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キャプテンハーロック

2020年のオリンピック開催地が東京に決まり、テレビではその話題ばかりですが、
ボクはいまいち嬉しくもないし、ボクの周りでもあまり話題にもなりません。
盛り上がってるのは開催地東京とその近郊くらいじゃないかな?
1年後も不透明なご時勢、そんな7年も先の国際スポーツ大会の話題よりも、
今注目すべき話題は現在開催中の国際映画祭です。

引退会見を行った宮崎駿監督の最後の長編アニメ映画『風立ちぬ』が、
コンペ部門に出品された第70回ベネチア国際映画祭でしたが、
『風立ちぬ』は金獅子賞はもとより、諸賞の受賞もならず、無冠で終わりました。
そもそもコンペ部門に出品できたこと自体が奇跡の駄作なので、落選は納得の結果です。
しかし金獅子賞を受賞したイタリア映画『サクロ・グラ(原題)』が、
ドキュメンタリー映画だということにショックを受けました。
演劇(フィクション)よりも現実(ドキュメンタリー)の方が評価されるなら、
映画って一体何なんだろうと思ってしまいます。
そもそもドキュメンタリー映画と普通の映画を同じ俎上に乗せることが間違いな気が…。
まぁそういう意味では、実写映画とアニメ映画を比べるのもナンセンスだけどね。

ここ数年の金獅子賞受賞作は欠かさず観に行くようにしていましたが、
さすがに今回の受賞作は、観に行かないような気がします。
大都会ローマへと続く環状高速道路周辺に暮らす人々を追ったドキュメンタリーらしいけど、
全く興味が持てないし、きっと日本ではロクに上映もされないでしょう。
ちなみにオリゾンティ部門に出品した園子温監督の『地獄でなぜ悪い』も落選し、
見事に当選したオリンピック招致とは逆に、ベネチア映画祭の日本勢は無冠で終わりました。

ということで、今日はベネチア国際映画祭の特別招待作品だったアニメ映画の感想です。
松本零士は引退しないそうです。

キャプテンハーロック
キャプテンハーロック

2013年9月7日公開。
松本零士原作の漫画、テレビアニメをCGIアニメ映画化。

銀河の果てまで移動が可能となった時代。開拓の限りを尽くし新天地を失った人類は、「戻るべき場所」となった地球の居住権をめぐって争いを始める。紛争を終息させる最終兵器として4隻のデス・シャドウ級宇宙戦艦が建造され、その4番艦の艦長としてハーロックが任命される。歴戦の勇士として名をはせた彼だったが、終戦を迎えると同時に戦艦と共に消息を絶ってしまう。やがて、彼は巨大なドクロを艦首に刻んだ宇宙海賊船を操るキャプテンハーロックとなって姿を現し、地球連邦政府に戦いを挑んでいく。(シネマトゥデイより)



原作は70年代に放送されたテレビアニメ『宇宙海賊キャプテンハーロック』らしいですが、
ボクがまだ生まれる前の作品だったのでよく知りません。
というか、『銀河鉄道999』や『宇宙戦艦ヤマト』など、
松本零士作品が苦手なので、本作のこともあまり興味はありませんでした。
本作の予告編で、あのジェームズ・キャメロン監督が絶賛したとのフレコミがされ、
それなら観に行ってみようかなと思い立ちました。
でも、世界一の映画監督であるジェームズ・キャメロン監督が、
わざわざ日本のアニメを絶賛するなんてスゴイことのようですが、
実際はそうでもなく、彼はどんな駄作でも絶賛することがあります。
デジタル3D映画のパイオニアであり、その普及に尽力している彼は、
デジタル3Dが(彼基準での)正しく使われてさえいれば、内容なんてどうでもいいのです。
なので本作の3Dは、きっとそれなりのものだと思われますが、
ボクは興味がない作品に3D追加料金払いたくないから2D版を鑑賞したので、
結局ジェームズ・キャメロンが絶賛したところは味わえなかったことになります。
彼の絶賛がキッカケで観に行ったのに、2D版を選ぶなんて、我ながら矛盾してます。

でも、苦手な松本零士作品にしては、そこそこ楽しめたのでよかったです。
そもそもボクが松本零士作品が苦手なのは、彼の下手な絵が苦手なだけで、
物語の内容なんてほとんど知らない、完全な食わず嫌いでした。
その点、本作は写実的なCGIアニメで描かれており、松本零士の絵の影響を受けません。
なので、何の抵抗もなく物語を楽しめたのだと思います。

…いや、何の抵抗もないというのはちょっと違うかな。
ボクは無類のCGIアニメ好きですが、CGIアニメを写実的にすることに否定的です。
CGIアニメの技術は実写と見紛うほどに進歩していますが、
写実的に描くならば、実写映画にした方がいいと思うからです。
アニメキャラにはアニメキャラにしかない魅力があるので、アニメはそれを活かすべきだし、
特に人間のキャラクターをあまり写実的に描いてしまうと不気味の谷に落ちてしまいます。
なのでハリウッドのCGIアニメのキャラは、技術が進歩してもデフォルメされたままですが、
(ゲームの影響なのか)日本のCGIアニメは、聡明気から写実的な路線のものが多く、
これがアニメ大国であるはずの日本のCGIアニメが世界で評価され難い理由のひとつです。
本作はそんな写実路線の日本のCGIアニメの現時点の最高峰でしょうが、
やはり普通のアニメに比べると、人間キャラの容姿に魅力が薄い気がします。
本作で外見的に最も魅力的なのは、異形である異星人のミーメだったのがその証拠です。
ただ、CGIアニメの写実路線に否定的なボクですが、本作に関して言えば、
苦手な原作のキャラを、そのままCGI化したキャラよりも写実的な方がマシだと思います。
それに『SPACE BATTLESHIP ヤマト』という実写化の悪い例もあるので、
「写実的にするくらいなら実写化すべき」とも言い切れず、
写実的なCGIアニメという選択は、本作にとって最もマシな手段だった気がします。

本作の内容は、松本零士作品お決まりの宇宙航海ものSFです。
主人公のキャプテンハーロックは『銀河鉄道999』や『宇宙戦艦ヤマト』にも登場する
松本零士作品屈指の人気キャラらしく、スピンオフ的な作品なのかな?
本作のストーリーは、ほぼ本作オリジナルみたいなので、
他の松本零士作品とは繋がりもなく、本作単品でちゃんと楽しめるようになっています。
原作では異星人と戦う在り来たりな宇宙戦争ものだったようですが、
本作はそんな在り来たりな物語になっていないのがよかったです。
ただ1本の映画にするには、世界観の設定が広大すぎる気もしますが…。

遥か未来、地球人は銀河中に植民惑星を作って移住しますが、
地球以上の惑星はなく、みんな地球に帰還したいと思いますが、
銀河中の地球人の数は5000億人を超え、地球帰還を争い「カムホーム戦争」が勃発します。
戦争を終結させたガイア・サンクションは、地球を不可侵の聖域と定め、
地球帰還を禁止し、軍隊ガイア・フリートによって、銀河を統治します。
ガイア・サンクションは地球の政府というよりは、宗教組織っぽい感じですね。
そんなガイア・サンクションに反旗を翻した宇宙海賊がキャプテンハーロックです。
彼はアルカディア号という宇宙戦艦に40名ほどの配下と乗船しており、
広域指名手配され、ガイア・フリートから追われています。
ガイア・フリートのイソラ長官は、弟ヤマをアルカディア号のクルーとして潜入させ、
彼にハーロックの暗殺を命じるのです。

乗員面接を受け、アルカディア号に潜入にしたヤマですが、
惑星トカーガでの任務で危機に陥ったところをハーロックに救出され心変わりし、
逆にハーロックに加担して、ガイア・フリートの情報をリークしたりします。
ところが、捕縛した兄イソラに説得され、また心変わりして、ハーロックから寝返り、
ガイア・フリークを手引きしてアルカディア号の船員を拘束。
ところが、ある事実を知ったことで、再びハーロック側に寝返るのです。
ヤマは本作の実質的な主人公ですが、こんな腰が軽い奴は信用できません。
彼は兄イソラとの間に確執を抱えていますが、それも過去に彼の軽率な行動で、
兄に大怪我を負わせる事故を起こし車椅子生活を余儀なくさせた上に、
兄の妻までもその事故で植物人間にしてしまったためで、本当にどうしようもない男です。
そのくせに短期間で2度も兄を裏切るんだから最低です。
しかも初めに裏切った理由は、ハーロックの思想に同調したためですが、
その思想が無茶苦茶な内容だったので、全く共感を持てませんでした。

ハーロックは「次元振動弾」というメチャメチャ強力な大量破壊兵器を所有しており、
それを宇宙中に100発も設置して、一斉に起爆させるつもりです。
その目的は、爆発により「時の結び目を解き人類をやりなおさせること」ですが、
全く意味がわからない理論ですよね。
最後の1発は地球に設置しますが、それが起爆したら地球は消滅します。
しかしそんな意味不明な理論をヤマは「何か考えがあるはずだ」と勝手に納得し、
兄を裏切り、ハーロックが地球に次元振動弾を設置するのに加担します。
後に兄から「ハーロックは地球もろとも宇宙を消滅させるつもりだ」と説得され、
目を覚ましますが、地球が消滅することくらいは言われずとも気付きそうなものなのに…。
というか、そんな意味不明な理論を元に、地球を消滅させるハーロックもアホです。
それなのに「人類を解放する」なんて救世主面してるんだから性質が悪いです。
一度宇宙を消滅させて再びやりなおせばいいなんて、身勝手極まりない思想で、
敵である悪徳宗教組織ガイア・サンクションの方が、まだマシだと思います。
そもそもハーロックが地球を消滅させようと考えたのは、カムホーム戦争の折、
自分が暗黒物質で地球を覆ったことで、地球が人の住めないほど荒廃してしまい、
もう元には戻せないと諦めたからですが、全て消滅させることで、
自分の過ちを消し去ろうという自慰行為ですよね。

地球だけならまだしも、宇宙全体を消滅させようなんてエゴにもほどがあります。
他の惑星にしてみたら迷惑も甚だしいですが、意外にも本作の世界観には、
地球人以外の知的生命体は1体しか存在しない設定です。
その1体は地球人が唯一存在を確認できた異星人ニーベルング族の生き残りミーメです。
ミーメはアルカディア号に乗っており、ダークマター機関で船を動かしています。
ダークマター機関は永久エネルギー機関で、ニーベルング族の技術で作られており、
彼女にしか動かすことができませんが、その名の通り暗黒物質を発しています。
地球を暗黒物質で覆ったのもアルカディア号ですが、船体も暗黒物質で包まれており、
多少の砲撃ではビクともせず、大艦隊を相手にしてもヘッチャラです。
なにしろ最大の攻撃は波動砲のような兵器ではなく、体当たりですからね。
敵の戦艦に船首から突っ込んで破壊してしまうほど頑丈です。
ちょっと強すぎて危なげがなく、面白くないと思ってしまうほど無敵です。
偉大なキャプテンなら、もっと戦略とかを駆使して戦ってほしいです。
でもガイア・フリーク側にも、中性子星を使った「カレイドスターシステム」とか、
木星に設置されたプラズマ砲「ジョービアンブラスター」とか、
超強力な兵器がありますが、いずれも不発だったのは残念です。
なんにしても戦闘の規模が大きすぎて、ちょっと大雑把な印象を受けました。

暗黒物質で荒廃した地球で、植物が自生しているのを発見したヤマは、
地球は蘇ると考え、ハーロックに次元振動弾を使用しないように進言します。
そして逆に地球を破壊しようとするガイア・サンクションの野望を阻止し、
ミーメが地球の暗黒物質を放出して、アルカディア号は再び宇宙に旅立ちます。
でもミーメが消え、ダークマター機関が動かないはずなのに、
動力がないアルカディア号がなぜまだ動けるんでしょうね?
暗黒物質の影響で不死身だったハーロックも、ダークマター機関が止まり瀕死になるが、
彼から眼帯を受け取ったヤマがキャプテンハーロックを継ぐことになります。
たぶん100年前から生きていると言われるハーロックも不死身などではなく、
こうしてこっそりと襲名し、世代交代していたのでしょう。
ただヤマがキャプテンハーロックを襲名したものの、瀕死のハーロックも別に死なず、
更には消えたはずのミーメまで理由もなく復活します。
これは完全に続編を意識してハーロックもミーメも死なせなかったのだと思われますが、
本作が続編を作れるほどヒットするとは考えにくいです。
総製作費3000万ドルもかけたそうですが、そんなに稼げるはずありません。
というか3000万ドルもかけたなんてこと自体が完全な嘘っぱちでしょう。
ピクサーの『モンスターズ・ユニバーシティ』でも製作費2000万ドルですからね。
その1.5倍もかけて、この程度のCGIアニメでは、ちょっとヤバすぎるでしょう。

松本零士作品の割には楽しめましたが、やっぱりそれほど面白いってこともないかな?
ただ国産CGIアニメとしては確実に進歩が見えたので、興味深くはありました。

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