彼の最新作である本作が面白くないはずはないです。
ただフジテレビ及び亀山の調子のコキ方が気に入らないため、
「審査員賞程度で威張るな」と皮肉を言いたくなっただけです。
むしろ本作の出来であれば、パルムドールを逃したことを悔やんでもいいくらいです。
まぁ本作を降してパルムドールを受賞したフランスの恋愛映画は、
まだ日本で公開されていないため、本作を比べてどちらがいいかはわかりませんが、
ここ数年のパルムドールは駄作ばかりなので、それらに比べれば本作の方が断然いいです。

大手建設会社に勤務し、都心の高級マンションで妻と息子と暮らす野々宮良多。
誰もが羨む勝ち組の生活だった一家に、ある日とんでもない知らせが舞い込みます。
病院から、息子を出産した時に看護師が取り違えをしていたことが判明し、
6歳になる息子・慶多が、実は他の夫婦の子供だったと告げられるのです。
相手の斎木夫妻も交えて、話し合いが行われますが、病院の弁護士からは、
「子供の将来を考えれば交換という選択肢がいい」と勧められますが、
6年間、我が子として育ててきた慶多を手放すなんて選択を、
そんなに簡単に割り切れるものではなく、良多たちは葛藤し苦悩する、という話です。
うーん、取り違えとは、何が正解なのかわからない難しい題材ですね…。
昔から「生みの親より育ての親」なんて言うし、漠然と交換しない方がいい気がしますが、
劇中の医者の話によれば、こんなケースの場合、100%交換という選択肢を選ぶそうです。
なんだかんだで血の繋がりほど強いものはないってことですかね。

その知らせを聞いた時、良多は当然驚きますが、
その反面、「やっぱりそういうことか」と言います。
負けず嫌いでエリートである彼は、優しくておっとりしている慶多のことを、
自分の子供なのに性格が全然違うことが、常日頃から不思議だったのです。
でも斎木夫妻に育てられた琉晴のことも、実の息子だと思えるかと言えば微妙で…。
斎木夫妻は上流階級の野々村夫妻とは違い、古い電気屋を営む庶民で、
そこで育った琉晴は見るからに育ちが悪いヤンチャ坊主です。
昔から「氏より育ち」なんて言いますが、お受験や習い事などをして、
お行儀のよい子に育った慶多の方が、良多に似ている気がしました。
単純に慶多と琉晴のどちらを子供にしたいかと考えても、
十中八九慶多を選ぶ人が多いでしょうね。(琉晴もいい子だけどね。)
それにしてもさすがは是枝監督、『奇跡』でも感心したけど本当に子供を撮るのが上手い。
何というか、子役に子役っぽさのない子供らしい演技をさせており、本当にリアルで、
相対的に大人の俳優たちの演技に、ケレン味を感じてしまうほどです。
慶多も琉晴もその立ち振る舞いから、その役の生い立ちが見えてくるほど自然です。

結局、どちらを取ることも選びきれない良多は、両方とも引き取りたいと考えます。
斎木夫妻には他に双子の弟妹もいるので、一人くらい減っても平気だろう、
金さえ積めば何とかなるだろうと考えますが、そうは問屋が卸しません。
提案された斎木夫妻は「金で買えるもんと買えへんもんがある」と怒り、
「負けたことのない奴は人の気持ちがわからない」と不快感を示します。
まぁ親としては当然の反応ですよね。
ただ、斎木夫妻が子供好きなのは間違いないけど、琉晴に対するコダワリは薄そうで…。
別に交換することに抵抗があるわけでもなさそうです。(別にどっちでもいい感じです。)
交換自体よりも、病院からいくら慰謝料が貰えるかが気になっているようで、
ボクにはちょっと理解し難い親心でしたが、琉晴も実の息子の慶多も、
他の双子の弟妹も、コダワリなく完全に平等に愛しているのかもしれません。

斎木夫妻の夫を演じるのはリリー・フランキーで、6歳の息子を持つ父親役は、
ちょっと無理があるんじゃないかと懸念しましたが、いざ観てみると嵌り役でした。
ただ本作の前に観た映画『凶悪』で、彼は強烈な印象の凶悪犯を演じていたので、
その残像が払拭しきれず、とてもいい父親なのに少し腹黒い印象を持ってしまいました。
まぁ実際に慰謝料に執着したり、病院の経費で飲み食いしたりと、
少し金に細かい面もあるのですが、子供の面倒をよく見るいい父親なのに…。
出演作が被って公開されることはよくあるが、あまりに役柄にギャップがあるため、
『凶悪』が公開された3連休明けに本作を先行上映するのは、少し考えものだったかも。
『凶悪』でリリー・フランキーの相棒の凶悪死刑囚を演じたピエール瀧も、
本作にワンシーンだけ登場してるんですよね。
取り違えをした看護師の夫役でしたが、彼の登場時は『凶悪』被りで笑っちゃいました。

その看護師ですが、なんと裁判で取り違えを故意に行ったと告白します。
病院が看護師に罪を着せようとしているのかと思いましたが、そうではないようで、
当時彼女は子連れの男(ピエール瀧)と再婚したのですが、あまり幸せではなく、
幸せそうな野々宮夫妻に嫉妬し、同日に生まれた斎木夫妻の新生児とすり替えたそうです。
洒落にならない犯罪行為で、当然両夫妻ともに怒り心頭ですが、
取り違えは未成年者略取になるそうで、その時効は5年のため罪は問えないのだとか…。
妻たちは「時効が過ぎたから白状したのだ」と怒り狂いますが、
取り違えが発覚したのは斎木夫妻が琉晴の小学校入学のために血液検査をしたからなので、
その看護師がわざわざ時効の成立を待っていたということはないでしょう。
こんなことにならないためにも5歳までに一度血液検査した方がよさそうですね。
取り違えは早く発覚した方が、心情的にも交換が楽だし、被害も少ないと思うので、
時効成立のために発覚を遅らせるようなことがあるとすると、この法律には問題があります。

両方引き取ることに失敗した良多ですが、ある日、彼の競馬好きの父親から、
「馬の同じで血が大事だ」と言われたこともあり、交換に前向きになります。
たしかに競走馬は血が全てみたいなところがあるし、ボクも納得しちゃいました。
この良多の父親を演じたのは夏八木勲ですが、彼もこれで見納めかな、
…と思ったら、12月公開の『永遠の0』にも出演しているみたいですね。
亡くなった後でも次々と出演作が公開されるなんて、本当に生涯現役だったんですね。

急に琉晴に対して躾けを始める良多を見て、妻・みどりは不安を覚えます。
みどりは慶多のことを手放したくないと思っているのです。
なんとなく、お腹を痛めて産んだ女性の方が、実の子に固執する気がしたんですが、
そういうわけでもないみたいなのは意外でした。
しかもみどりは初産の時に重体になって、子供を産めなくなってしまったので、
自分の生物学的子供は琉晴だけなのは確定しているのに…。
良多が仕事人間だったから、慶多の世話をしていたのは彼女なので、
良多よりも慶多に対して思い入れが深いのかもしれません。
そのせいか週末の交換宿泊の時に、琉晴とちょっと距離を取っている感じがして、
琉晴のことが少し可哀想に思えました。
しかし、彼女の願いも虚しく、交換が成立してしまい、いざ琉晴と生活してみると、
琉晴の中に夫・良多の面影を見出して、琉晴が可愛く思えてきます。
でも内心では「慶多を裏切っているようで申し訳ない」と苦悩するのです。

そんな家庭環境では表面的に馴染んでいるように見える琉晴も内心では辛く、
つい「パパとママの場所に帰りたい」と言ってしまいます。
琉晴にしてみれば両親だけでなく弟や妹とも離れ離れになってるんだから、
その寂しさはきっと慶多の比ではないでしょうね。
折しも、良多は例の看護師の連れ子に会う機会があり、
血は繋がってなくても親子の絆はあるのだと実感したところだったため、
琉晴を斎木家に返してあげようと思うようになります。
それに慶多が撮った写真も発見して、やっぱり慶多を返してほしいと思い、
琉晴を連れて斎木家を訪れるのですが、慶多は良多を見るなり、
「パパなんかパパじゃない」と逃げ出してしまい…。
慶多は父親らしい斎木と生活したことで、良多の父親らしくなさに気付いたのでしょう。
良多は「出来損ないだったけど6年間はパパだったんだよ」と必死に説得し、
なんとか慶多と仲直りすることができ一件落着、…という話です。
その後のことは全く描かれませんが、おそらく両家族とも元の鞘に収まったのでしょうね。
物語的には一件落着ですけど、家族としてはむしろこれからが大変で、
息子が成長するに従って、いろいろ困難な問題にぶち当たりそうです。
やっぱり取り違えの罪は重く、病院がいくら慰謝料を払ったのか気になりました。

フジテレビを調子に乗らせたくないけど、なかなか面白い映画だったと思います。
でも客入りは『ガリレオ』の劇場版『真夏の方程式』ほどではなかったです。
たぶん先行上映分は週末興行成績には含まれないので、ランキングもあまり伸びないかも?

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1124-a3a7e88a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad