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私が愛した大統領

9月ももう終わるので、四半期ごとの映画の総括をします。
まだ9月最終週公開の作品は観てないのですが、いつものようにベスト3の発表です。

7月から9月の第三四半期に劇場鑑賞した映画は邦画18本、洋画38本の計56本でした。
かなり厳し目に観る作品を絞ったつもりですが、第二四半期より若干増えてます。
それだけ期待作が多かった夏だったということですが、質もなかなか高く豊作で、
今季もその中から3本に絞るのは選ぶのは難しかったです。
厳密にはベスト3とは言えませんが、とりあえず第二四半期と同様にバランスを考えて、
日本映画、ハリウッド映画、その他外国映画から最も良かったものを1本ずつ選んで、
その3本をベスト3に代えさせていただきます。

2013年第三四半期映画ベスト3(順不同)
『不安の種』…さすがは長江俊和監督。こんなに楽しめた和製ホラーは何年ぶり?
『タイピスト!』…最近のフランス映画は嫉妬するほど面白いです。
『ウルヴァリン:SAMURAI』…アメコミ映画ファンとして、日本が舞台の本作は外せない。

ボクは洋画ファンなのですが、今季は『不安の種』の他にも、
『少年H』『許されざる者』『そして父になる』など、珍しくいい邦画も多かったです。
ただ、今季のワーストは『ガッチャマン』だし、ブービーも『風立ちぬ』で、
やはり相対的に考えると洋画の方が安定して面白いのは否めません。
作品単位ではいい方がも増えているので、来月からの第四四半期に期待したいですが、
公開スケジュールを確認する限りではちょっと微妙なラインナップかも…。

ということで、今季最後に観た映画の感想です。

私が愛した大統領
Hyde Park on Hudson

2013年9月13日日本公開。
第32代アメリカ大統領フランクリン・デラノ・ルーズベルトの伝記ドラマ。

1930年代アメリカ、多忙なフランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領(ビル・マーレイ)は一番の理解者である従妹のデイジー(ローラ・リニー)と過ごすひとときが何よりの安らぎだった。1939年6月、ドイツとの開戦危機に備えアメリカの後ろ盾が欲しい英国王ジョージ6世夫妻が実家を訪問。歴史的なトップ会談が行われた夜、デイジーは思いも寄らなかった大統領の秘密に触れてしまう。(シネマトゥデイより)



本作は第32代米国大統領フランクリン・デラノ・ルーズベルト(FDR)の伝記映画ですが、
スピルバーグ監督の『リンカーン』などとは全く違い、
大統領の信念や功績などを褒めそやすような内容ではありません。
FDRといえば、日本人としては太平洋戦争中の敵国の大統領というイメージですよね。
一般的にはニューディール政策で世界恐慌からアメリカを救ったことが
彼の最大の功績だったと考えられますが、本作は彼の伝記映画にもかかわらず、
本作で描かれているのは、主に1939年に英国王が訪米した時の様子だけで、
ニューディール政策など政治的功績については一言も触れられていません。

英国王が訪米したのは史上初だったそうで、それは歴史的な瞬間だと思います。
本作にはFDRと英国王の交流の様子が逸話的に描かれていますが、
本作はどちらかと言えば英国王のことを描きたかったんじゃないかな?
当時の英国王は『英国王のスピーチ』でもお馴染みのジョージ6世で、
オスカー4冠など大ヒットした『英国王のスピーチ』に便乗した作品だと思うし、
なにしろ本作はイギリス映画ですから、米国大統領よりも英国王を描きたいでしょう。
その方法として、FDRと会った初訪米を題材にすることで、
アメリカ視点という新しい切り口で英国王ジョージ6世を描いたものと思われます。

内容的にも、ジョージ6世のことは人間的に魅力的に描いていますが、
FDRのことはあまりいいイメージには描かれていないように思えます。
FDRは小児麻痺で車椅子だったそうで、歴代唯一の障害者の大統領だったらしく、
そんな彼を題材にすると、必要以上に偉人として持て囃しそうなものだけど、
本作は全くそんなことはなく、はっきり言ってロクでもない俗物として描いています。
ジョージ6世と王妃が初訪米した目的は、欧州が第二次世界大戦前夜で、
イギリスとしてはどうしてもアメリカの援助が必要だったからです。
そんなジョージ6世と王妃を、FDRはハイドパークの私邸に招きますが、
表向きは厚遇しているようでも、その扱いは無礼極まりないものです。
彼らの部屋に、わざわざ英国人をコケにする米英戦争の風刺画を飾り、
2日目のランチはホットドッグなんて粗食を振る舞います。
まぁホットドッグを出した意図は無理やり好意的に解釈すれば、
米国国民の英国王に対する親近感を演出するためで、米英の友好のためでしょう。
(FDR自身はホットドッグ食べてるシーンがないのは気になりますが…。)
でも部屋の米英戦争の風刺画は完全に挑発しているだけですよ。
支援をお願いする弱い立場のジョージ6世を試しているとしか考えられません。
もし同じようなこと日本の天皇にしたなら大問題になりますよ。

会話の中でもFDRは自分が国民から選挙で選ばれていることを鼻にかけ、
英国王になるには国民から選ばれる必要がないことを何度も強調しますが、
人気者だった兄のエドワード8世が王位を勝手に放棄したために、
望まれて即位したわけじゃないジョージ6世に対し、そんな発言は配慮が無さすぎます。
それにFDRだって、第26代米国大統領セオドア・ルーズベルトの親戚ですからね。
家柄で世襲しているようなものですよ。
FDRは唯一4選した大統領で、本作ではそれもまるで偉業のように宣伝されていますが、
それも他の大統領より人気があったからではなく、米国大統領は2選までの決まりなのに、
世界恐慌や第二次世界大戦という有事を理由に3選目も出馬しただけのことです。
まぁそれでも選挙に勝ってるわけだから支持はされていたと思いますが、
あのアホのブッシュでも再選したことでもわかるように、有事で現職が強いのは当たり前。
単なるルール違反なのだから、唯一4選したことは褒められることではありません。

逆にFDRによるそんな数々の非礼にも怒ることなく受け流し、
イギリスのためにアメリカに援助の約束を取り付けたジョージ6世は立派で、
本作はやはり、FDRをダシにしてジョージ6世を持ち上げているものと思われます。
ただ王妃エリザベスに対しては、見栄を気にして非礼に対して憤慨したり、
夫ジョージ6世を何かと義兄エドワード8世と比べて侮辱する、
かなり狭量な女性として描いており、ちょっとイメージが崩れました。

FDRの不愉快さは英国王に対する非礼だけでなく、下半身のダラしなさも異常です。
本作の語り部は彼の愛人であるデイジーという女性ですが、
彼は妻エレノアがいるにも関わらず、デイジーの他にも、
秘書のミッシーなど、複数の愛人がいたみたいです。
英国王訪米が1939年だから、FDRも60歳ちかい年齢ですが、お盛んなことです。
政治家は色を好むとか、身障者は健常者よりも性欲が強いとか聞くけど、
彼を見ていたら本当にそうなんだろうなと思います。
序盤でも公務の合間にデイジーとドライブデートに出掛けますが、
お付きの警察を帰して何をするかと思えば、野外でデイジーに手コキさせたり…。
還暦ちかい歳の中年カップルが、キモいですよ。
しかもデイジーは従妹なのに、親戚に性処理させるなんて…。
なんでも妻エレノアも親戚らしいですが、FDRは近親フェチなのか?
英国王を歓迎する晩餐会後も秘書と隠れ家でイチャイチャしますが、
そこをデイジーに見つかり修羅場になります。
ジョージ6世が国の命運を賭けて頑張ってる最中に、
女としけ込むなんて、どんな神経してるんだか…。
不倫なんてスキャンダル、今なら政治生命を絶たれかねない大問題ですが、
当時は世間に秘密を暴かない寛容さがあったとのことで問題にならなかったようで…。

うーん、結局何が伝えたかったのかよくわからない作品でした。

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