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凶悪

月に数回利用していたシネコン「MOVIXココエあまがさき」が、
来月9日より「MOVIXあまがさき」に名称を変更するそうです。
この劇場はショッピングモール「COCOEあまがさき緑遊新都心」内で営業していたので、
施設名を付けて「MOVIXココエあまがさき」だったわけですが、
「COCOEあまがさき緑遊新都心」が「あまがさきキューズモール」に名称変更されるため、
それに合わせて「ココエ」を外したということになります。
尼崎にMOVIXが何件も建つとは思えないし、端から新名称で良かった気もしますが、
それよりも2009年にオープンしたばかりの「COCOEあまがさき緑遊新都心」が、
もう名称変更されることに驚きです。
キューズモールということは東急に買収されたわけですが、売られるの早すぎますね。
まぁ正直、入っている店舗もMOVIX以外は微妙な印象だったし、仕方ないか…。

でも今のMOVIXもかなり微妙です。
先月には会員カードのポイント付与が終了したため、ボクも行く回数が減りました。
近くにTOHOシネマズの梅田、伊丹、西宮OSなど、シネコンはいくらでもあるし、
来年の春から新しい会員サービスが始まるらしいけど、それまではあまり行かないかな。
まぁ新会員サービスの内容が旧会員サービスよりも劣っていれば、それ以降も行かないけど。
(もともとかなり厚いサービスだったので、上回るのは困難でしょうけどね。)
とにかくどんな会員サービスを始めるつもりか、早く発表してほしいです。

ということで、今日は「MOVIXココエあまがさき」では見納めとなる映画の感想です。
旧会員カードのポイントが残っているので、それを使い切るためにも、
「MOVIXあまがさき」になってからも何度かは行くことになります。

凶悪
凶悪

2013年9月21日公開。
ノンフィクション小説『凶悪 ある死刑囚の告発』を映画化。

ある日、ジャーナリストの藤井(山田孝之)は、死刑囚の須藤(ピエール瀧)が書いた手紙を持って刑務所に面会に訪れる。須藤の話の内容は、自らの余罪を告白すると同時に、仲間内では先生と呼ばれていた全ての事件の首謀者である男(リリー・フランキー)の罪を告発する衝撃的なものだった。藤井は上司の忠告も無視して事件にのめり込み始め……。(シネマトゥデイより)



昨今の日本映画には珍しく、かなり引き込まれる、とても面白い作品でした。
かなり衝撃的なサスペンスですが、原作はノンフィクションというのだから驚きです。
というか、実話に基づいていると明示されることで、衝撃さが増幅するのかもしれません。
本作は2005年に雑誌『新潮45』で報じられた「茨城上申書殺人事件」に基づいています。
関係者の名前などは全て変更しているので、一応フィクションの体裁ではあるけど、
内容的にはかなり事実に沿ったもののようで、衝撃的な内容ではあるものの、
あまり誇張された印象も受けないリアルな物語だと思います。
実際の凶悪事件を題材にした映画は多いですが、実際の事件が衝撃的であればあるほど、
映画化に際してはあまり誇張や脚色をしない方が素材が味わえていいと思っていましたが、
本作はまさにそれを体現してくれていると思います。
園子温監督の『冷たい熱帯魚』なんかは、映画としても面白いものではありましたが、
極端に誇張しすぎで、元ネタの殺人事件の衝撃よりも劣っていると感じたしね。
とはいえ、その点で本作は完璧だったかと言えば、そうとも言い切れず、
やはりいくつかの脚色はあり、そこが物語に矛盾を生みだしてしまっていたり、
蛇足になっていると感じられたので、ちょっと惜しかったです。

強姦殺人罪で死刑判決を受け、上告中の暴力団幹部・須藤順次は、
獄中から雑誌『明潮24』編集部に面会依頼の手紙を送ります。
編集者の藤井修一は東京拘置所を訪れますが、面会した須藤から、
「私には死刑判決を受けた殺人事件の他に、誰も知らない3件の余罪があり、
その全てには自分が"先生"と呼んでいる男が首謀者です」という告白を受けます。
須藤は先生こと木村文雄が娑婆でのうのうと生きていることが許せず、
自分の告白を記事にして発表してほしいと言うのです。
しかし上告中の容疑者が自ら余罪を告白するなんて前代未聞であり、
その余罪の内容も、にわかには信じられない衝撃的なもので、
藤井はその真偽を測りかねながらも、須藤の告白の裏付け調査を始めます。
ボクは実際の事件については全く知りませんでしたが、衝撃的かどうかは別としても、
死刑囚の話なんて信じられず、須藤の告白はデマではないかと思いました。
当初の告白はかなり曖昧な部分が多く、ちょっと現実味に欠けていたし…。
藤井が裏付け調査を始めても、なかなか物的証拠も見つからないのですが、
たしかに被害者は実在し、先生なる人物も存在しており、彼の事件の関与が疑われます。
物語が進むにつれ、どんどん須藤の告白が信憑性を帯びていく巧妙な展開で、
藤井が事件の調査にのめり込むように、観客も本作の物語に引き込まれていきます。

1つ目の余罪は、死体損壊事件です。
金を返さない債権者の男に逆上した先生は、彼を絞殺してしまい、
その死体の始末を信頼しているヤクザの須藤に依頼するのです。
須藤は知り合いの土建屋社長の会社敷地内にある焼却炉で死体を焼こうと考えますが、
焼却炉が意外と小さかったため、なんと鉈で死体をバラバラに解体し、
細かくしてから焼却炉に放り込むのです。
まるでスプラッター映画さながらのシーンで、グロが苦手な人は要注意です。
しかしヤクザとはいえ、そんな残忍なことを平然とやる須藤は只者ではないですが、
それを楽しそうに見物していた先生も完全にイカれてますね。
「火を付けるのは僕にやらせて」とか「肉が焼けるいい臭いがする」とか言ってるし…。
死体は燃えカスになり、後に土建屋社長も事故に偽装して植物人間にしたので、
何の証拠も残っておらず、事件を立証するのは不可能な完全犯罪です。
でもこの事件に関しては、借りた金を返さない被害者も自業自得な気がします。

2つ目の余罪は、生き埋め殺人事件です。
先生は不動産ブローカーなのですが、仲間の介護業者・福森に地主の老人を連れて来させ、
土地の権利を奪い取り、須藤を使って先生所有の空き地に老人を生き埋めにします。
どうやって土地の権利を先生に委譲させたのかわからなかったのが気になりますが、
その地権者の島神さんはどうやら痴呆症みたいなので、騙したんでしょうね。
殺すにしても、何も生きたまま埋めるなんて残酷なことしなくてもいいと思うけど、
一番酷いのは先生の仲間の悪徳介護業者・福森だと思います。
介護業者が患者を食い物にするなんて許せませんが、あり得そうな話で怖いです。
後に福森は裏付け調査中の藤井の直撃を受けて逃げ出しますが、
その途中でトラックに轢かれて死んでしまいます。
そのせいでこの事件の証人がいなくなったわけですが、
藤井の目の前で証人が死ぬなんて、都合がよすぎてリアリティがない展開です。
もちろんこの交通事故の展開は、フィクションに違いないですが、
やはりノンフィクションを脚色するのは逆効果だと思いました。
後に先生は須藤に内緒で死体を掘り起こしたので、死体発見で立証することもできず、
またしても完全犯罪になってしまいます。
でも自分で死体を隠せるなら、端から須藤に頼ることもない気がするけど…。

3つ目の余罪は、保険金殺人事件です。
電気屋を営む一家から、借金の相談を受けた先生は、
主人・牛場悟に生命保険を掛けて殺しちゃおうと提案し、妻と息子夫婦も同意します。
何も知らない牛場は、借金返済のために先生の事務所で働くことになるが、
須藤たちから毎晩飲みに誘われ、大量の酒を無理やり飲まされます。
どうやら酒を飲ませて殺すつもりのようですが、なんだか悠長な方法ですよね。
実際に何日も何日も酒を無理やり飲ませ続けますが、なかなか死にません。
酒に覚せい剤を混ぜたりもしましたが、あまりベロベロに酔ってる素振りもなく…。
酒好きの男が酒を大量に飲んだところで本当に死ぬのか?って思いましたが、
96度のウォッカを飲まされて時に、ついに死んでしまいます。
はじめから日本酒なんて飲ませないで、もっと強い酒を飲ませればよかったですね。
といっても、ウォッカを飲ませる前にスタンガンで暴行していたので、
そっちのダメージが致命傷だったんじゃないかとも思いましたが…。
今回は保険金目当てなので、死体は処分せずに発見されそうな林に捨てます。
暴行の痕があったり、明らかに他殺なのに、なぜか警察は自殺と断定しロクに捜査せず…。
「もしかして警察内部にも先生が手を回しているのか?」と思ったけど、
後に須藤の上告で捜査を始めたのを見るとそうでもないようで、単なる怠慢みたいです。
自殺なのに1億円ちかい保険金を払う保険会社もおかしいと思いますが…。

警察の怠慢で闇に葬られたものの、完全犯罪を続けていた先生にしては雑な犯行です。
あの冷酷無比な先生なら、依頼者の牛場一家も亡き者にすると思うのですが…。
藤井が記事にしたことで、警察は牛場一家逮捕に動き、先生の犯行も足が付きます。
でも実行犯の先生や須藤よりも、肉親を売った家族の方が酷いですよね。
彼らが逮捕されたのはいい気味ですが、牛場の妻はむしろ助かったのかも。
なにしろ息子夫婦は次に母親を殺す計画を先生と交わしてましたからね。
この保険金殺人事件が発覚したことで、先生は裁判に掛けられますが、
他の余罪は立証できないので、1人を殺しただけの罪で無期懲役になります。
その判決に死刑を望んでいた藤井は憤りを隠せません。
他の事件は完全犯罪で須藤の証言以外何も証拠がないので仕方ないけど、
当時もし裁判員制度があったなら、余罪の心象も量刑に影響したでしょうね。

この保険金殺人中に、須藤は知り合いの暴力団構成員・佐々木を殺しています。
佐々木が須藤にちょっとした嘘をついたのが原因ですが、
裏切られるのが何よりも嫌いな須藤の逆鱗に触れ、橋から転落させられました。
その五十嵐殺害絡みで、舎弟の日野がミスをしたことも須藤は気に入らず、
日野の恋人を強姦した上で殺害します。
そのシーンは本作の冒頭に流れるのですが、かなりインパクトがあり、
須藤が如何に凶悪な人物であるかを観客に一瞬で理解させます。
この強姦殺人事件で須藤は逮捕され、死刑判決を受けたわけですが、
やはり先生が首謀者ではない事件だと、計画も杜撰ですね。
もうひとりの舎弟・五十嵐も、須藤の怒りを買い射殺されるのですが、
先生が須藤に「五十嵐が逃走するつもりだ」と吹き込んだためです。
これは嘘で、須藤は可愛がっていた五十嵐を殺してしまったことを後悔し、
獄中から先生に復讐しようと、藤井に記事を書かせたのです。
でもなぜ須藤が先生の話が嘘だと気付いたのかは明らかにされておらず、
須藤の告白の動機となる重要なポイントなのに、モヤモヤしてしまいますが、
それもそのはず、この一連の舎弟殺しもフィクションなのです。
実話に無理やりフィクションを挿入すれば、物語の整合性が揺らぐのは当然です。
実話では舎弟は自殺したようですが、須藤に当たる死刑囚はその原因が先生だと考え、
可愛い舎弟を殺されたことで先生に復讐しようと考えたようです。
それなら筋が通りますが、やはり実話の脚色はダメですね。

しかし実話でも本作でも、須藤の告白の本当の理由は先生の復讐ではなく、
自分の死刑執行を少しでも先延ばしにしようという保身からの行動でした。
上告中に余罪を告白するなんて、何のメリットもないと思っていたけど、
なるほど上手い手を考えるものですね。
さらに上告した最高裁で藤井が情状証人として須藤を擁護したこともあり、
須藤の量刑は懲役20年になり、死刑を免れてしまった感じです。
都合6人も殺しておいて、まさかの判決ですが、あの拘置所での猫の被りようだと、
刑務所でも模範囚として10年そこそこで娑婆に復帰しちゃいそうな感じです。
それには藤井も憤りを感じ、「生きている実感なんて感じるな」と須藤に言いますが、
それならなぜ情状証人なんて引き受けたんでしょうね?

そのように、須藤や先生の行動は常軌を逸しているため理解できないけど、
本作の主人公である藤井の心境もかなり汲み難いと思いました。
藤井には痴呆症の母がおり、その介護方針で妻と離婚の危機にあるという、
家族の問題を抱えているのですが、そんな藤井の背景は別に描く必要はなかったかと…。
藤井は一応『新潮45』の元編集長がモデルなのですが、
本作の藤井の設定はほぼフィクションだと思われます。
ノンフィクションにおいては、記者(筆者)はなるべく黒子に徹し、
事実だけを客観的に描くべきだと思うので、記者の背景なんて邪魔なだけです。
本作は先生と須藤の話がヘビーなだけに、藤井までヘビーで湿っぽい設定を背負わすと、
作品全体がちょっと重すぎで鬱屈しすぎで、先生を追い詰める痛快感が薄まります。
実際に人を殺した先生や須藤は凶悪な人物だが、先生を最も殺したいのは藤井であり、
人を殺したい気持ちでは凶悪な殺人鬼も事件記者も大差ないというオチなので、
あまり犯人を追いつめる痛快感を狙った作品ではないと思いますが…。
結局藤井は母を老人ホームに入所させて、妻との離婚を回避しますが、
福森のような悪徳介護業者に出会った後に、母親を介護施設に入れることに同意するかな?
というか、藤井は全く家庭を顧みない仕事人間だったのだから、
はじめに母親の老人ホーム入所に反対していた理由がよくわかりませんね。

藤井の背景や脚色に問題はあるものの、ノンフィクション部分はとても興味深く、
今年屈指の面白い日本映画だったと思います。

コメント

須藤は死刑から懲役20年になったわけではなく、死刑確定のうえ、プラス懲役20年なんだと思います。

  • 2014/09/21(日) 01:30:32 |
  • URL |
  • 無記名 #-
  • [ 編集 ]

Re: タイトルなし

刑法に疎いので間違っているかもしれませんが、
死刑確定した者は原則半年以内に執行されるはずです。
(実際はそうならないことが多いみたいですが。)
死刑は最高刑なので、懲役含め他の刑罰と重複はしないのでは?

  • 2014/09/21(日) 15:56:38 |
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  • BLRPN #-
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