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ローン・レンジャー

先々月くらいに発表された時は驚きましたが、
ジョニー・デップって左目がほぼ盲目なんですってね。
アンジーの乳房予防切除手術にしてもそうですが、
自分の病気のことを公表するのは勇気のいることだと思うのですが、
ボクとしては「あまり聞きたくなかった」とも思ってしまいます。
今後ジョニデの演技を見ると「これって左目見えてないで演技してるのか」とか、
ふと過ってしまって、物語に集中できなくなってしまうからです。
他にも失顔症のブラピには「相手の顔も認識してないのに演技してるのか」とか、
難読症のトム・クルーズには「台本読めないのによく台詞覚えられるな」とか…。
ハリウッドスターだけじゃなくて、芸人が癌を公表したら笑えなくなるし、
歌手が難聴を公表したら歌を聴くのが辛くなりますね。

ということで、今日は左目が妙に気になった映画の感想です。

ローン・レンジャー
The Lone Ranger

2013年8月2日日本公開。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』チームが再結集したアクション大作。

幼い頃に遭遇した悲しい事件への復讐(ふくしゅう)をもくろむ悪霊ハンターのトント(ジョニー・デップ)は、そのスピリチュアルな力で死の一歩手前の男、ジョン(アーミー・ハマー)を救う。正義感の強いジョンは、目的を達成するためならどんな手段も用いるトントと衝突するも、愛する者を奪われたことで豹変(ひょうへん)。マスクを装着し“ローン・レンジャー”と名乗り、トントと一緒に巨悪に挑む。(シネマトゥデイより)



ジェリー・ブラッカイマー製作、ゴア・バービンスキー監督、ジョニー・デップ主演で、
ディズニー配給となれば、完全に『パイレーツ・オブ・カリビアン』の制作体制だけど、
本作は昔の西部劇『ローン・レンジャー』のリメイクを制作しています。
どうせその布陣でやるなら『パイレーツ~』の続編を早く作るべきだと思うのですが、
なぜかこのタイミングで新シリーズ(?)を立ち上げちゃいました。
やはりお客さんもこの展開はあまり望んでいなかったみたいで、
2億ドル以上の製作費を投じながら全米での興行成績は9千万ドル未満の大コケ。
まぁ海外での興収も合わせれば製作費分くらいはいずれ取り戻せると思いますが、
興行的には大失敗と言わざるを得ません。
ブラッカイマーは以前にも、大ヒットシリーズ『ナショナル・トレジャー』と同じ布陣で、
『魔法使いの弟子』シリーズを立ち上げて失敗しているのに、全く反省してないんですね。
『魔法使いの弟子』も結局シリーズ化は適わず、単発で終わりましたが、
本作も単発になることはほぼ間違いないの思われます。
『パイレーツ~』の続編(第5弾)は再来年公開予定ですが、
本作なんて作る暇があれば、そちらのスケジュールを早めるべきだったと思います。

ジョニー・デップも同じような役ばかりやりすぎです。
人気俳優だし、ボクも好きですけど、いい加減飽きてきますよ。
本作ではアメリカ先住民のトントを演じていますが、長髪で奇抜な化粧の変人で、
なんだかジョニデがトントを演じているというより、
『パイレーツ~』のジャック・スパロウがトントを演じている錯覚が起きるほどです。
ジャック・スパロウも『パイレーツ~』の2作目で先住民みたいなこともやってたしね。
カメレオン俳優なんて言われてるけど、キャラが被るようでは彼の引き出しも限界かな。
確かに彼の出演作は奇抜な化粧しないと客が呼べないみたいですが、
「ジョニデに化粧させれば何でもOK」って感じでキャスティングされている気がします。
本作で彼が演じるトントは、ネイティブアメリカンなので、順当にキャスティングすれば、
白人のジョニデがオファーされるのはおかしいです。
「白塗りするし肌の色なんて関係ない」と安易にキャスティングしているというか、
むしろ「ジョニデを白塗りする口実ができてラッキー」くらいの感覚でしょう。
とはいえ、もしモンゴロイドの俳優にトント役をさせていれば、
本作が更に悲惨なコケ方をしたであろうことは明白ですが…。

本作がコケた理由は、ジョニデの役柄への食傷感や、
『パイレーツ~』の政策陣の望まれぬ新作だったというだけではないと思います。
『トゥルー・グリッド』の大ヒットした頃からか、ハリウッドは西部劇ブームでしたが、
『ジャンゴ 繋がれざる者』でブームも山を越えたような気がします。
更にラジオドラマから始まり、様々なメディアミックスされた『ローン・レンジャー』は、
アメコミヒーローの先駆け的な作品でもあり、昨今はアメコミ映画ブームですが、
『アベンジャーズ』や『ダークナイト ライジング』の公開でそのブームも一段落しました。
本作は西部劇とアメコミの両ブームに乗って企画が立ち上がったものと思われますが、
完成した頃にはブームは斜陽気味で、客に飽きられたのだと思います。
ジョニデらのギャラ問題で、製作が一時中止になったのが痛手でしたね。
まぁ近年の西部劇とアメコミの融合と言えば、壮絶な失敗作『ジョナ・ヘックス』や、
イマイチ振るわなかった『カウボーイ&エイリアン』があったので、
それらに学べば避けることができた失敗です。

興行的には失敗したわけですが、別に駄作だと言ってるわけではありません。
良くも悪くもブラッカイマー映画らしい作品で、ド派手な映像にお気楽な内容で、
誰でもそれなりに楽しめる、家族やデートに最適な夏休みらしい映画だと思います。
上映時間が概ね2時間半もありますが、ずっと超絶VFXが満載のアクションの連続で、
映像面だけなら鑑賞料に見合う以上の満足度を得られるでしょう。
すごいアクションが多すぎ(長すぎ)てウンザリしちゃうくらいです。
でも更に巨額を投じられている『パイレーツ~』に比べると、若干見劣りするかも?
ギャラを抑えるためか、キャストもジョニデ以外はイマイチだし…。
(一応、ヘレナ・ボナム=カーターが出演してますが、あまり出番なし…。)
でも主人公が正義のアウトローだったり、騎兵隊とアパッチの戦いがあったり、
肉親の復讐、列車強盗、ゴールドラッシュならぬシルバーラッシュなど、
西部劇的な要素がギュウギュウに詰め込まれているので、
西部劇が好きな人は、海賊ものの『パイレーツ~』よりも楽しめるかも。
ボクは西部劇自体には食傷気味でしたが、乗り物のアクション映画が好きなので、
序盤と終盤に列車アクションのある本作はなかなか楽しめました。

西部劇に興味があると面白いですが、原作のことは別に知らなくても問題なさそうです。
原作は1933年にラジオドラマで放送された作品ですが、
日本で有名になったのは1960年前後に放送されたテレビドラマ版でしょうね。
1980年代生まれのボクは全く見たことありませんでしたが、ちゃんと楽しめました。
でももちろん当時の作品を知っているに越したことはないだろうと思います。
本作の導入部はラジオドラマが放送された1933年が舞台となっており、
ラジオドラマのリスナーの少年がローン・レンジャーのコスプレでカーニバルを訪れ、
西部開拓時代をテーマにした見世物小屋で、年老いたトントと会い、
少年が彼から聞いた昔話が本作の物語という構成になっています。
この物語はトントの回想であり、ラジオ(テレビ)ドラマ化された物語と、
彼が実際に会ったローン・レンジャーの物語はちょっと違うという趣向なので、
原作(テレビドラマ)を知っていると、その趣向もちゃんと味わうことができます。
それにしても回想部分(本編)の舞台は1969年だから、
少年と話している年老いたトントは100歳ちかいんじゃないかな?
まぁ彼がこんな見世物小屋で先住民のジオラマのフリをしているのかは明言されないし、
この年老いたトントが本当に生きた人間なのかはわかりませんが…。

1886年テキサス州コルビーに、地方検事のジョン・リードが帰省してきます。
彼は未完成の大陸横断鉄道に乗っているのですが、
その列車には先住民キラーの異名を持つ服役囚ブッチ・キャヴェンディッシュが、
コルビーで絞首刑を受けるため護送されています。
その護送車両には、ついでに先住民コマンチ族のトントも護送されていました。
ところが列車はキャヴェンディッシュが率いていた強盗団に襲撃され、
部下たちに救出されキャヴェンディッシュは脱走に成功。
機関士は強盗団に殺され列車は暴走し、このままでは脱線事故に…。
そこに颯爽と登場したのが、ジョンの兄ダン・リード率いるテキサスレンジャーです。
ダンはトントと協力して、乗客を列車事故から救います。
テキサスレンジャーは強盗団を追跡し、その討伐隊にジョンも加わります。

しかしテキサスレンジャーは仲間の裏切りにより敵の待ち伏せに遭います。
ダンはジョンの目の前でキャヴェンディッシュに心臓を抉り取られ死亡します。
ジョンも銃撃を受け、意識を失ってしまい、テキサスレンジャーは全滅…。
遅れてやってきたトントは、彼らを埋葬するのですが、そこに「精霊の馬」が現れ、
ジョンを「スピリット・ウォーカー」として目覚めさすのです。
トント曰く、スピリット・ウォーカーとは「決して死なぬ男」だそうです。
悪霊ハンターのトントは「キャヴェンディッシュはウィンディゴ(悪霊)だ」と説明し、
ジョンに「協力してキャヴェンディッシュを討伐しよう」と言います。
ジョンは敵から死んだと思われているのでマスクで正体を隠すことを提案します。
現在ではシークレットアイディンティティのためヒーローのマスク着用は当たり前ですが、
当時はマスクなんて悪党のするものだったみたいで、
ローン・レンジャーがマスクをするヒーローの元祖みたいな感じらしいですね。
その後その影響を受けて『グリーン・ホーネット』などが誕生します。
興味深いのは、ジョンがローン・レンジャーになったという話を
年老いたトントから聞いた少年が「ダンじゃないの?」と驚いていたことです。
もしかするとラジオドラマ時代はローン・レンジャーの本名はダンだったのかも?

そんな折、先住民コマンチ族が入植者の白人たちを襲撃するという事件が発生します。
白人は激怒し、フラー大尉率いる騎兵隊が先住民居住区を攻撃することに、
しかし実は白人を襲ったのは、先住民に成りすましたキャヴェンディッシュたちで、
それを知ったジョンは、キャヴェンディッシュを捕えて、戦いを止めさせようとします。
キャヴェンディッシュは中国人移民を働かせ銀鉱山「涙の渓谷」で銀を採掘していますが、
乗り込んできたジョンとトントに追い詰められます。
トントは彼を殺そうとしますが、ジョンがそれを阻止し彼を拘束します。
ジョンは検事なので、どんな悪人でも法の裁きを受けさせるべきだと思っているようです。
だからレンジャーなのに拳銃を撃つのも嫌いみたいです。

トントはキャヴェンディッシュが悪霊だから殺さないといけないと言っていますが、
実は私怨があり、トントは少年時代に2人の荒野で行き倒れている2人の白人を助けますが、
彼らに騙されて懐中時計と交換に先住民居留地の銀山の位置を教えてしまい、
白人たちは銀を自分たちのものにするために、トントの村の人々を全滅させます。
その白人のひとりがキャヴェンディッシュで、強い後悔に苛まれたトントは心が壊れ、
彼を銀の呪いに憑かれた悪霊だと思い込んでしまったようです。
トントは馬と話したり妙な予言をしたりと精霊使い的な能力者かと思いましたが、
単に頭のおかしい、はぐれ先住民だったのです。
本作も当初は西部劇風のファンタジー映画なのかなと思ったけど、違うみたいですね。
でも妙にファンタジーっぽい設定もあり、特にトント曰く「精霊の馬」である白馬は、
絶対普通の馬じゃありませんよね。
トントは白馬がジョンを生き返らせ「スピリット・ウォーカー」にしたと思ってますが、
それは気絶していたジョンが普通に目を覚ましただけのことですけど、
ジョンは撃たれて気絶したはずなのに目覚めたら傷は治ってる感じだったし。
ジョンがピンチの時にはどこからともなく現れるし、たぶん本当に精霊の馬ですよ。
トントは銀を「呪いの石」だと言ってるけど、ジョンが売春宿で銀に触れた時、
トントの言う通り呪いのようなビジョンが脳に流れ込んでいたし、
彼の言うことは全てデタラメだとは言い切れない演出になっています。
原作のトントといえば「インディアン嘘つかない」の口癖でお馴染みですもんね。
(本作では一度も言いませんが…。)

ジョンは捕えたキャヴェンディッシュを鉄道会社の役員コールに引き渡しますが、
なんとコールはキャヴェンディッシュと兄弟で、トントを騙した白人の片割れで、
逆にジョンにテキサスレンジャー殺しの罪を着せ処刑しようとします。
その場はなんとかトントに救い出されるのですが…。
このあたりの背後関係はちょっと複雑かもしれません。
簡単に説明すると、コールたちはトントを騙して教えてもらった銀山から、
銀を運び出すために先住民居留地に秘密裏に鉄道を敷くが、
その線路がテキサスレンジャーのダンに見つかり、キャヴェンディッシュが口封じ。
その後彼は先住民のフリをして白人を襲い、騎兵隊が先住民を攻撃するように仕向け、
その混乱に乗じて銀鉱山から大量の銀を列車で運び出します。
コールはその銀を列車でサンフランシスコまで運んで換金し、
鉄道会社に敵対的買収を仕掛け、大株主になり大陸横断鉄道を乗っ取ることで、
アメリカの物流を牛耳り、巨大な権力を手にしようという陰謀です。
物語は銀の争奪戦なのに、敵の狙いが銀そのものではないので混乱しますよね。
一緒に観に行った人もコールの目的が「難しくて解り辛かった」と言ってましたが、
本作はアクションが売りなので、物語はちゃんと理解しなくても楽しめると思います。
それにコールはダンの妻、つまりジョンの義姉であるレベッカに横恋慕しているので、
ダンとジョンからレベッカを奪う陰謀だったと考えると簡単ですね。

クライマックスは暴走する列車での銀とレベッカの奪い合いになるのですが、
ここでかかるBGMがテレビドラマ版のテーマ曲「ウィリアム・テル序曲」です。
テレビドラマを見たことがなくても誰でも知ってる超有名なクラシック楽曲ですが、
いやー、音楽の力って偉大だなと感じました。
正直、かなり上映時間が長いので、この終盤は中弛みを感じていたのですが、
この曲が始まった途端に、半端ない高揚感を覚え、気持ちが盛り上がります。
クライマックスのスラップスティックなアクションもこの曲にピッタリです。
余談ですが、テレビドラマの『ローン・レンジャー』の主題歌って、
てっきり「ローレン ローレン ローレン」ってやつかと思ってたけど、
それは違う西部劇『ローハイド』の主題歌だったんですね。

興行的には失敗した作品ですが、それなりに面白い映画だったと思います。
金曜の夕方だったのにほぼ満席だったので、日本ではけっこうヒットしそうかな?

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