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マン・オブ・スティール

DCコミックのアメコミ『スーパーマン』を実写映画化した
『マン・オブ・スティール』の日本公開が今日から始まりましたが、
それに先駆けるようにDCのアメコミ『グリーン・アロー』の実写化テレビドラマ
『ARROW/アロー』が今月21日から日本でリリースされています。
ボクは海外テレビドラマは見なくなって久しいですが、
アメコミ実写化作品ファンなので、このドラマは見逃せないと思いレンタルしました。
まだ3話までしか見てませんが、これから面白くなりそうな予感はします。
でも連続テレビドラマって、長いのがネックですよね。
本作も全23話もあるみたいで、いつ見終わるのか先は長いですが、
10月からはアメリカでシーズン2が始まるらしいんですよね。
それもきっと見たくなると思うけど、正直あまり時間がありません。
その点、映画は2時間程度で完結するので鑑賞しやすいです。
『グリーン・アロー』もテレビドラマではなく映画化してくれたらよかったのに…。
スーパーマンやバットマンに比べると地味なアメコミヒーローだから、
映画化企画は通らないかもだけど、まず『グリーン・ランタン』の続編に登場させて、
人気を出させてから、後にスピンオフで一本立ちさせるなんてどうかな?

DCコミック擁するワーナーですが、アメコミ映画の製作本数が少なすぎます。
それでも近年は年1本ペースで公開していましたが、来年は1本も公開されないみたい。
というか2015年公開予定の『スーパーマン/バットマン(仮)』しか予定もなく、
そんなにやる気がないんなら、DCコミックを手放してほしいです。
『ワンダー・ウーマン』と『フラッシュ』くらいは企画しないと話になりません。

ということで、今日はDCコミックのアメコミ実写化映画の感想です。

マン・オブ・スティール
Man of Steel

2013年8月30日日本公開。
クリストファー・ノーラン製作、ザック・スナイダー監督で『スーパーマン』をリブート。

ジョー・エル(ラッセル・クロウ)は、滅びる寸前の惑星クリプトンから生まれたばかりの息子を宇宙船に乗せて地球へと送り出す。その後クラーク(ヘンリー・カヴィル)は、偶然宇宙船を発見した父(ケヴィン・コスナー)と母(ダイアン・レイン)に大事に育てられる。そして成長した彼は、クリプトン星の生き残りのゾッド将軍と対峙(たいじ)することになり……。(シネマトゥデイより)



…ガッカリしました。

大ヒットした『ダークナイト』三部作のクリストファー・ノーラン監督が、
本作にも製作として関わることが決まった時は、かなり期待しました。
彼は『ダークナイト』三部作だけでなく、『メメント』や『インセプション』など、
監督作が全作傑作と言っても過言ではない天才監督です。
彼が関わるなら、本作も『ダークナイト』三部作に引けを取らない作品になるはず。
ただちょっと懸念したのは、ザック・スナイダー監督にメガホンを譲ったので、
本作は彼の監督作ではないということです。
ザック・スナイダー監督はアメコミ(グラフィック・ノベル)の実写化を二度も経験し、
このジャンルの実績は十分ですが、彼の作風はノーランとは全然違うように思えて…。
(それに『ガフールの伝説』『エンジェル・ウォーズ』と監督作が2作連続で駄作で…。)
スナイダー監督の作風はグラフィック・ノベルのビジュアルを再現するもので、
言ってみれば漫画的なタッチを実写に取り入れるような感じです。
一方のノーランの作風は、徹底したリアル路線で、コミック原作であっても、
あえて漫画的なものを抑えるタイプで、2人の作風は正反対なわけです。

その結果、本作がどんな作風になったかといえば、やはりノーラン色が強く出ました。
というよりも、スナイダー監督得意のビジュアルは、序盤のクリプトン星のシーンが、
ちょっとギーガー的な感じで、少し彼っぽいかなと思った程度で、
ほとんど活かされることはなく、これでは彼を監督起用した意味はないです。
まぁもともとノーランに期待してたんだから、それは期待通りのはずだけど、
本作に関してはノーランのリアル路線がネガティブに働いている気がします。
同じDCコミックのヒーローでも、バットマンは普通の人間なのでリアルに描けるが、
宇宙人で超人というSFなスーパーマンはリアルに描くのは限界があり…。
むしろ荒唐無稽なキャラを無理にリアルにしようとしたことで、
キャラ設定の矛盾点が際立ってしまっているように思えるのです。
『スーパーマン』というコミックがリアル路線には不向きで、
つまりノーランの作風にも不向きな原作なのだろうと思えます。
これならばスナイダー寄りで『ウォッチメン』的な作風の方が面白かった気がします。
リアル路線でやるならば、原作は普通の人間がヒーローのコミック、
例えば『グリーン・アロー』や『ナイト・ウイング』なんかが向いてるでしょう。

2006年にもブライアン・シンガー監督がスーパーマンをスクリーンに蘇らせています。
1980年のクリストファー・リーブ主演の『スーパーマンII/冒険篇』の後日談的作品で、
ブランドン・ラウスがスーパーマンを演じた『スーパーマン リターンズ』です。
ブライアン・シンガー監督は大ヒットしたアメコミ映画『X-メン』シリーズの監督で、
『スーパーマン リターンズ』も娯楽色の強いコメディタッチの作品で面白かったです。
なかなか好評だったものの、興行的に物足りなかったのか、その続編は作られず、
(お陰でシンガー監督が『X-メン』シリーズに戻ってきたのは歓迎ですが、)
翌年公開されたリアルでシリアスな『ダークナイト』が空前の大ヒットになったことで、
新『スーパーマン』シリーズもその路線で、ノーランに任せることになったのでしょう。
しかし一度成功したからって、同じことをしてまた成功するとは限りません。
現に『ダークナイト』、『ダークナイト ライジング』、そして本作と、
興行的にも急激に右肩下がりで、リアル路線が飽きられていることは明白です。
まぁそれでも、本作は『スーパーマン リターンズ』よりも好成績なので、
興行的にはシリーズをリブートしたことは思惑通りだったのかもしれませんが、
評価的には負けてるし、このままの路線ではダメなことは間違いないです。
続編はバットマンとの共演なので、本作よりも興収が落ちることはないでしょうが、
それでも『ダークナイト』の興収には遠く及ばないような気がします。

実はスーパーマンとバットマンの共演企画は、次回作が初めてではなく、
『スーパーマン リターンズ』の前にも一度持ち上がりましたが、頓挫しました。
その幻の映画はマックGが監督することになっていましたが、
その時の主演候補として呼ばれたのが、本作の主演でもあるヘンリー・カビルです。
結局その話はなくなったけど、彼は再びスーパーマン役の機会を得たわけですね。
彼は『トワイライト』シリーズのエドワード役や、『007』新シリーズのボンド役でも、
最終選考まで残ったのに不運な俳優として有名ですが、
彼が落選した映画は全て大ヒットシリーズになるので、
本作も彼が落ちなかった時点で、もう大ヒットシリーズにはなれない気がします。
逆に言えば、彼さえ落としていたら『ダークナイト』シリーズにもっと迫れたかも?
なんて、かなり悪意がある言い方ですが、正直彼はスーパーマンっぽくないです。
いや、正確にはカル=エルには見えるが、クラーク・ケントっぽくないです。
クリストファー・リーブが演じるスーパーマンはあまり覚えてないけど、
ブランドン・ラウス演じるスーパーマンは、クラーク・ケントも含めて、
かなりハマリ役だと思っていたので、それと比べると少し残念なキャスティングで…。
ただ、ヘンリー・カビルがクラーク・ケントっぽくないのは、彼のせいというよりも、
本作のクラーク・ケント像が今までのスーパーマン映画と一線を画しているせいです。

スーパーマンの最大の魅力は、二面性にあると思うんですよね。
普段は三枚目の新聞記者クラーク・ケントなのに、
その正体は正義のヒーロー、スーパーマンというギャップが面白く、
この面白味は後に『バットマン』や『スパイダーマン』など、
シークレットアイデンティティを持つヒーローにも踏襲されたほどで、
スーパーマンがアメコミヒーローの原点と言われる所以のひとつでしょう。
ところが本作のスーパーマンは、そんなギャップのある二面性が描かれていません。
同じ人物だから極端に差があるのはおかしいという、リアル路線の考え方のせいか、
スーパーマンことカル=エルもクラーク・ケントも全く差がありません。
クラーク・ケントはラストでやっとトレードマークのメガネを掛けますが、
それまではずっと素顔なので、外見的な違いもありません。
これにより本作の主人公には一般的なクラーク・ケント像が取り除かれましたが、
一般的なスーパーマン像が残ったわけでもなく、本作のスーパーマンは人間的で、
超人的で利他的な正義のヒーローという感じではありません。
人間不信で自己矛盾を抱える、悩み多きヒーローって感じです。
まぁ今どきの等身大ヒーローな感じですが、スーパーマンは正義の象徴な印象なので、
リアルに人間味溢れるのはいいけど、スーパーマン特有の個性が失われてます。
今までにないスーパーマンを描こうとして、他のヒーローに埋没したら意味ないです。

あと他人の服を盗んだり、腹癒せに嫌な奴のトラックをメッコメコにしたり、
品行方正なスーパーマンとは思えない人間臭さがありますが、
悪い敵とは言え、首をへし折って殺すのはスーパーマン像を逸脱しすぎ。
まぁそのヴィランは原作でも実際にスーパーマンから処刑されたらしいけど、
リブート1作目でやるようなネタではないし、もう続編からは殺しまくる気がします。

そろそろストーリーの感想に入ります。ネタバレ注意。

高度な科学力を持つ惑星クリプトンですが、天然資源を採掘しすぎて荒廃します。
資源採掘による地殻変動で近々惑星が爆発することを察知した科学者ジョー=エルは、
生後間もない息子カル=エルを小さな宇宙船に乗せ、地球に送り出します。
地球でカルはケント夫妻に拾われ、クラークと名付けられ我が子として育てられますが、
9歳の時にスーパーパワーが開花し、視覚や聴覚などの感覚が強化され、
ヒートビジョン(目から熱線)やX-レイビジョン(透視)も使えるようになります。
戸惑うクラークに、義父ジョナサンはスーパーパワーを使わないように約束させます。
しかし13歳の時にスクールバスが川底に転落し、それをひとりで救出したことが原因で、
彼は同級生や親御さんから怪物扱いされるのです。
超能力があることで差別される、なんだか『X-メン』のミュータントみたいですね。
傷付く息子に「おまえは宇宙人だ」と真実を打ち明け、励ますジョナサンですが、
このタイミングだと逆にもっと傷付きそうですね。
ある日、家族で外出中に竜巻と遭遇し、クラークの眼前でジョナサンが犠牲に。
ジョナサンから「まだ正体を公表すべきではない」と言われていた彼は、
こんな非常事態なのにバカ正直に言いつけを守り、義父が竜巻に巻き込まれるのを、
助けようともせずにただ見ており、義父は死んでしまうのです。
ボクには育ての親の死よりも、能力を隠すことの方が大事だとは思えません。
ここでスーパーパワーを使わなければ、いつ使うんだって話ですよ。
ボクは当然スーパーパワーなんてありませんが、目の前で肉親が危機的状況なら、
無我夢中で助けに飛び出すし、それが普通の反応で、リアル路線が聞いて呆れます。
ジョナサンも車に置き去りにされた犬を助けるために竜巻に巻き込まれるなんて、
とんだ犬死にで、マヌケすぎて泣くに泣けません。

それ以来、自分探しの旅に出掛けたクラークは、世界中を転々としながら、
たまにスーパーパワーを使って人助けをしています。
地球人として生きるべきか、超人として救世主になるべきか模索しているようです。
33歳になったクラークは、北極圏で謎の物体を発掘する作業員として働きます。
その物体は、1万8000年前に地球に入植のためにやってきたクリプトン人の調査船で、
その内部に入った彼は、実父ジョーの残像と対面し、コスチュームを貰います。
お馴染みSシールドが胸に付いたスーパーマンのコスチュームですが、
スーパーマンにマストなはずの赤いパンツは再現されていません。
その方がシックでカッコいいとでも考えたのかもしれないけど、何か物足りませんね。
その調査船で、メトロポリスのデイリー・プラネット紙の記者ロイスと出会います。
スーパーマンの恋人としてお馴染みのロイスですが、
意外にも本作では初めからクラークが宇宙人であると彼女にバレちゃうんですよね。
まぁメガネ掛けただけで正体がバレない今までのスーパーマンは明らかに不自然なので、
リアル路線の本作では、その不自然な設定をなくそうとしたのかもしれませんが、
前述のようにシークレットアイデンティティもスーパーマンの魅力なのに…。

その頃、月の軌道上に謎の巨大宇宙船が出現します。
惑星クリプトンで反乱を起こしたゾッド将軍がクラークを追って地球にやってきたのです。
ゾッド将軍はテレビを電波ジャックし、地球人に「カル=エルを差し出せ」と警告します。
24時間以内にクラークが投降しないと、地球は彼らに攻撃されるようです。
困ったクラークは、「信頼できない地球人のために投降するべきか」と牧師に相談します。
スーパーマンがまさかの神頼みとは、彼の人間味をアピールする演出かもしれませんが、
普通に考えたら絶対あり得ない展開で、逆にリアリティに欠けますね。
カル=エルの居場所を知るロイスはFBIに拘束されますが、彼女は口を割りません。
地球の危機より、出会ったばかりの宇宙人の方が大事なのか、納得できない対応です。
結局、牧師から「信頼してみたら?」と言われたクラークは、自ら投降します。

ゾッド将軍は、33年前の惑星クリプトン消滅直前に反乱を起こしたのですが、
それは惑星を荒廃させた保守的な元老院に嫌気が差し、
選ばれた者が元老院に代わり惑星を支配すべきだと考えたからです。
クリプトン人は10億人の遺伝子情報を記録した「コデックス」を、
クリプトン人製造機「ジェネシス・チェンバー」で操作し誕生します。
遺伝子操作され生まれながらに兵士は兵士、科学者は科学者と決まるのですが、
唯一カル=エルだけは自然分娩で生まれた異端児なのです。
父ジョー=エルはコデックスを盗み出し、息子の細胞に記録し地球に送ります。
ゾッド将軍は反乱に失敗し、ファントムゾーンに幽閉されますが、
その直後、惑星が消滅したため反乱軍と共に脱獄し、クリプトンを再興するのに、
カル=エルの持つコデックスがどうしても必要ななので、彼を地球まで追ってきたのです。

ゾッド将軍の反乱軍の副官は、遺伝子操作で生まれた最強の女戦士ファオラがいます。
彼女はゾッド将軍の宇宙船から脱出したクラークと地球上で激戦を繰り広げますが、
たぶん普通に戦えば、彼女の方がちょっと上手だと思われます。
戦士として生まれたので、自然分娩のクラークより強くて当然な気もするけど、
戦いの舞台が地球なのに、彼女がクラークと互角以上に戦えるのはおかしいです。
それはクライマックスでクラークと戦うゾッド将軍にも言えることなのですが、
クラークがスーパーパワーを使えるのは、地球で育ったからという設定なので、
地球に来たばかりのクリプトン人がスーパーパワーを使えるのは不自然です。
地球の大気は栄養価が高く、それを吸って育ったクラークは強く育ちましたが、
逆に惑星クリプトンの環境下だと、普通の人間程度の力になってしまいます。
というか、地球生活が長いため、惑星クリプトンの空気組成には馴染めず、
クリプトナイトどころか、惑星クリプトンの空気を吸っただけで死にかける状態です。
それはゾッド将軍やファオラたち故郷育ちのクリプトン人にも言えることで、
彼らには地球の空気組成は合わず、地球上では防護服を着ています。
つまり彼らは栄養満点な地球の大気は吸えないのでスーパーパワーは使えないはず。
ゾッド将軍は最後は地球の大気に順応し、ヒートビジョンを使っていましたが、
クラークは能力発現までに9年もかかってるのに、なぜゾッド将軍はそんな短時間で?

たしかに地球の重力は惑星クリプトンよりも軽いという設定なので、
地球上でファオラたち反乱軍がパワーアップできるのは筋が通っていますが、
それなら逆に地球の重力下で成長したクラークが強いのはおかしな話です。
宇宙飛行士だって、数日間無重力状態なだけで筋力低下するのに、
クラークも地球人と同程度の筋力じゃないと筋が通らない気がします。
それにクラークは地球人と同じように成長し、33年経って33歳になっているが、
ファオラやゾッド将軍は惑星での反乱の時から全く歳を取ってません。
コールドスリープのような状態でファントムゾーンに幽閉されてたけど、
その直後にクリプトンが爆発し、解放されているはずなので歳はとるはずです。
普通アメコミ映画では、そんな細かい設定にツッコミを入れませんが、
本作はリアリティを強調しているので、そんな矛盾が浮き彫りになるんですよね。
設定の矛盾や登場人物の不可解な言動も含め、本作には納得できないところが多く、
これでリアリティにコダワったってんだからチャンチャラ可笑しいです。
…いや、原作がリアル路線に向かない中で頑張った方かもしれませんが、
そもそもシアル路線に舵を取ること自体が無駄な頑張りだったと思います。

終盤でゾッド将軍が使った重力兵器も荒唐無稽でしたね。
ゾッド将軍の宇宙船ワールドエンジンとファントムドライブで地球を対角線上に挟み、
地殻を改造して地球の環境を惑星クリプトンと同じにするというものですが、
もうやることの規模がデカすぎて笑ってしまいます。
これではまるで『グリーン・ランタン』並のスケールですが、
一方で人間ドラマを重視しているだけに、デカすぎる展開はバランスが悪いです。
リブートした1作目から、こんな強敵がヴィランになっちゃったら、
もうレックス・ルーサーなんて単なる地球人のヴィランは出せないんじゃないかな?
リアル路線では地球人がスーパーマンに勝てるはずありませんから。
それに続編ではバットマンが出てくるんですよ。
続編でこれを超える危機が起こったとしても、バットマンは何も出来ないですよ。

もうクリストファー・ノーランはアメコミ映画から手を引いた方がいいと思います。
彼は原作がないオリジナル作品でも勝負できる脚本が書ける数少ない映画監督なので、
アメコミ映画ばかりに関わるのは勿体ないです。

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