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少年H

終戦の日になると毎年、首相や閣僚の靖国神社参拝の話題が報じられますが、
ボクは参拝自体には支持も批判もしないけど、
中国や韓国に配慮して参拝をやめるというのはどうかと思います。
それは信仰を政治と結び付けているようなもので、政教分離に反する気がします。
参拝しなければ中韓の反日感情が抑えられるわけでもないし、
むしろ中韓の反応が鬱陶しいので、靖国神社参拝の報道もやめたらいいです。

ということで、今日は終戦の日に相応しい戦争映画の感想です。
本作のエンドロールに韓国人スタッフが沢山記載されているのですが、
日本の戦争映画には韓国人なんて参加させない方が無難だと思います。

少年H
少年H

2013年8月10日公開。
妹尾河童の自伝的小説を実写化したヒューマン・ドラマ。

昭和初期の神戸。洋服仕立て職人の父・盛夫(水谷豊)とキリスト教徒の母・敏子(伊藤蘭)の間に生まれた肇(吉岡竜輝)は、胸にイニシャル「H」が入ったセーターを着ていることからエッチというあだ名が付いていた。好奇心旺盛で曲がったことが嫌いな肇だったが、オペラ音楽について指南してくれた近所の青年が特別高等警察に逮捕されるなど、第2次世界大戦の開戦を機にその生活は暗い影を帯びていく。やがて、彼は盛夫に対するスパイ容疑、学校で行われる軍事教練、妹の疎開といった出来事に直面し……。(シネマトゥデイより)



今日も映画でも観に行こうかと思ったんだけど、ちょうど終戦の日ってことで、
せっかくだからそれっぽい映画でも観ようと、本作を選びました。
同じようなことを考える人が多かったようで、普段なら比較的空いてる木曜夕方なのに、
劇場はほぼ満席状態で、あまりいい席を取ることができませんでした…。
特に本作はボクの地元のご当地映画なので、人気があるのかもしれません。
まぁ単にお盆休みだからお客さんが多かっただけかもしれませんが…。
依然として『風立ちぬ』も盛況みたいですが、終戦の日を過ぎれば、
戦争映画シーズンも終わるし、熱も冷めるだろうと思います。
そういう意味では、本作も今日観なかったら、もう観てなかったかもしれません。

本作は第35回モスクワ国際映画祭のGALA部門で、特別作品賞を受賞しましたが、
同映画祭のコンペ部門では『さよなら渓谷』が審査員特別賞を受賞しており、
賞としてはコンペ部門の審査員特別賞の方が当然格上です。
『さよなら渓谷』もなかなか面白い作品でしたが、ボクとしては本作の方が好きでした。
ベストセラーだった原作小説は読んでおらず、内容もほとんど知らなかったので、
もし反戦色の強い重苦しい戦争映画だったら嫌だなと思っていたけど、
意外にもたまに笑えたりもするような、とても観易い作品で面白かったです。
アメリカに戦争を挑んだ日本の無謀さが描かれた自虐史観的反戦映画ですが、
『ほたるの墓』のような一般的な反戦映画と違い、あまり辛く悲しい物語になっておらず、
思春期の少年の視点で、太平洋戦争前後の市井の人々の風俗や、
戦争による大人たちの変化などが描かれており、とても興味深いです。
本作の原作は作者・妹尾河童の自伝的小説らしいですが、
妹尾氏は戦時中それほど悲惨な境遇ではなかったのでしょうね。
まぁ主人公の少年は当時としてもかなり変わった家庭環境だと思うので、
当時の人々の様子が、どこもこんな感じだったわけではないでしょうが…。

主人公の少年・肇の父親は、神戸(鷹取駅の近くだから須磨区?)で洋服店を営んでおり、
顧客には三宮の居留区に住む外国人も多かったみたいで、
アメリカ人、フランス人、ドイツ人といろいろな外国人の顧客がいますが、
ナチスの迫害から逃げてきたユダヤ人難民の洋服の修繕などもしています。
(なぜユダヤ人難民がナチスの同盟国である日本に来るのかわかりませんが…。)
そのためか当時としてはリベラルな人物で、肇もそんな父親の影響を大きく受けます。
前述のように本作はご当地映画で、兵庫県西宮市在住のボクにとっては神戸も近所ですが、
戦前の神戸の街並みが再現されているのも本作の興味深いところでした。
『ALWAYS 三丁目の夕日』などで昔の東京が再現されているのを見て、
常々羨ましいと思っていたので、かなりのクオリティで再現されており感動しました。
まぁ当時の神戸を実際に知ってるわけではないので、その再現度はわかりませんが…。
その戦前の神戸の街並みの再現もさることながら、焼夷弾が降り注ぐ空襲や、
それにより焼け野原になった街など、神戸の戦中戦後のシーンも気合が入っており、
なかなかの見応えだったと思います。

一方、肇の母親は敬虔なクリスチャンで、博愛精神に溢れていますが、
キリスト教に嵌りすぎで、ちょっと視野が狭いです。
一家は全員クリスチャンですが、肇や父はそれほど熱心ではなかったみたいで、
肇は母親の博愛的な言動には反発を感じることも多かったみたいです。
父親も思想が偏向している妻よりも、息子の方を信頼していた感じですね。
肇の妹は母親に感化されていたようですが…。
肇は「オマエんちはアーメン一家だ」と同級生からイジメられたり、
教官に「仏教に改宗しろ」と殴られたりしますが、
当時としては「敵国の神様を崇めている」のは事実なので、差別されても当然です。
下手をすればクリスチャンというだけで満州や監獄送りになったそうですが、
信仰が命より大切なはずはなく、この状況では信仰なんてさっさと捨てるべきでしょ。
博愛精神で他人に優しいのは結構だが、信仰で息子を不幸にするなんて呆れた母親です。
ましてや彼女の実家はお寺なのに、わざわざキリスト教に改宗するなんて…。
空襲中も火の海の中でお祈りを始めるんだから筋金入りの狂信者ですが、
戦争の前に信仰なんて無力、というか宗教なんてむしろ戦争の火種でしかないです。

昭和16年、太平洋戦争も目前ですが、何も知らない市民は呑気に暮らしています。
肇も普通に学校に通ったり、友達と遊んだりしていますが、
お隣のうどん屋の兄ちゃんが、共産主義の思想犯で警察に逮捕され、
居留地の外国人たちもどんどん帰国しはじめ、肇たちも不穏な空気を感じ始めます。
同年12月、真珠湾攻撃があり、ついに太平洋戦争に突入。
知り合いの元女形俳優のオトコ姉ちゃんにも召集令状が届きますが、
彼は出征することを苦に首吊り自殺し、それを発見した肇はショックを受けます。
翌年には神戸の近くにも爆撃機が現れはじめ、焼夷弾が落とされます。
ある日、父親がスパイ容疑で警察に連行され拷問を受けますが、
原因は肇宛に送られてきた宣教師の絵葉書を、敵と内通していると誤解されたようです。
昭和18年には、肇は県立第二中学校に入学しますが、授業は軍事教練と農作業ばかりです。
肇は教練射撃部に入り、母親も隣組の組長になり、父親も消防手になりました。
昭和20年1月には、妹が田舎へ疎開し、同年3月にはついに神戸が空襲に遭いますが、
一家はなんとか無事で、そして同年8月に終戦を迎えます。

粗筋だけだと結構悲惨な物語のような感じですが、あまり悲壮感はありません。
父親が警察に拷問されたり、肇が鬼教官に殴られたりするのは気の毒でしたが、
衣食住で困ることもなく、家族4人が元気で戦争を乗り切ったし、
当時としてはかなり恵まれた一家だったのではないかと思います。
本作の本題はおそらく、戦争の悲惨さではなく、当時の人々の心境の変化です。
肇は父親の影響で、戦時中から日本がアメリカに勝てるはずがないと思っていたし、
日本軍優勢を伝える大本営発表の報道もかなり疑わしいと思っていました。
しかし周りの人々は日本の勝利を疑わず、政府の軍事統制に疑問を持っていません。
ところが終戦後、アメリカ兵相手に商売をしたり、反政府運動を始めたりと、
あれだけ「お国のために」と言っていた戦時中が嘘のようにみんなよろしくやってます。
端から政府に懐疑的だった肇は、そんな人々のいい加減さに怒りを覚え、自殺を考えます。
戦争が終わり、真っ先に喜んだと思ったら、その直後には自殺を考えるなんて、
肇の心境の変化が急すぎて、ちょっと納得できませんでしたが、
たしかに戦中戦後の人々の急激な考え方の変化は興味深いですよね。
ボクも肇と同様に当時の日本人の心境の変化は理解し難いものがありましたが、
先達て『終戦のエンペラー』を観て、少し理解できた気がします。

夫婦である水谷豊と伊藤蘭が夫婦役で初共演を果たしたことでも話題の本作ですが、
ボクはキャストだと主人公・肇役の子役がなかなかよかったと思いました。
本作のセリフは関西弁ではなく、神戸弁を意識したそうですが、
彼は神戸出身らしく、とても自然な演技でした。
でも昭和16年から昭和21年まで、10歳から15歳までの5年間を、
ひとりの子役で演じるのは外見年齢的に無理があったかもしれませんね。
序盤は外見相応だったのでいいのですが、さすがに15歳には見えず、
一人立ちすることになる終盤はちょっと違和感があったかも…。
終盤の肇の心境の変化に納得できなかったのも、外見的に幼すぎたからかもしれません。
原作もそうだと思うけど、たぶん本作は小学校高学年から中学校くらいが対象の
児童向け戦争映画だと思うので、水谷豊演じる父親をクローズアップせず、
ちゃんと肇を主人公にした点は評価すべきだと思います。
「子役が主役だとヒットしない」と言われている昨今だけにね。

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