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ワールド・ウォー Z

先月、毎年恒例の「最も稼いだハリウッド俳優トップ10」を発表されましたね。
『アベンジャーズ』と『アイアンマン3』が大ヒットしたロバート・ダウニーJr.が、
推定7500万ドル稼いで1位になり、これは予想通りの結果でしたが、
意外だったのは女優の1位がアンジェリーナ・ジョリーだったことです。
アンジーの出演作なんて、丸2年以上観てないので、
試算期間の2012年6月から13年6月の間に彼女が活躍した印象が全くないです。
女優2位のジェニファー・ローレンスは3~4本出演してるし、
オスカーまで受賞する大活躍だったので、納得の結果ですが…。
なんでもアンジーは、来年GW公開の『マレフィセント』の出演料の影響で、
1位になったみたいですが、その映画がヒットするかもわからないのに、
そんなに高いギャラを先払いしちゃうんですね。
パートナーのブラピの方が稼いでないのも意外だったなぁ。

ということで、今日はブラピの主演作の感想です。
この作品は試算期間に入ると思うけど、彼の出演料はそんなに高くないのかな?

ワールド・ウォー Z
World War Z

2013年8月10日日本公開。
マックス・ブルックスのベストセラー小説を実写化したパニック大作。

元国連捜査官のジェリー(ブラッド・ピット)と家族の乗った車が、渋滞にはまっていた。すると、前方で爆発音が聞こえ、トレーラーが無数の車をはじき飛ばしてクラッシュし、パニック状態の群衆が通りになだれ込んでくる。そのただならぬ状態から家族を守ろうと、妻子を連れて逃げるジェリー。やがて、彼は人間を凶暴化させる未知のウイルスが猛スピードかつ世界的規模で感染拡大しているのを知る。そんな中、元国連職員の技能と知識を買われたジェリーは、各国を回ってウイルスの感染原因を突き止めるよう依頼される。(シネマトゥデイより)



第二次世界大戦は英語で「World War II」ですよね。
『World War Z』と銘打たれた本作は、てっきり戦争映画かと思ったのですが、
予告編を見た限りではどうもディザスター映画っぽい感じで、全容が全く見えず、
一体どんな映画なのだろうとかなり期待して観に行きました。
でもその期待は無残に打ち砕かれてしまい…。
「World War Z」の「Z」は、ただ単に最後の戦争という意味で使われた
アルファベットだと思っていたけど、序盤で「Zombie」の頭文字なのだとわかります。
戦争映画でもディザスター映画でもなく、本作はゾンビ映画だったのです。

ブラッド・ピット主演で、2億ドルも製作費を投じられた超大作となっていますが、
その内容と言えば古典的なゾンビ映画で、とてもガッカリさせられました。
この失望感はウィル・スミス主演のゾンビ映画『アイ・アム・レジェンド』の時に近いが、
そちらの方が本作に比べればまだ工夫があったのでマシでした。
そもそもゾンビ映画なんてのは低予算ホラーの代表格です。
お金を掛ければ選択肢も増えて、いろんなアイディアを実現できますが、
ゾンビ映画は予算を掛けなくても如何に工夫して面白い作品にするのかが腕の見せ所です。
しかし本作は並のゾンビ映画では逆立ちしても使えない巨額を投じておきながら、
何の工夫もない古典的なゾンビ映画に仕上げてしまっており、
こんな金満な作品はゾンビ映画の風上にも置けません。
その製作費の10分の1でも他のゾンビ映画に回すことができたら、
どれほど面白いゾンビ映画になるだろうと思ってしまいます。

ポスターには「その時 守るのは 家族か、世界か?」なんて文句が躍っており、
ブラピ主演で家族愛を描いたディザスター映画だと思って観に行ったら、
ゾンビ映画でショックを受けたって人も少なくないと思います。
ボクは(本作のような工夫のないものは別として)ゾンビ映画は好きですが、
世の中には(グロ描写を避けて通れない)ゾンビ映画が苦手な人も多いです。
あえてゾンビ映画であることを伏せて宣伝するのは不誠実だと思います。
「ゾンビ映画では客は呼べない」と配給会社が考えている証拠で、
ある意味、自ら本作が時代錯誤なゾンビ映画であると認めているようなものです。

ボクは読んだことはないのですが、原作はベストセラー小説らしいです。
こんな工夫のない古典的なゾンビ映画の原作が、そんな売れるはずないと思いましたが、
なんでも原作はオーラル・ヒストリー(関係者からの聴き取りを纏めたもの)形式の
フェイクドキュメンタリーとして執筆されているのだそうです。
単なる物語にはせず文体に趣向を凝らす、原作は映画でこそありませんが、
これこそゾンビ作品に携わる人の工夫ですよね。
アメリカをはじめ、南ア、中国、ロシア、ドイツ、中東、そして日本など、
世界中で勃発したゾンビ現象に遭遇した人々のインタビューで構成された、
オムニバス的な小説だと想像しますが、本作はそれをそのまま映画化するのではなく、
作中に登場するゾンビ対策マニュアルの「国連レポート」を題材に映画化したそうで、
原作小説のスピンオフ的なオリジナル・ストーリーとなっているようです。
言ってしまえば世界観や設定を拝借しただけで、ベストセラーの原作とは別物でしょう。
以下、ストーリーの感想ですが、ネタバレ注意です。

ゾンビ化するウイルスの世界的なパンデミックが起き、
人々がゾンビに襲われ、どんどんゾンビ化していく状況を打開するため、
元国連捜査官のジェリーがゾンビの襲撃を避けながら世界中を飛び回り、
ゾンビ化ウイルスの発生源を調査して、対処方法を見つけるという物語です。
巨額の予算を投じているため、一度に襲ってくるゾンビの数は半端ないですが、
噛まれたら感染する、頭を潰せば死ぬなど、ゾンビの特徴は典型的なものです。
しかし、全くオリジナリティがないわけでもなく、
ゾンビの対処方法はちょっと斬新だったかもしれません。
ジェリーはなぜかゾンビに襲われない(無視される)人がいることに気付き、
ある仮説を立て、自ら立証し、ゾンビに襲われない方法を発見するのです。
ゾンビに襲われなかった人は、坊主頭の少年や、ハゲた老人だったため、
ボクはてっきり髪を剃ればゾンビに襲われなくなるのではないかと思いましたが、
本当の原因は全然違って、どうやらゾンビは重病の人は襲わないみたいです。
ウイルスは繁殖のために健康な宿主を好むかららしく、納得しました。
ハゲだったらゾンビに襲われないなんて、全く意味がわからないですもんね。
坊主頭の少年は、抗がん剤か何かの副作用で脱毛しているんでしょうね。

つまり重病になればゾンビに襲われないわけですが、
ゾンビ化するのも重病に犯されるのも、どちらも嫌ですよね。
ジェリーはWHO研究所に行き、致死性の病原体を提供してもらい自らに注射します。
すると仮説通り、ゾンビの攻撃を受けなくなったのです。
ゾンビの危険が去ったら、その病原体のワクチンを注射して病気を治します。
シャリーは自分が使った病原菌が何だったのか知らずに射ちましたが、
病原体の種類によっては、ワクチンを射つまで命が持たないかもしれないし、
ワクチンのない病原菌の可能性もあり、かなり危険な方法です。
まぁゾンビ化するよりは病死した方がマシな気はしますが…。
後に天然痘から致死性はないが重病に偽装できる薬を作りだし、
人々はそれを使用することでゾンビから襲われなくなります。
原作から引用した設定か本作のオリジナルかはわかりませんが、
「毒を以て毒を制す」この対処方法だけは、なかなか興味深く思いました。

原作は南アのアパルトヘイトや、中東の難民問題や宗教問題、
また日本のひきこもりなど、世界中の時事や社会問題も描かれているのも特徴ですが、
本作は一般向けにするためか、その特徴はかなり抑えられているようです。
ゾンビ現象への国連への第一報は、在韓米軍基地からだったようで、
韓国がウイルスの発生源と考えたジェリーは在韓米軍基地に向かいますが、
原作では発生源は中国という設定だったみたいです。
元凶が中国なんて設定にすれば、本作が巨大市場である中国でヒットできないと懸念し、
お隣の韓国に変更したのかもしれませんね。(韓国で大ヒットしたみたいですが…。)
まぁ結局は韓国も発生源そのものではなく、ゼロ号患者はインドだったみたいです。
在韓米軍でのシーンでは北朝鮮に通じているスパイに事情聴取しますが、
この北朝鮮ネタは一応時事ネタのつもりなのかもしれません。
そのスパイから「イスラエルが怪しい」と聞いたジェリーは、エルサレムに向かいます。
エルサレムはゾンビ対策のために街全体を高い壁で囲み、モサドが警備していますが、
難民を受け入れているようで、ユダヤ人だけでなくムスリムも受け入れます。
ところがエルサレムに入ったムスリムたちがイスラム教の歌らしきものを大合唱したため、
音に敏感なゾンビたちが壁をよじ登って、エルサレムに侵入してくるのです。
これはエルサレムにムスリムを受け入れたらロクなことにならないという風刺かもね。
本作の社会問題への風刺はその程度で、あとは普通のゾンビ映画です。
その後ジェリーはウェールズのWHO研究所を訪れ、最後は家族のいるカナダに行くので、
アメリカ、韓国、イスラエル、ウェールズ、カナダと北半球を一周してますが、
「ワールド・ウォー」なんてタイトルにするからには、アフリカなど南半球の国々や、
我らが日本の状況もちょっとくらい触れてくれたらよかったのに…。

もともと三部作を計画していた本作ですが、その計画は棚上げされたものの、
全世界で約5億ドル稼ぎ、世界的な大ヒットとなったことで、続編の話も再浮上しました。
続編が製作されるなら、更に巨額の製作費が付くことになるでしょうが、
またしても金を掛けただけの何の工夫もないゾンビ映画であれば観たいとは思えません。
作中でゾンビの対処法も発見されているし、内容的にも本作で完結でいい気がします。

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