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劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日

空前の大人気であるNHK連続テレビ小説の『あまちゃん』ですが、
ボクにとっても今の生き甲斐と行っても過言ではないほど楽しみな番組だけど、
先週末の放送でついに東日本大震災編(?)に突入し、
物語もついに佳境を迎え、番組の終わりが見えてきたことが寂しいです。
こんなに嵌ったドラマは初めてで、永遠に続いてほしいとさえ思えますが、
どんなに大人気でも9月末には終了し、次の朝ドラが始まるんですよね…。
内容的にも第二期や劇場版化はないだろうし、
10月からは何を楽しみに生きていけばいいのか…。

ということで、今日はNHKの番組の劇場版の感想です。

劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日
タイムスクープハンター

2013年8月30日公開。
NHK総合テレビのドキュメンタリー風ドラマの劇場版。

あらゆる時代にタイムワープし人々の生活を記録し続けている時空ジャーナリスト沢嶋(要潤)は、「本能寺の変」直後の京都で右往左往する庶民に話を聞いていた。幻の茶器・楢柴を持つ商人(上島竜兵)を取材中、未来の武器を所有する山伏に襲撃され楢柴の行方がわからなくなってしまう。楢柴を追ってさまざまな時代を行き来した沢嶋は、焼失する直前の安土城にたどり着く。(シネマトゥデイより)



NHK総合で放送されているドキュメンタリー仕立ての歴史教養番組の劇場版ですが、
ボクは『歴史秘話ヒストリア』などNHKの歴史教養番組はたまに見ますが、
『タイムスクープハンター』は普通の歴史教養番組とは一線を画す内容で、
タイムワープ技術を駆使してあらゆる時代を調査・記録する機関が、
時空ジャーナリストを派遣し、昔の人々に密着取材するというものですが、
歴史教養番組にSFを持ち込む手法に対し不真面目さを感じてしまい、
一度も視聴したことがありませんでした。
TBSでも『世紀のワイドショー!ザ・今夜はヒストリー』という、
似たような手法の番組(というかNHKのパクリ)があり、それは1~2度見ましたが、
本当にクソみたいな番組で、どうせ『タイムスクープハンター』も同類だろうと。
なので番組の劇場版化が決まり宣伝が始まっても、全く興味も沸かず、
公開日の数日前までは自分が本作を観ることになるなんて全く想像していませんでした。
正直、映画館で予告編が流れるたびに「こんなもの誰が観るんだ?」と思ってました。

ところが、公開中の『劇場版 NHKスペシャル 世界初撮影!深海の超巨大イカ』について、
友達と観に行くべきか相談している時に、NHKの劇場版繋がりで本作の話題になると、
その子が「この番組はかなり面白いから観た方がいい」と言い出して…。
そこまで言うならと『深海の超巨大イカ』は止めて本作を観に行くことになりました。
いくら面白いと言われても正直半信半疑でしたが、劇場に行ってみてビックリ。
ほぼ満席状態でこんなに人気がある番組だったのかと急に期待が湧きました。
しかも客層は老若男女様々で、幅広い層に愛されているがわかります。
で、いざ鑑賞したのですが、なるほどこれは面白いです。
歴史改変SF的な時代劇で娯楽性が高く、楽しい物語になっていたと思います。
ただ、時代考証に定評がある番組らしいので、本作もそれに則っていると思いますが、
娯楽的なだけでなく、もうちょっと教養も身に付く内容だとよかったですね。

主人公の沢嶋は、現在よりも更に未来にある会社「タイムスクープ社」の社員で、
第二調査部で時空ジャーナリストとして、いろんな時代を飛びまわっています。
その第二調査部は「名もなき人々の営みの調査」が主な業務で、
彼は歴史の教科書には載らないような市井の人々に密着取材します。
友達が「安土城消失を題材にするなんて番組らしくない」と言ってましたが、
基本的にそんな歴史的大事件は取り扱わない番組だったのですね。
本作では確かに安土城消失の謎を調査することになりますが、
沢嶋の本来の調査内容は、本能寺の変後のカオス状態な京都での人々の調査で、
禁裏(京都御所)で難民救助をしていた織田家の家臣・矢島権之助への密着取材です。
「矢島権之助」なんて歴史上の人物は聞いたことがないので、
沢嶋の調査対象に相応しい、「歴史上の名もなき人物」という設定なのでしょう。

ところが矢島は、本能寺から逃げのびた商人、島井宗叱を博多まで護衛することになり、
彼に密着取材中の沢嶋も、その旅に同行することになります。
島井宗叱は歴史の教科書に載ってるかはわかりませんが、
歴史シュミレーションゲーム『信長の野望』にも登場する戦国時代の有名な豪商なので、
結果的に島井宗叱にも密着することになれば、沢嶋の業務から逸脱する気が…。
まぁ劇場版なので、多少有名な歴史上の人物も出した方が華やかだと考えたのかな?
この島井宗叱を演じるのは、なんとダチョウ倶楽部の上島竜兵です。
矢島権之助を演じる時任三郎もそうですが、そこに有名タレントを使うのは、
ドキュメンタリー形式としては如何なものかな?
これも劇場版だから、少しでも華やかにしたて集客したいという作為が感じられますが、
テレビ番組の劇場版であれば尚のこと、テレビ番組の作風を踏襲し、
過去の人物には有名タレントを使わない方がよかったと思います。
特に上島竜兵なんて、本人の個性が強すぎて、島井宗叱ではなく上島本人に見えますね。

矢島と島井に同行して博多を目指す沢嶋ですが、
堺の港に向かう途中、船津川の川辺で謎の山伏の襲撃を受けます。
なぜかその山伏は、標的の動きを32秒間止める光線銃のようなものを持っており、
矢島と島井を撃ち、島井の持つ茶器「楢柴肩衝」を奪おうとしたのです。
沢嶋がそれを阻止しますが、川に転落し楢柴肩衝を紛失してしまいます。
楢柴肩衝は実在した茶器ですが、一国を買えるほどの価値のある名物茶器で、
史実では豊臣秀吉や徳川家康ら時の権力者が所有し、明暦の大火で消失しました。
それが本能寺の変の直後に消失したら、歴史が変わってしまいます。
一度未来にある本部に戻った沢嶋は、楢柴肩衝を回収し島井に返す極秘任務を受けます。
さらに本部では、山伏の光線銃が同社の特派員が携帯するフリーズガンだとわかり、
山伏が同社の社員ではないかと極秘捜査を開始します。
歴史上の品を盗む「オルタナティブ・コレクティング」という犯罪が未来で横行しており、
そんな犯罪者から雇われた泥棒「オルタナスナッチャー」が社内にいるようです。
なんでも「北京原人の骨」や「レダと白鳥」や「坂本龍馬のピストル」などの消失も
オルタナの仕業らしいのですが、つまりすでに歴史はかなり改変されてたんですね。
でもアーカイブの情報が書き変わるくらいしか影響はなさそうな印象でした。
楢柴肩衝を島井に返しても、後に消失する明暦の大火でオルタナに盗まれてるのかも…。

楢柴肩衝を捜しに過去に戻る沢嶋ですが、紛失した船津川を漁ったりはせず、
1985年に行き、発見され保管されている五松学園の資料室から盗み出す計画です。
やってることはオルタナスナッチャーと大差ないですね。
というか川で紛失したことで、楢柴肩衝が現代まで残るなら、むしろよかったような…。
五松学園は女子高なので、新人時空ジャーナリストのヒカリが合流し、
見事に楢柴肩衝を盗み出すことに成功します。
沢嶋が近代にタイムワープするのは珍しいみたいで、なぜ1985年を選んだのかは謎ですが、
監督やスタッフの好みで、スケバンを出したかっただけかもしれませんね。
ところが、盗み出した楢柴肩衝は戦時中に空襲で破損しており、
彼らは更に1915年にタイムワープし、再び戦時中の五松学園の資料室から盗み出しますが、
その時ちょうど空襲に遭い、校舎に焼夷弾が落とされはじめ、
彼らは急いで1582年の島井たちのもとにタイムワープするのです。
その時のワープでは、フリーズガンが使われた直後に戻ってきたので、
時間や場所などかなり正確に選べるのだと思いますが、
それなら楢柴肩衝もわざわざ空襲直前にワープする必要なんてなかった気が…。
夜の資料室に直接ワープすれば、婦人会やスケバンに追いかけられることもないのに…。
でもまぁこの回り道な展開は、番組の設定の説明としては興味深いものでしたが。

沢嶋たちは島井に楢柴肩衝を返し、歴史の修復に成功しますが、
その直後、野党の襲撃を受けて捕まってしまいます。
野党は織田家の残党で、本能寺後の混乱に乗じて安土城から財宝を盗む計画をしており、
財宝の在処を知っているという島井を連れて、安土城に向かいます。
沢嶋とヒカリ、そして矢島の3人は、野党から人買いに売られてしまいますが、
大幡村の百姓らに助けられ、島井救出のため野党を追って安土城に向かいます。
しかしヒカリには、安土城に行きたい、もうひとつ理由があり、
それは時空ジャーナリストとして念願だった安土城消失の謎を調査することです。
彼女は歴史上の重要事件を調査する第一調査部の配属を希望していましたが、
それも安土城消失の謎を調査したいからだったようです。
しかし彼女がなぜ安土城に固執するのかは、劇中では描かれておらず…。
たしかに安土城消失は原因が不明で、歴史ミステリーのひとつですが、
戦国時代なら明智光秀のこととか、もっと気になる歴史ミステリーが沢山ありますよね。

驚いたことに本作では、その安土城消失の謎は、謎のままで終わってしまうのです。
NHKの歴史教養番組の劇場版だし、時代考証に定評のある作品なので、
いい加減な結論を真実であるかのように提示できないと考えたのかもしれませんが、
本作はNHKで流される歴史教養番組ではなく、映画館で流される娯楽SF時代劇なのに…。
「安土城 最後の1日」なんて銘打っておいて、こんな肩すかしは如何なものかと…。
とはいえ、決定的には描かなかったけど、消失原因のひとつの可能性は提示されます。
安土城消失の原因は放火説や落雷説など諸説ありますが、
本作で提示されるのは、まさかの火の不始末説です。
野党や沢嶋たちが、安土城に忍び込んだ際に、蝋燭を倒してしまったというもので、
たしかに火の不始末で消失するのは、ドラマチックではないけど、ありそうな話ですが、
沢嶋たちが安土城に忍び込んだという前提が100%フィクションなので、
これが安土城消失の謎の真実ではあり得ません。
これでは沢嶋がタイムワープしてきたから安土城が消失したことになり、
かなり重大なタイムパラドックスが起こってしまっています。
別にSF映画と割り切れば、タイムパラドックスは全く問題ないですが、
SF映画と割り切るならば、安土城消失の謎もちゃんと結論を出してほしかったです。

あと、山伏の件も、本当に単なる雇われオルタナの犯行だったのは肩すかし。
もっと楢柴肩衝にまつわる陰謀でもあるのかと期待しちゃいました。
…あれ?
面白い映画だと思ったのに、ちょっと否定的な感想になっちゃてますね。
歴史教養番組の劇場版として作るか、娯楽SF時代劇として作るか、
作品の立ち位置が中途半端なため、物語も中途半端になったのが原因かな?
でも番組のコンセプトは興味深いと思ったので、
レギュラー放送が再開されたら視聴しようかなと思わされました。

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