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31年目の夫婦げんか

来月末に公開となるホラー映画『貞子3D2』に強い懸念を抱いています。
内容は面白そうだと思うのですが、上映中に行われる「スマ4D」という企画に…。
なんでも上映中にスマートフォンの専用アプリ(無料)を起動させ、
本編に連動した何らかの仕掛けで、「別次元の恐怖」が体感できるとか…。
「電子機器の電源をOFFにしなければいけない映画館の常識を覆す」とか謳ってますが、
電源OFFは常識であると同時にマナーなので、常識は覆してもいいけど、
マナーは覆してはいけませんし、それを奨励するなんて以ての外です。
携帯電話の電源を切るのは着信音を防ぐためではなく画面の光りが迷惑になるからです。
(着信音だけならサイレントにすれば済む話なので。)
まさかそのアプリは画面を煌々と光らせるものではないと思いますが、
アプリ起動する操作中の光りまでは防ぎようがないはずです。
スマートフォンに電源を入れておけば、当然電話やメールの着信があるかもしれませんが、
その時の着信音や(意外と音が響く)バイブにもちゃんと対処できるのか。

誰もがスマートフォンを持ってるわけでもないし、普通に映画を楽しみたい人もいます。
配給の角川書店は、もしそのアプリのせいで観客に不快な思いをさせたら、
鑑賞料を返金するくらいの覚悟でやるべきです。
そして映画館も、同様の覚悟がないならこの企画に賛同するべきではないです。
できればお客さんも、こんな企画には乗せられないでほしいです。

ということで、今日は映画館でとんでもないマナー違反をする物語の感想です。

31年目の夫婦げんか
Hope Springs

2013年7月26日日本公開。
メリル・ストリープとトミー・リー・ジョーンズ共演のヒューマンドラマ。

変わり映えのない毎日を送る結婚31年目の夫婦、ケイ(メリル・ストリープ)とアーノルド(トミー・リー・ジョーンズ)。これまでの夫婦の生活を改めたいと考えていたケイは、フェルド医師(スティーヴ・カレル)のカップル集中カウンセリングを知り、夫に知らせずに予約を入れる。セラピー参加に反対していた夫を連れ、二人はメーン州のフェルドのもとを訪れた。そして、カウンセリングがスタートしたものの……。(シネマトゥデイより)



明日はトミー・リー・ジョーンズがダグラス・マッカーサーを演じ、
太平洋戦争直後の知られざるドラマを描いた映画『終戦のエンペラー』の公開日ですが、
その前日に公開日を迎えたのが、同じくトミー・リ-・ジョーンズ主演の本作です。
同じジョーンズでも、方や歴史サスペンス、方やロマコメで役柄が全く違うし、
同じ俳優の出演作を被せて公開するのは観客にとってあまりいいことだと思いませんが、
配給会社は便乗効果を狙って、こんなことを意図的に仕掛けてきますよね。
今回の場合、どちらも集客できそうな作品なので、どちらが便乗したかは難しいですが、
3週間後は終戦の日だし、『風立ちぬ』なんかもそうでしょうが、
この時期は戦争映画が増えるものなので、やはり本作が便乗したと考える方が自然かな。
しかし本作はジョーンズのみならず、稀代の大女優メリル・ストリープの主演作なので、
そんな小賢しい小細工を弄さない方が集客も伸びる気がします。
ボクは両方観る予定ですが、普通の人は月にそう何本も観ないし、
同時期に上映したらジョーンズ目当ての客を奪い合うことになりますもんね。
ボクの場合は『終戦のエンペラー』はジョーンズ目当てだけど、
本作の場合はストリープ目当てなので、もともと競合しませんが。

本作は全米初登場4位とまずまずの成績でしたが、ロマコメのわりに評価はかなり高く、
主演のメリル・ストリープが本作で第70回ゴールデングローブ賞の
主演女優賞(コメディ部門)にノミネートされたほどです。
まぁ彼女の場合は過去30回ちかくノミネートされており、もはやお約束みたいなもので、
作品の出来に関係なくノミネートされそうな印象ではありますけどね。
その年の他の候補者は、『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』のジュディ・デンチ、
『カルテット!人生のオペラハウス』のマギー・スミスと大御所女優揃いでしたが、
結局、最年少候補ジェニファー・ローレンスが『世界にひとつのプレイブック』で受賞。
相手が大御所だらけなのが功を奏し、フレッシュさが受賞の決め手になったのかも?

本作も『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』や『カルテット!』同様に、
どちらかと言えば年配向けの作品で、お客さんの年齢層もかなり高く、
アラサーのボクでも劇場内で最年少じゃないかと思ったほどで、
ボクにはちょっと早い作品でしたが、前述の2作よりもかなり楽しめたように思えます。
まぁ主人公らの年齢も高齢者が主だった前述の2作よりは若く、
本作はまだ親の年齢くらいなので、物語的に親近感が持てたのかも。
邦題の通り、結婚31年目の夫婦の物語ですが、2人の出会いは大学時代で、
それから間もなく結婚した感じなので、設定的には50代前半だと思います。
ジョーンズは実年齢(66歳)以上に貫禄があるので、正直50代にはとても見えませんが、
ストリープは実年齢(64歳)よりは若々しいので、ギリギリ50代に見えなくもないかな。
それに本作の彼女はとてもチャーミングで、女性としていつもより魅力的でした。
演技派な彼女は『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』とかシリアスな役も多く、
そんな役の時の方が高く評価されるのですが、ボクはロマコメでの彼女の方が好きです。
シリアスな役や実在の人物を演じてる時の彼女は、なんだか演技勝負をしているようで、
上手いとは思うけど見ていて疲れてくるんですよね。
その点、ロマコメだと自然な彼女の魅力が発揮できているように思います。

結婚31年目のケイとアーノルド夫妻は、息子たちも独立し2人で暮らしていますが、
寝室も別々でスキンシップも全くなく、倦怠期な感じです。
しかし妻ケイは、夫アーノルドともう一度結婚の誓いを立てたいと願っています。
つまり一緒に寝たりセックスしたりする、ラブラブな夫婦関係に戻りたいわけですね。
しかし思い切ってモーションかけても、夫にやんわり拒否されてしまいます。
アーノルドも妻が嫌いなわけではないが、「今更性生活なんて…」と思っているようです。
熟年夫婦がラブラブなのも変だし、30年以上も夫婦していたらそれが普通な気もします。
いつまでも仲がいいに越したことはないけど、性生活まで望むものかな?
ボクも結婚経験がないので何とも言えませんが、すでに性欲なんて枯れ始めてるし…。

夫婦関係を改善したいケイは本屋で見つけた啓発本『思い通りの結婚生活』に感銘を受け、
その著者であるバーニー・フェルド医師のカップルカウンセリングに申し込みます。
カウンセリングなんてバカバカしいと考えるアーノルドですが、妻があまりに真剣で、
強硬に拒否したら離婚されるのではと懸念し、渋々一緒に参加することに…。
カップルカウンセリングってアメリカで流行ってるんですかね?
この前もそれが題材のハリウッド映画『南の島のリゾート式恋愛セラピー』を観たし、
カップルカウンセラーが主人公の『Temptation』ってハリウッド映画も
今年全米公開されました。(これは日本公開されることはなさそうです。)
カップルカウンセリングなんて日本ではまだあまり一般的じゃない気がするけど、
アメリカは離婚大国なだけに、アメリカ人にとっては興味深いネタなのかな?
そのカウンセリングの医師バーニーを演じるのが、スティーブ・カレル。
ボクも大好きなコメディ俳優ですが、日本ではそれほど人気がないみたいで、
彼の出演作はビデオスルーか小規模公開になりがちで…。
今回はストリープとジョーンズの大御所との共演のお陰で、
シネコンの大スクリーンで彼を観ることができて嬉しいです。
意外と本作を観たのも、ストリープより彼の方が目当てだったりしますが、
この3人の共演となれば、とりあえず観ないわけにはいかないです。

メーン州の辺鄙な街ホープ・スプリングスで1週間行われるカウンセリング。
一体どんなことをするのかと言えば、ただバーニーと3者で夫婦の問題の話をするだけ。
これで料金4000ドル(約40万円)だなんて、ちょっと法外ですね。
しかも話す内容は、夫婦の性生活の話がほとんどで、いくらカウンセリングとはいえ、
そんな秘め事を赤裸々に話さなきゃならないなんて、ちょっと躊躇しちゃいますね。
「いつからセックスレスですか?」くらいの質問ならまだ我慢できるけど、
「どんな体位?オモチャは?オーラルセックスは?オーガニズムはありますか?」とか、
そこまで突っ込んだ質問するのか?って感じです。
それを表情ひとつ変えず事務的に質問するバーニーは面白いですが、
当然もともと乗り気でないアーノルドは「この医者、頭大丈夫か?」と懐疑的になります。
まぁなんだかんだで彼も「妻に口でしてほしかった」とか「3Pがしたかった」とか、
かなり赤裸々に話しちゃってるんですけどね。
ボクなら絶対に他人にそんなカミングアウトはしないと思うし、
人によっては4000ドルをドブに捨てるようなカウンセリング内容です。
まぁ途中で打ち切れば残りの日数分は返金してくれるみたいですが、
単純計算で1日数十分、話を聞くだけでで約600ドルなんて、ボロい商売ですね。

バーニーは「今夜抱き合って寝ること」「お互いに愛撫すること」とか課題を出します。
これはなかなか効果的なようで、夫婦間の溝がちょっと埋まったりもしたのですが、
ひとつだけ映画ファンとしてどうしても許容できない課題が…。
それは「映画館でオーラルセックスすること」です。
課題を出された2人は映画館に行き、本当にフェラチオするのですが、
上映中は撮影禁止、携帯電話の使用禁止、タバコも禁止、お喋りも禁止、
そしてもちろん性行為も禁止ですよ。
こんなマナー違反な課題を出す医師なんて完全に頭がおかしいです。
映画館でなくても、公共の場で性行為をするのは違法行為で、
彼はその教唆をしたわけだから、医師免許取り消されるべきです。
百歩譲ってポルノ映画でやるならまだしも、フランスのコメディ映画の上映中に…。
ボクも長い映画館通いの中で2度ほど目撃したことがありますが、
あと1000円も足せばラブホで休憩くらいできるだろうに、
ボクの神聖な映画館をいろんな意味で汚さないでほしいです。

…で結局、その映画館の課題は失敗してしまいます。
妻ケイにはフェラチオの経験がないのに、映画館の狭い座席で急にしろといわれても、
上手くできるはずもなく、不甲斐ない自分にショックを受けて映画館を飛び出します。
カス医者が、カップルカウンセリングのプロならそれくらい予想しろと…。
でも彼女は「上手くなりたい」と思ったようで、セックスのハウツー本を購入し、
バナナでフェラチオの練習します。
大女優ストリープに随分思い切ったことをさせるものです。
一方、夫アーノルドはショックを受けた妻を慰めたいと思い、
こっそり高級レストランと高級ホテルを予約します。
税務署員で金に細かい彼からすると、清水の舞台から飛び降りるほどの大奮発です。
それに妻は感動し、高級ホテルの一室でいいムードになり、コトを始めるのですが、
これからって時にアーノルドが止まってしまいます。
ボクにも何故なのかわかりませんが、どうも勃たなかったみたいですね。
ケイは「自分に魅力がないからだ」と更にショックを受けてしまい…。

結局カウンセリングは失敗に終わり、失意のうちに自宅に帰ります。
4000ドル払っても失敗するなんて酷い話ですね。
むしろ夫婦間を改善するつもりだったケイの気持ちが折ってしまったので、
カウンセリング前よりも状況は悪化しており、全額返金すべきでしょ。
それなのにバーニーは「自宅から通えるセラピー紹介します」って、
結局最後は他人に丸投げするなんて、舐め腐った商売ですね。
夫婦生活に絶望したケイは荷造りをはじめ、もう離婚も目前かと思われましたが、
寝室に突然アーノルドがやってきて、彼女を抱きしめて、そのままセックスが始まります。
なんで高級ホテルの時はダメだったのに、今回は出来るのかよくわかりませんでしたが、
カウンセリングから帰ってきたアーノルドには、何か心境の変化があったのでしょう。
それがどんな変化かは、ボクももう少し歳を重ねないと理解できそうにないですけど。
カウンセリングの効果ではないと思うが、カウンセリングを受けた経験が、
アーノルドに夫婦生活を見つめ直させ、改心させたのであれば、
4000ドルの勉強代取られたのも結果オーライってことかな。
2人は家族を集めてささやかなバウ・リニューアル式を挙げるのですが、
そこにちゃっかりバーニーも顔を出してるんですよね。
まるで自分の手柄のようなドヤ顔で…。
どうしようもない奴だと思うんだけど、彼を演じるカレルが好きなので、
なんだか憎めないんですよね…。

中高年の性が予想外に赤裸々に描かれすぎていて、
少々戸惑いましたが、なかなか面白い作品だったと思います。
なんでも今度トミー・リー・ジョーンズがメガホンを取る映画『The Homesman』に、
メリル・ストリープが出演し、近々また共演するみたいです。
それも楽しみですが、まずは明日公開の『終戦のエンペラー』ですね。

関連作の感想
南の島のリゾート式恋愛セラピー

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