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コン・ティキ

ケンタッキー・フライドチキンの一部店舗で2日間開催された食べ放題に挑戦しました。
挑戦するには前払いで1200円も取られますが、通常だとチキンは5ピースで1150円なので、
5ピースとドリンク1杯飲めば、元は取れるし、それくらいなら食べられそう。
でもボクは3ピースまでしか食べたことがないので、5ピースは未知の領域だったけど、
いざ挑戦してみると、7ピースも食べることができて、自分でも驚きました。
7ピース中3ピースが食べやすくて人気のあるドラム部分だったおかげかも。
ポテトやドリンクも含め、通常2300円~2680円相当を食べることができたので満足です。
まぁ1200円も払えば、普通に食べても満足できると思いますが、
珍しいイベントの体験料と思えば、映画一本分程度の料金なら払う価値あるかなと。
もし全然食べられなかったとしても、挑戦することに意義があるかなと思います。
ちなみに一緒に挑戦した人は鶏一羽分となる9ピースも食べてました。

ということで、今日は意義のある挑戦をした男の伝記映画の感想です。

コン・ティキ
Kon-Tiki.jpg

2013年6月29日日本公開。
ノルウェーの学者の実話を基に描いた海洋アドベンチャー。

ノルウェーの学者、トール・ヘイエルダールは、南太平洋ポリネシア諸島の住民の起源が南米にあるという説を信じていた。ヘイエルダールはインカ帝国を征服したスペイン人の図面を参考にし、古代インカでも簡単に手に入る材料を使用し、コン・ティキ号という名前のいかだを作る。そして1947年、ついにペルーからポリネシアまで約8,000キロに及ぶ航海に出発する。(シネマトゥデイより)



先月16日、ニュースキャスターの辛坊治郎氏が、
全盲のセーラー岩本光弘氏と一緒にヨットでの太平洋横断に挑戦しましたが、
同月21日、1200km沖合でヨットが漏水事故に遭い、海上自衛隊に救助されました。
イラク人質事件の折には自己責任論を主張していた辛坊氏だけに、
「自分は救助されるのかよ!」という世間からの批判も強いようですが、
まぁここは岩本氏を救助したついでに彼も救助されただけだと考えて、
日本人として、海上自衛隊の救助能力の高さを誇りに思いたいですね。
と同時に、太平洋を横断することがどれほど困難なことかもわかりましたが、
そんな折に公開が始まった本作は、太平洋を横断した人物の実話が基になっており、
これ以上なくタイムリーな作品です。
世間では公然の事実のように辛坊氏の太平洋横断は『24時間テレビ』の企画だと噂され、
ボクも十中八九間違いないと思っていますが、本作の宣伝企画だったのでは思うほどの、
ドンピシャのタイミングでの公開でしたね。(あ、本気ではないですよ。)

辛坊氏が使ったヨットは、間寛平がアースマラソンで使ったヨット「エオラス号」ですが、
アースマラソンはイランで映画化されたそうです。(日本では未公開かな?)
辛坊氏の挑戦ももし成功していれば映画化されたりしたかもしれませんね。
本作で描かれた人物トール・ヘイエルダールの太平洋横断の記録映画は、
第24回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門でオスカーを受賞しています。
その実話を映画化したノルウェー映画の本作も、前回の第85回アカデミー賞で、
外国語映画部門の候補となり、『愛、アムール』に敗れたものの注目を集めました。
こんな北欧映画が日本で公開されたのも、オスカー候補になったおかげでしょうが、
普通にかなり面白い海洋冒険映画だったと思います。
もしかすると辛坊氏の太平洋横断に合わせて、日本公開の時期を決めたのかも?
まさか公開日より前に失敗するとは思ってなかったでしょうが、
それも逆に本作の注目度を上げたし、本作に描かれている実際の出来事が、
如何に困難な偉業だったかを伝えるのにも一役買っている気がします。
なので本作は、是非今観てほしい作品だと思います。

1947年、ポリネシアのファツヒバ島で現地民と暮らしながら研究をしていた
ノルウェーの人類学者で海洋生物学者のトール・ヘイエルダールは、
「ポリネシア人の先祖がアジア経由で海を渡ってきた」という一般的な学説に疑問を持ち、
「ポリネシア人の先祖はインカ時代に南米から渡ってきた」という仮説の論文を書きます。
しかし地理雑誌『ナショナル・ジオグラフィック』の編集長をはじめとする出版社は、
「船のない当時に8000kmも海を渡るのは不可能だ」と、彼の仮説を相手しません。
そこで彼は「船はなくともバルサ材のイカダはあったはずだ」と主張し、
南米ペルーのカヤオからポリネシアまで、自らイカダに乗って航海することに。
ペルー大統領を唆し航海資金を得た彼は、5人のクルーとイカダでペルーを出発します。

インカの太陽神の名前「アプ・コン・ティキ・ウイラ・コチャ」から、
「コン・ティキ号」と名付けられたイカダは、
インカ帝国時代の技法で作られたということですが、やたら立派なもので、
1500年前に同じようなものが作られたとは到底思えません。
かなり広く、家屋まであり、下手するとエオラス号よりも安定感がありそうです。
食糧もたんまり積み込んでいますが、昔の人はポリネシアの存在は知らないはずなので、
そんなに食糧を持って海に出たとは考えにくい気がします。
船体は木材や麻の縄のみで出来てますが、コンパスや無線機も積み込んでるし、
条件は1500年前とは全く違って、正直ボクもこの仮説は信憑性に欠ける気が…。
確かにファツヒバ島には南米原産のパイナップルの似た果実があったり、
太陽神の石像があったりと、南米説を裏付ける証拠もありますが、
アジア経由説の方が納得できるし、現在の通説でも東南アジアから渡ったぽいです。
(ボクもそうだけど)コン・ティキ号の挑戦のことを知らない人が本作を観たら、
「ポリネシア人の先祖はインカ帝国人だ」と誤解し、どこかで恥をかきかねないので、
信憑性の薄い仮説であることを、劇中で伝えるべきだと思います。

(ほぼ)間違った仮説を実証する物語だと思うと、ちょっと無意味に感じてしまいますが、
トンデモ説というのも面白いものだし、もし間違っていたのに実証できちゃったら、
それって図らずも前人未到の快挙を成し遂げちゃったってことになりますよね。
史実はどうあれ、彼の仮説どおりに事が運んだことはすごいことです。
まぁ本当はモアイでお馴染みのイースター島を目指していたらしいけど、
到着したのはトゥアモトゥ諸島という場所なので、完全に計画通りではありませんが、
どちらもポリネシアであることに変わりはないです。
しかも航海は100日を予定していたけど、到着したのは出発から101日目で、
そのニアピンの日程計算をしていたのもすごいことだと思います。

8000kmも航海すれば、いろんな出来事もあると思いますが、
本作で描かれている航海の様子は、出港して間もなくと、到着時のことだけ。
特にほとんどが出港後の数日のことで、距離にしてせいぜい2000kmでしょうか。
あとの6000kmはよほど平穏な航海だったのでしょうね。
男ばかり6人でひとつのイカダに何カ月も乗っていたら、
虎と救命ボートで漂流するよりもいろんな諍いが起きそうなものですが…。

しかし、出港後数日の間には、次から次への過酷な試練が待ち構えています。
大嵐に巻き込まれたり、ホホジロサメの大群に襲われたり、クジラが急接近したり…。
たしか辛坊氏のエオラス号の浸水も、クジラが原因の可能性が高いらしいですね。
しかしそんな自然の猛威よりも、最も脅威だったのは無能なクルーの存在です。
コン・ティキ号の副船長ヘルマンは、本業は冷蔵庫のセールスマンで、
「冒険がしたい気分」とトールに付いてくるのですが、コイツが全く使えない。
とにかく心配性で、無害なジンベイザメの出現にビビリ、勝手に銛を撃ち込み、
ビックリしたジンベエザメによって、イカダが転覆させられそうになります。
また、丸太の摩擦によって麻の縄が切れてイカダが壊れるのではないかと危惧し、
鉄製のワイヤーで丸太を縛ろうと言い出します。
そんなことをしたら、当時を再現したこの実証実験は全く意味が無くなるのに…。
しかも、イカダの設計には彼自身も関わっているのに、何を今更って感じです。
こっそり持ち込んだワイヤーをトールに捨てられ、絶望したヘルマンは、
フラフラとサメだらけの海に転落してしまいます。
戦争の英雄だった無線技師のクヌートが飛び込み彼を救助しますが、
そんな足手まといはサメのエサにしちゃえばいいのにと思いました。
そんな彼が、最後の難所であるラロイヤ環礁でを乗り越えるアイディアを出します。
この最後の見せ場のために、ここまでいいとこなしに描かれていたのだと思いきや、
そのアイディアも見事に失敗し、イカダはカミソリのような暗礁に乗り上げてしまい…。
環礁から陸地までは浅瀬だったため歩いて上陸できましたが、
結局彼は最後までいいとこなしだったように思います。

無線が通じなくなるとか、舵が利きにくくなるとか、技術的な問題は他にも起こるけど、
本作で主に描かれるのは南赤道海流に乗るまでの数日間で、
その間はペルーの海岸線に沿って、フンボルト海流に乗り、北上しているだけなので、
問題が起きたらいつでも南米に帰れそうな距離で、いまいち緊張感がありません。
でも、そのままフンボルト海流を乗り過ごしてしまうと、
ガラパゴス諸島の方に行ってしまい、その近辺の大渦に飲み込まれる危険がありました。
なんとか南赤道海流に乗り換え、大渦は回避しましたが、なんだか凄そうな大渦なので、
そこに突っ込んで行くコン・ティキ号も見てみたかった気がします。
ただ、こんな大渦は単なる迷信だったんじゃないかな?
その大渦を説明した文献も、ポーの短編小説『メエルシュトレエムに呑まれて』だし…。

様々な困難を乗り越えてポリネシアに到着し、仮説も実証できて大団円かと思いきや、
そこでトールを待っていたのは、故郷リレハンメルの妻から届いた離婚を告げる手紙…。
手紙を要約すれば「冒険バカには付き合いきれない」という内容で、
最後の最後にこの挑戦が全否定されたような気になりました。
この太平洋横断後に離婚したのは事実でしょうが、本作でそこまで描く必要があるのか…。
後味が悪くなった、…ってほどのことでもないけど、高揚感は半減してしまいました。
まぁ自衛隊に救助されて、暫らく謹慎する幕引きよりは全然マシですけどね。

関連作の感想
ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日

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