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サイド・エフェクト

ちょっと思い出話です。
ボクは人混みにいると酷く気持ちが落ち込んでしまうので、
花火大会など人が沢山集まるところには行けません。
梅田など大都会を歩いているだけでも苦しくなるので辛いですが、
これでも少しは改善していて、ほんの数年前はもっと悲惨な状態でした。
当時は不眠症と食欲減退も酷く、これは鬱病かもしれないと医者にも行きました。
その時、精神安定剤のような錠剤を処方されましたが、依存性がかなり高い薬らしく、
医者から「どうしても辛い時以外は絶対に飲むな」と言われました。
飲んではいけない薬を処方されてもどうしようもないと思いましたが、
その薬を常備しているという安心感で、不思議と症状が和らいだんですよね。
鬱も薬も気の持ちようが最も大切なんだなと思った出来事でした。

ということで、今日はそんなことを思い出した映画の感想です。

サイド・エフェクト
Side Effects

2013年9月6日日本公開。
スティーヴン・ソダーバーグ監督によるサイコスリラー。

金融マンであった夫マーティン(チャニング・テイタム)が違法株取引で逮捕されたのを機に、以前に患ったうつ病を再発させてしまったエミリー(ルーニー・マーラ)は、交通事故や自殺未遂を引き起こすように。診察にあたる精神科医バンクス(ジュード・ロウ)は、かつて彼女を診ていたシーバート博士(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)に相談。エミリーが抱える症状の詳細を聞き出し、彼女の了承も得て抗鬱剤の新薬アブリクサを投与する。症状が快方に向かっていたある日、マーティンがナイフで刺されるという事件が起き……。(シネマトゥデイより)



第63回ベルリン国際映画祭のコンペ部門で金熊賞を争った本作ですが、
ルーマニアの映画に敗れてしまい、全米でも初登場3位とちょっと微妙な成績でしたが、
なかなか面白いサイコスリラーでした。
「ヒッチコック風」なんて言われることもありますが、たしかにそんな印象かも。
サイコスリラーというジャンルは、観客を如何に欺き、オチを悟らせないかが重要で、
知恵比べ的なところがあって、観客も展開を予想しながら観る人が多いと思いますが、
ボクの予想よりも斜め上を行かれた感じで、見事に欺かれ、とても楽しめました。
思い返してみれば、特に予想が難しい展開でもなかったですが、
ストーリー運びの妙で、上手く悟らせないようにしていたと思います。
それは劇中の事件の真相だけではなく、真相に気付いた主人公の行動も同様で、
先が読めない駆け引きで、なかなか痛快なラストでした。
ジャンルの特性上ネタバレは厳禁ですが、ネタバレなしの感想は書けないので、
これから観る予定の人はこれ以上読まない方がいいです。

精神科医のバンクス先生が勤める病院に、ある女性が交通事故で運び込まれます。
その女性エミリーは、車で地下駐車場の壁に突っ込んでしまったのですが、
バンクス先生はその状況から、それは事故ではなく彼女の自傷行為だと見抜き、
鬱病と診断して、悲しい気持ちを遮断する抗鬱剤SSRIを処方します。
しかし彼女は、「副作用で食欲や性欲が減退するし眠れない」と訴え、
「友達から新薬がいいと聞いた」と、CMで宣伝中の新薬アブクサリの処方を求めます。
アメリカは鬱病大国とは聞いたことがあるけど、CMで抗鬱剤の宣伝までしてるんですね。
彼女の元主治医である女性精神科医シーバート博士も薦めていた抗鬱剤だったので、
バンクス先生はアブクサリを彼女に処方することにします。
ところがアブクサリの副作用で、彼女は夢遊病になり夜な夜な睡眠歩行するように…。
夢遊病を抑えるため、テスト中の新薬デラトレックスを併用させますが効果はなく、
ある夜、夢遊病状態の彼女は、帰宅した夫を包丁で刺し殺してしまい、翌朝逮捕されます。
エミリーが急に夫をぶッ刺したシーンは、椅子から飛び上がるほどビックリしました。
ショッキングなシーンだったこともさることながら、事前に粗筋を読んだ限りでは、
てっきり意識のない彼女が本当に夫を殺したのか、それとも真犯人がいるのか、
という二択で物語が展開すると思ったので、彼女の犯行が描かれていることに驚きました。
しかし本作の真相の二択は、そんな選択肢ではなかったのです。
どんどんネタバレしちゃうので、引き返すなら今のうちです。

逮捕されたエミリーは裁判に掛けられますが、争点は事件時の彼女に意識があったかです。
意識がなければ殺人を自覚していないので故意とは言えず無罪になります。
証人として出廷したバンクス先生は、抗鬱剤の副作用で心神喪失していたと弁護しますが、
それは逆にそんな抗鬱剤を処方した自分が非難されることにもなるもろ刃の剣です。
心神喪失が認められた彼女は精神医療センターに入院することを条件に無罪放免されます。
そんなエミリーをマスコミは「ピル・キラー」としてセンセーショナルに報道し、
予想通りバンクス先生は世間のみならず、患者や同僚からも非難されることに…。
更に研修医時代の患者に対する性的暴行疑惑(真偽不明)も蒸し返され…。
まぁ自分が理解してない抗鬱剤を患者の言うままに処方したら責められても当然です。
5万ドルの報酬に目が眩み、患者で新薬のテストするような医者だし…。
でもやっぱり精神疾患で殺人が許される司法制度って違和感がありますよね。

ある日、エミリーがテレビを通し、アブクサリを作ったサドラー社を非難する声明を発表。
それによりサドラー社の株が大暴落し、ライバル製薬会社の株が高騰します。
その報道を聞いたバンクス先生は、出所したばかりだった彼女の夫マーティンは、
インサイダー取引で服役していた投資家だったことを思い出し、
事件は株価操作のための狂言だったのではないかと考え、彼女に詐病疑惑を持ちます。
真相を確かめるためエミリーにアミタール面接(睡眠鎮痛剤で自白させる)を行いますが、
その途中で彼女は眠ってしまい、真相を聞き出すことは出来ませんでした。
ところが、実は彼が投与したのはアミタールではなく単なる食塩水で、
彼女が自白拒否のためタヌキ寝入りをしていたのは明らかで、彼女の詐病は確定的に…。
正直、まさかの展開で驚きました。
冷静に感想を書いていると、どう考えてもエミリーが怪しいとしか思えませんが、
鑑賞時は何故か彼女の鬱病が詐病だったとは、全く想像していませんでした。
序盤で病的な印象を植え付けるエミリーの演出が巧だったこともあるでしょうが、
彼女を演じるのがルーニー・マーラだったのも効果的だったかも。
『ドラゴンタトゥーの女』で病的なヒロインを演じている彼女だけに、
なんとなく鬱病に説得力を感じてしまう雰囲気があるんですよね。
なのでアミタール面接まで、彼女が詐病だったなんて微塵も考えずビックリしました。

アブクサリをバンクス先生に勧めたエミリーの元主治医の女性精神科医シーバード博士は、
その抗鬱剤に夢遊病の副作用があることを知っていたことが判明します。
というか、副作用の研究報告をしていたのが彼女であり、
アブクサリの副作用に本当に夢遊病の症状があるのかは疑わしく、
バンクス先生はシーバード博士がエミリーと共謀していたのではないかと考えます。
実際にシーバード博士名義でサドラー社のライバル企業の株が買われており、
彼女が株価操作と殺人事件に加担していたことは間違いありません。
でもなぜか彼女はエミリーの精神医療センター退院を焦っているようなんですよね。
エミリーが退院しようがしまいが、大儲けしたことに変わりはないのに不思議でしたが、
なんと彼女にはお金以外にも、またしても驚きの目的があったのです。
いろいろ予想外だった本作で、最も意外なことだったので、これだけは伏せておこうかな。

そんな女性2人にまんまと嵌められていたバンクス先生ですが、一計を案じ倍返しします。
まずエミリーにシーバード博士が裏切ったと思い込ませて、事件の真相を聞き出すのです。
さすがは精神科医だけあって、心理戦が得意なんですね。
まぁ真相といっても、概ねバンクス先生が推理した通りで、
アブクサリの副作用による夢遊病を偽り殺人事件を起こして株価操作したということです。
でも実際にこの計画がこんなに上手くいくかは微妙なところだったと思います。
包丁で夫を刺した時に、夫から反撃されたらそこでお終いですからね。
なにしろ夫を演じるのはマッチョなチャニング・テイタムです。
包丁で刺した程度では簡単にくたばりそうにもありません。
それにしてもチャニング・テイタムの出演作を観るのは、この1カ月で3本目です。
本作以外は主演作の『ホワイトハウス・ダウン』と『マジック・マイク』でしたが、
6月公開の『G.I.ジョー バック2リベンジ』にも出演してたし、ホントに大人気ですね。
でも人気者の割には本作も『G.I.ジョー』も序盤で殺されてしまう役で…。
まぁテイタムの話は置いといて、バンクス先生はエミリーをあえて退院させ、
彼女を利用してシーバード博士を罠にかけて、証券詐欺と殺人共謀で警察に逮捕させ、
続いてエミリーも罠にかけて再び精神医療センターにぶち込み、ハッピーエンドです。
バンクス先生、大人しそうな顔して、けっこうやることがエゲツナイですね。

でもシーバード博士が逮捕されたってことは、エミリーの詐病がバレたわけだから、
殺人事件は結審したためエミリーを殺人罪に問うことが出来ないのはわかるけど、
精神病ではないと判明した彼女が精神医療センターに連れ戻されるのは少し妙な気が…。
まぁ痛快なラストだったから別にいいけど。
なかなか面白く、久しぶりに満足できた映画でした。

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