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ペーパーボーイ 真夏の引力

このところブログの更新が緩慢になっていますが、
先週買ったゲームのプレイに時間を取られているからです。
3DSの『逆転裁判5』というゲームソフトで、プレイヤーが弁護士となり、
依頼人(被疑者)の冤罪を晴らすという推理アドベンチャーゲームです。
事件の内容が少々込み入っているため、物語の進行状況を忘れないように、
時間を取って一気にプレイするようにしていますが、
ゲームに時間を割くため、ブログの更新が疎かになっちゃってます。
今週末にはクリアできそうなので、来週からはブログ更新も頑張ります。

ということで、今日は弁護士ではなく新聞記者が服役囚の冤罪を晴らす物語の感想です。

ペーパーボーイ 真夏の引力
The Paperboy

2013年7月13日日本公開。
ザック・エフロン主演のクライムサスペンス。

1969年フロリダ、ある問題によって大学を追われた青年ジャック(ザック・エフロン)は、父親の会社で新聞配達を手伝うだけの退屈な日々を送っていた。ある日、新聞記者の兄ウォード(マシュー・マコノヒー)が、以前起こった殺人事件で死刑の判決が出た人間が実は無罪かもしれないという可能性を取材するため、実家に帰ってきた。そしてジャックは、兄の手伝いをすることに。取材の過程で死刑囚の婚約者シャーロット(ニコール・キッドマン)に出会ったジャックは、彼女の美しさに魅了されてしまい……。



第65回カンヌ国際映画祭のコンペ部門にノミネートされた本作。
カンヌ絡みの作品らしく、評価は賛否両論あったみたいですが、
ボクは主演のザック・エフロンのファンなので、かなり期待していました。
ディズニー出身のアイドル俳優ってなんか好きなんですよね。
そんな彼も近年は徐々にアイドル路線から脱却を図っていたようですが、
本作では元アイドルとは思えないような格好悪い役で、完全に脱却しましたね。
もともとの爽やか体育会系男子なイメージも好きでしたが、
最近のオッサン化は著しかったので、アイドル路線は限界だったし、
普通の俳優にうまく転身できてよかったと思います。
今後の活躍にも期待です。

でも本作の見どころは、主演のザック・エフロンよりも、
ヒロインのニコール・キッドマンでしょうね。
体当たりの演技で挑発的な淫乱女役を務めており、
この役で第70回ゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされました。
セクシーとかエロいというよりも、かなりいかがわしい演技で、
彼女のヌードシーンもないのですが、けっこう衝撃的だったかも。
でもまぁ彼女なら、この程度の体を張った演技は難なくやしそうだし、
むしろブリーフ一丁で踊るザック・エフロンの方が衝撃的だったり…。

でも、「壮絶な問題作」とか「衝撃のタブーに挑戦」とか、
センセーショナルなキャッチコピーで煽られている本作ですが、
多少衝撃的だと思えるのはセクシャルな部分だけで、物語自体は至って凡庸です。
リー・ダニエルズ監督の前作で黒人差別問題を描いた『プレシャス』の方が、
本作よりもよっぽど衝撃的だったと思います。
本作も内容の一部で黒人差別問題を扱っていますが、
メインプロットのミステリーとはあまり関係のない扱い方なので、
なんだか取って付けたような印象で、とても中途半端な気がします。
黒人監督の彼が黒人差別問題に関心があるのは当然だし、
それを作品に盛り込みたい気持ちもわからないでもないけど、
それにより前作『プレシャス』と比較されてしまうのはマイナスじゃないかな?
前作に比べれば全然タブーにも挑戦してないし、衝撃度も激減で、
はっきり言ってパワーダウンを感じてしまうのは否めないと思います。
そんな無理やり足されたような黒人差別問題だけではなく、
もっと倫理的にタブーな内容が含まれていると期待したのに…。

1969年夏、黒人差別の激しいフロリダ州モート郡で、
黒人を迫害していた悪徳保安官が殺害される事件が発生し、
ヒラリーという白人男性が逮捕され、死刑判決を受けます。
地元出身のマイヤミタイムズの記者ウォードは、その事件に疑問を持ち、
ヒラリーの冤罪を立証しようと保安官殺人事件の調査を始める、という話。
なぜウォードがヒラリーは無罪だと思ったのか理解に苦しいです。
どう見てもマトモな人物じゃないし、かなり無礼な男で普通なら助ける気も失せます。
殺されたのが黒人を迫害し地元では英雄視されていた保安官なので、
その容疑者であるヒラリーが、供述を無視されたり不当に重い判決を受けたことは、
黒人差別に反対する理想主義者のウォードにとっては許せなかったのかもしれませんが、
ヒラリー自身も差別主義者で、ウォードの相棒の黒人記者ヤードリーを愚弄してるし…。
それに彼を無罪だとする根拠も証拠も全くないままに調査を始めるのは、
いくらなんでも納得できない展開だと思いました。

ウォードの調査には、ザック・エフロン演じる弟ジャックが協力します。
彼はフロリダ大の水泳選手でしたが、大学のプールの水を勝手に抜いてしまい、
公共物破損で退学させられ、父親の営む地元新聞の新聞配達員をしています。
幼い頃に母親が家を出て行ったことがトラウマで、女性不審に陥り、
けっこうイケメンなのに女性と交際したことはないみたいですが、
性欲は猿のようにあって、日々エロいことを妄想しながら悶々と過ごしています。
ザック・エフロンにとって非モテキャラは新境地ですが、意外と様になってますね。

ウォードは調査のために、服役囚ヒラリーの婚約者である、
ニコール・キッドマン演じるシャーロットに協力を依頼します。
彼女は「危険な男が好き」という理由で、大勢の服役囚と卑猥な文通をして、
恋人探しをしており、そんな彼女をヒラリーが射止め、2人は婚約しました。
うーん、シャーロットの気持ちはド変態すぎて全く理解できないですね。
ちょっと薹が立っていますがブロンドの美熟女で男には困らないだろうに、
わざわざ会ったこともない服役囚、しかも死刑囚と婚約するなんてね。
彼女は会ったこともない婚約者ヒラリーを釈放させるために、
ウォードの殺人事件の調査に協力するため、モート郡を訪れます。

そんな彼女の挑発的で淫靡な魅力に、ウブなジャックは一目惚れしてしまい、
妄想が爆発し、更に悶々とした気持ちになります。
刑務所に面会に行った時の、エアオーラルセックスというか視姦シーンはかなり卑猥で、
同行したジャックが堪らない気持ちになるのもわかるかも…。
この時、ウォードもその様子に下半身が反応していたような描写がありましたが、
後々ウォードは同性愛者だったということが判明するんですよね。
なのでジャックとは違い、ウォードはヒラリーを見て興奮していたのか…。
そう考えると、ウォードがヒラリーの冤罪を証明しようとしていたのは、
意外とヒラリーに一目惚れしていたからなのかもしれませんね。
でも彼はどちらかと言えば黒人男性が好きみたいでしたが…。

事件の調査ですが、ヒラリーは保安官が殺された時刻に、叔父とゴルフ場で芝を盗み、
コンドミニアムのディベロッパーに売っていたというアリバイがあるようで、
ウォードとジャックはその裏を取るために叔父タイリーの家を訪問します。
タイリーは一族で沼地に住んでおり、ワニを捕まえる仕事をしているようです。
裸族のような原始的な生活で、またしても意味のわからない設定だと思いました。
タイリーは甥ヒラリーのアリバイを証言します。
更に別行動で調査をしていたヤードリーが、ディベロッパーに裏を取り、
ヒラリーのアリバイが証明されてしまうのです。
ところがジャックは叔父タイリーが刑務所に面会に来ていたのを目撃しており、
ヒラリーと口裏を合わせているのではないかと疑い、
それを聞いたウォードもそのアリバイに疑念を抱きます。
マイヤミタイムズの本社は、調査は充分だとしてウォードに帰社を命じますが、
彼はもっと調査するべきだと命令を無視してモート郡に残ります。
ヤードリーは本社に戻り、ウォードの許可なく勝手に記事を書き、
その記事の影響でヒラリーは釈放されてしまいます。

ところがウォードの更なる調査により、ディベロッパーなんて存在せず、
ヤードリーのアリバイ調査は彼のねつ造だと判明します。
もちろん保安官殺しもヒラリーの犯行であり、冤罪ではありません。
ヤードリーの冤罪記事で知事から恩赦で釈放されたヒラリーですが、
この程度のアリバイのねつ造は裁判でもすればすぐバレるはずなのに、
こんな簡単に死刑囚が釈放されるなんてちょっと考えにくい展開です。
ヤードリーはその記事の手柄で栄転しましたが、コイツも最低ですね。
彼は黒人なので南部では不遇の扱いで、それに不満そうにしていましたが、
もともと態度が悪いので、人種は関係なく白人から疎まれて当然ですよ。
南部人の割には差別意識の薄いジャックですら、彼のことは嫌いでしたからね。
ヤードリーは証拠のねつ造だけでなく、自身の経歴も嘘まみれでしたが、
当時は黒人が社会的に成功するにはダーティなことをする必要があったのでしょうけど、
黒人差別問題を取り上げながら、こんな印象の悪い黒人像を描くなんて、
ある意味フェアだけど、ちょっと不思議な演出です。
もうひとりの黒人、家政婦のアニタはとてもいい人でしたけど…。

まんまと釈放されたヒラリーはシャーロットと暮らし始めますが、
彼も叔父と同様に沼地で暮らしをしており、そんな生活にシャーロットはすぐに後悔し、
そのことを手紙に書き、ジャック宛てに出します。
手紙を受け取ったジャックはウォードと一緒に彼女の救出に向かいますが、
時すでに遅く、彼女はヒラリーに殺されてしまっていました。
ヒラリーが彼女を殺す理由は不明ですが、単なるDVだったのかな?
彼はシャーロットを訪ねてやってきたジャックたちにも襲いかかり、
ウォードをマチェーテで斬り殺してしまいます。
ジャックたちはヒラリーが殺人犯だとわかってるんだから、丸腰で彼の家に行くなんて、
わざわざ殺されに行くようなもので、ちょっとあり得ない展開だと思います。
ジャックは辛くも逃げのびて、ヒラリーは2人の殺害容疑で電気椅子に掛けられましたが、
それでも保安官殺人事件の方は迷宮入りになっちゃったみたいです。
ジャックがちゃんと真実を証言すれば、その事件もヒラリーの犯行だと明らかになり、
あのムカつくヤードリーを失脚させることができたのに…。
結局ヤードリーのひとり得みたいな展開で、ちょっと不愉快なラストでした。

本当の殺人犯を冤罪にしてしまうという平凡なミステリーな上に、
そこに足されるあり得ない展開や納得できない設定の数々で、
かなり微妙な作品に仕上がっていると思います。
何とも言えない卑猥さは興味深いですが、それだけの映画でした。

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